【要約】
生成AIによって、市場・競合・技術動向の調査は驚くほど簡単になりました。
一方、AIが出す「もっともらしい答え」をそのまま使うだけでは、競合との差は生まれません。
重要なのは、「それぐらい競合も知っているのでは?」ともう一段問いを深め、エッジ情報(※)から仮説をつくること。
発明塾で培ってきた考え方をもとに、AI時代に求められる「詳しい調査」ではなく「決められる調査」「勝つための調査」について考えます。
※ 弊社独自の考え方・用語
TechnoProducer株式会社/「発明塾」塾長の楠浦です。
本日は、
「AIで調査できる時代に、人間が“調査分析”する意味と価値」
について、考えてみたいと思います。
個人的には、調査や分析における生成AIの利用は、モノづくりにおける3Dプリンターに似ているな、という感覚を持っています。
3Dプリンターを使うと、今まで、手間がかかりすぎて作れなかったものが、作れてしまいますし、プロトタイピング(試作)が手軽にできますよね。
3Dプリンターにしか作れないもの、と言われると限られてきますが、現実的には3Dプリンターで作らざるを得ないものやシーンは、結構あります。
多くの方にとっての生成AIも、似たような位置づけかなと。
あくまで、個人の意見です(笑)。
それでは、本題へ(笑)。
生成AIに聞けば、市場規模も、競合企業も、技術動向も、かなりのところまで一気に調べてくれます。
昔なら、検索して、資料を読んで、数字を拾って、整理して……と何日もかかっていた仕事が、数十分で終わることもあります。
これは、本当に便利です。
僕自身、調査分析の仕事ではAIをかなり使っています。
使わない理由はありません。
ただ、最近AIにいろいろ調べさせながら、一つ気になることがあります。
「確かにそうなんだけど、それ、みんな知ってますよね」
という答えも、結構多い。
これはAIが悪い、という話ではありません。
AIは、膨大な情報をもとに、かなり妥当で、かなり網羅的で、かなりもっともらしい答えを返してくれます。
だからこそ、普通に聞くと、どうしても「多くの情報から見て妥当なところ」に答えが寄りやすい。
実際、生成AIを使うと一人ひとりの成果物の質や創造性は高まる一方で、成果物同士は似やすくなる、という研究があります。
2026年に実施されたメタ分析でも、有意な「均質化」の傾向が確認されています。
調査でも、同じことは起こり得ると思っています。
AIが教えてくれることを、そのまま「調査結果」にしてしまったら、競合も同じAIを使っている時代には、なかなか差がつかないでしょうね。
ここで、一度考えてみたいことがあります。
企業が調査をする目的は、本当に「調べること」なのでしょうか。
市場について詳しくなりたい。
競合について詳しくなりたい。
技術について詳しくなりたい。
もちろん、それもあります。
でも、最終的には、
「どこに投資するのか」
「どの技術を伸ばすのか」
「どの市場に入るのか」
「競合に対して、どこで勝つのか」
を決めたいはずです。
つまり、
調べたいのではなく、決めたい。
そして、できれば勝ちたい。
僕は、そういうことだと思っています。
そう考えると、AIが出してきたきれいな調査結果を見て、
「なるほど」
で終わってはいけませんよね。
僕は、そこでよく、もう一度問い直します。
「でも、それぐらいのことは、競合でもわかってますよね?」
ここからが、調査分析の本番です。
競合も知っている情報の整理だけでは、勝つための材料にはなりません。
「では、競合がまだ十分見ていないものは何か」
「この数字の裏側で、何が起き始めているのか」
「一見関係なさそうなこの技術と、この市場変化は、実はつながっていないか」
そうやって、もう一段、詰めていきます。
実際、「投資ファンドのアナリストやファンドマネージャー」の方に向けて、僕が調べるときは、
「市場」と「相手」が何をすでに知っていて、何を知らなくて、何が市場に織り込まれてないか、
を詰めていきます。
ここが、投資で勝つための調査分析の核心だからです。
たぶん、新規事業でも、そうでしょうね。
結局は、投資ですから(笑)。
発明塾では、長年、特許、論文、市場情報、企業情報などを使って、新しい事業や技術の可能性を考えてきました。
そこで大切にしてきたのは、情報量ではありません。
むしろ、
「ん? これはちょっと変だな」
「なぜ、この会社だけこんなことをしているんだろう」
「普通はここを見るけれど、こっちを見ると違う景色が見えないか」
という情報です。
今風に言えば、
AIが普通にまとめると、埋もれてしまいそうな情報。
そういうものを拾います。
ただし、変わった情報を見つければ、それでよいわけでもありません。
次に、
「で、この情報は何を意味しているんだろう?」
と考える。
ここが重要です。
一つの特許を見て、
「面白い特許がありました」
では終わりません。
