3行まとめ
4つのコア技術と知財三位一体体制で国内5,205件・海外3,954件の特許ポートフォリオを構築
古河電気工業は「メタル」「フォトニクス」「ポリマー」「高周波」の4つのコア技術を基盤に、事業・研究開発・知的財産を三位一体で統合したグローバル知財マネジメントを推進。IPランドスケーピングや独自フレームワーク「IP5C」を活用し、周辺監視レーダー「MMR2」やBlue-IR Hybrid Laser「BRACE」などの中核製品で強固な知財バリアを構築している。
FY2024に売上高1.2兆円・営業利益471億円を達成し、業績はV字回復
FY2020に営業利益率1.0%まで落ち込んだ業績は、FY2024に売上高1,201,762百万円、営業利益47,097百万円(営業利益率3.9%)へと劇的に改善。新規事業のD&R経費成長率も目標125%に対し実績133%を達成し、研究開発投資の拡大と収益回復を両立させている。
次世代4テーマへの重点投資と核融合・サーキュラーエコノミーで社会課題解決を加速
2025中期経営計画のもと、「ライフサイエンス」「レーザー応用」「グリーンLPG」「超電導」の4テーマを次世代重点領域に設定。英国Tokamak Energy社との核融合エネルギー共同研究や、100%リサイクルプラスチック製品「GREEN TROUGH」の欧州展開など、オープンイノベーションによる社会実装を推進し、CDP Aリスト企業にも選定されている。
この記事の内容
古河電気工業株式会社は、1884年の創業および1896年6月25日の設立以来、長きにわたり日本の産業基盤を支えてきた企業である。公式企業情報において、商号は古河電気工業株式会社であり、2025年3月末時点での資本金は69,395百万円と報告されている。従業員規模については、連結で51,167名、単体で4,433名を有し、グローバルに事業を展開している。同社グループは、「地球環境を守り」「安全・安心・快適な生活を実現する」という理念のもと、情報、エネルギー、モビリティが融合した社会基盤の創造を目指す「古河電工グループ ビジョン2030」を経営の羅針盤として掲げている。技術の根幹として「メタル」「フォトニクス」「ポリマー」「高周波」の4つの領域を定めており、これらの技術力を基盤とした事業活動を推進している。主要な事業ドメインは、「インフラストラクチャー」「テレコミュニケーション」「エナジー」「自動車部品・電池」「エレクトロニクス部品材料」「機能製品」の6分野に大別される。初代創業者である古河市兵衛の「従業員を大切にし、顧客を大切にし、新技術を大切にし、社会に貢献する」という哲学をDNAとして継承し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を通じたものづくり力の向上や組織変革を推進することで、未来のビジネス競争力を継続的に高める方針を公式レポート等の一次情報を通じて明らかにしている1。
同社の財務状況については、投資家向けに公表されたFACT BOOKにおいて複数年度にわたる詳細な実績が示されている。2025年5月13日公表のFACT BOOKによれば、FY2024(対象期間)の連結実績として、売上高は1,201,762百万円、営業利益は47,097百万円(売上高営業利益率3.9%)、経常利益は48,571百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は33,366百万円を記録し、前年度(FY2023)からの利益水準の大幅な回復と成長を実現した。さらに直近の業績として、2026年2月9日公表のFACT BOOKに記載されたFY2025第3四半期(対象期間)の単体実績では、売上高が338,229百万円、営業利益が15,909百万円(売上高営業利益率4.7%)、経常利益が20,385百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が22,577百万円となっており、堅調な推移を示している。事業セグメント別に見ると、研究開発活動に関連する「Service and Developments, etc.」セグメントでは、FY2024およびFY2025の各四半期を通じて売上高が8,000百万円から10,000百万円規模で推移する一方、営業利益は継続的にマイナス(投資先行)となっている。販売費及び一般管理費については、FY2025上半期実績で83,344百万円(うち一般管理費60,130百万円)が計上されており、事業拡大と開発投資に向けた資金投下が継続されていることがデータとして提示されている7。
古河電気工業の研究開発(R&D)活動は、「社会課題を解決するビジネスの創出」と「多様なステークホルダーとのパートナーシップ構築」を最重要課題として位置付けている。サステナビリティ指標として設定された「新規事業のD&R(Development & Research)経費成長率」については、FY2021を基準とした目標値125%に対し、FY2024の実績で133%を達成し、目標を上回る成長率を記録した。「2025中期経営計画」のもと、既存の4つのコア技術(メタル、ポリマー、フォトニクス、高周波)の深化に加え、次世代の重点開発領域として「ライフサイエンス」「レーザー応用」「グリーンLPG」「超電導」の4テーマを掲げている。技術開発体制の強化に向け、材料科学、シミュレーション、解析などの基盤技術を高度化し、ソフトウェア・デファインド・アプローチを採用することで、製造業における「ものづくり」と新たな価値提供である「ことづくり」の融合を図っている。公式技術論文誌「Furukawa Electric Review」を通じて、ホーリーコアファイバ(Hollow Core Fiber)の実用化研究、自動運転に向けたシリコンフォトニクスベースの車載光ネットワーク、次世代の洋上風力発電向けダイナミック電力ケーブルシステム、さらには農業分野を支える77GHz帯レーダー技術など、持続可能な開発目標(SDGs)に直結する広範な研究開発の成果を継続的に発表している6。
同社における知的財産戦略は、単なる法的保護にとどまらず、特許、ノウハウ、人的資産、顧客ネットワークを含む知的資産全体を事業成長と経営安定化のための重要なリソースと位置付けるものである。知的財産マネジメントの基本方針として、「IPランドスケーピングを活用した事業戦略立案の強化」「オープン&クローズ戦略を組み合わせた資産の最適活用」「事業・研究開発・知的財産を三位一体で統合したグローバルな推進」の3本柱を掲げている。価値創造のフレームワークとして、知的財産を用いて新たな事業機会の拡大や新製品の市場投入を支援する「チャンスの最大化(Chance Maximization)」と、既存市場における事業の防衛や安定化を図る「リスクの最小化(Risk Minimization)」を定義している。組織体制としては、開発本部長(CTO)を委員長とする「コーポレートIP推進委員会」が全社の知財方針を決定し、その進捗を四半期ごとに取締役会へ報告するガバナンス体制を敷いている。FY2023時点の保有実績として、国内知的財産権を5,205件、海外知的財産権を3,954件保有しており、「周辺監視レーダー(MMR2)」「Blue-IR Hybrid Laser BRACE」「Green Trough」などの中核製品において、独自に体系化された知財環境分析フレームワーク「IP5C」を適用し、事業競争力の源泉となる強固なポートフォリオを構築している5。
