【要約】
「発明塾」塾長の楠浦です。
今回は、2025年4月に開講し討議を行った「新規事業サポーター養成講座(支援者向け発明塾)」の第5回ワークショップの振り返りです。
新規事業サポーター養成講座(支援者向け発明塾)
https://www.techno-producer.com/news/business-supporter-course/
(上記は公開講座のご案内ですが、企業内開催も承ります)
これまでの振り返りは以下のコラムをご覧ください。
第1回振り返り:新規事業支援者の心得とは? 成功する提案を導く支援の本質と実践法
第2回振り返り:新規事業「支援者」と「指導者」の違い|たった1回の指導でここまで変わる! 成果を出す支援者育成の本質
第3回振り返り:決断力を育てる新規事業支援|「頭がちぎれるほど考えたか?」で成果を変える
第4回振り返り:“チラシ思考”で動かす新規事業企画|支援者が築くエコノミック・モートと決断支援の技術
第4回~第5回の間の振り返り:支援者は“育つ”|新規事業支援に必要なメタ認知と振り返りの力
第3回と第4回は、「企画」を検討する段階です。
「確信犯になっていただく」時間ですね。
支援者は、提案者が確信犯になれるように、支援をしていくわけです。
第5回と第6回は、「企画提案書」の作成を進めます。
実は「企画」と「企画書」は、全く別物なんですよね。
だから、「企画」ができたら、再度ゼロベースで「企画書」を考えていきます。
自身が検討した「企画」の延長で「企画書」を作ると、「確実に社長・役員が寝てしまう」企画書が出来上がります(笑)。
そういう企画書、企画プレゼンは世に結構多いのですが、僕でも寝てしまうぐらいの「強力な睡眠薬」になります(笑)。
では、本題へ。
第5回の討議は、提案者によるスライド草案の発表と、それに対する支援者からのフィードバックが中心でした。
提案者の側から見ると、「エッジ情報」→「アイデア」→「企画」→「企画書」と進む、最終段階です。
支援者の側から見ると、「最先端情報の提供」→「ちょうどよい先行例の提供」(独自性・独占の確認)→「ロジック構築」(売れる・勝てる・儲かる・できそう・おもろい)→「伝え方の工夫」 になりますね。
僕がコメントした内容を、3点に絞って挙げておきます。
支援者が最低限やらないといけないこと、ですね。
① スライド単位でロジックチェック
② 事実と仮説を明確に
③ “役員が3枚目までに寝る” 構成を避ける
これをやると、1時間から1.5時間はあっという間です。
僕が特に強調したのは、「社長・役員はすぐに寝る」ということです(笑)。
これが正しいんですよね。
今は、何かのハラスメントになる可能性もあるので「つまらない」と面と向かってと言うことができない時代ですし、そもそも社長と役員の時間と頭脳は希少資源です。
僕の友人で、つまらない話はすぐに意識が遠のく人がいて、こいつ失礼な奴やな、と思っていましたが、話を聞くと、ご両親がある企業の役員だとのこと。
「あぁ、これが英才教育か」と感動しました(笑)。
さて、第6回に向けての作業は、だいたいいつも、以下になります。
今回もそうでした。
提案者:
支援者:
企業内発明塾は間が2週間ですが、新規事業サポーター養成講座(公開講座)は間を1週間にしましたので、非常にタイトなスケジュールです。
支援者の積極的な関与が重要になりますね。
ここまでくると、「おせっかい気味」でもよいので、巻き取っていくことが重要です。
企業内発明塾では、6回の討議(ワークショップ/壁打ち)を行って、新規事業アイデアの探索、創出から企画提案に結びつけます。
各自の進捗次第で、その通りにならない場合も多いですが、理想的には、以下のような段階(フェーズ)に分けられます。
① フェーズ1 : 情報調査とアイデア出し(第1回~第2回)
② フェーズ2 : 確信犯になるための企画検討(第3回~第4回)
③ フェーズ3 : 企画を通すための企画提案書作成(第5回~第6回)
フェーズ1の第1回から第2回では、支援者は、エッジ情報と呼ばれる最先端情報をどんどん提供し、発散させる、発想支援を行います。提案者の着眼点に共感を示しつつ、さらなる飛躍を生み出す「下駄」や「刺激」を提供するわけですね。
ただ、ここで「誘導尋問」になってはいけないという話は、過去配信のコラムの通りです。