なぜ、その会社は今、この特許を出しているのか。
他の特許と並べると、何が見えるのか。
市場動向と組み合わせると、どんな仮説が立つのか。
競合の設備投資、人材採用、提携、決算などとつなぐと、何が言えそうなのか。
もちろん、ここに唯一の正解があるわけではありません。
だからこそ、
仮説を立てて、情報を探し、また仮説を修正する。
発明塾では、これをずっと繰り返してきました。
その蓄積が、今の弊社の調査分析にも、かなり生きています。
ですから、弊社の調査分析は、
「調べました」
「100ページにまとめました」
「以上です」
という仕事には、あまりしたくありません。
AIにまず調べてもらう。
人間がそれを見る。
そして、また問いを投げる。
「それ、本当に重要?」
「それぐらい競合でもわかってますよね?」
「逆の証拠はない?」
「この数字、別の見方をするとどうなる?」
「この会社は、本当は何を狙っている?」
「もしこの仮説が正しいなら、次に何が起きる?」
そうやってAIを詰めていきます。
「AI相手のパワハラ」ですね(笑)。
必要なら、最初の調査項目そのものも、どんどん変えます。
最初に決めた目次を全部埋めることが、目的ではないからです。
欲しいのは、
「だから、この方向で行こう」
と決められる材料です。
最近の僕には
「決められる調査分析」
という言葉が、一番しっくり来ています。
そして事業である以上、その先には、
「勝てる調査分析」
がある。
競合と同じ情報を持つためではなく、
競合とは違う見方を持つために調べる。
その違う見方を、単なる思いつきではなく、特許やIR、論文、市場情報、顧客情報などを組み合わせて裏付けていく。
弊社の調査・分析サービスでも、情報を集めること自体ではなく、「この情報から何が言えそうか」「次に何を確認するか」「自社は次に何をすべきか」まで整理することを重視しています。
※ もちろん、ご要望があれば、です。押し売りはしません(笑)
AIより速く検索する。
AIよりたくさん資料を読む。
これは、もう人間が勝負するところではないと思っています。
AIには、どんどん調べてもらえばいい。
まとめてもらえばいい。
仮説だって、たくさん出してもらえばいい。
そのうえで、人間がやるのが
「それ、本当?」
「それぐらいのことは、競合でもわかってますよね?」
「もう一段、先に行けない?」
「それを競合が知っていて、市場に織り込まれていても、勝てるシナリオは何?」
ですね。
AIは、こちらが「よし」と言えば、そこで止まります。
でも、
「いや、まだあるはず」
と詰めることはできます。
そして、
何を詰めるべきかを決めるのは、人間です。
AI時代の調査分析で重要になるのは、AIに勝つことではありません。
AIを使い倒し、その答えにも満足せず、さらに問い続けること。
その先に、
「決められる調査」や、
「勝つための調査」
があるのだと思っています。
TechnoProducerでは、発明塾で長年蓄積してきた、特許・技術・市場情報などから仮説をつくり、さらに情報を探し、仮説を磨いていく考え方を、調査・分析の受託にも活用しています。
用途・市場探索、競合・技術動向分析、顧客ニーズ調査、知財関連調査など、テーマに応じて特許だけに閉じず、IR、ニュース、論文、顧客情報なども組み合わせます。
また、調査結果だけをお渡しするのではなく、
「なぜ、この情報を見たのか」
「なぜ、ここを重要だと考えたのか」
「どのように仮説を立て、次の調査につなげたのか」
といった分析プロセスも、できるだけ詳しくご説明しています。
OJTそのものではありませんが、調査分析の進め方や考え方を共有することで、
「次からは、自分たちでももう少し深く調べられる」
「AIの答えを、そのまま受け取らずに考えられる」
ようになる。
そういう意味では、調査・分析を通じた人材育成として活用いただくこともできます。
弊社としても、調査レポートを一つ納品して終わり、というより、
「どう考えれば、そこまでたどり着けるのか」まで持ち帰っていただきたい。
発明塾を長くやってきた会社だからこそ、そこも大切にしています。
AIで調べられる時代だからこそ、「調べた」の、その先を考える。
調査して終わりではなく、事業の「次の一手」まで考えたい方は、こちらをご覧ください。
TechnoProducer「調査・分析サービス」
https://www.techno-producer.com/research-service/
楠浦 拝
★弊社サービスのご紹介
①企業内発明塾®
「既存事業の強みを生かした新規事業の創出」を支援するサービスです。技術マーケティングのプロである楠浦の直接支援により、BtoC、BtoBを問わず、あなたの会社の強みを生かした新規事業の企画を生み出せます。
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