テーマ別 深掘りコラム 1分で読める!発明塾 塾長の部屋
会社概要 発明塾とは? メンバー
実績 お客様の声

HOYAの知財戦略:事業ポートフォリオを支える無形資産の構造分析

3行まとめ

3,515件の知財で事業セグメントごとに最適化された二元戦略を展開

HOYAは特許3,307件、商標187件を含む計3,515件の知的財産権を保有し、情報・通信事業では模倣困難な技術的要塞を築く防御的戦略、ライフケア事業ではビジネスモデル全体を保護するシステム特許による攻撃的戦略を展開。

半導体マスクブランクスで世界市場の70%を支配する圧倒的地位

半導体製造に不可欠なマスクブランクス市場で世界シェア約70%、次世代EUVリソグラフィ向けではAGCと共に世界市場の95%以上を占める複占状態を形成し、製造プロセス特許と製造ノウハウで高い参入障壁を構築。

M&Aを通じた戦略的な知財ポートフォリオ拡充で事業領域を拡大

2008年のPENTAX統合で医療機器分野の包括的技術群を獲得、2013年セイコーオプティカル2017年Performance Opticsの買収により、メガネレンズの特許ポートフォリオと製造ノウハウを短期間で拡充し世界シェア第2位を確立。

エグゼクティブサマリ

 

本レポートは、HOYA株式会社(以下、HOYA)の知的財産(以下、知財)戦略について、同社の経営哲学、事業構造、競合環境、そして将来展望を多角的に分析したものである。主要な分析結果は以下の通りである。

  • 経営哲学との連動: HOYAの知財戦略は、同社の経営の根幹をなす「事業ポートフォリオ経営」と密接に連動している。単一の全社的戦略ではなく、各事業部門の市場地位やライフサイクルに応じて最適化された、分散的かつ適応的な戦略の集合体として機能していると見られる。
  • 二元的な戦略アプローチ: 知財の活用法は、事業セグメントによって明確に二分化されている。情報・通信事業、特に半導体マスクブランクスでは、圧倒的な市場シェアを維持するため、模倣困難なプロセス特許や材料特許で「技術的要塞」を築く防御的戦略が採られている。
  • エコシステム支配: ライフケア事業では、競合が激しい市場で差別化を図るため、製品機能の保護に加え、ビジネスモデル全体を保護する「システム特許」を駆使する攻撃的な戦略が見られる。東海光学との訴訟はその象徴的な事例である。
  • 分散型の知財管理体制: 知財専門人材が事業部門に所属し、事業戦略と一体化した形で知財活動を推進する、分散型の組織体制が採用されていると推察される。これにより、市場への迅速な対応が可能となっている。
  • M&AによるIP獲得: PENTAXやセイコーオプティカルプロダクツのメガネレンズ事業の買収など、M&AIPポートフォリオと市場シェアを同時に拡張する戦略的手段として積極的に活用している。
  • 競合に応じた戦術変更: 競合他社との関係性に応じて知財戦略を柔軟に変更している。AGCとは技術開発競争を、オリンパスに対してはチャレンジャーとして特定技術領域に集中し、東海光学のような競合には訴訟も辞さない姿勢を示す。
  • 主要リスク: 短期的には訴訟やサイバーセキュリティ、中長期的には技術的陳腐化のリスクが存在する。特に、分散型組織に起因する「事業部門間のシナジー逸失」が最大の長期的課題となる可能性がある。
  • マクロトレンドとの合致: AIインフラ需要の拡大(情報・通信事業)と世界的な高齢化(ライフケア事業)という二大成長トレンドの交点に位置しており、事業ポートフォリオ全体で持続的な成長が見込まれる。
  • ブランド資産の活用: B2B市場では「HOYA」ブランドの技術的信頼性を、B2C市場では「Eyecity」や「PENTAX」といったブランドの認知度と信頼性を活用し、無形資産価値を最大化している。
  • 戦略的示唆: 今後の課題は、分散型の俊敏性を維持しつつ、事業部門間の技術移転やシナジー創出を促進する仕組みを構築することにある。これにより、次世代の融合技術領域における競争優位性を確立することが可能となる。
  • 持続的収益性の源泉: この適応的かつ多面的な知財戦略こそが、HOYAの驚異的な高収益性と持続的な成長を支える中核的な競争優位性の源泉であると結論付けられる。

 

背景と基本方針

 

HOYA株式会社は、1941年の創業¹³以来、光学技術を基盤として事業領域を拡大し、現在ではグローバル市場で確固たる地位を築く複合技術企業である。同社の事業構造は、大きく分けて「ライフケア」と「情報・通信」の二つの柱から成り立っている¹³20253月期の連結売上収益構成比を見ると、ライフケア事業が全体の63.6%、情報・通信事業が35.9%を占めており¹、この二大セグメントが同社の収益基盤を形成していることがわかる。特にライフケア事業は、メガネレンズ、コンタクトレンズ小売チェーン「アイシティ」³、医療用内視鏡、白内障用眼内レンズなど、人々の生活の質(QOL)に直接関わる製品群で構成されている⁶³。一方、情報・通信事業は、半導体製造に不可欠なマスクブランクスやフォトマスク、HDD用ガラス基板といった、現代のデジタル社会を根底から支える最先端部材を供給している¹³。この多角的な事業展開は、単なるリスク分散に留まらず、同社の経営哲学そのものを体現している。

HOYAの強さの源泉として、同社自身が一貫して掲げているのが「事業ポートフォリオ経営」である¹⁰, ¹³, ⁸⁰。これは、ビジネスモデルや景気感応度が異なる複数の事業を一つのポートフォリオとして運営し、それぞれの事業がライフサイクルのどの段階にあるかを見極め、成長性の高い領域へ経営資本を重点的に配分するという考え方である¹³。競争優位性を失った事業からは撤退も辞さないという「適者生存」の原則に基づき、ポートフォリオを常に最適化し続けることで、グループ全体の収益性、安定性、そして成長性を確保してきた¹³。この経営哲学を支える仕組みが、「HOYAマネジメント・システム」と呼ばれる厳格な業績管理体制である。特に、四半期決算を年度決算と同等以上に重視し、事業部からの業績報告に基づき、執行役が極めて短期的なサイクルで経営資源の配分や事業の縮小・撤退を判断する点が特徴的である¹³。この厳格な規律が、同社が上場以来一度も赤字に陥ったことがないという驚異的な財務実績の背景にあると見られる¹⁰

このような経営の基本方針は、同社の知的財産戦略にも色濃く反映されていると推察される。HOYAの知財戦略は、全社で統一された一枚岩のドクトリンとして存在するのではなく、事業ポートフォリオ経営の思想から必然的に導き出される、各事業部門の固有の状況に最適化された戦術の集合体として理解するのが適切であろう。つまり、知財はそれ自体が目的ではなく、各事業がそれぞれの市場で勝利を収めるための戦略的ツールとして位置づけられている。

この前提に立つと、HOYAの知財に関する基本方針は、少なくとも三つの原則から構成されていると考えられる。第一に、「参入障壁としての知財」である。半導体マスクブランクスのように、HOYAが圧倒的な市場シェアを握る事業においては、知財の主たる目的は、後発企業の参入を困難にする技術的・法的な要塞を築き、その高い収益性を永続的に守ることにある。第二に、「差別化とエコシステム支配のための知財」である。メガネレンズや医療用内視鏡のように、強力な競合が存在する市場においては、製品の独自機能やデザインを保護するだけでなく、サプライチェーンや販売網といったビジネスモデル全体を知財で保護し、競争優位を確立することが目的となる。第三に、「M&Aにおける戦略的ツールとしての知財」である。HOYAは、自社に不足する技術や市場アクセスを迅速に獲得する手段として、M&Aを積極的に活用してきた⁷⁸。この文脈において、買収対象企業の知財ポートフォリオは、その企業価値を評価し、買収後のシナジーを最大化するための重要な判断材料となる。

