3行まとめ
Palantir連携によるデータドリブンな事業変革
従来の「補償」から「予防・予兆」へのモデル転換を掲げ、Palantir社との提携拡大に5,000万ドルを投資。2026年度までに修正連結ROE 13〜15%の達成を目指しています。
介護事業の「リアルデータ」による圧倒的差別化
競合他社にはない国内トップシェアの介護事業(SOMPOケア)から得られる質・量ともに豊富な「リアルデータ」を活用し、独自の高精度なリスク予測モデルを構築しています。
数百億円規模のR&D投資と知財の「堀」の構築
生成AIやデータ解析基盤へ数百億円規模の投資を行う一方、ヘルスケア・リスク予測領域での特許出願を強化して事業を守る「堀(Moat)」とし、介護RDPの外販ビジネス化を推進しています。
この記事の内容
SOMPOホールディングス(以下、SOMPO)の知財および技術戦略は、従来の損害保険事業(P&C)の収益モデルを根本から変革し、財務パフォーマンスに直接的なインパクトを与え始めている。2025年度(2026年3月期)に向けた経営計画において、SOMPOは「安心・安全・健康のテーマパーク」という独自の事業ドメインを確立し、その実現手段として「リアルデータプラットフォーム(RDP)」の構築を推進している 1。具体的には、Palantir Technologies Inc.(以下、Palantir)との戦略的提携により導入されたデータ解析基盤「Foundry」が、介護事業(SOMPOケア)における業務効率化と損害保険事業における引受(アンダーライティング)精度の向上に寄与している 2。Palantirとの契約拡大(5,000万ドル規模の追加投資)は、単なるITコストではなく、将来のキャッシュフローを生み出すための戦略的資産への投資として位置づけられている 2。
財務的な成果として、SOMPOは2026年度までに調整後連結ROE(IFRSベース)を13〜15%に引き上げる目標を掲げており、その達成にはデジタル事業および介護事業からの利益貢献が不可欠な要素となっている 1。介護分野においては、センサーやAIを活用したオペレーション最適化により、職員の配置効率や入居者の健康管理精度が向上し、これが利益率の改善に直結している 3。また、損害保険領域では、AIを活用した不正検知や自然災害リスクの精緻な予測モデルが導入され、ロスレシオ(損害率)の低減と引受利益の安定化に寄与している 4。これらの技術的介入は、SOMPOの収益構造を、事故発生後の「補償」から、事故や病気を未然に防ぐ「予防・予兆」サービスへとシフトさせ、サービス収益(フィービジネス)の比率を高める原動力となっている。
SOMPOが現在、最もリソースを集中させている技術領域は、「介護・ヘルスケアのデジタルトランスフォーメーション(Nursing Care DX)」、「防災・減災レジリエンス(Disaster Resilience)」、および「モビリティデータ解析(Mobility Data Analytics)」の3点に集約される。これらは、SOMPOが保有する「リアルデータ」を競争力の源泉とする戦略の中核を成している。
介護・ヘルスケア領域では、子会社であるSOMPOケアが運営する「Future Care Lab in Japan」が技術実装のハブとして機能している 5。ここでは、国内外のスタートアップや大手電機メーカーと共同で、睡眠センサー、排泄予知デバイス、見守りロボットなどの実証実験が行われ、有効性が確認された技術は全国約1,000箇所の介護施設へ順次展開されている 6。特に、ベッド上の利用者の体動やバイタルサインを解析し、睡眠深度や離床の予兆を検知する技術は、夜間巡回の効率化と入居者のQOL向上を両立させる重要なソリューションとなっている 8。
防災・減災領域では、米国スタートアップのOne Concern社およびウェザーニューズ社との提携を通じて、AIと気象ビッグデータを融合させた災害被害予測モデルの開発が進んでいる 9。この技術は、洪水や地震発生時の建物被害を区画(ブロック)単位で予測することを可能にし、自治体の防災計画策定や企業の事業継続計画(BCP)支援に活用されている。さらに、洋上風力発電向けのリスク評価サービス「ONE SOMPO WIND Service」では、ケーブル事故や気象リスクを定量化する独自のモデルが構築され、再生可能エネルギー分野への参入障壁を下げる役割を果たしている 11。
モビリティ領域においては、テレマティクス技術を用いた運転挙動分析が進展している。ドライブレコーダーやスマートフォンから収集される走行データ(急加減速、ハンドル操作など)を解析し、事故リスクをスコアリングする技術は、個人向け自動車保険「Driving!」や法人向け安全運転支援サービス「SMILING ROAD」として商用化されている 12。また、自動運転技術開発のティアフォー(Tier IV)との資本業務提携を通じて、レベル4自動運転における事故責任の所在を特定するためのデータ解析技術や、自動運転専用保険の開発に向けたリスク評価モデルの構築が行われている 12。