環境および社会課題への対応において、古河電気工業は「古河電工グループ ビジョン2030」のもと、持続可能な成長とESG経営を一体化させた取り組みを推進している。気候変動対応分野では、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示を継続し、新たにTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに沿った化学物質管理や生物多様性保全のイニシアチブを開始した。統合報告書2025において開示された温室効果ガス排出量の実績では、北米・中米地域の従業員数4,866名に対する排出量が57,000 t-CO2e、アジア(日本・中国除く)地域の従業員数11,165名に対する排出量が131,000 t-CO2e、日本国内のグループ会社における従業員数3,357名に対する排出量が28,000 t-CO2eと定量的に把握・管理されている。具体的な製品・技術レベルでの環境貢献として、100%リサイクルプラスチックを使用した「GREEN TROUGH」の欧州での現地生産開始や、植物由来のセルロース繊維強化樹脂「CELRe」の開発などが報告されている。さらに、Tokamak Energy社との協業による核融合エネルギーの実現に向けた研究や、東京大学での産学連携を通じた次世代技術の創出など、オープンイノベーションを通じた社会課題解決を推進し、その結果として2025年12月には気候変動および水セキュリティ分野でCDP Aリスト企業に選定される実績を残している6。
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発行体(会社名) |
許可ドメイン |
根拠URL |
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古河電気工業株式会社 |
furukawaelectric.com |
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古河電気工業株式会社 |
furukawaelectric.disclosure.site |
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古河電気工業株式会社 |
furukawa.co.jp |
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発行体(会社名) |
ドメイン |
文書名 |
発行日/公表日 |
種別 |
URL |
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古河電気工業株式会社 |
furukawaelectric.com |
企業情報 |
今回の調査では未確認 |
公式企業情報 |
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古河電気工業株式会社 |
furukawaelectric.com |
会社概要 |
今回の調査では未確認 |
公式企業情報 |
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古河電気工業株式会社 |
furukawaelectric.com |
IR Information |
今回の調査では未確認 |
公式IRトップ |
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古河電気工業株式会社 |
furukawaelectric.com |
IR Library |
今回の調査では未確認 |
公式IRライブラリ |
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古河電気工業株式会社 |
furukawaelectric.com |
Individual Investors |
今回の調査では未確認 |
公式IR情報 |
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古河電気工業株式会社 |
furukawaelectric.disclosure.site |
Furukawa Electric Group Integrated Report 2022 |
2022年 |
統合報告書 |
https://furukawaelectric.disclosure.site/pdf/library/175/en/FurukawaReport2022_en_A4.pdf 15 |
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古河電気工業株式会社 |
furukawaelectric.com |
2025年3月期 第3四半期決算短信 |
2025年2月12日 |
決算短信 |
https://www.furukawaelectric.com/ir/library/finalreport/pdf/2025/20250212.pdf 18 |
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古河電気工業株式会社 |
furukawaelectric.com |
各種レポート一覧 |
今回の調査では未確認 |
公式IR情報 |
https://www.furukawaelectric.com/ir/library/annual/2025.html 19 |
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古河電気工業株式会社 |
furukawaelectric.com |
FACT BOOK 20251110 |
2025年11月10日 |
決算補足資料 |
https://www.furukawaelectric.com/en/ir/library/finalreport/pdf/2026/factbook_20251110.pdf 7 |
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古河電気工業株式会社 |