これらの原則は、HOYAの知財戦略が、静的な権利の保有・管理に留まらず、各事業の競争環境や成長戦略とダイナミックに連動する、極めて実践的なものであることを示唆している。同社の持続的な成長と高収益性は、この柔軟かつ合理的な知財の活用法に大きく支えられている可能性が高い。

 

当章の参考資料

 

  1. https://www.hoya.com/company/profile/
  2. https://www.eyecity.jp/company
  3. https://www.hoya.com/ir/2024/ja/index.html
  4. https://kitaishihon.s3.isk01.sakurastorage.jp/IrLibrary/7741_integrated_2024_6lqj.pdf
  5. https://www.hoya.com/business/
  6. https://www.hoya.com/ir/2022/ja/review/lifecare.html
  7. https://www.hoya.com/ir/2023/ja/capability/index.html

 

全体像と組織体制

 

HOYAの知的財産ポートフォリオは、同社の多岐にわたる事業領域を反映し、その規模と質において非常に強固な基盤を形成している。経済産業省が提供するgBizINFOのデータによれば、HOYAは特許3,307件、意匠21件、商標187件を含む、合計3,515件の知的財産権を保有している¹⁹。さらに、知財情報サービスIP Forceの分析によると、2025年には52件の特許出願公開と78件の特許登録が確認されており、前年(2024年)の公開121件、登録136件と比較すると件数に変動はあるものの、継続的に質の高い発明を創出し、権利化していることがうかがえる²³。これらの数字は、同社が研究開発の成果を確実に無形資産として蓄積し、事業の競争優位性を維持・強化するための活動を活発に行っていることを示している。

ポートフォリオの中核をなすのは特許であり、その内容は光学ガラスの組成や製造プロセスといった基礎技術から、半導体関連の微細加工技術、医療機器の具体的な機能やシステムに至るまで、極めて広範である²³。これは、HOYAが創業以来培ってきた光学技術をコアとしつつ⁶⁴、情報・通信とライフケアという二大分野へと事業を多角化してきた歴史そのものを映し出している。商標に関しては、B2B市場における技術的信頼性の象徴である「HOYA」、医療・映像分野で高いブランド価値を持つ「PENTAX⁶³、そして国内コンタクトレンズ小売市場で圧倒的な認知度を誇る「Eyecity³などが戦略的に登録・活用されている。これらのブランドは、それぞれの市場において顧客の信頼を獲得し、価格決定力を維持するための重要な資産となっている。また、公式なデータベースには現れないが、特に半導体マスクブランクスや光学ガラスの製造工程におけるノウハウ、いわゆる「トレードシークレット」も、同社の競争力を支える重要な無形資産であると推察される。これらの製造プロセスは、特許として公開することによる模倣リスクを避け、厳格な管理下で秘匿することで、他社が容易に追随できない技術的障壁を構築していると考えられる。

このような強固な知財ポートフォリオを管理・活用するための組織体制は、同社の「事業ポートフォリオ経営」の思想を色濃く反映した、分散型モデルである可能性が極めて高い。この推察を裏付けるのが、同社の採用情報である。例えば、ビジョンケア事業部(メガネレンズやコンタクトレンズを管轄)の知財担当者の募集要項では、勤務地が新宿のコーポレート本社ではなく、事業部の拠点である昭島市や中野区とされており、その業務内容として「事業戦略に基づく知財戦略の立案と実行」が明記されている⁴⁴, ⁴⁵。これは、知財の専門家が本社機能の一部として存在するのではなく、各事業部門の内部に配置され、あるいは事業部門と緊密に連携しながら、その事業の特性や市場環境に即した知財戦略を策定・実行していることを強く示唆している。この体制は、各事業の状況を最も深く理解する現場が、発明の発掘から権利化、競合分析、戦略立案までを一気通貫で担うことを可能にし、市場の変化に対する迅速かつ的確な対応を実現する上で大きな利点となる。

さらに、HOYAの経営陣の構成を見ても、この分散型のガバナンスモデルが補強される。公開されている役員情報には、技術開発全体を統括する最高技術責任者(CTO)や、知財戦略を全社的に管掌する最高知財責任者(CIPO)といった役職は見当たらない⁵⁸, ⁶⁰。これは、技術開発や知財に関する戦略的な意思決定が、特定の個人に集中するのではなく、各事業部門の責任者と経営執行役との間で、四半期ごとの厳格なレビューを通じて行われていることを示唆している¹³。この組織構造は、HOYAの経営スタイルそのものである。つまり、財務やガバナンスといったコーポレート機能は少数精鋭で効率的に運営し、事業運営に関する権限と責任は大幅に現場(事業部門)に移譲する。このモデルは、各事業がそれぞれの市場で最大のパフォーマンスを発揮することを目的としており、知財管理もその例外ではない。各事業部門が自律的に知財戦略を構築・実行することで、それぞれの競争環境に最適化された、俊敏で効果的な無形資産の活用が可能となっているのである。ただし、この構造は部門間の技術シナジーを創出しにくいという潜在的な課題も内包しており、その点は後述のリスク分析で詳述する。

 

当章の参考資料

 

  1. https://www.eyecity.jp/company
  2. https://kitaishihon.s3.isk01.sakurastorage.jp/IrLibrary/7741_integrated_2024_6lqj.pdf
  3. https://info.gbiz.go.jp/hojin/patent?hojinBango=7011101019599&Category=2
  4. https://ipforce.jp/applicant-656
  5. https://directscout.recruit.co.jp/job_descriptions/7414167
  6. https://next.rikunabi.com/viewjob/jkf9c421ee279cb5b9/
  7. https://toyokeizai.net/articles/-/4758?display=b
  8. https://www.hoya.com/company/directors/
  9. https://www.hoya.com/business/
  10. https://www.hoya.com/company/technology/

 

詳細分析

 

HOYAの知財戦略は、事業ポートフォリオを構成する各事業の市場地位と競争環境に応じて、その様相を大きく変える。本章では、その戦略を「技術的要塞の構築」「製品差別化とエコシステム支配」「ブランド資産の活用」「M&AによるIP獲得」という四つの切り口から詳細に分析する。

 

技術的要塞の構築(情報・通信事業)

 

HOYAの知財戦略が最も先鋭的に現れているのが、情報・通信事業、とりわけ半導体マスクブランクス分野である。マスクブランクスは、半導体の微細な回路パターンをウェハに転写する際の原版(フォトマスク)の材料であり、半導体製造工程において不可欠な部材である⁷¹。この市場において、HOYAは世界シェアの約70%を占める圧倒的なリーダーであり⁸³、特に次世代のEUV(極端紫外線)リソグラフィ向けマスクブランクス市場では、AGCと共に世界市場の95%以上を占める複占状態を形成している⁸¹。この驚異的な市場支配力の根幹を支えているのが、防御に徹した強固な知財戦略である。

