3行まとめ
材料開発とプロセス技術の「両輪」体制で次世代ガラスを創出
日本電気硝子は、国内3拠点のP&P技術センターを核に、基礎研究・ガラス設計・評価解析を一貫して手掛ける体制を構築。ICT・AIを活用した計算科学とオープンイノベーションにより、ppmレベルの不純物制御からナノメートルレベルの構造設計まで精緻な材料開発を実現している。
全固体Na電池・全電気溶融炉・半導体用ガラスなど多分野で具体的成果
オール酸化物全固体ナトリウムイオン二次電池の真空環境下での動作実演、世界初となる全電気溶融炉による医薬品容器用管ガラスの量産開始、半導体用サポートガラスのグローバルシェア約15%、Eガラスファイバの約70%など、エネルギー・半導体・医療の各領域で事業化が進展している。
学術論文と特許出願を組み合わせたハイブリッド知財戦略で競争優位を確立
特許による排他的権利の確保に加え、Scientific Reports等の学術誌への論文発表や国際会議での技術公開を戦略的に実施。基礎研究から製品化まで連動する知財エコシステムを確立し、中期経営計画「EGP2028」のもとエンジニアリング技術の外販も含めた事業拡大を目指している。
この記事の内容
日本電気硝子株式会社は、「新しい技術やプロセスの開発を大切にし、それらの蓄積の成果が製品の品質に反映する」という技術開発の理念を掲げている。同社は、研究開発部門と製造部門が密接に連携し、製品開発およびプロセス開発を進める体制を全社的に構築している。研究開発活動を円滑に進め、その成果を最大化するための支援体制として、中長期の事業戦略の企画立案を担当する企業戦略部、市場や技術に係る情報の収集と分析および顧客獲得のための情報発信を担うマーケティング部、そして知的財産の調査および権利化と活用を担当する知的財産部が配置されている。研究開発手法においては、情報通信技術(ICT)や人工知能(AI)を活用したデータ解析を含む計算科学を導入しており、特定の領域で高い専門知識や技術を有する国内外の大学、研究機関、企業との共創を推進している。組織構成としては、基盤技術部がガラス構造解析、強度、および高温融体などの基礎研究を担い、研究開発本部およびプロセス技術本部が科学的アプローチに基づき材料やプロセスの設計・開発、特性評価を実施している。研究開発本部長である角見昌昭氏は、百万分の一(ppm)レベルの不純物やナノメートルレベルの構造変化が及ぼす影響を解明するため、実験科学的および計算科学的な手法を用いて新たなイノベーションを拓く方針を示している。国内には、「Process(工程)× Product(製品)」を意味するP&P技術センターが大津、高月、能登川の3ヶ所に設置され、コア技術の拠点として機能している 1。
日本電気硝子株式会社は、エネルギー分野における次世代技術の開発と知的財産の権利化を積極的に推進している。同社は、オール酸化物全固体ナトリウムイオン二次電池の開発に取り組んでおり、主部材すべてに結晶化ガラスを使用する技術基盤を構築している。2025年2月12日には、全固体ナトリウムイオン二次電池について、真空環境下での動作を展示会で実演した。環境対応プロセス技術の分野では、2050年までのカーボンニュートラル達成に向けた技術開発が推進されている。具体的には、全電気溶融技術の水平展開、水素-酸素燃焼バーナー技術の実証、CO2フリー燃料の技術開発、および再生可能エネルギーの活用を進めている。2025年12月16日には、世界初となる全電気溶融炉による医薬品容器用管ガラスの量産を開始した。統合報告書「Nippon Electric Glass Integrated Report 2024」の「Energy」の項においては、太陽光や風力などの再生可能エネルギー発電所で使用されるガラスや、次世代エネルギー研究分野におけるガラスの提供実績が明示されている。さらに、2025年3月26日には、レーザー核融合のキーパーツの開発に成功したことが発表された。これらのエネルギー貯蔵分野および次世代エネルギー分野における特殊ガラスの技術開発は、炭素中立社会に向けたソリューション展開として事業方針に組み込まれている 1。
半導体および電子部品材料分野において、日本電気硝子株式会社は機能性ガラス粉末技術を基盤とした先端材料の開発を進めている。統合報告書「Nippon Electric Glass Integrated Report 2024」の「Semiconductors」の項によれば、半導体製造工程で薄化ウェハを支える半導体用サポートガラスは、グローバル市場において約15%のシェア(実績値、対象年度の厳密な明示は調査範囲内では確認できず)を有している。2025年1月15日には、515x510mmの大型パネルサイズに対応したガラスセラミックスコア基板「GCコア」を開発し、同年5月22日には、レーザー改質・エッチング加工用およびCO2レーザー加工用の「大型TGVガラスコア基板」を開発した。情報通信向け材料においては、低誘電率を実現するガラスファイバ技術を展開しており、2025年12月2日に低誘電ガラスファイバ「D2ファイバ」の販売を開始している。ディスプレイおよびコンシューマーデバイス向け部材としては、2025年9月18日にタブレットの書き心地を向上させる微細凹凸技術を適用したカバーガラスの量産プロセスを確立した。さらに、2025年9月4日には、AI社会を支える次世代メモリ用ガラス薄膜に関する研究成果を国際会議EPCOS 2025で発表し、次世代メモリ材料の知財化と学術的認知の向上を図っている 1。