furukawaelectric.com |
FACT BOOK 20260209 |
2026年2月9日 |
決算補足資料 |
https://www.furukawaelectric.com/en/ir/library/finalreport/pdf/2026/factbook_20260209.pdf 8 |
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古河電気工業株式会社 |
furukawaelectric.com |
FACT BOOK 20250807 |
2025年8月7日 |
決算補足資料 |
https://www.furukawaelectric.com/en/ir/library/finalreport/pdf/2026/factbook_20250807.pdf 20 |
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古河電気工業株式会社 |
furukawaelectric.com |
FACT BOOK 20250513 |
2025年5月13日 |
決算補足資料 |
https://www.furukawaelectric.com/en/ir/library/finalreport/pdf/2025/factbook_20250513.pdf 9 |
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古河電気工業株式会社 |
furukawaelectric.com |
FACT BOOK 20240806 |
2024年8月6日 |
決算補足資料 |
https://www.furukawaelectric.com/en/ir/library/finalreport/pdf/2025/factbook_20240806.pdf 21 |
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古河電気工業株式会社 |
furukawaelectric.disclosure.site |
Furukawa Electric Group Integrated Report 2025 (P31) |
2025年 |
統合報告書 |
https://furukawaelectric.disclosure.site/pdf/library/175/en/2025en.pdf 14 |
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古河電気工業株式会社 |
furukawaelectric.com |
Intellectual Property Report 2022 |
2023年7月 |
知的財産報告書 |
https://www.furukawaelectric.com/en/rd/ip-report/pdf/ip-report_2022.pdf 5 |
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古河電気工業株式会社 |
furukawaelectric.disclosure.site |
Furukawa Electric Group Integrated Report 2025 |
2025年 |
統合報告書 |
https://furukawaelectric.disclosure.site/pdf/library/175/en/FurukawaReport2025_en.pdf 6 |
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古河電気工業株式会社 |
furukawaelectric.com |
Intellectual Property Report 2024 |
2024年 |
知的財産報告書 |
https://www.furukawaelectric.com/en/rd/ip-report/pdf/ip-report_2024.pdf 13 |
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古河電気工業株式会社 |
furukawaelectric.com |
2025年3月期 決算短信 |
2025年5月13日 |
決算短信 |
https://www.furukawaelectric.com/ir/library/finalreport/pdf/2025/20250513.pdf 12 |
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資料種別 |
公表日 |
対象期間 |
FY |
根拠URL |
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決算短信(日本基準)(連結) |
2026年2月9日 |
第3四半期累計期間 |
FY2025(2026年3月期) |
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決算プレゼンテーション資料 |
2026年2月9日 |
第3四半期累計期間 |
FY2025(2026年3月期) |
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機関投資家・アナリスト向けテレフォンコンファレンス 音声・テキスト・質疑応答要旨 |
2026年2月9日 |
第3四半期累計期間 |
FY2025(2026年3月期) |
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FACT BOOK |
2026年2月9日 |
第3四半期累計期間 |
FY2025(2026年3月期) |
https://www.furukawaelectric.com/en/ir/library/finalreport/pdf/2026/factbook_20260209.pdf 8 |
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第204期 半期報告書 |
今回の調査では未確認 |
自2025年4月1日 至2025年9月30日 |
FY2025(2026年3月期) |
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対象期間 |
金額 |
単位 |
出典資料名 |
掲載場所(項目名) |
根拠URL |
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有報(直近FY)・半期/四半期報告書(直近)・決算短信(直近)・統合報告書(直近版)・公式IR/公式ニュース(直近24ヶ月)を確認した範囲では、当該情報を一次情報として特定できない(調査範囲内では確認できず)。 |