この分野における知財の核心は、製品そのものの特許以上に、製造プロセスと材料組成に関する特許、そして特許化されていない製造ノウハウ(トレードシークレット)にあると見られる。マスクブランクスに求められる品質は極めて高く、ナノメートル単位の平滑性を持つガラス基板の上に、多層の薄膜を均一に成膜し、欠陥(ディフェクト)を限りなくゼロに近づける必要がある⁶⁴HOYAは、5万件を超えるガラス組成データに基づく「組成技術」、白金るつぼを用いた「ガラス熔解技術」、サブミクロンの精度を実現する「成型技術」、原子レベルの平滑さを追求する「研磨技術」、そして原子層レベルで膜厚を制御する「薄膜技術」といった一連のコア技術群を保有している⁶⁴。これらの技術は、長年の研究開発と巨額の設備投資の積み重ねによって確立されたものであり、それぞれが複雑に絡み合っている。HOYAは、これらの要素技術やその組み合わせを特許網で網羅的に保護することで、後発企業が容易に模倣できない、極めて高い参入障壁を構築している。

この戦略は、顧客の「ロックイン」効果も生み出す。半導体メーカーの製造ラインは、特定のサプライヤーのマスクブランクスの特性に合わせて精密に調整されているため、サプライヤーを変更することは歩留まりの低下に直結する大きなリスクを伴う⁷⁴。したがって、一度採用されれば、顧客は継続的にHOYAの製品を使い続けることになり、価格競争に巻き込まれにくい安定した収益構造が生まれる。これは、知財によって技術的優位性を確保し、その優位性をもって市場構造そのものを自社に有利な形に固定化するという、高度な戦略である。HOYAがシンガポールにEUVマスクブランクスの研究開発・製造拠点を設け、継続的に生産能力を増強しているのは⁷¹, ⁷³、この「技術的要塞」をさらに強固にし、次世代のHigh-NA EUV露光技術などにも対応することで、将来にわたってこの収益源を守り抜くという強い意志の表れに他ならない。

 

製品差別化とエコシステム支配(ライフケア事業)

 

情報・通信事業とは対照的に、ライフケア事業における知財戦略は、より攻撃的かつ多面的である。この市場では、強力な競合他社としのぎを削っており、知財は単なる防御壁ではなく、市場シェアを奪取し、事業領域を拡大するための武器として活用される。

その典型例が、世界シェア第2位を占めるメガネレンズ事業である⁷⁸。この分野では、高屈折率のプラスチック素材や、反射防止・耐傷性コーティングといったレンズ自体の技術特許はもちろん重要である⁶⁴。しかし、HOYAの戦略の巧みさは、製品単体にとどまらず、ビジネスモデル全体を知財で保護しようとする点にある。これを象徴するのが、競合の東海光学を相手取った「眼鏡レンズの供給システム」に関する特許侵害訴訟である¹⁸, ⁵², ⁵³。この訴訟でHOYAが主張した特許は、眼鏡店(発注側)とレンズメーカー(製造側)をオンラインで結び、レンズの発注から受注までを効率化するシステムに関するものであったᴮ⁵。これは、物理的な「モノ」ではなく、事業の「仕組み(エコシステム)」を保護するものである。裁判所がHOYAの主張を認め、複数の主体が関与するシステムであっても、そのシステム全体を「支配管理」している者が侵害主体となり得るとの判断を下したことは画期的であったᴮ⁵。この判決は、HOYAが競合他社に対して、自社が構築した効率的なサプライチェーン・エコシステムへの「タダ乗り」を許さないという強いメッセージとなり、ビジネスモデルそのものを競争優位の源泉として法的に保護する道を開いた。

医療用内視鏡や白内障用眼内レンズ(IOL)の分野でも、同様の戦略が見られる。内視鏡市場ではオリンパス、富士フイルムが⁷⁵IOL市場でも複数のグローバル企業がひしめく中、HOYAは市場シェア第3位のチャレンジャーである⁷⁶。ここでは、高画質化を実現する画像処理技術、術者の負担を軽減する操作性、あるいはIOLを安全かつ確実に眼内に挿入するためのインジェクター(multiSert™⁷⁶など、臨床現場での具体的な便益につながるユニークな製品機能を知財で保護し、他社製品との差別化を図っている。これにより、医師や医療機関からの指名買いを促し、ニッチながらも確固たる地位を築いている。

 

ブランド資産の活用

 

HOYAは、特許やノウハウといった技術的知財に加え、商標を中心とするブランド資産の活用にも長けている。その戦略は、事業のB2B(企業間取引)とB2C(消費者向け取引)の性質に応じて明確に使い分けられている。情報・通信事業のようなB2B市場では、「HOYA」というコーポレートブランドが、最先端技術と安定供給を保証する信頼の証として機能する。顧客が少数の専門的な企業に限られるため、広範な広告宣伝よりも、業界内での技術的評価や実績がブランド価値を形成する。

一方、ライフケア事業、特に一般消費者に直接関わる分野では、ブランドの役割は決定的に重要となる。その最たる例が、国内最大級のコンタクトレンズ専門チェーン「アイシティ」である³HOYAはアイケアカンパニーを通じてこの事業を展開し、「アイシティ」という強力な小売ブランドを構築・維持することで、数多くのコンタクトレンズメーカー製品を取り扱いながらも、顧客との直接的な接点を確保し、安定した収益を上げている。また、PENTAXとの経営統合によって獲得した「PENTAX」ブランドは、カメラ愛好家のみならず、医療従事者の間でも高い認知度と信頼性を誇る⁶³。医療用内視鏡事業において「PENTAX Medical」としてこのブランドを活用することは、新規市場への参入や製品の信頼性向上において、計り知れない価値をもたらしている。これらのB2Cブランドは、品質と安全性を消費者に約束し、価格競争からの脱却を可能にする重要な無形資産である。

 

M&AによるIP獲得

 

HOYAの成長戦略において、M&Aは不可欠な要素であり、それは同時に知財戦略の重要な一環でもある。同社は、自社単独での有機的成長に固執せず、外部の優れた技術やブランド、販売網を積極的に取り込むことで、事業ポートフォリオの強化と拡大を加速させてきた。このプロセスにおいて、買収対象企業の知的財産は、その価値を測る上で最も重要な評価項目の一つとなる。

2013年のセイコーオプティカルプロダクツ(当時)のメガネレンズ事業や、2017年の米Performance Optics社の買収は、市場シェアを拡大する上で決定的な役割を果たした⁷⁸。これらの買収は、単に売上や顧客基盤を獲得しただけでなく、両社が長年培ってきたレンズ設計、コーティング技術に関する特許ポートフォリオや製造ノウハウをも手中に収めることを意味した。これにより、HOYAは研究開発の時間を短縮し、製品ラインナップを急速に拡充させることができた。

最も象徴的な事例は、2008年のPENTAXとの経営統合である。この統合により、HOYAは自社の強みであった素材技術(光学ガラス)に加え、PENTAXが保有していた最終製品に関する包括的な技術群を獲得した⁶⁴。具体的には、レンズの「光学設計技術」、精密な部品を製造・組立する「精密加工技術」、そしてそれらを統合してカメラや内視鏡といった製品を完成させる「オプトメカトロニクス技術」である⁶⁴。このM&Aは、HOYAが素材メーカーから、医療機器という高度な最終製品市場における有力プレイヤーへと飛躍する上での転換点となった。獲得したPENTAXの知財ポートフォリオは、その後の内視鏡事業の成長の礎となっている。このように、HOYAにとってM&Aは、財務的な投資であると同時に、自社の技術基盤を非連続的に進化させるための、極めて戦略的な知財獲得活動なのである。

 