日本電気硝子株式会社のプロセス技術本部は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を製造工程における重点領域と位置づけている。プロセス技術本部長である金谷仁氏のメッセージによれば、溶融・成形から加工・出荷に至る成形工場および加工工場の全工程において省力化と省人化を進め、人の手を介さない無人化工場の実現を将来の目標として設定している。同社は、生産設備に加えて建屋やユーティリティの管理も自社で手掛ける体制を活用し、各工程の情報を連携させることで工場全体レベルでの最適化を図っている。さらに、特殊な熱源による曲面成形やレーザー光を利用した精密加工など、高度な精密加工技術の開発を実施している。長年培ってきたプラント建設経験に基づくスキルの伝承や、オープンイノベーションの導入を通じてエンジニアのスキルアップを推進している。これらのプロセス技術の進化は、同社の中期経営計画「EGP2028」の達成に向けた取り組みとして位置づけられており、長年培ったエンジニアリング技術を国内外のガラスメーカー等へ提供する活動を本格的なビジネスとして展開する方針が示されている 1。
日本電気硝子株式会社は、基礎研究の成果を学術論文や学会講演として公開し、それを具体的な新製品として展開する一貫した知財エコシステムを有している。同社の論文・解説アーカイブには、2025年に学術誌Scientific Reportsに掲載された「漏れ電流を低減したヒ素フリーGe-Te系オボニック・しきい値スイッチング材料に関する研究」や、Tribology Lettersに掲載された「スワイプ動作中のテクスチャガラス表面における人差し指の摩擦と触覚に関する研究」が記録されている。過去の研究成果としては、2020年の「結晶化ガラス由来のナトリウム全固体電池におけるレート特性の向上」などが蓄積されている。これらの基盤技術は、超薄板ガラス「G-Leaf」、化学強化専用超薄板ガラス「Dinorex UTG」、超低反射ガラス「見えないガラス」、および調理器向け黒色トッププレート「StellaShine Mono」などの製品群に結実している。2025年1月29日には組織透明化試薬などの知見を応用し、大掛かりな光学機器を不要にする革新的な光シート顕微鏡用光源を共同開発した。また、2025年6月2日には超薄板ガラスを採用したイヤホン「Que UTG」が発売されるなど、材料科学の基礎研究からエンドユーザー向けデバイスに至るまで、技術の事業化が連続的に進展している 1。
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発行体(会社名) |
ドメイン |
文書名 |
発行日 |
種別 |
URL |
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Nippon Electric Glass Co., Ltd. |
www.neg.co.jp |
Nippon Electric Glass Integrated Report 2024 |
2024年 |
統合報告書 |
https://www.neg.co.jp/en/assets/neg_integratedreport2024_en.pdf |
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日本電気硝子株式会社 |
www.neg.co.jp |
ニュース一覧 |
調査範囲内では確認できず |
公式ニュース |
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日本電気硝子株式会社 |
www.neg.co.jp |
研究開発トップ |
調査範囲内では確認できず |
公式ページ |
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日本電気硝子株式会社 |
www.neg.co.jp |
研究開発体制 |
調査範囲内では確認できず |
公式ページ |
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日本電気硝子株式会社 |
www.neg.co.jp |
研究開発担当役員メッセージ |
調査範囲内では確認できず |
公式ページ |
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日本電気硝子株式会社 |
www.neg.co.jp |
プロセス開発担当役員メッセージ |
調査範囲内では確認できず |
公式ページ |
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日本電気硝子株式会社 |
www.neg.co.jp |
論文・解説アーカイブ |
2024年 |
公式ページ |
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日本電気硝子株式会社 |
www.neg.co.jp |
製品情報 |