今回の調査では未確認(PDF図表で該当箇所を特定できず) |
今回の調査では未確認(PDF図表で該当箇所を特定できず) |
FACT BOOK Financial results for first half of the fiscal year 2025 ending March 31, 2026 |
Research and development expenses |
https://www.furukawaelectric.com/en/ir/library/finalreport/pdf/2026/factbook_20251110.pdf 7 |
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有報(直近FY)・半期/四半期報告書(直近)・決算短信(直近)・統合報告書(直近版)・公式IR/公式ニュース(直近24ヶ月)を確認した範囲では、当該情報を一次情報として特定できない(調査範囲内では確認できず)。 |
今回の調査では未確認(PDF図表で該当箇所を特定できず) |
今回の調査では未確認(PDF図表で該当箇所を特定できず) |
FACT BOOK Financial results for the fiscal year 2024 ended March 31, 2025 |
Research and development expenses |
https://www.furukawaelectric.com/en/ir/library/finalreport/pdf/2025/factbook_20250513.pdf 8 |
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特許番号 |
発明名称(一次情報表記) |
出願人・権利者 |
根拠(公的DB URL) |
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今回の調査では未確認 |
Peripheral Monitoring Radar (MMR2) |
今回の調査では未確認 |
今回の調査では未確認 13 |
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今回の調査では未確認 |
Blue-IR Hybrid Laser BRACE™ |
今回の調査では未確認 |
今回の調査では未確認 13 |
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今回の調査では未確認 |
Green Trough™ |
今回の調査では未確認 |
今回の調査では未確認 13 |
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今回の調査では未確認 |
Optical Fiber Cables |
今回の調査では未確認 |
今回の調査では未確認 13 |
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今回の調査では未確認 |
Cu-Based Resistance Alloy EFCR Series |
今回の調査では未確認 |
今回の調査では未確認 11 |
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今回の調査では未確認 |
4000-Fiber Rollable Ribbon Cable With High Tensile Strength |
今回の調査では未確認 |
今回の調査では未確認 11 |
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今回の調査では未確認 |
High Performance REBCO-HM Wire |
今回の調査では未確認 |
今回の調査では未確認 11 |
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今回の調査では未確認 |
Self-bonding NbTi Wires for Superconducting Coils |
今回の調査では未確認 |
今回の調査では未確認 11 |
古河電気工業株式会社は、1884年の創業および1896年6月25日の設立から続く歴史を有し、日本の産業発展とともに成長を遂げてきた企業である。公式に開示されている会社概要によれば、商号は古河電気工業株式会社であり、2025年3月末時点での資本金は69,395百万円、従業員規模は連結で51,167名、単体で4,433名に達している。この従業員基盤は世界各地の生産拠点や開発拠点に配置されており、広範なグローバルネットワークを構築している2。同社の企業活動の根幹には、古河グループの創業者である古河市兵衛が残した「従業員を大切にし、顧客を大切にし、新技術を大切にし、社会に貢献する」という哲学がDNAとして息づいており、現代の経営環境においてもこの理念が継承されている1。
事業展開の方向性を示す羅針盤として、同社は「古河電工グループ ビジョン2030」を策定し、「地球環境を守り」「安全・安心・快適な生活を実現する」ために、情報、エネルギー、モビリティが融合した次世代の社会基盤を創造することを目指す。このビジョンを実現するための技術的支柱として、「メタル」「フォトニクス」「ポリマー」「高周波」の4領域をコア技術として特定しており、これらを横断的に組み合わせることで競争優位性を構築している1。事業活動は、主に「インフラストラクチャー」「テレコミュニケーション」「エナジー」「自動車部品・電池」「エレクトロニクス部品材料」「機能製品」の6つのセグメントに分類されており、それぞれの事業ドメインにおいて多様な製品やソリューションをグローバル市場へ提供している3。さらに、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を経営課題に掲げ、デジタル技術の活用によるものづくり力の飛躍的な向上、テクノロジーの革新、および組織の変革を推し進めることで、未来におけるビジネス競争力の強化を継続的に図る方針を示している1。
古河電気工業の財務および業績の推移については、公式IRライブラリにおいて開示されているFACT BOOKによって詳細な数値データが提供されている。複数年度にわたるマクロな業績推移を確認するため、2025年5月13日に公表されたFACT BOOK(Financial results for the fiscal year 2024 ended March 31, 2025)のP/L Summaryを参照する。