フェーズ2の第3回から第4回では、確信犯になるための企画検討を行ってもらいます。ここでは、支援者は「売れる・勝てる・儲かる・できそう」を満たせるように「アイデアを企画へ育てていく」役割を担います。
新規事業企画書の書き方と成功事例【見本あり】 ~3つの視点で事業の魅力を伝える
https://www.techno-producer.com/column/how-to-write-innovation-proposal/
ここでも、ヒントになる情報の提供は非常に重要です。
だから、前半は「調査」「情報分析」がメインになりますね。
とにかく、瞬時に関連情報を見つけて出せる人、が支援者として求められるということです。
一般論ではなく、ニッチな最先端情報が欲しいので、知識と検索スキルの両方が必要になります。
フェーズ3の第5回から第6回では、社長・役員が必ずOKする(であろう)企画提案書を作ります。
「寝ない」というのは、その最低ラインの話ですね。
提案書のロジックチェック、ファクトチェックはもちろんですが、プレゼン技術含めた「表現技術」の支援が重要になります。
企業内発明塾では、不慣れな方、自信がない方については、プレゼン練習を動画に収めてもらって、楠浦がチェックする場合もあります。
「必ず通す」ためにやるべきことは、すべてやるのが「企業内発明塾」です。
次回以降、全体の振り返りを行いますが、いったんここまでの振り返りを兼ねて、そもそも「支援者に求められることは何か」を、言語化しておきます。
これは、企業内発明塾でも、質問があれば答えている内容です。
企業内発明塾では、主役は提案者なので、余計なことは話さないようにしています。
提案者が混乱する可能性があることと、そもそも時間がもったいないからです。
その場に6名いるとして、僕が5分話すと30分のロスですからね。
① 完璧より即応
② 巻き取る・寄り添う
企業内発明塾参加者であれば、僕が何をしていたか、振り返ると理解できると思います。
意外と皆さんができないのは、これですね。
”提案者の「動き出した勢い」を止めないこと”
意外なことに、止める方が非常に多い。
でもそれだと、相手の力が使えなくなります。
相手の力をうまく使いながら、理想の状態を目指す。
これが発明塾の考え方です。
だから、相手の頭脳を止めない支援が重要。
もっと回転させて、もっともっと、いい情報、いいアイデア、いい企画にたどり着いてもらう。
これしかないんですよね。
こちらから「弾」をぶつけていって、「はずみ車」をどんどん回す。
早く結論を出してもらう。
運動量保存則であり、運動エネルギー保存則なんですよね。
相手を止めようとすると、こちらも無駄なエネルギーを使うのに、全体として停滞してしまう。
動かないと結果は出ません。
最悪ですよね。
繰り返しですが、支援とは「指導」ではなく、「共同でアイデアを育てる」ことなんです。
支援者は、提案者の不安や迷いに寄り添いながら、時に前に出てロジックを整え、資料を磨き、伝わる形に昇華させる役割を担います。
実は、今回の「新規事業サポーター養成講座(公開講座)」で検討している企画は、全体としてはかなり壮大な企画になっています。
これは、また別途セミナーなどでお披露目できる機会があると思います。
(開催条件として、検討内容はすべて教材等に活用できることにしています)
ですので、情報の交通整理だけでも、結構大変です。
以前に書いたかもしれませんが、ある段階で、僕がいったん優先度をつけて、内容を絞り込んでいます。
それをしないと、情報におぼれて、進まなくなるなと感じたからです。
これは「指導者」的な支援でしょうね。
いずれにせよ、提案者の孤独な構想に光を当てるのが、支援者の仕事です。
時と場合によっては、「どこに光を当てるのか」という決断も必要になる、ということです。
ただ、これは上級編ですね。
新規事業サポーター養成講座(支援者向け発明塾)
https://www.techno-producer.com/news/business-supporter-course/
(上記は公開講座のご案内ですが、企業内開催も承ります)
楠浦 拝
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