2024年 |
公式ページ |
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日本電気硝子株式会社 |
www.neg.co.jp |
IR情報トップ |
2026年03月03日 |
公式ページ |
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Nippon Electric Glass Co., Ltd. |
www.neg.co.jp |
Notice Concerning Revision of Forecasts for FY 2025 |
2025年07月30日 |
公式ニュース |
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Nippon Electric Glass Co., Ltd. |
www.neg.co.jp |
CONSOLIDATED FINANCIAL RESULTS for the Six Months Ended June 30, 2025 |
2025年07月01日 |
決算短信 |
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Nippon Electric Glass Co., Ltd. |
www.neg.co.jp |
Notice to Cease Operation of a Subsidiary in the UK |
2025年06月02日 |
公式ニュース |
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Nippon Electric Glass Co., Ltd. |
www.neg.co.jp |
Announcement of Strategic Review of Composites Business at Electric Glass Fiber UK, Ltd. |
2025年04月01日 |
公式ニュース |
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Nippon Electric Glass Co., Ltd. |
www.neg.co.jp |
CONSOLIDATED FINANCIAL RESULTS for the Three Months Ended March 31, 2025 |
2025年04月11日 |
決算短信 |
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Nippon Electric Glass Co., Ltd. |
www.neg.co.jp |
CONSOLIDATED FINANCIAL RESULTS for the Year Ended December 31, 2024 |
2025年02月05日 |
決算短信 |
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Nippon Electric Glass Co., Ltd. |
www.neg.co.jp |
Financial Report 2024 |
2024年 |
決算資料 |
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日本電気硝子株式会社 |
jglobal.jst.go.jp |
特願2014-238509 |
調査範囲内では確認できず |
公的特許DB |
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202503009487189429 |
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日本電気硝子株式会社 |
jglobal.jst.go.jp |
特許第6775159号 |
2018年05月18日 |
公的特許DB |
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202003018682592435 |
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日本電気硝子株式会社 |
jglobal.jst.go.jp |
特開平11-292567 |
1998年04月14日 |
公的特許DB |
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200903043725500722 |
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日本電気硝子株式会社 |
jglobal.jst.go.jp |
特願平9-050908 |
調査範囲内では確認できず |
公的特許DB |
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200903052473882812 |
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案件名 |
Announcement |