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対象期間(FY) |
売上高(百万円) |
営業利益(百万円) |
売上高営業利益率(%) |
経常利益(百万円) |
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) |
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FY2018 実績 |
991,590 |
40,842 |
4.1 |
39,078 |
29,108 |
|
FY2019 実績 |
914,439 |
23,565 |
2.6 |
22,771 |
17,639 |
|
FY2020 (Restated) 実績 |
811,600 |
8,429 |
1.0 |
5,189 |
10,001 |
|
FY2021 (Restated) 実績 |
930,496 |
11,428 |
1.2 |
19,666 |
10,093 |
|
FY2022 (Restated) 実績 |
1,066,326 |
15,441 |
1.4 |
17,258 |
15,894 |
|
FY2023 (Restated) 実績 |
1,056,528 |
11,171 |
1.1 |
10,267 |
6,508 |
|
FY2024 実績 |
1,201,762 |
47,097 |
3.9 |
48,571 |
33,366 |
上記データの通り、FY2018の実績では売上高991,590百万円、営業利益40,842百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が29,108百万円と高い利益水準を記録していたが、FY2019以降は外部環境の変化等に伴い、売上高および利益水準の一時的な低下が見られた。FY2020(Restated)実績では売上高が811,600百万円、営業利益が8,429百万円(売上高営業利益率1.0%)まで落ち込んだものの、その後のFY2021(Restated)実績では売上高930,496百万円、営業利益11,428百万円へと回復基調に転じた。FY2022(Restated)実績では売上高が1,066,326百万円と1兆円の大台を突破し、営業利益は15,441百万円を確保した。続くFY2023(Restated)実績は売上高1,056,528百万円、営業利益11,171百万円と概ね横ばいの推移となったが、最新の通期実績であるFY2024実績においては、売上高が1,201,762百万円へと急拡大し、営業利益は47,097百万円(売上高営業利益率3.9%)、経常利益は48,571百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は33,366百万円へと劇的な改善を達成したことが報告されている9。
さらに、四半期ごとの詳細な業績推移について、2026年2月9日公表のFACT BOOK(Financial results for first nine months of the fiscal year 2025 ending March 31, 2026)のP/L Summaryから分析する。
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対象期間(四半期) |
売上高(百万円) |
営業利益(百万円) |
売上高営業利益率(%) |
経常利益(百万円) |
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) |
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FY2024 Q1 (Restated) 実績 |
273,561 |
3,522 |
1.3 |
7,051 |
4,676 |
|
FY2024 Q2 (Restated) 実績 |
296,805 |
14,023 |
4.7 |
11,938 |
6,518 |
|
FY2024 Q3 (Restated) 実績 |
311,648 |
13,854 |
4.4 |
17,134 |
5,165 |
|
FY2024 Q4 (Restated) 実績 |
319,747 |
15,632 |
4.9 |
12,382 |
16,996 |
|
FY2025 Q1 実績 |
293,715 |
8,381 |
2.9 |
7,708 |
5,147 |
|
FY2025 Q2 実績 |
316,943 |
10,846 |
3.4 |
12,663 |
7,780 |
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FY2025 Q3 実績 |
338,229 |
15,909 |
4.7 |
20,385 |
22,577 |
FY2024(Restated)の各四半期実績を見ると、第1四半期の売上高273,561百万円、営業利益3,522百万円(売上高営業利益率1.3%)を起点として、第2四半期には売上高296,805百万円、営業利益14,023百万円(同4.7%)へと急速に収益性が向上している。第3四半期実績は売上高311,648百万円、営業利益13,854百万円(同4.4%)、第4四半期実績は売上高319,747百万円、営業利益15,632百万円(同4.9%)と安定した高水準を維持した。続くFY2025の実績においてもこの成長軌道は継続しており、第1四半期実績で売上高293,715百万円、営業利益8,381百万円(売上高営業利益率2.9%)を計上したのち、第2四半期実績では売上高316,943百万円、営業利益10,846百万円(同3.4%)、そして第3四半期実績では四半期単体で売上高338,229百万円、営業利益15,909百万円(同4.7%)、経常利益20,385百万円、親会社株主に帰属する当期純利益22,577百万円という極めて高い業績を記録している8。
これらの数値の背景にある原価および費用構造について、2025年11月10日公表のFACT BOOK(Financial results for first half of the fiscal year 2025 ending March 31, 2026)によれば、FY2024上半期(対象期間)の実績において売上高570,366百万円に対し、売上原価は477,575百万円、売上総利益は92,790百万円であった。この期間の販売費及び一般管理費は75,245百万円であり、その内訳は販売費21,948百万円、一般管理費53,296百万円であった。一方、FY2025上半期(対象期間)の実績においては、売上高610,658百万円に対し、売上原価が507,957百万円、売上総利益が102,701百万円へと拡大した。これに伴い、販売費及び一般管理費も83,344百万円(うち販売費23,213百万円、一般管理費60,130百万円)へと増加しており、事業拡大に連動した費用投下が行われていることが確認できる。また、営業外収益の項目では、FY2024上半期実績の受取利息が644百万円、受取配当金が1,553百万円、持分法による投資利益が6,177百万円であったのに対し、FY2025上半期実績では受取利息が505百万円、受取配当金が1,884百万円、持分法による投資利益が5,060百万円として計上されている7。