当章の参考資料

 

  1. https://www.eyecity.jp/company
  2. https://www.fujikawa-pat.net/%E3%80%90%E7%9F%A5%E8%B2%A1%E6%83%85%E5%A0%B1%E3%80%91%E3%82%BD%E3%83%95%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2%E9%96%A2%E9%80%A3%E7%99%BA%E6%98%8E%E3%81%AE%E4%B8%BB%E8%A6%81%E3%81%AA%E5%88%A4%E4%BE%8B.html
  3. https://www.fujikawa-pat.net/%E3%80%90%E7%9F%A5%E8%B2%A1%E6%83%85%E5%A0%B1%E3%80%91%E3%82%BD%E3%83%95%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2%E9%96%A2%E9%80%A3%E7%99%BA%E6%98%8E%E3%81%AE%E4%B8%BB%E8%A6%81%E3%81%AA%E5%88%A4%E4%BE%8B.html
  4. https://www.noandt.com/publications/publication9188/
  5. https://www.hoya.com/business/
  6. https://www.hoya.com/company/technology/
  7. https://www.hoya.com/ir/2023/ja/review/it.html
  8. https://www.edb.gov.sg/ja/industries-case-studies/case-studies-library/hoya-electronics-singapore.html
  9. https://note.com/joyous_sayyou/n/nab42e43c551d
  10. https://shikiho.toyokeizai.net/news/0/728835
  11. https://www.hoya.com/ir/2023/ja/review/lifecare.html
  12. https://www.hoya.com/ir/2022/ja/review/lifecare.html
  13. https://www.gii.co.jp/report/qyr1793330-euv-mask-blanks-global-market-share-ranking.html
  14. https://job.mynavi.jp/27/pc/search/corp486/outline.html
    https://www.fujikawa-pat.net/%E3%80%90%E7%9F%A5%E8%B2%A1%E6%83%85%E5%A0%B1%E3%80%91%E3%82%BD%E3%83%95%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2%E9%96%A2%E9%80%A3%E7%99%BA%E6%98%8E%E3%81%AE%E4%B8%BB%E8%A6%81%E3%81%AA%E5%88%A4%E4%BE%8B.html

 

競合比較

 

HOYAの知財戦略の有効性は、同社が事業を展開する各市場の競合他社との比較において、より鮮明に浮かび上がる。その戦略は画一的ではなく、対峙する相手の規模、技術力、市場地位に応じて、柔軟かつ的確に戦術を変化させる適応性の高さに特徴がある。

 

半導体材料市場:HOYA vs. AGC

 

EUVマスクブランクス市場は、HOYAAGCという日本の二大巨頭が世界市場の95%以上を寡占する、特異な競争環境にある⁸¹。この市場における両社の関係は、熾烈な競争相手であると同時に、最先端半導体製造という巨大なエコシステムを共に支えるパートナーという側面も持つ。両社の知財戦略は、互いを強く意識した「対称的な軍拡競争」の様相を呈していると見られる。双方ともに、福島県やシンガポールなどで生産能力の増強に巨額の投資を行っており²⁹, ³², ³³, ⁷¹、これは市場の旺盛な需要に応えるとともに、規模の経済と生産技術の優位性を確保するための動きである。

知財の観点からは、両社ともに欠陥低減技術、次世代の位相シフトマスクやHigh-NA EUV露光に対応した新材料・新構造に関する特許出願を加速させていると推察される。この競争の本質は、どちらがより早く、より完璧な製品を、主要な顧客である半導体メーカー(TSMCSamsungIntelなど)に安定供給できるかという点に集約される。したがって、特許侵害訴訟のような直接的な対決よりも、互いの技術開発動向を綿密に監視し、自社の技術的優位性を確保するための特許ポートフォリオを構築し続ける、水面下での技術開発競争と知財防衛競争が繰り広げられていると考えられる。この市場では、知財は競合を打ち負かすための武器というより、自社の技術と市場地位を守り、顧客との長期的な関係を維持するための「戦略的核抑止力」に近い役割を果たしている。

 

メガネレンズ市場:HOYA vs. ニコン・エシロール & 東海光学

 

メガネレンズ市場の競争環境は、半導体材料市場とは全く異なる。ここでは、グローバルな巨大企業から国内の専門メーカーまで、多様なプレイヤーが競合している。

ニコン(ニコン・エシロールとして事業展開)は、HOYAと同様に光学技術の名門であり、強力なライバルである。ニコンの知財戦略は、特許・意匠・商標を組み合わせた「知財ミックス」を重視し、事業部門、研究開発部門、知的財産部門が密に連携して戦略を策定・実行する体制を採っている²⁵。特に、知的財産部がコーポレート部門に属し、グループ全体の知財課題に対処する立場にある点は²⁶HOYAの分散型モデルとは対照的である。ニコンは、開発の源流段階から知財担当者が関与すること²⁸を強みとしており、より中央集権的で計画的な知財ポートフォリオ構築を目指しているように見受けられる。HOYAとニコンの競争は、レンズの光学性能、コーティング技術、ブランド価値といった製品の本質的な価値をめぐるものであり、両社の知財戦略の違いが、それぞれの製品開発の方向性や市場投入のスピードに影響を与えている可能性がある。

一方、東海光学は、愛知県に本拠を置く国内有数の専門メーカーである。同社は、平成29年度に経済産業大臣表彰(知的財産権制度活用優良企業)を受賞するなど³⁴、企業規模はHOYAに及ばないものの、知財活用に非常に積極的で洗練された戦略を持つ企業である³⁶HOYAが東海光学を相手取って「眼鏡レンズの供給システム」に関する特許侵害訴訟を提起した事実はᴮ⁵HOYAが自社のビジネスモデルや市場における優位性を脅かす可能性のある競合に対しては、たとえ規模が小さくとも、訴訟という強硬な手段を用いて自社の権利を断固として行使することを示している。これは、市場の秩序を維持し、他の競合に対する牽制ともなる、極めて戦略的な行動である。HOYAは、相手に応じて、技術開発競争から法廷闘争まで、最適な競争手段を選択しているのである。

 

医療用内視鏡市場:HOYA (PENTAX) vs. オリンパス & 富士フイルム

 

医療用内視鏡市場は、オリンパスが世界シェアの約70%を握る寡占市場であり⁷⁵, ⁷⁷、富士フイルムとHOYAPENTAXブランド)が残りのシェアを争う構図となっている。この市場におけるHOYAの立場は、明確に「チャレンジャー」である。

絶対的王者であるオリンパスは、長年の歴史の中で築き上げた膨大な特許ポートフォリオと、世界中の医療機関との強固な関係性を有している。HOYAが正面からオリンパスの物量に対抗するのは非効率的である。したがって、HOYAの知財戦略は、必然的に「非対称なチャレンジャー戦略」とならざるを得ない。つまり、オリンパスがカバーしきれていない特定の技術領域や臨床ニーズに焦点を絞り、そこで独自の強みを発揮し、その周辺を知財で固める戦略である。例えば、特定の波長の光を用いて病変を観察する特殊光観察技術、超音波機能を搭載した内視鏡、あるいは処置具のスムーズな挿入を可能にするチャンネル設計など、特定の分野で「PENTAXにしかできない」技術を開発し、その独自性を特許で保護することで、市場に食い込んでいる。この戦略は、広範な領域を網羅するのではなく、自社の強みが最大限に活かせる「一点突破」を目指すものであり、リソースの限られたチャレンジャーが市場リーダーに挑む際の定石と言える。