Effective(Event) |
Completion |
Start |
状態ラベル |
根拠 |
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GCコア(ガラスセラミックスコア基板)開発 |
2025年01月15日 |
調査範囲内では確認できず |
調査範囲内では確認できず |
調査範囲内では確認できず |
完了 |
2 |
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光シート顕微鏡用光源 共同開発 |
2025年01月29日 |
調査範囲内では確認できず |
調査範囲内では確認できず |
調査範囲内では確認できず |
完了 |
2 |
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全固体ナトリウムイオン二次電池 真空環境下動作実演 |
調査範囲内では確認できず |
2025年02月12日 |
調査範囲内では確認できず |
調査範囲内では確認できず |
完了 |
2 |
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レーザー核融合キーパーツ開発成功 |
2025年03月26日 |
調査範囲内では確認できず |
調査範囲内では確認できず |
調査範囲内では確認できず |
完了 |
2 |
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Electric Glass Fiber UK, Ltd. の事業戦略的見直し |
2025年04月01日 |
調査範囲内では確認できず |
調査範囲内では確認できず |
調査範囲内では確認できず |
計画/方針 |
4 |
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大型TGVガラスコア基板開発 |
2025年05月22日 |
調査範囲内では確認できず |
調査範囲内では確認できず |
調査範囲内では確認できず |
完了 |
2 |
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英国子会社の複合材事業構造改革に伴う操業停止方針 |
2025年06月02日 |
調査範囲内では確認できず |
調査範囲内では確認できず |
調査範囲内では確認できず |
終了/撤回 |
4 |
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次世代メモリ用ガラス薄膜 国際会議EPCOS 2025発表 |
2025年09月04日 |
調査範囲内では確認できず |
調査範囲内では確認できず |
調査範囲内では確認できず |
完了 |
2 |
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タブレット用カバーガラス微細凹凸技術の量産プロセス確立 |
2025年09月18日 |
調査範囲内では確認できず |
調査範囲内では確認できず |
調査範囲内では確認できず |
稼働/提供開始 |
2 |
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全電気溶融炉による医薬品容器用管ガラス量産開始 |
2025年12月16日 |
調査範囲内では確認できず |
調査範囲内では確認できず |
2025年12月16日 |
稼働/提供開始 |
2 |
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国 |
特許番号/出願番号 |
発明名称(公式表記) |
正本一次情報(ページ名) |
出願人または権利者 |
扱い |
根拠URL |
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日本 |
特願2014-238509 |
ナトリウムイオン電池用電極合材、及びその製造方法並びにナトリウム全固体電池 |
J-GLOBAL(詳細ページ) |
日本電気硝子株式会社 |
当社特許例 |
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202503009487189429 |
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日本 |
特許第6775159号 |
ガラス組成物 |
J-GLOBAL(詳細ページ) |
日本電気硝子株式会社 |
当社特許例 |
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202003018682592435 |
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日本 |
特開平11-292567 |
低誘電率ガラス繊維 |
J-GLOBAL(詳細ページ) |
日本電気硝子株式会社 |
当社特許例 |
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200903043725500722 |
|
日本 |