SOMPOの特許ポートフォリオは、過去5年間で劇的な質的転換を遂げている。かつては保険商品や事務処理システムに関する出願が主であったが、近年は「データ解析」「リスク予測」「ヘルスケアモニタリング」に関連する技術特許が急増している。2025年時点での確認可能な特許データによると、SOMPOホールディングスおよびその子会社は、日本国内を中心に、米国やアジア主要国においても特許出願を行っている 13。
特許分類(IPC/CPC)の分析からは、G06Q(ビジネスモデル・データ処理)、A61B(医療・診断)、G08G(交通制御)といったセクションへの出願集中が見て取れる 13。具体的には、介護施設における入居者の行動パターン分析に基づくケアプラン生成支援システムや、ウェアラブルデバイスを用いた健康状態の常時モニタリング技術などが含まれる。また、自動車保険領域では、テレマティクスデータを用いた「運転特性に基づく保険料算出システム(PHYD/PAYD)」や、事故発生時の状況をセンサーデータから再現する技術に関する特許が確認されている 14。
これらの特許群は、単なる技術の権利化にとどまらず、SOMPOが構築する「リアルデータプラットフォーム(RDP)」のエコシステムを防衛するための戦略的な「堀(Moat)」として機能している。特に、異種データ(健康データと保険データ、気象データと建物データなど)を統合し、新たなリスク指標を導出するアルゴリズムに関する特許は、競合他社が容易に模倣できない独自の競争優位性を担保している。デジタル事業子会社であるSOMPO Light Vortexの設立以降、AIやIoTに関連する出願が加速しており、知財戦略が事業開発と密接に連動していることが伺える 15。
SOMPOの最大の技術的優位性は、国内トップシェアを誇る介護事業(SOMPOケア)から得られる「質・量ともに圧倒的なリアルデータ」を保有している点にある 16。競合である東京海上ホールディングスやMS&ADインシュアランスグループホールディングスもヘルスケア領域やデータ活用に注力しているが、自社グループ内に大規模な介護オペレーションを持ち、日々のケア記録やバイタルデータを直接取得・蓄積できる環境にあるのはSOMPOのみである 17。この独自のデータセットと、Palantirの強力なデータ統合・解析基盤(Foundry)を組み合わせることで、SOMPOは他社には不可能なレベルでの「超高齢社会におけるリスク予測」を実現するポテンシャルを有している。
一方で、課題も存在する。グローバルな損害保険市場における規模や、海外M&Aによる収益基盤の拡大という点では、東京海上ホールディングスが先行しており、SOMPOの海外事業比率や利益貢献度は相対的に低い水準にある 1。また、リアルデータプラットフォーム(RDP)の構築には、Palantirへのライセンス料を含め巨額のIT投資が必要であり、その投資対効果(ROI)を短期的に株主へ示すことが求められている。特に、介護データの標準化や、異なるシステム間でのデータ連携には技術的・運用的なハードルが存在し、これらをクリアして実質的な収益(外販ビジネスの成立など)につなげるまでのリードタイムがリスク要因となり得る。さらに、MS&ADがGoogleとの提携やシリコンバレーでのCVC活動を通じて多様なインシュアテック企業と緩やかな連合を形成しているのに対し、SOMPOはPalantirという特定の一社との結びつきが極めて強く、ベンダーロックインのリスクや技術的な柔軟性の確保についても留意が必要である 2。
SOMPOは2030年に向けた長期ビジョンにおいて、「安心・安全・健康のテーマパーク」の完成を掲げ、R&D投資およびデジタル戦略投資を継続的に拡大させる計画である。2024年度から開始された新中期経営計画(2024-2026年度)では、「Resilience(強靭さ)」の向上と「Connect(つなぐ・つながる)」を基本戦略とし、データ・デジタル戦略(Data & Digital Strategy)をグループ全体の共通基盤として位置づけている 19。
具体的な投資計画としては、基幹システムの刷新やクラウド移行に加え、生成AI(LLM)の業務適用や、Palantir Foundryの活用領域拡大(海外事業への展開など)に数百億円規模の予算を配分する方針である 20。特に、生成AIについては、社内のナレッジ検索やコーディング支援といった業務効率化用途から、顧客対応(コールセンターの自動化、保険金請求プロセスの対話型インターフェース)や、ケアプランの自動作成支援といった「顧客価値創出」用途への応用を目指している。