事業セグメントの観点からは、研究開発の先行投資的側面を持つ「Service and Developments, etc.」セグメントの実績がFACT BOOKにて別途開示されている。FY2024の同セグメントの売上高実績は、第1四半期が8,179百万円、第2四半期が8,307百万円、第3四半期が9,708百万円、第4四半期が8,631百万円であった。これに対する営業利益実績は、第1四半期が-1,230百万円、第2四半期が-1,202百万円、第3四半期が-1,352百万円、第4四半期が-1,574百万円であり、継続的な投資損失が計上されている。続くFY2025における同セグメントの売上高実績は、第1四半期が9,709百万円、第2四半期が10,142百万円、第3四半期が10,563百万円と着実な増加傾向を示しているものの、営業利益実績は第1四半期が-2,069百万円、第2四半期が-1,671百万円、第3四半期が-1,300百万円と引き続きマイナス基調にあり、将来に向けた基盤整備への資源投下がセグメントの収益構造に反映されている8。なお、独立した全社的な「研究開発費」の厳密な集計数値について、有報(直近FY)・半期/四半期報告書(直近)・決算短信(直近)・統合報告書(直近版)・公式IR/公式ニュース(直近24ヶ月)を確認した範囲では、当該情報を一次情報として特定できない(調査範囲内では確認できず)。開示されたFACT BOOKにおけるP/L項目の該当箇所においても、研究開発費の独立した記載枠は確認されなかった(今回の調査では未確認(PDF図表で該当箇所を特定できず))7。
古河電気工業の研究開発(R&D)戦略は、「社会課題を解決するビジネスの創出」と「多様なステークホルダーとのパートナーシップ構築」という2つの主要命題を軸に展開されている。同社は、研究開発の投資対効果を測定するサステナビリティ指標として、「新規事業のD&R(Development & Research)経費成長率」を設定している。この指標はFY2021を基準とした目標値125%として掲げられていたが、FY2024の実績において133%に到達し、計画を上回るペースで新規領域への投資が拡大していることが示された6。同社の研究開発の土台となるのは、「メタル」「ポリマー」「フォトニクス」「高周波」の4つのコア技術であり、これらの基礎技術を相互に交差させることで新たなソリューションを生み出している。「2025中期経営計画」においては、これらコア技術の深化に加えて、次世代を担う重点開発領域として「ライフサイエンス」「レーザー応用」「グリーンLPG」「超電導」の4テーマが選定されている6。これら高度な技術開発を下支えするため、材料科学、シミュレーション、解析といった基盤技術の強化を推進するとともに、製造業の伝統的な「ものづくり」に新たな付加価値を創出する「ことづくり」を融合させるための「ソフトウェア・デファインド・アプローチ」を研究開発プロセスに組み込んでいる6。さらに、自社の経営資源のみに依存しないオープンイノベーションを志向し、産官学連携を積極的に推進することで、複雑化する社会課題に対する解を導き出している。資源循環という世界的課題に対しては、2025年4月に「Center Design Circular Economy(CDC)」を新設し、サーキュラーエコノミーに関する事業活動および技術開発を加速させる専門体制を構築した6。
個別事業分野における具体的な開発イニシアチブについては、決算短信等の一次情報において詳細が言及されている。データセンターおよびAI市場の急成長に対応するため、同社は高機能放熱・冷却製品の開発および供給体制の強化に注力し、競合他社との技術的差別化を図ることで収益基盤の拡大を目指している12。社会インフラ分野では、労働力不足や環境規制の強化といった課題に対処するため、インフラ構造物の維持管理を目的としたデジタルソリューションの開発や、化学薬品を一切使用せずにレーザー照射のみで錆や古い塗膜を除去する「レーザ施工システム(InfraLaserなど)」の実用化を進めている12。また、フォトニクス技術の展開においては、伝統的な通信分野の枠を超え、医療機器や産業用レーザー機器向けの特殊光ファイバおよび関連コンポーネントの開発を強化し、非通信分野における新たな事業の柱を育成している12。
これらの研究開発活動から生み出された具体的な技術成果は、同社が発行する公式技術論文誌「Furukawa Electric Review」において体系的に発表されている。2025年4月に発行された同誌の第56号(ISSN 1348-1797)では、持続可能な開発目標(SDGs)と直結する多数の先端研究が公開された。通信分野のイノベーションとして、「Studies for Practical Applications of the Hollow Core Fiber(ホーリーコアファイバの実用化研究)」や、「An Ultra-Compact VCSEL-based Transceiver for Co-Packaged Optics and Testing Station Employing a High-Density Electrically Pluggable Interface(高密度プラグ可能インターフェースを用いたCPO向け超小型VCSELベーストランシーバ)」、「Narrow Spectral Linewidth Integrable Tunable Laser Assemblies for Digital Coherent Optical Communications(デジタルコヒーレント光通信向け狭線幅集積型波長可変レーザーアセンブリ)」に関する研究成果が発表された11。また、エネルギーおよびインフラ分野においては、脱炭素社会の実現に向けた「Initiatives of the Power Cable Division Toward Carbon Neutrality by 2050 – Development of Dynamic Power Cable Systems for TLP Floating Offshore Wind Power Generations and Deepwater Submarine Cables –(2050年カーボンニュートラルに向けた電力ケーブル部門の取り組み:TLP浮体式洋上風力発電および深海ケーブル向けダイナミック電力ケーブルシステムの開発)」や、新燃料の社会実装に向けた「Initiatives for Social Implementation of Green LP Gas(グリーンLPGの社会実装に向けた取り組み)」が論じられている11。