特願平9-050908 |
改良された耐熱性を有する連続グラスファイバー・耐蝕性ガラス繊維 |
J-GLOBAL(詳細ページ) |
日本電気硝子株式会社 |
当社特許例 |
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200903052473882812 |
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組織・拠点種別 |
公式表記 |
根拠ページ名 |
URL |
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研究開発組織 |
P&P技術センター大津 |
研究開発体制 |
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研究開発組織 |
P&P技術センター高月 |
研究開発体制 |
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研究開発組織 |
P&P技術センター能登川 |
研究開発体制 |
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海外子会社 |
Electric Glass Fiber America, LLC |
Nippon Electric Glass Integrated Report 2024 |
https://www.neg.co.jp/en/assets/neg_integratedreport2024_en.pdf |
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海外子会社 |
Nippon Electric Glass America, Inc. |
Nippon Electric Glass Integrated Report 2024 |
https://www.neg.co.jp/en/assets/neg_integratedreport2024_en.pdf |
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海外子会社 |
Techneglas LLC |
Nippon Electric Glass Integrated Report 2024 |
https://www.neg.co.jp/en/assets/neg_integratedreport2024_en.pdf |
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国内外拠点一覧 |
今回の調査では未確認 |
今回の調査では未確認 |
参照リンクにアクセスできず |
日本電気硝子株式会社は、ガラスが元素の組み合わせや製造方法によって多種多様な機能と形状を実現できる素材であるという認識のもと、技術開発の理念として「新しい技術やプロセスの開発を大切にし、それらの蓄積の成果が製品の品質に反映する」ことを掲げている。同社は、時代が求める様々な高機能ガラス製品を開発するため、材料そのものの開発と、それを形にするプロセス技術の開発を「両輪」として位置づけている。製造プロセスと製品開発の統合的な進化を目指し、研究開発体制を継続的に強化している。ガラスの無限の可能性を追求し、新たなイノベーションを拓くこと、および自社の強みを強化することでビジネスチャンスを創出・拡大することが戦略の根幹を成している 1。
同社のコア技術は、材料設計・評価、溶融、成形、加工という一連の基盤技術から構成されている。材料設計・評価の工程では、ガラスの組成や機能の精緻な設計が行われる。溶融工程では、ガラス原料を特定の条件下で溶かす技術が適用され、成形工程においてガラスを特定の形状に作り上げる。続く加工工程において、成形されたガラスに対して付加価値を与えるための表面処理や切断などの技術が適用される。これらの基盤技術は、医療、半導体、情報通信、自動車、航空宇宙、社会インフラ、住設・建材、およびガラスエンジニアリングといった多岐にわたる先端分野におけるソリューション提供の土台となっている 1。
日本電気硝子株式会社グループにおいては、研究開発部門と製造部門が密接に連携を取りながら、製品開発およびプロセス開発を推進する体制が整備されている。研究開発活動を円滑に進め、成果を最大化するための支援体制として、複数の専門部門がそれぞれの役割を担っている。企業戦略部は、中長期の事業戦略の企画立案を担当し、全社的な技術の方向性を定める。マーケティング部は、市場、製品、および技術に係る情報の収集・分析を行い、製品や技術のプロモーションを通じた顧客獲得のための情報発信を実施する。知的財産部は、研究開発の成果を知的財産として保護するため、調査、権利化、および活用のプロセスを担当している 1。
研究開発の手法として、同社は情報通信技術(ICT)や人工知能(AI)を活用したデータ解析を含む計算科学を導入し、材料開発およびプロセス設計の強化を図っている。さらに、特定の領域で高い専門知識や技術を有する国内外の大学、研究機関、および企業との共創を推進するオープンイノベーションの体制を取り入れている 1。