長期ロードマップにおいては、介護RDPの確立と外販ビジネスの本格化が重要なマイルストーンとなる。SOMPOケアで蓄積したノウハウとデータをパッケージ化し、他の介護事業者や自治体へソリューションとして提供することで、プラットフォーマーとしての地位を確立することを目指す 3。また、SOMPO Light Vortexを通じた新規事業開発も加速させ、アジャイルな開発体制で市場ニーズに即応したデジタルサービス(アプリ、ウェアラブル連携など)を連続的にリリースしていく計画である 15。2030年には、保険、介護、ヘルスケア、防災といった各領域がデータでシームレスにつながり、顧客のライフステージ全体をサポートする統合的なサービスプラットフォームが完成することを見据えている。
SOMPOホールディングスにおける「研究開発」は、製造業における物理的な製品開発とは異なり、デジタル技術の実装、システム基盤の構築、および新規事業モデルの実証実験(PoC)という形をとる。したがって、財務諸表上の「研究開発費」だけでなく、システム開発投資やデジタル戦略予算を含めた包括的な視点で投資規模を捉える必要がある。
表1: SOMPOホールディングス デジタル・システム関連投資および主要財務指標の推移(2021-2025年度)
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年度 (Fiscal Year) |
連結経常収益 (Ordinary Income) |
修正連結利益 (Adjusted Consol. Profit) |
デジタル・システム関連投資 / IT戦略予算 (Estimated / Specifics) |
経営計画における重点テーマ (Strategic Focus) |
引用 |
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2021 |
4兆1,673億円 |
2,613億円 |
非開示 (数十億円規模のCVC投資含む) |
「安心・安全・健康のテーマパーク」の具現化、Palantir提携強化 |
22 |
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2022 |
4兆6,432億円 |
1,522億円 |
非開示 (Future Care Lab実証実験費用含む) |
リアルデータプラットフォーム(RDP)の本格構築、介護DX |
23 |
|
2023 |
4兆8,368億円 |
3,359億円 |
約500億円 (Palantirパートナーシップ拡大$50M含む) |
生成AI活用、SOMPO Light Vortexによる事業創出 |
2 |
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2024 |
5兆0,655億円 |
3,343億円 (IFRS移行後基準) |
数百億円規模 (システム刷新・AI導入) |
新中計開始、Resilience向上、Foundryの全社展開 |
1 |
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2025 (予) |
5兆円超 (目標) |
3,500億円超 (目標) |
戦略投資枠として継続計上 |
RDPの収益化、海外事業へのデジタル実装拡大 |
1 |
詳細解説:
2023年度には、Palantirとのパートナーシップ拡大のために5,000万ドル(当時のレートで約75億円相当)の契約拡張を行っており、これはSOMPOの技術投資に対する本気度を示す象徴的な数字である 2。また、中期経営計画(2024-2026)においては、IT・デジタル投資が「非連続な成長」を実現するためのドライバーとして明確に定義されている。従来のシステム維持管理費(Run the Business)とは別に、変革のための投資(Change the Business)枠が確保されており、特にAI(大規模言語モデル)の業務適用や、損害保険システムのモダナイズに資金が重点配分されている。
競合のMS&ADインシュアランスグループホールディングスが、システム投資やDX関連費用として年間数百億円規模を投じている状況 24 と比較しても、SOMPOはPalantirという特定のプラットフォームへの集中投資を行うことで、データ統合のスピードと質において差別化を図る戦略を採用している。また、SOMPO Light Vortexを通じたスタートアップへの出資や、ティアフォーなどの技術パートナーへの資本参加も、実質的な外部R&D投資として機能している。
経営トップのメッセージからは、技術とデータを「保険事業の効率化ツール」としてだけでなく、「新たな顧客価値を生み出す源泉」として捉える強い意志が読み取れる。
グループCEO 奥村 幹夫氏のメッセージ(Integrated Annual Report 2025)
「SOMPOのパーパス実現のためには、強靭な企業体質(Resilience)の構築が不可欠です。SOMPO P&CとSOMPO Wellbeingという2つの事業セグメントにおいて、『つなぐ・つながる(Connect)』を加速させます。SOMPOインターナショナルで培ったノウハウと、国内のリアルデータを結合し、事故や災害の『予兆』を捉え、予防するソリューションを提供します。Palantir Foundryは、グループ全体のあらゆるセクターで重要性を増しており、効率化と収益性の向上に寄与し続けています。」 1