さらに、自動車および新産業分野向けとして、「Demonstration of Highly Reliable Si-Photonics-Based In-Vehicle Optical Network (SiPhON) for Autonomous Driving(自動運転向け高信頼性Siフォトニクスベース車載光ネットワークの実証)」や、「77 GHz Band Radar Technology Supporting the Future of Japanese Agriculture(日本の農業の未来を支える77GHz帯レーダー技術)」といった先進技術が紹介された。新製品のリリース情報としても、「Cu-Based Resistance Alloy EFCR Series Lineup Expansion(銅系抵抗合金EFCRシリーズのラインナップ拡充)」や「4000-Fiber Rollable Ribbon Cable With High Tensile Strength for Long Distance Installation(長距離布設向け高張力4000心細径高密度型リボンケーブル)」が掲載されている11。
これに先立つ2024年3月発行の第55号においても、革新的な研究成果が多数報告されている。超電導およびエネルギー材料関連では、「Development of Cu-Nb Reinforced Nb3Sn Wires(Cu-Nb補強Nb3Sn線材の開発)」や「Development of Elemental Technology for Superconducting Motor(超電導モーター要素技術の開発)」が発表された11。インフラ保全技術としては前述の「Development of the “InfraLaser” System and the Laser Blasting Method for the Structure Repair of Infrastructures」が掲載され、光通信技術としては「Development of an External Laser Source for Co-Packaged Optics」が紹介された。同号の新製品情報には、「High Performance REBCO-HM Wire(高性能REBCO-HM線材)」「Self-bonding NbTi Wires for Superconducting Coils(超電導コイル用自己融着NbTi線材)」「High Conductive and High Strength Copper Alloy Wire FWUHD-XT for Smart Devices(スマートデバイス用高導電・高強度銅合金線FWUHD-XT)」「High Voltage Junction Boxes for Isuzu ELF EV(いすゞELF EV向け高電圧ジャンクションボックス)」などが含まれており、同社のR&D活動が基礎研究から製品化までシームレスに機能していることが確認できる11。
古河電気工業における知的財産戦略は、単に特許を出願・維持する防衛的な機能にとどまらず、知的資産そのものを事業戦略の中核に据える「攻めの姿勢」へと転換を遂げている。同社は特許、技術ノウハウ、人的資産、および顧客ネットワークを包含する広義の「知的資産」を、中長期的な企業成長と事業基盤の安定化を図るための不可欠な経営リソースとして位置付けている5。この思想のもと、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーといった現代の複雑な社会課題の解決において、知的資産が果たす役割を従来以上に重視する方針を鮮明にしている5。
知的財産マネジメントを具体化するための実行フレームワークとして、同社は3つの基本方針を策定している。第一の柱は「IPランドスケーピングを活用した事業戦略立案の強化」である。社内に蓄積された知財データと社外の技術・特許情報を統合的に分析し、マクロな競争環境や技術トレンドを俯瞰することで、新規事業モデルの構築や研究開発リソースの最適な配分決定に役立てている。第二の柱は「オープン&クローズ戦略」の徹底である。自社の競争優位性の源泉となるコア技術については厳重な情報管理のもとで秘匿化(クローズ)する一方で、外部との協創や市場拡大が求められる領域においては積極的に技術を公開・ライセンス化(オープン)し、知的資産の価値を最大化する戦略を採用している。第三の柱は「グローバルな推進体制の構築」であり、事業部門、研究開発部門、知的財産部門が三位一体となり、国境を越えた事業活動を支えるグローバルな知財ネットワークを展開している6。
これらの活動が目指す価値創造のベクトルは、「チャンスの最大化(Chance Maximization)」と「リスクの最小化(Risk Minimization)」という2つの視点に集約される。前者は、自社の特許や技術ノウハウを梃子にして新たな市場を開拓し、新製品の事業化プロセスを加速させる攻めのアプローチを指す。後者は、既存の主力市場において競合他社の特許リスクを回避し、自社製品の模倣を防ぐことで事業基盤を強固に防衛する守りのアプローチである5。このような全社的な知的財産活動を統括するガバナンス組織として、開発本部長(CTO)を委員長とする「コーポレートIP推進委員会」が設置されている。同委員会が全社の知的財産に関する基本方針や戦略を決定し、その方針に基づいて各事業部門および研究部門に配置された知財マネージャーが具体的な出願や権利化のプロセスを実行する。活動の成果や課題などの進捗状況は、四半期ごとに取締役会に対して直接報告される体制が敷かれており、経営レベルでの迅速な意思決定を可能にしている6。