このように、HOYAの知財戦略は、対峙する相手が誰であるかによって、その様相を劇的に変化させる。複占市場では「協調と競争の均衡」、競争の激しい市場では「ビジネスモデルの防衛と競合の牽制」、そして寡占市場では「一点集中の非対称戦略」。この状況認識の的確さと戦術の柔軟性こそが、HOYAが多様な市場で成功を収め続けることを可能にしている知財戦略の神髄である。

 

当章の参考資料

 

  1. https://www.jp.nikon.com/company/technology/ip/
  2. https://www.bizreach.jp/job-feed/public-advertising/9j0b7n9/
  3. https://hr.tokkyo-lab.com/interview/nikon-interview1
  4. https://www.agc.com/news/detail/1203818_2148.html
  5. https://www.techno-producer.com/column/euv-photomask-reticle/
  6. https://www.setsubitoushi-journal.com/article/4283
  7. https://www.tokaiopt.co.jp/company/credentials/
  8. https://www.jpo.go.jp/news/koho/tizai_koro/h29_tizai_kourou_siki.html
  9. https://www.hoya.com/ir/2023/ja/review/it.html
  10. https://shikiho.toyokeizai.net/news/0/728835
  11. https://www.olympus.co.jp/ir/individual/pdf/ir_individual_2021_01.pdf
  12. https://www.gii.co.jp/report/qyr1793330-euv-mask-blanks-global-market-share-ranking.html
    https://www.fujikawa-pat.net/%E3%80%90%E7%9F%A5%E8%B2%A1%E6%83%85%E5%A0%B1%E3%80%91%E3%82%BD%E3%83%95%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2%E9%96%A2%E9%80%A3%E7%99%BA%E6%98%8E%E3%81%AE%E4%B8%BB%E8%A6%81%E3%81%AA%E5%88%A4%E4%BE%8B.html

 

リスク・課題

 

HOYAの知的財産戦略は、これまで同社の成長と高収益を支える上で極めて効果的に機能してきたが、将来にわたって安泰というわけではない。事業環境の変化に伴い、短・中・長期の各時間軸で顕在化しうる様々なリスクと課題を抱えている。

 

短期的なリスク(13年)

 

短期的に最も注意すべきリスクは、訴訟と情報セキュリティに関連するものである。まず、訴訟リスクは、HOYAが権利を行使する側と行使される側の双方で常に存在する。東海光学との訴訟のように、自社のビジネスモデルを守るために積極的に権利行使を行う場合、多大な費用と時間、そして経営資源を投入する必要があるᴮ⁵。逆に、各分野でトップクラスのシェアを持つ技術リーダーであるため、競合他社や特許権の活用を専門とするNPEsNon-Practicing Entities)から特許侵害訴訟を提起される標的となりやすい。訴訟の結果次第では、多額の賠償金の支払いや、製品の設計変更、あるいは事業戦略の見直しを迫られる可能性がある。

次に、トレードシークレットの保護は、グローバルに製造拠点を展開するHOYAにとって死活問題である。特に、半導体マスクブランクスや光学ガラスの製造プロセスに関する高度なノウハウは、特許として公開せずに秘匿化されているものが多く、これらが外部に流出すれば、同社の競争優位性は根底から揺らぎかねない。タイ、シンガポール、中国といった海外拠点における従業員の離職や、産業スパイ活動による情報漏洩のリスクは常に存在し、厳格な情報管理体制の維持が不可欠であるᴮ¹

さらに、サイバーセキュリティのリスクも深刻である。近年、製造業を狙ったサイバー攻撃は増加・巧妙化しており、HOYAも例外ではない。万が一、社内ネットワークに不正アクセスされれば、研究開発データ、設計図、顧客情報といった機密情報が窃取されるだけでなく、製造ラインが停止し、サプライチェーン全体に甚大な影響を及ぼす恐れがある。知的財産という無形資産を守るためには、物理的なセキュリティだけでなく、デジタル空間における防御壁の強化が急務となっている。

 

中期的な課題(37年)

 

中期的な視点では、技術の陳腐化と競争環境の激化が主要な課題となる。HOYAが現在保有する知的財産ポートフォリオは、現行の技術パラダイムにおいては非常に強力であるが、破壊的な技術革新が起これば、その価値は一瞬にして減損する可能性がある。例えば、半導体分野では、EUVリソグラフィに代わる新たな露光技術が登場すれば、マスクブランクスに関する既存の特許群は価値を失うかもしれない。同様に、医療分野でも、AIを活用した画像診断や低侵襲な治療法の登場により、従来の内視鏡の役割が変化する可能性がある。常に次世代技術へのアンテナを張り、研究開発投資を継続し、将来の技術パラダイムシフトに対応できる知財ポートフォリオを構築し続けることが求められる。

競争環境の激化も避けられない課題である。特に、半導体材料は経済安全保障上の戦略物資と見なされるようになり、米国、欧州、中国などが自国内でのサプライチェーン構築を国策として推進している。これにより、これまでHOYAAGCの寡占状態であった市場に、政府の強力な支援を受けた新たな競合企業が参入してくる可能性がある。これにより市場シェアが侵食され、価格競争が激化するリスクがある。

また、HOYAの強みである分散型の知財管理体制も、中期的には課題を露呈する可能性がある。各事業部門が個別に知財戦略を最適化するアプローチは、俊敏性に優れる一方で、全社的な視点でのポートフォリオ管理が難しくなる。ある事業部門で生まれた発明が、他の事業部門で応用できる可能性があるにもかかわらず、部門間の壁によってその機会が見過ごされる「サイロ化」のリスクである。全社の経営戦略と各事業部門の知財戦略との整合性をいかにして確保し、部門横断的なシナジーを創出するかは、今後の重要なガバナンス課題となる。

 

長期的な課題(7年以上)

 

長期的に見ると、HOYAの根幹である事業ポートフォリオ経営そのものが、知財戦略上の課題と結びついてくる。同社は今後も、M&Aや事業売却を通じてポートフォリオの最適化を続けていくと予想される⁸⁰。大規模な企業買収を行う際には、相手企業の膨大な知財ポートフォリオを精査し、自社の既存ポートフォリオと統合し、シナジーを最大化するという複雑なプロセス(Post-Merger Integration)が求められる。逆に、事業を売却する際には、どの知財を譲渡し、どの知財を手元に残すかという切り分けが、将来の事業展開に大きな影響を及ぼす。こうしたポートフォリオの再編を知財の観点から円滑かつ戦略的に実行できるかどうかが、長期的な企業価値を左右する。

地政学的リスクの増大も、グローバル企業であるHOYAにとって無視できない。米中対立の激化や各国の保護主義的な動きは、国際的なサプライチェーンを分断し、特定の国や地域での知財権の保護・行使を困難にする可能性がある。研究開発から製造、販売までをグローバルに最適配置しているHOYAのビジネスモデルは、こうした地政学的変動に対して脆弱性を抱えており、サプライチェーンの再編や知財の出願・権利行使戦略の見直しが必要となるかもしれない。