研究開発部門の内部構成として、基盤技術部はガラスの基礎研究に取り組んでおり、具体的にはガラス構造解析、強度、および高温融体などの研究を実施している。これらの基礎研究を土台として、研究開発本部およびプロセス技術本部は科学的アプローチに基づき、材料やプロセスの設計・開発、特性評価を実施している。これらのコア技術をベースに、ガラスの機能を最大限に引き出し、中長期的な社会ニーズに応える「次世代ガラス」による新製品の創出を担っている。一方、製造部門は研究開発部門と密接に連携し、各事業分野の発展につながる製品および製造プロセス技術の研究開発を実行している。製造プロセス技術の維持・改善、およびその技術を活かしたガラスの高機能化が主要な目的として設定されている 1。
日本電気硝子株式会社は、国内に3ヶ所の研究開発拠点として「P&P技術センター」を設置している。この名称に含まれる「P&P」は、Process(工程)とProduct(製品)の頭文字を掛け合わせたものであり、「新しい技術やプロセスの開発を大切にし、それらの蓄積が製品の品質に反映する」という同社の技術開発理念を体現している。具体的な拠点として、P&P技術センター大津、P&P技術センター高月、およびP&P技術センター能登川が稼働している。これらの技術センターにおいては、ガラスの基礎物性や新プロセスの研究に基づく材料設計、計算科学を活用したシミュレーション、溶融清澄機構の研究、高度な分析・測定・解析技術を用いた評価技術の開発が重点的に進められている 1。
同社の研究開発担当役員であり、研究開発本部長を務める角見昌昭氏は、技術経営の方向性として「ガラスの無限の可能性を追求し、新たなイノベーションを拓いていく」という決意を明示している。角見氏のメッセージによれば、ガラスは他の素材と比較して未だ多くの謎を有しており、同社はこれらの謎を解明し新たなガラスを生み出し続けるために、「実験科学的」および「計算科学的」な手法を統合して用いている。ガラスは極めて繊細な素材であり、百万分の一(ppm)レベルの不純物や、ナノメートルレベルの構造の変化がその性質に大きな影響を与える。そのため、同社では精緻な評価解析技術を絶えず磨き続ける必要があると説明されている 1。
角見氏は、同社の研究開発における最大の強みが「基礎研究」「ガラス設計技術」「評価解析技術」を一貫して手掛ける体制にあると強調している。この一貫体制により、社会や顧客が求めるガラスを迅速に提供することが可能となっている。同社の企業理念体系にある「文明の産物を手掛ける」という言葉は、社会が進む方向に課題を設定し、解決のためのソリューションを提供するという意味に定義づけられている。社会の高度化・高速化が加速する環境下において、単に優れたガラス素材を開発するだけでなく、特徴的なデバイスや新たなビジネスモデルを含む、完成度を高めた提案が必要であると述べられており、研究開発本部は新たなイノベーションを拓く組織へと進化していく目標を掲げている 1。
日本電気硝子株式会社のプロセス開発を統括するプロセス技術本部長の金谷仁氏は、各ガラスの特性や形状に合わせた多様な溶融・成形・加工のプロセス技術を保有していることを同社の強みとして挙げている。プロセス技術本部は、製品への機能や精度に対する要求の高まりに応えるため、常に技術を進化させることを目指している。事業本部および研究開発本部と一体となり、スピード感を持って開発を進めることで、付加価値の高い製品をタイムリーに顧客へ提供する方針を示している 1。
実現に向けた重点的な注力分野として、金谷氏は「カーボンニュートラルへの対応」「DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進」「エンジニアのスキルアップ」の3点を掲げている。第一のカーボンニュートラルへの対応においては、ガラス製造における長期的な達成を目指し、全電気溶融技術、酸素燃焼技術、水素-酸素燃焼バーナー技術、および溶融炉制御システムなどの省エネルギー技術の開発を加速させている。各種プロセスにおいて、環境に配慮した低コスト生産が可能な設備の活用が推進されている。第二のDXの推進においては、溶融・成形から加工・出荷に至る成形工場および加工工場の全工程において「省力化・省人化」を推進している。将来的な目標として、人の手を一切介さない「無人化工場」の実現を掲げている。同社は生産設備だけでなく建屋やユーティリティも担当している強みを活かし、各工程の情報をつなぐことで工場全体レベルでの最適化と効率アップを図っている。第三のエンジニアのスキルアップにおいては、オープンイノベーションの導入を積極的に行い、グループ内での長年のプラント建設経験から得たスキルの伝承を実践している。また、社外への技術や設備の販売を通じて、新たな技術の獲得を目指している 1。
プロセス開発の実践的な取り組みとして、日本電気硝子株式会社は精密加工技術の領域において、特殊な熱源による曲面成形や、レーザー光を利用した精密加工など、ガラスの可能性を広げる技術開発を行っている。これらのプロセス技術の発展は、長年にわたる情報蓄積に基づくものである。技術開発の成果や知見は、プロセス技術の発展の記録や「論文・解説アーカイブ」として継続的に蓄積および管理されており、これが新たな技術革新の基盤として機能している 1。
