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「よい提案」「よい支援」とは? ~ 提案力を高める『余白を引き出す具体性』のつくり方

「よい提案」「よい支援」とは? ~ 提案力を高める『余白を引き出す具体性』のつくり方

【要約】

  • 伝えるとは「幸せな誤解」。完全な理解にはたどり着けない。
  • 補う力がコミュニケーションの鍵。言外を想像で補う力が対話を成立させている。
  • よい支援は余白を引き出す。情報で、相手が考えたくなる状態をつくる。
  • 具体性が想像の足場になる。抽象より具体な情報が思考を促すきっかけに。
  • 問いを引き出すのが提案の本質。問いでも答えではなく、さらに考えたくなる「情報」が支援。

 

「発明塾」塾長の楠浦です。
今回は、「新規事業サポーター養成講座(支援者向け発明塾)」「企業内発明塾」に限らず、「提案」や「支援」についてよくいただく質問について、掘り下げていきます。

「提案」には、大きく分けて「自分はこれをやりたいので許可をください」という「①決裁型」と、「相手にこれをやってほしい」(いかがですか)という、文字通りの「②提案型」の2つがあります。
要するに、提案内容の実施主体が自分なのか、相手なのか、ということですね。②には「自分はこれをするけど相手にはこれをしてほしい」とか「一緒にXXしてほしい」みたいなものもあります。これを「③巻き込み型」としましょう。

今回は②③において、良い提案とは何か、そして、そういった提案を含む「よい支援」とは何か、についてお話をします。
実はこれ、セミナーやワークショップでも、非常によく聞かれるんですよね。
僕はこれを、「コミュニケーション」の原理原則から考えて、いつも回答しています。

では、本題へ。

コミュニケーションとは「幸せな誤解」──本質は伝言ゲーム

僕は、コミュニケーションとは「幸せな誤解」だと考えています(笑)。
例えば僕が何かを伝えたい場合、以下のプロセスをたどります。

 僕の思念・心象(イメージ) 
 ↓
 言葉:不正確だが仕方がない・・・
 ↓
 相手が聞き取る:聞き間違えるかも・・・
 ↓
 相手の思念・心象:何がイメージされるかは相手次第

はい、正しく伝わるほうがおかしいのです(笑)。
要するに、コミュニケーションの本質は、伝言ゲームなんですよね。

だから、たまたま何か仕事をするうえで問題ない程度の、共通認識が得られたら、それで良しとせざるを得ないのです。
大半は誤解であっても、お互いが満足し「幸せ」であればよい
コミュニケーション、伝える、とは、そういうものです。

「1を聞いて10を知る」──補われることで成り立つコミュニケーション

また、コミュニケーションは、言われたことそのものよりも、言われなかったことをどう補うかによって成り立っている部分が多いと、僕は考えています。

「1を聞いて10を知る」

まさにこれですね。
でも、一歩間違うと

「なんでそうなるの?」

になります。
時と場合によっては、的外れな情報を補ってしまうんですね。

この「補う力」は、相手の立場・背景・状況を推し量る想像力と共感力、その土台になる知識と経験に支えられています
知らない情報は補えませんから、知識に大きく依存するのは、わかりますよね。

そして、知らないことを、「近いと思う情報」で勝手に補うのが人間、というか「脳」です。
これにより、多くの場合は不幸な誤解が生まれ、、時として幸せな誤解が生まれる
そういうことです。

AIがウソの情報を答えると言って大騒ぎする人がたまにいますが、人間と大して変わらないのでは?と僕は思ってます。
言っても僕は一切得しないので、言いませんけど(笑)。

よい支援とは「余白を引き出す支援」──1を聞いて10知りたくなるか?

 発明塾のような「支援の場」では、この力を上手く使うことで、相手を行動へ導いていくわけです。
「1を聞いて10知りたくなる」情報を出す、ということです。
そのためには、相手をよく観察する必要があります

ここで一つ、重要な問いがあります。

「よい支援・よい提案とは、何か?」

結論から言えば、「余白を引き出す提案・支援」だと僕は考えています。
つまり、相手の思考や想像が自然に流れ込む“余地”をつくるんですよね。

「こうしなさい」と指示を出すことでも、「正解を与える」ことでもない。
むしろ、「考えたくなる」「補いたくなる」ようなきっかけを、さりげなく提供すること。
これが、「提案」(提案型・巻き込み型の提案)であり「支援」の一つの理想像だろうと、僕は考えています。

では、どんな情報が「余白を引き出す」のか?

では、相手の「余白」を引き出す、つまり、「考えたくなる」支援や提案は、具体的にどのようなものか
これについて、僕はいつも、以下のように答えています。

「具体的であればあるほど、余白は広がる」

逆説的なようで本質的な視点ですね。

これは、どういうことかというと、具体的な情報があることで、

相手は:

  •  自分の経験と接続しやすくなり
  •  仮説を立てやすくなり
  •  「それなら…」と発展させたくなる

つまり、具体性が想像力の“足場”になる。
そういうことです。

発明塾での実践例:支援は“問いのトリガー”である

発明塾では、支援の中に、「何これ?どういうこと?」「ほんとにこれで上手くいくのか?」「なぜ上手くいったのか?」「こんなのがあるのか!他にないのか?」「もっと詳しい情報はないのか?」といった興味と「問い」を、自然に喚起する情報を盛り込みます
これは、塾生の思考を“外から操作する”のではなく、自ら気づき・考え・判断する“内発性”を引き出すためなんですよね。

支援とは、「思考の立脚点」となる具体的情報を、ちょうどよい角度とタイミングで差し出すこと
それが、発明塾で重視する「よい支援」の基本姿勢です。

ここまでのコラムで、「問い」よりも「情報」、と言っていたのは、そういうことなんですね。

まとめ:よい提案・支援とは、「問いを引き出す具体性」である

よい提案、よい支援とは何か?

相手の想像力・判断力・意志を引き出す“余白”を設計すること

これが僕の考え方です。
そのために、

  •  抽象的な一般論ではなく
  •  具体的で、文脈があり
  •  自分事として考えられる情報

を届ける

それは決して「答え」ではないんです。
「問いの導火線」として、相手の想像・創造を促す力を、提供する

これが、よい支援です。
すべてではないですが、多くの提案(提案型提案)においても、あてはまると思っています。

楠浦 拝

 

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