そして、最も根源的な長期的課題は、分散型組織の持つ「シナジー逸失」のリスクである。元幹部が指摘するように、HOYAは「小さな事業の集合体」であり、会社が一体となった際のシナジーを十分に創出してこなかった側面がある⁵⁸。これまでは各事業が個別に高い収益性を上げてきたため、それでも問題はなかった。しかし、今後の技術革新は、AI、材料科学、光学、生命科学といった異分野技術の融合によって生まれる可能性が高い。例えば、内視鏡事業で培った画像認識AI技術を、半導体ウェハの欠陥検査に応用するといった、部門の垣根を越えたイノベーションが競争力の源泉となる時代が来るかもしれない。各事業部門がそれぞれの最適化を追求する現在の体制では、こうした融合領域での新たな事業機会を捉え損なうリスクがある。俊敏性を損なうことなく、いかにして部門間の知の交流と融合を促すか。この組織的な課題の克服が、HOYAの次なる10年の成長を決定づける最も重要な鍵となるだろう。

 

当章の参考資料

 

  1. https://toyokeizai.net/articles/-/4758?display=b
  2. https://www.hoya.com/ir/2023/ja/capability/index.html
    https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100VW2P.pdf
    B5. https://www.fujikawa-pat.net/%E3%80%90%E7%9F%A5%E8%B2%A1%E6%83%85%E5%A0%B1%E3%80%91%E3%82%BD%E3%83%95%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2%E9%96%A2%E9%80%A3%E7%99%BA%E6%98%8E%E3%81%AE%E4%B8%BB%E8%A6%81%E3%81%AA%E5%88%A4%E4%BE%8B.html

 

今後の展望

 

HOYAの知的財産戦略の将来を展望する上で、同社が事業を展開する市場に影響を与えるマクロな動向と、それに対応するための技術開発の方向性を接続して考察することが不可欠である。HOYAは、21世紀の社会経済を牽引する二つの巨大な潮流、すなわち「AI革命とデータ社会の深化」および「世界的な高齢化と健康意識の高まり」のまさに交点に戦略的なポジションを築いており、この優位性を知財戦略によってさらに強固なものにしていくと見られる。

 

マクロトレンドとの接続

 

第一の潮流であるAI革命は、HOYAの情報・通信事業に強力な追い風をもたらしている。生成AIをはじめとするAI技術の爆発的な進化は、データセンターにおけるGPUなどの高性能半導体への需要を急増させている⁷¹。これらの最先端半導体の製造には、回路線幅2nm1.4nmといった極微細加工を可能にするEUVリソグラフィ技術が不可欠であり、その中核をなすのがHOYAEUVマスクブランクスである⁸⁴AIの進化が続く限り、より高性能な半導体が求められ、それに伴いマスクブランクスの需要も長期的に拡大し続けることが予想される。アナリストによる業績予想も、この成長期待を反映しており、HOYAの株価や目標株価は堅調に推移している⁶⁶, ⁶⁷。この分野におけるHOYAの知財戦略は、引き続き技術的要塞を維持・強化し、AIインフラという巨大な成長市場の果実を確実に取り込むことに主眼が置かれるだろう。

第二の潮流である世界的な高齢化と、それに伴うQOL向上へのニーズ拡大は、ライフケア事業の持続的な成長を約束するものである¹³。先進国を中心に高齢者人口が増加することで、白内障(眼内レンズの需要増)、加齢による視力低下(メガネレンズの需要増)、そして消化器系疾患の早期発見(医療用内視鏡の需要増)といった医療ニーズは構造的に増大し続ける。また、新興国においても経済発展に伴い、より質の高い医療や視力矯正へのアクセスが拡大していく。この安定した市場成長を背景に、HOYAはライフケア事業を長期的な成長エンジンと位置づけている¹³。ここでは、単に既存の需要に応えるだけでなく、より付加価値の高い製品やサービスを提供するための知財創出が求められる。

 

将来の研究開発と知財の焦点

 

これらのマクロトレンドを踏まえ、HOYAの今後の研究開発および知財戦略の焦点は、二つの事業セグメントでそれぞれ異なる方向に先鋭化していくと予測される。

情報・通信事業においては、半導体微細化の最先端を走り続けることが至上命題となる。現在のEUV技術の次に来る「High-NA EUV」露光に対応した新しいマスクブランクスの開発は、最優先課題である⁷¹。これには、基板材料のさらなる低熱膨張化、反射膜や吸収膜の材料・構造の最適化、そしてこれまで以上に厳格な欠陥管理技術が求められ、これらの領域で新たな特許網を構築することが不可欠となる。また、データセンター需要の拡大に伴い、大容量データを長期保存するためのHDDの役割も依然として重要である。HDDの記録密度をさらに向上させるための新しいガラス基板材料や表面加工技術の開発も、継続的な研究開発テーマとなるだろう⁷⁰。この事業分野の知財戦略は、ムーアの法則の延長線上で技術的限界に挑戦し、その成果を知財で独占的に保護することで、デジタル社会の進化を支え、その対価を得るというモデルを堅持していくものと考えられる。

一方、ライフケア事業では、「高付加価値化」と「ソリューション提供」がキーワードとなる。眼内レンズでは、単焦点レンズから、近距離・中間・遠距離のいずれにも焦点を合わせられる「三焦点眼内レンズ」のような、患者のQOLを劇的に改善する高機能製品へのシフトが進む⁷⁶。こうした製品の開発には、高度な光学設計技術や生体適合性の高い新素材が必要となり、これらが新たな知財の源泉となる。メガネレンズ分野では、子供の近視進行を抑制する特殊なレンズ「MiYOSMART」が中国市場で成功を収めているように⁷⁶、単なる視力矯正を超えた「健康ソリューション」としての価値を提供する製品開発が加速するだろう。医療用内視鏡分野では、高精細な画像技術に加え、AIを用いて病変の発見を支援する診断支援システムの開発が競争の焦点となる。ここでは、光学技術やメカトロニクス技術に関するハードウェアの特許だけでなく、画像解析アルゴリズムやソフトウェアに関する知財の重要性が増してくる。

結論として、HOYAの知財戦略は、今後さらにその二元性を強めていくと見られる。情報・通信事業では、AIインフラの進化という「知能の未来」を支える基盤技術の独占を目指し、ライフケア事業では、高齢化社会における「生活の質の未来」を向上させるソリューションの創出を目指す。この両輪が、互いに異なる市場サイクルを持ちながらも、それぞれの領域で知財を駆使して成長を続けることで、HOYAの事業ポートフォリオ経営はより強固なものとなり、持続的な企業価値の向上を実現していく可能性が高い。

 

当章の参考資料

 

  1. https://kitaishihon.s3.isk01.sakurastorage.jp/IrLibrary/7741_integrated_2024_6lqj.pdf
  2. https://minkabu.jp/stock/7741/analyst_consensus
  3. https://simplywall.st/ja/stocks/jp/healthcare/tse-7741/hoya-shares/news/ed7f10ad6a8ece25
  4. https://www.hoya.com/ir/2022/ja/review/it.html
  5. https://www.hoya.com/ir/2023/ja/review/it.html
  6. https://www.hoya.com/ir/2023/ja/review/lifecare.html
  7. https://note.com/ijnrdx/n/nae61ee6f4db2

 

戦略的示唆

 

本レポートの分析に基づき、HOYAが今後も持続的な成長を遂げ、企業価値を最大化していくために、経営、研究開発、そして事業開発・法務の各観点から、以下のアクション候補を戦略的示唆として提言する。

 

経営層への示唆

 

HOYAの経営層にとって最大の課題は、同社の強みである俊敏な分散型組織モデルを維持しつつ、長期的なリスクとして内在する「事業部門間のシナジー逸失」をいかに克服するかという点にある。この課題に対処するため、以下の二つの施策を検討することが有効と考えられる。