このメッセージは、SOMPOが目指す「Resilience」が単なる財務的な強さだけでなく、データ活用による事業の強靭さを意味していることを示唆している。Palantir Foundryへの言及は、同社の技術が経営基盤の一部として不可欠な存在になっていることを裏付けている。
グループCDO(Chief Digital Officer)のメッセージ(Integrated Annual Report 2024/2025)
「我々は、AIやLLM(大規模言語モデル)といった将来飛躍的に拡大するデジタル技術を取り込み、革新的でユニークなソリューションを創造します。2016年のデジタル戦略開始以来、単なる業務効率化を超え、新たな顧客体験価値を生み出すことに注力してきました。PalantirやABEJAといった戦略的パートナーとの連携により、SOMPO独自の強みであるリアルデータを活用し、社会課題の解決に貢献します。」 21
CDOのメッセージにおいて特筆すべきは、「リアルデータ(Real Data)」への徹底したこだわりである。Web上の行動履歴などのバーチャルデータではなく、介護現場のセンサーデータ、自動車の走行データ、災害時の被災データなど、実社会の物理的な活動から生み出されるデータを資産と定義している点がSOMPOの最大の特徴である。「つなぐ・つながる」戦略は、これまで分断されていた損保、生保、介護の各事業データをPalantir Foundry上で統合し、クロスセルの機会や新しいリスク評価モデルを創出する具体的なアクションプランとして機能している。
SOMPOホールディングスの技術ポートフォリオは、伝統的な保険商品を補完・代替するデジタルソリューション群によって構成されている。ここでは、その中核となる3つの領域について詳述する。
SOMPOホールディングスの特許戦略は、量的な拡大競争よりも、デジタル事業モデルを守るための「質的な権利化」に重点を置いている。特許データベース(WIPO/JPO/USPTO)の調査に基づくと、SOMPOの知財活動には明確なトレンドの変化が見られる。
表2: SOMPOホールディングス 主要技術分野別 特許ポートフォリオ概況(2025年時点推定)
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主要分類 (IPC/CPC) |
技術領域 (Description) |
推定保有件数 |
代表的な出願内容と戦略的意図 |
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G06Q 40/08 |
保険 (Insurance) |
多数 |
テレマティクスデータに基づく保険料算定(PHYD)、自動運転車のリスク評価モデル、ブロックチェーンを用いた保険契約管理。従来の保険商品のデジタル化を保護。 |
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G06Q 50/22 |
医療・介護 (Healthcare) |
増加傾向 |
介護プラン作成支援、入居者見守りシステム、認知症予兆検知、健康データ(歩数、睡眠等)に基づく生命保険商品設計(Insurhealth)。RDPの中核となる知財群。 |
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A61B 5/00 |
診断・測定 (Diagnosis) |
一部保有 |
生体信号(心拍、呼吸)のモニタリング解析、睡眠深度の判定アルゴリズム、遠隔診断支援デバイスとのデータ連携技術。ハードウェアパートナーとの協業領域。 |
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G08G 1/00 |
交通制御 (Traffic) |
戦略的保有 |
事故多発地点の特定、安全運転ルートの推奨、MaaS(Mobility as a Service)における配車最適化、自動運転車両の運行管理支援。 |
詳細解説:
SOMPOホールディングスの特許出願(公開ベース)は、デジタル戦略が本格化した2016年頃から顕著に増加している 13。特筆すべきは、日本国内だけでなく、米国(USPTO)やシンガポールなどへの国際出願も行われている点である。これは、SOMPOインターナショナルやシリコンバレーの「SOMPO Digital Lab」を通じたグローバルなR&D活動の成果である。
特に引用数が多い特許として、リスク管理やデータ処理に関連する「US20100082533A1」などが挙げられる 13。他社からの被引用数が多いことは、その特許が当該技術分野における基盤的な技術を含んでおり、先行優位性を持っていることを示唆している。