同社の知的財産権の保有状況について、公式に発表された「知的財産報告書2024」によれば、FY2023の期末時点において古河電気工業は国内で5,205件、海外で3,954件の知的財産権を保有・管理している。これらの膨大な特許群は、主に「光ファイバ・ケーブル製品」「電力ケーブル」「自動車部品」「AT・機能プラスチック」の4つの事業部門において運用されている13。戦略的な知財ポートフォリオが構築された具体的な成功事例として、自動車部品部門における「周辺監視レーダー(Peripheral Monitoring Radar)」の開発プロセスが報告されている。同分野においては、2015年以降に4から5つの特定技術領域において集中的な特許群の形成が行われ、この知財バリアが第2世代の周辺監視レーダー「MMR2」の開発と事業化を強力に後押しした13。また、クローズ戦略(情報秘匿)による強み構築の代表例として「Blue-IR Hybrid Laser BRACE™」の技術管理手法が取り上げられているほか、独自の知財環境分析フレームワークである「IP5C」を駆使して競合環境を分析し、最適な事業戦略を立案した事例として樹脂製品「Green Trough™」が言及されている。光ファイバケーブル事業においても、関連する権利をグループ全体の知財ポートフォリオの一部として統合管理している旨が示されている13。なお、これらの技術や製品に関連する具体的な特許番号や特許の出願人・権利者名について、公的データベースを通じて特定するための詳細情報は、一次情報を確認した範囲では特定できない(今回の調査では未確認)13。
古河電気工業は、変化の激しい市場環境において競争優位性を確保するため、「中期経営計画2022-2025」の指針に基づき、機動的な事業再編と外部アライアンスの強化を推進している。同社は既存事業における収益の最大化を基本方針とし、とりわけ通信ソリューション事業における光ファイバ・ケーブルおよび光部品の収益性改善を最優先課題として設定した14。この方針を具現化するマイルストーンとして、2025年4月には光ファイバ・ケーブル事業の抜本的な組織再編を実行に移している。この再編は、データセンター市場の拡大に伴う光通信インフラへの旺盛な需要を確実に取り込むための体制構築であり、結果として通信ソリューション事業の収益性が明確な改善傾向を示していることが統合報告書を通じて報告された。現在の経営課題は、この改善基調を一時的なものにとどめず、FY2026以降に向けた中長期的な成長軌道として定着させることにある14。
さらに、高成長が見込まれる通信デバイス市場において圧倒的な優位性を確立するため、同社は戦略的なM&Aによる外部リソースの獲得を実施している。具体的な事例として、富士通株式会社との間で、光コネクタや高速光変調器の領域において高い開発能力とコスト競争力を有する富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社に関する株式譲渡契約を締結した。一次情報に基づくタイムラインとして、この全株式取得に関する合意は2024年12月12日に行われ、事業統合の完了日(クロージング)は2025年4月1日として実施された12。また、自社の事業リソースの最適化を図る一環として、2024年10月1日にはMFOPTEX株式会社を連結子会社化し、さらに2025年3月6日には岡野電線株式会社を完全子会社化することに合意した旨が公式ニュースリリースを通じて発表されている24。
オープンイノベーションを通じた次世代技術のアライアンスも加速している。特に注目されるのは、次世代の究極のクリーンエネルギーとして期待される核融合エネルギーの実用化に向けた取り組みである。古河電気工業は、英国のTokamak Energy社との間でパートナーシップを締結し、自社の高度な超電導技術を核融合炉の磁場閉じ込めシステムに応用するための共同研究を推進している。これと並行して、東京大学が主導する企業スポンサー付きの産学連携プログラムに参画し、民間主導による核融合イノベーションの最前線で技術開発を推進している8社のうちの1社として名を連ねている6。さらに、破壊的イノベーションの芽を早期に発掘し、スタートアップ企業との共創を通じて自社の新規事業創出プロセスを加速させることを目的として、米国のベンチャーキャピタルファンドに対する戦略的な投資を実行したことが報告されている6。
古河電気工業におけるサステナビリティの実践は、単なる社会的責任の遂行を超え、ESG経営を通じた企業価値の源泉として位置付けられている。同社は「Purpose」および「Vision 2030」の枠組みの中で、環境課題に対する明確な方針と中長期的な目標を定めている。気候変動への対応としては、早期からTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同し、これに基づく情報開示を継続的に実施している。近年では対象領域をさらに拡張し、化学物質の適正管理や生物多様性の保全に関して、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに準拠したイニシアチブを開始した。資源循環の領域においては、生産プロセスにおける廃棄物の削減、原材料の有効利用、および水資源の効率的な管理を全社横断的な課題として取り組んでいる6。
事業活動に伴う環境負荷の定量的な把握について、統合報告書2025においてグローバル規模での温室効果ガス排出量の詳細な実績データが開示されている。これらのデータは古河電気工業株式会社単体のみならず、国内外のグループ会社全体を包含したものである。地域別の集計結果によれば、日本国内のグループ会社43社における従業員数3,357名に対する温室効果ガス排出量は28,000 t-CO2eであった。北米・中米地域のグループ会社20社における従業員数4,866名に対する排出量は57,000 t-CO2eであり、アジア地域(日本および中国を除く)のグループ会社12社における従業員数11,165名に対する排出量は131,000 t-CO2eとして報告されている6。
製品ライフサイクル全体を通じた環境貢献の取り組みも各セグメントで進展している。エナジー・インフラセグメントにおいては、資源循環の象徴的な製品として、100%リサイクルプラスチックを原料としたトラフ製品「GREEN TROUGH」の生産を欧州地域で開始し、高度なマテリアルリサイクル技術の海外展開を実現させた6。テレコミュニケーションセグメントでは、データ通信時の消費電力を劇的に削減する可能性を秘めた次世代技術「ホーリーコアファイバ(Hollow Core Fiber)」のグローバルな開発を推し進めると同時に、Nokia社との技術協業を通じて、日本国内における超高速・低消費電力な次世代ブロードバンドアクセスおよび光LANネットワークの構築を加速させている6。エレクトロニクスセグメントにおいては、電子機器の高機能化と省電力化に寄与する次世代半導体パッケージの開発を目的として、コンソーシアム「JOINT3」に参画している6。さらに、素材技術の革新として、植物由来のセルロース繊維を強化材に用いた環境配慮型樹脂「CELRe」の開発に成功し、従来の石油由来プラスチックの代替素材としての実用化に向けた研究を進めている11。これらの包括的かつ透明性の高い環境対応への取り組みが国際的な評価機関から認められ、同社は2025年12月、気候変動および水セキュリティ分野において最高評価であるCDP Aリスト企業に選定された実績を有する6。
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