第一に、「技術シナジー創出機能」の設置である。これは、既存の事業部門のヒエラルキーから独立した、少数精鋭の専門チームを経営層直下に設置する構想である。このチームの役割は、各事業部門の技術開発動向を横断的に把握し、部門の垣根を越えて応用可能な技術シーズを発掘・評価することにある。例えば、内視鏡事業の画像処理AI技術を半導体事業の検査装置に応用する、あるいはメガネレンズのコーティング技術を他の光学製品に展開するなど、潜在的なシナジー案件を特定し、事業化に向けた初期段階のインキュベーションを主導する。これにより、各事業部門の自律性を尊重しながらも、全社的な視点での技術資源の最適活用を促進することが可能となる。

第二に、知財を軸としたM&A戦略の継続と深化である。情報・通信事業が生み出す潤沢なキャッシュ・フローを、成長領域であるライフケア事業における戦略的M&Aに重点的に再投資する方針は、ポートフォリオ経営の観点から極めて合理的である。今後は、単に市場シェアを拡大するだけでなく、AI診断、個別化医療、ウェアラブルデバイスといった、将来のヘルスケア市場を定義する可能性のある破壊的技術を持つスタートアップや中小企業を対象に、その独自IPを獲得することを目的としたM&Aを積極的に推進すべきである。これにより、HOYAは将来の成長の柱となる新たな事業の種を早期に確保することができる。

 

研究開発部門への示唆

 

研究開発部門は、各事業の競争環境に応じた、より戦略的な知財創出活動を展開することが求められる。

ライフケア事業の研究開発チームは、製品の物理的な機能や性能の改良に留まらず、ビジネスモデル全体を視野に入れた発明創出を意識すべきである。東海光学との訴訟で示されたように、顧客(医療機関や眼鏡店)のワークフローを改善するシステムや、患者の治療・管理プロセスを支援するデジタルソリューションなど、製品とサービスを組み合わせた「ビジネスプロセスの発明」は、模倣が困難で強力な競争優位を築くことができるᴮ⁵。ビジネス部門や営業部門と密接に連携し、顧客の潜在的な課題(ペインポイント)を深く理解し、それを解決するユニークな仕組みを知財として保護する活動を強化することが望まれる。

一方、情報・通信事業の研究開発チームは、顧客との「超密着型」の開発体制をさらに強化する必要がある。半導体製造の最先端では、デバイスメーカーと材料メーカーが一体となって次世代技術を開発する「共同開発」が不可欠となっている。主要顧客の研究開発部門に深く入り込み、彼らが直面する技術的課題を共有し、その解決策を共同で模索する中で生まれる発明こそが、最も価値の高い知財となる。自社の知財開発ロードマップが、常に顧客の技術ロードマップと完全に同期している状態を維持することが、この事業におけるリーダーシップを保つための絶対条件である。

 

事業開発・法務部門への示唆

 

事業開発および法務部門は、知財をよりプロアクティブな事業機会の創出ツールとして活用する役割を担うべきである。

M&Aにおけるデューデリジェンス(資産査定)では、対象企業の保有特許リストを評価するだけでなく、その企業の「知財文化」、すなわち発明を奨励する制度、ノウハウを管理するプロセスの質、そして知財に対する経営層の意識までを評価項目に加えるべきである。これにより、買収後のスムーズな組織統合と、期待される技術シナジーの確実な実現可能性を高めることができる。

また、法務・知財部門は、受動的な権利管理業務に留まらず、事業開発部門と連携して、体系的な「IPランドスケープ分析」を定期的に実施することが推奨される。これは、特許情報を解析して技術動向、競合の戦略、そして未開拓の技術領域(ホワイトスペース)を可視化する手法である。この分析を通じて、HOYAが持つ光学、材料科学、精密加工といったコア技術を応用可能な、新たな高収益市場の候補を特定し、新規事業開発やM&Aのターゲット選定に資する戦略的な情報を提供することができる。これにより、知財部門はコストセンターから、新たな事業機会を創出するプロフィットセンターへと変貌を遂げることが可能となる。

 

当章の参考資料

 

B5. https://www.fujikawa-pat.net/%E3%80%90%E7%9F%A5%E8%B2%A1%E6%83%85%E5%A0%B1%E3%80%91%E3%82%BD%E3%83%95%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2%E9%96%A2%E9%80%A3%E7%99%BA%E6%98%8E%E3%81%AE%E4%B8%BB%E8%A6%81%E3%81%AA%E5%88%A4%E4%BE%8B.html

 

総括

 

HOYAの知的財産戦略は、単一の固定的な計画ではなく、同社の経営哲学の根幹をなす「事業ポートフォリオ経営」と深く結びついた、ダイナミックかつ適応的なシステムである。本レポートの分析を通じて明らかになったのは、HOYAがその無形資産を、各事業が置かれた競争環境に応じて驚くほど巧みに使い分けているという事実である。

情報・通信事業のような圧倒的な支配力を持つB2B市場では、模倣困難なプロセス技術を知財で固め、参入障壁を極限まで高める「要塞戦略」を採る。一方で、ライフケア事業のような競争の激しい市場では、製品の差別化に留まらず、ビジネスモデル全体を保護するシステム特許を駆使し、市場のルールそのものを自社に有利な形に作り変えようとする「エコシステム支配戦略」を展開する。この戦略的な俊敏性と多面性こそが、HOYAの驚異的な高収益性と持続的な成長を支える、最も重要な競争優位性の源泉である。

意思決定者にとっての含意は明確である。HOYAの成功は、単なる優れた技術力だけでなく、その技術を知的財産という形で戦略的に活用し、事業価値に転換する卓越した経営能力に起因する。今後の課題は、この分散的で俊敏な知財戦略の強みを維持しながら、部門間の壁を越えた技術シナジーをいかに創出していくかにある。この課題を克服できた時、HOYAは次世代の融合技術領域においてもリーダーシップを発揮し、その企業価値をさらなる高みへと引き上げるであろう。

 

参考資料リスト(全体)

 