プロセス技術本部が推進する技術開発は、中期経営計画「EGP2028」に掲げるエネルギー、医療、環境、食料分野での将来事業の創出に向けた取り組みと連動している。金谷仁氏の展望によれば、長年培ってきたエンジニアリング技術を国内外のガラスメーカー等へ提供する活動を、本格的なビジネスとして展開する予定である。「Speed & Challenge」のスローガンのもと、これらのプロセス技術の革新が全社の中期経営計画の達成に貢献していく方針が示されている 1。
エネルギー分野は、日本電気硝子株式会社が中期経営計画「EGP2028」において将来事業の創出を目指す重要領域の一つである。この分野において、同社は二次電池向けのガラス技術開発を推進しており、特に「オール酸化物全固体ナトリウム(Na)イオン二次電池」の開発に注力している。この全固体電池は、主部材のすべてに同社が開発した結晶化ガラスを使用している点に特徴がある 1。
知的財産の権利化の側面から見ると、同社は特許出願を通じた技術の保護を早期から進めている。公的特許データベースJ-GLOBALの記録によれば、同社は特願2014-238509として「ナトリウムイオン電池用電極合材、及びその製造方法並びにナトリウム全固体電池」の特許を出願している。また、基礎技術の学術的な実証として、2019年に「全固体Naイオン二次電池の結晶構造解析によるサイクル特性調査」および「結晶化ガラスを用いた全固体Naイオン二次電池の開発」に関する講演を行い、技術奨励賞を受賞している。さらに同年、「ピロリン酸鉄ナトリウム結晶化ガラス正極とβ”-アルミナ固体電解質複合体を用いた無加圧全固体ナトリウムイオン電池」に関する研究成果を発表している。2020年には学術誌Scientific Reportsにおいて、「結晶化ガラス由来のナトリウム全固体電池におけるレート特性の向上(Enhanced rate capabilities in a glass-ceramic-derived sodium all-solid-state battery)」に関する論文を発表し、二次電池の充放電特性の改善メカニズムを学術的に公開した 1。
製品化および実用化に向けた進捗として、2025年2月12日には、全固体ナトリウムイオン二次電池について、真空環境下での動作を展示会で実演したことが発表された。この実証は、結晶化ガラスを用いた全固体電池が極端な環境下でも稼働可能であることを示すものであり、宇宙や特殊環境向けデバイスへの応用の可能性を示唆している 2。
統合報告書「Nippon Electric Glass Integrated Report 2024」の「Energy」の項には、炭素中立社会に向けた特殊ガラス(Special glass for a carbon neutral society)の展開が明記されている。同社のガラス製品は、太陽光や風力などの再生可能エネルギー発電所で使用されており、エネルギー生産の効率化に寄与している。また、次世代エネルギー研究分野におけるガラスの提供実績も有している。2025年3月26日には、次世代エネルギーの基盤技術として注目されるレーザー核融合のキーパーツの開発に成功したことが発表された。この開発は、エネルギー問題の抜本的な解決に向けた先進的な学術研究および産業実装を、同社のガラス材料技術が支える構造を示している 2。
製造プロセス自体の環境対応(グリーンプロセス化)も強力に推進されている。2025年12月16日には、世界初となる「全電気溶融炉」による医薬品容器用管ガラスの量産を開始した。全電気溶融技術は化石燃料を使用せず、電力のみでガラスを溶融するプロセスであり、製造工程における直接的な二酸化炭素排出を極小化するものである。これは、プロセス技術本部が掲げるカーボンニュートラル達成に向けた重点施策の具体的な稼働実績である 1。
日本電気硝子株式会社は、半導体および電子部品材料分野において、機能性ガラス粉末技術を基盤とした先端材料の開発と供給を行っている。統合報告書「Nippon Electric Glass Integrated Report 2024」の「Semiconductors」の項によれば、コンピュータ、家電、自動車などあらゆる電子機器に不可欠な半導体の性能向上と小型化を支えるため、同社のガラス組成および成形・加工技術が活用されている。特に、半導体製造工程において薄化ウェハを支えるための「半導体用サポートガラス」は、低膨張から高膨張まで揃えた高精度なラインナップを有しており、同報告書の記載においてグローバル市場シェアは約15%(実績値、対象年度の厳密な明示は調査範囲内では確認できず)を占めるとされている 1。
さらに高度なパッケージング技術に対応する部材として、チップサイズパッケージ(CSP)に使用されるCSP用ガラスウエハーや、低温同時焼成セラミックス(LTCC)に使用されるLTCC用粉末ガラスを展開している。2025年に入り、これらのパッケージング基板技術の開発が加速している。2025年1月15日には、515x510mmの大型パネルサイズに対応したガラスセラミックスコア基板「GCコア」の開発が発表された。続いて、2025年5月22日には、レーザー改質・エッチング加工用、およびCO2レーザー加工用の「大型TGVガラスコア基板」を開発した。これらの開発は、半導体の三次元実装やチップレット集積において必須となる微細配線基板の材料として、ガラスの特性を最適化する技術経営の成果である 1。