また、SOMPOケアに関連する技術として、ベッドセンサーを用いた「離床予知」や「睡眠解析」に関する技術は、単なるセンシング機器の特許ではなく、そこから得られるデータを「介護オペレーション(職員の配置、巡回タイミング)」にどう反映させるかという「ビジネスプロセス特許」としての側面が強く、模倣困難性を高める役割を果たしている。
SOMPOの知財は、保険料収入以外の「サービス収益(Fee Income)」を生み出すためのエンジンとして機能している。知財がビジネスモデルにどのように組み込まれているかを解説する。
SOMPOホールディングスのR&D戦略の特徴は、自前主義(自社開発)にこだわらず、世界中の最先端技術を持つ企業と積極的に提携・資本参加を行う「オープンイノベーション」にある。
以下の表は、SOMPOが技術獲得およびエコシステム構築を目的として実施した主要な提携・M&A案件のリストである。
表3: 主要な戦略的提携・M&Aパートナーシップ(技術・知財関連)
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パートナー企業 / 組織 |
提携・出資時期 |
領域 (Domain) |
戦略的狙いと技術的シナジー (Strategic Intent & Synergy) |
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Palantir Technologies |
2019年 (JV設立) |
ビッグデータ解析 |
「リアルデータプラットフォーム(RDP)」の中核基盤構築。 SOMPOケアのデータ統合、損保ジャパンのDX推進。日本国内におけるPalantir製品の独占的販売権(一部)と共同事業展開を行うための合弁会社「Palantir Technologies Japan」を設立 2。 |
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ABEJA |
2021年 (資本業務提携) |
AI・ディープラーニング |
AI実装力の強化。 SOMPOの保有するリアルデータをABEJAのAIモデル開発力で解析し、介護やヘルスケア領域でのソリューションを共同開発する。SOMPO Light Vortexとの連携も深い 15。 |
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Tier IV (ティアフォー) |
2019年 (資本業務提携) |
自動運転OS (Autoware) |
自動運転レベル4の実用化を見据えたインシュアテック開発。 自動運転システムのリスク評価、事故時の責任分界点特定技術の共同研究。自動運転車専用保険の開発 12。 |
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One Concern |
2019年 (資本業務提携) |
AI災害予測 |
デジタルツイン技術を用いた洪水・地震被害予測システムの開発。 自治体向け防災減災システムの提供と、保険引受リスクの精緻化。レジリエンス(強靭性)ビジネスの核 10。 |
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TytoCare |
2020年頃 (提携・導入) |
遠隔医療デバイス |
在宅医療・介護連携の強化。 イスラエル発の遠隔診断デバイスをSOMPO Light Vortexを通じて国内販売し、SOMPOケア施設への導入を進める 25。 |
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Nousouken (農業総合研究所) |
2025年 (TOBによる子会社化) |
農業プラットフォーム |
農業流通データの取得とAgriSompo(農業保険)とのシナジー創出。 農業生産者の経営安定化支援と、農業データプラットフォームの構築 29。 |
解説:
SOMPOの提携戦略の特徴は、単なるマイナー出資(純投資)にとどまらず、日本国内での合弁会社(JV)設立や、製品の独占的展開を行う点にある。特にPalantirとの提携は、「Palantir Technologies Japan」というJVを設立し、SOMPO自身がPalantirの技術を活用する「ファーストユーザー(First User)」となると同時に、日本市場への販売チャネルとなる「ディストリビューター(Distributor)」の役割も担うという、極めて深いコミットメントを示している。
また、2025年の農業総合研究所へのTOB(公開買付け)は、農業分野におけるリアルデータ(流通、価格、生産データ)取得への意欲を明確に示しており、グローバル展開する「AgriSompo」プラットフォームとの連携を見据えた戦略的布石と考えられる 29。これにより、SOMPOは「食と農」の領域においてもデータドリブンなリスクマネジメントサービスを展開する基盤を得たことになる。