  1. https://www.hoya.com/company/profile/
  2. https://www.bizreach.jp/company/view/9435/
  3. https://www.eyecity.jp/company
  4. https://job.mynavi.jp/27/pc/search/corp221376/outline.html
  5. https://job.mynavi.jp/27/pc/search/corp486/outline.html
  6. https://metoree.com/companies/2436/
  7. https://minkabu.jp/stock/7741
  8. https://www.hoya.com/investor/
  9. https://quartr.com/companies/hoya-corporation_15194
  10. https://www.hoya.com/ir/2024/ja/index.html
  11. https://ccreb-gateway.jp/ir-storage-detail?id=1124736
  12. https://ir.huya.com/
  13. https://kitaishihon.s3.isk01.sakurastorage.jp/IrLibrary/7741_integrated_2024_6lqj.pdf
  14. https://www.hoya.com/investor/annual/
  15. https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100VW2P.pdf
  16. https://www.hoya.com/investor/yuho/
  17. https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100VW2P.pdf
  18. https://www.fujikawa-pat.net/%E3%80%90%E7%9F%A5%E8%B2%A1%E6%83%85%E5%A0%B1%E3%80%91%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2%E9%96%A2%E9%80%A3%E7%99%BA%E6%98%8E%E3%81%AE%E4%B8%BB%E8%A6%81%E3%81%AA%E5%88%A4%E4%BE%8B.html
  19. https://info.gbiz.go.jp/hojin/patent?hojinBango=7011101019599&Category=2
  20. https://current.ndl.go.jp/car/35628
  21. https://note.com/gorononlens/n/n9312bf58eb7d
  22. https://aztec.co.jp/news/columns/4676
  23. https://ipforce.jp/applicant-656
  24. https://www.fujikawa-pat.net/%E3%80%90%E7%9F%A5%E8%B2%A1%E6%83%85%E5%A0%B1%E3%80%91%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2%E9%96%A2%E9%80%A3%E7%99%BA%E6%98%8E%E3%81%AE%E4%B8%BB%E8%A6%81%E3%81%AA%E5%88%A4%E4%BE%8B.html
  25. https://www.jp.nikon.com/company/technology/ip/
  26. https://www.bizreach.jp/job-feed/public-advertising/9j0b7n9/
  27. https://job.axol.jp/qd/c/nikon/job/detail/dzEJLlxx9jaJG46Og
  28. https://hr.tokkyo-lab.com/interview/nikon-interview1
  29. https://www.agc.com/news/detail/1203818_2148.html
  30. https://ipforce.jp/patent-jp-P_A1-2024-156304
  31. https://www.agc.com/hub/pr/euv-forbes.html
  32. https://www.techno-producer.com/column/euv-photomask-reticle/
  33. https://www.setsubitoushi-journal.com/article/4283
  34. https://www.tokaiopt.co.jp/company/credentials/
  35. https://www.tokaiopt.info/saiyou/environment/education/
  36. https://www.jpo.go.jp/news/koho/tizai_koro/h29_tizai_kourou_siki.html
  37. https://www.tokaiopt.info/news/category/1/
  38. https://www.j-platpat.inpit.go.jp/cache/classify/patent/PMGS_HTML/jpp/IPC/ja/ipcSection/ipcSection.html
  39. https://www.jpo.go.jp/resources/statistics/document/gxti/gxti_jplatpat.pdf
  40. https://ndlsearch.ndl.go.jp/rnavi/stm/post_381
  41. https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
  42. https://www.j-platpat.inpit.go.jp/cache/classify/patent/PMGS_HTML/jpp/IPC/ja/ipcClass/ipcClassG.html
  43. https://www.j-platpat.inpit.go.jp/cache/classify/patent/PMGS_HTML/jpp/IPC/ja/ipcList/ipcListH01L31_00.html
  44. https://directscout.recruit.co.jp/job_descriptions/7414167
  45. https://next.rikunabi.com/viewjob/jkf9c421ee279cb5b9/
  46. https://patents.google.com/patent/US8865231B2/en
  47. https://abounaja.com/blog/google-patents-search-a-complete-guide-to-finding-and-reviewing-patents-online
  48. https://hoyacultivars.org/rubra/
  49. https://patents.google.com/patent/USPP3105P/en
  50. https://ipo.org/wp-content/uploads/2019/11/2019-10-Patent-Searching-Google-Patents.pdf
  51. https://patents.justia.com/assignee/hoya-lens-corporation
  52. https://www.fujikawa-pat.net/%E3%80%90%E7%9F%A5%E8%B2%A1%E6%83%85%E5%A0%B1%E3%80%91%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2%E9%96%A2%E9%80%A3%E7%99%BA%E6%98%8E%E3%81%AE%E4%B8%BB%E8%A6%81%E3%81%AA%E5%88%A4%E4%BE%8B.html
  53. https://www.noandt.com/publications/publication9188/
  54. https://www.taiyo-nk.co.jp/news/staff/news/20210118.html
  55. https://kitaishihon.com/company/7741/board-of-director
  56. https://www.hoya.com/sustainability/governance/director/
  57. https://kitaishihon.s3.isk01.sakurastorage.jp/IrLibrary/7741_integrated_2024_6lqj.pdf
  58. https://toyokeizai.net/articles/-/4758?display=b
  59. https://note.com/hots_pr/n/n7cca9bfa132c
  60. https://www.hoya.com/company/directors/
  61. https://ipforce.jp/patent-jp-P_B1-7617976
  62. https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
  63. https://www.hoya.com/business/
  64. https://www.hoya.com/company/technology/
  65. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000686.000007141.html
  66. https://minkabu.jp/stock/7741/analyst_consensus
  67. https://simplywall.st/ja/stocks/jp/healthcare/tse-7741/hoya-shares/news/ed7f10ad6a8ece25
  68. https://www.hoya.com/wp-content/uploads/2022/03/09.pdf
  69. https://note.com/kabuya66/n/n197ab1e2e2af
  70. https://www.hoya.com/ir/2022/ja/review/it.html
  71. https://www.hoya.com/ir/2023/ja/review/it.html
  72. https://www.sphericalinsights.com/jp/reports/semiconductor-photomask-market
  73. https://www.edb.gov.sg/ja/industries-case-studies/case-studies-library/hoya-electronics-singapore.html
  74. https://note.com/joyous_sayyou/n/nab42e43c551d
  75. https://shikiho.toyokeizai.net/news/0/728835
  76. https://www.hoya.com/ir/2023/ja/review/lifecare.html
  77. https://www.olympus.co.jp/ir/individual/pdf/ir_individual_2021_01.pdf
  78. https://www.hoya.com/ir/2022/ja/review/lifecare.html
  79. https://simplywall.st/ja/stocks/jp/healthcare/tse-7741/hoya-shares/news/ed7f10ad6a8ece25
  80. https://www.hoya.com/ir/2023/ja/capability/index.html
  81. https://www.gii.co.jp/report/qyr1793330-euv-mask-blanks-global-market-share-ranking.html
  82. https://www.businessresearchinsights.com/jp/market-reports/euv-mask-blanks-market-104950
  83. https://job.mynavi.jp/27/pc/search/corp486/outline.html
  84. https://note.com/ijnrdx/n/nae61ee6f4db2
    https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100VW2P.pdf
    B2. https://www.hoya.com/investor/
    B3. https://kitaishihon.s3.isk01.sakurastorage.jp/IrLibrary/7741_integrated_2024_6lqj.pdf
    B4. https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100VW2P.pdf
    B5. https://www.fujikawa-pat.net/%E3%80%90%E7%9F%A5%E8%B2%A1%E6%83%85%E5%A0%B1%E3%80%91%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2%E9%96%A2%E9%80%A3%E7%99%BA%E6%98%8E%E3%81%AE%E4%B8%BB%E8%A6%81%E3%81%AA%E5%88%A4%E4%BE%8B.html
    B6. https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
    B7. https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
    B8. https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
    B9. https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

PDF版のダウンロード

本レポートのPDF版をご用意しています。印刷や保存にご活用ください。

【本レポートについて】

本レポートは、公開情報をAI技術を活用して体系的に分析したものです。

情報の性質

  • 公開特許情報、企業発表等の公開データに基づく分析です
  • 2025年10月時点の情報に基づきます
  • 企業の非公開戦略や内部情報は含まれません
  • 分析の正確性を期していますが、完全性は保証いたしかねます

ご利用にあたって
本レポートは知財動向把握の参考資料としてご活用ください。 重要なビジネス判断の際は、最新の一次情報の確認および専門家へのご相談を推奨します。

→詳細なご相談はこちら

企業内発明塾バナー

最新レポート

5秒で登録完了!無料メール講座

ここでしか読めない発明塾のノウハウの一部や最新情報を、無料で週2〜3回配信しております。

・あの会社はどうして不況にも強いのか?
・今、注目すべき狙い目の技術情報
・アイデア・発明を、「スジの良い」企画に仕上げる方法
・急成長企業のビジネスモデルと知財戦略

無料購読へ
© TechnoProducer Corporation All right reserved