SOMPOは、民間企業との提携だけでなく、政府や公的機関とも連携し、社会課題解決型のプロジェクト(国プロ)に参画している。
現時点での公開情報(IR資料、特許データベース、ニュースリリース)において、SOMPOホールディングスが当事者となっている重大な知財訴訟(特許侵害訴訟など)の記録は確認されていない。
しかし、SOMPO Light Vortexなどのデジタル事業子会社が扱う新規技術領域(AI、ヘルスケアデバイス、IoT)は、他社の特許網と接触するリスクが高いため、慎重なクリアランス調査(FTO調査)が行われていると推測される。特に、米国市場で展開するSOMPOインターナショナルやシリコンバレー拠点においては、現地の特許トロール(NPE)や競合他社からの訴訟リスクに対する警戒が必要である。
一方、提携先のOne Concernに関しては、一般的なスタートアップ企業が直面する経営上の課題や市場環境の変化によるリスクが存在するが、SOMPOとの提携は「戦略的パートナーシップ」として継続している文脈で語られており、具体的な法的紛争の事実は確認されていない 31。
SOMPOは、大量のセンシティブデータ(個人の健康情報、位置情報、行動履歴など)を扱うため、厳格なガバナンス体制を敷いている。
SOMPOホールディングス、東京海上ホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングスの国内3メガ損保は、それぞれ異なる技術戦略を採用しており、その違いは「データの種類」と「パートナーシップ戦略」に表れている。
表4: 3メガ損保 技術・デジタル戦略比較ベンチマーク(2024-2025年時点)
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比較項目 |
SOMPOホールディングス |
東京海上ホールディングス |
MS&ADインシュアランスグループ |
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技術戦略の核心 (Core Strategy) |
リアルデータプラットフォーム (RDP) |
グローバル・デジタル・シナジー |
CSV×DX (共有価値の創造) |
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最重要パートナー |
Palantir (データ基盤独占的提携), One Concern |
特定の一社に依存せず、多角的な提携戦略 |
Google, 多数のInsurTechと連携 (MS&AD Ventures) |
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注力領域 (Focus Area) |
介護 (Nursing Care), 防災, ヘルスケア |
海外保険事業のデジタル化, サイバーリスク |
リスクソリューション, 自然資本・生物多様性 |
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R&D/デジタル投資規模 |
数百億円規模 (Palantir関連への集中投資) |
年間数百億~1000億円規模 (IT予算全体) |
年間数百億円規模 (システム刷新含む) |
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差別化要因 (Differentiator) |
保険以外の「実業(介護)」を持つことによるリアルデータの独自性。 |
圧倒的な海外収益基盤と、それを支えるグローバル統合経営基盤。 |
データ分析による「事故低減」や「地域課題解決」へのコミットメント。 |
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知財トレンド |
ビジネスモデル特許(介護・ヘルスケア連携)に強み。 |
海外特許出願も積極的。 |
交通安全、自然災害リスク評価に関連する特許。 |
詳細解説:
SOMPOホールディングスが公表している中期経営計画および長期ビジョンに基づき、今後の技術ロードマップを整理する。
本調査において、以下の事項については具体的なファクトがIR資料や公開情報から十分に確認できなかったため、継続的なモニタリングが必要である。
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本レポートは、公開情報をAI技術を活用して体系的に分析したものです。
情報の性質
ご利用にあたって
本レポートは知財動向把握の参考資料としてご活用ください。 重要なビジネス判断の際は、最新の一次情報の確認および専門家へのご相談を推奨します。
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