情報通信デバイスや次世代コンピューティングに向けた材料開発も推進されている。2025年9月4日には、AI社会を支える「次世代メモリ」用ガラス薄膜に関する研究成果が国際会議EPCOS 2025で発表された。これに先立ち、2025年7月1日には、学術誌Scientific Reportsにおいて、漏れ電流を低減したヒ素フリーGe-Te系オボニック・しきい値スイッチング材料に関する研究(Arsenic-free Ge-Te-based ovonic threshold switching material with reduced leakage current)の論文が掲載された。これらの成果は、データセンターやエッジAI端末において求められる高速・低消費電力な次世代不揮発性メモリの基盤材料としてのガラスの優位性を示すものである 1。
情報通信インフラ向けの材料としては、低誘電率を実現するガラスファイバ技術が重要視されている。同社は、特開平11-292567「低誘電率ガラス繊維」(特願平10-102366、1998年4月14日出願)などを通じて、SiO2、Al2O3、B2O3、MgO、CaO等を特定の重量割合で含有する組成に関する知的財産を長年蓄積してきた。近年では、2018年5月18日に特願2019-520230を出願し、特許第6775159号「ガラス組成物」として権利化している。この特許は、重量%でSiO2を50%以上54%以下、B2O3を25%以上30%以下、Al2O3を12%以上15%以下含有し、周波数1MHzにおける誘電率が5.0未満となるガラス組成物を規定している。これらの基礎技術を製品化した成果として、2025年12月2日に低誘電ガラスファイバ「D2ファイバ」の販売が開始された。高周波通信技術の発展に伴い、信号損失を最小限に抑える低誘電材料の需要に応える製品ポートフォリオとなっている 2。
日本電気硝子株式会社の得意領域の一つが、超薄板ガラスおよびその積層技術である。製品ブランド「G-Leaf」として展開される超薄板ガラスは、ロール状やフレキシブルな形状での提供が可能である。化学強化を施すことを前提とした専用の超薄板ガラス「Dinorex UTG」もラインナップされており、折りたたみ式スマートフォンやウェアラブルデバイスのカバーガラスとしての用途が見込まれている。さらに、超薄板ガラスと樹脂を積層させた複合材料「Lamion」や、紫外線遮蔽機能を備えた超薄板ガラス「BDX-2」が製品化されている。統合報告書「Nippon Electric Glass Integrated Report 2024」によれば、この紫外線遮蔽超薄板ガラスのグローバル市場シェアは約30%(実績値、対象年度の厳密な明示は調査範囲内では確認できず)に達している。これらの超薄板ガラス技術の音響デバイスへの応用として、2025年6月2日には、世界初となる超薄板ガラスを採用したイヤホン「Que UTG」が発売された。また、同年12月17日には、日本電気硝子とGAITによる「超薄板ガラス」振動板が、第41回HiViグランプリにおいて「技術特別賞」を受賞し、素材の音響特性の高さが外部評価によって裏付けられた 1。
ディスプレイ製造工程向けには、高い剛性と熱安定性を持つガラス基板が供給されている。スマートフォンなどのカバーガラスに使用される化学強化専用ガラス「Dinorex」、ディスプレイ製造工程の高温処理に対応した熱による収縮が極めて少ない高耐熱性低熱収縮ガラス基板「OA-31」、および高い剛性と低熱収縮性を両立させた次世代ディスプレイ向けの基板「OA-20」が製品群として確立されている。これらの基板ガラスは、有機EL(OLED)や次世代高精細ディスプレイの製造に不可欠な部材である 2。
ユーザーインターフェースを向上させるための表面処理技術も高度化している。2025年9月18日には、タブレットの書き心地を向上させる「微細凹凸技術」を適用したカバーガラスの量産プロセスを確立した。この技術の基盤となる基礎研究として、同社は2025年に学術誌Tribology Lettersに「スワイプ動作中のテクスチャガラス表面における人差し指の摩擦と触覚に関する研究(Friction and Tactile Sensation of Index Finger Skin on Textured Glass Surfaces During Swipe Motion)」という論文を掲載している。また、2024年には「ガラス上にパターニング形成されたナノ凹凸の表面物性とその応用」に関する講演を行い、2023年には「マイクロスラリージェット法で作製したナノ凹凸ガラスの表面物性」の講演要旨を公開している。学術的な摩擦・触覚メカニズムの解明から、ガラス表面に微細な凹凸を形成する表面処理技術「nanoWave」の開発、そして最終的なタブレット用カバーガラスの量産プロセス確立に至るまで、研究開発から製造への一貫した技術連鎖が機能している 1。
コンシューマー向けの応用として、光の反射を極限まで抑えることでガラスが存在しないかのような視認性を実現する超低反射ガラス「見えないガラス」、環境に配慮したフッ素フリー撥水・撥油膜、および視認性を高めるために屈折率を調整した透明導電膜「IMITO」などが展開されている。さらに、2025年10月10日には、調理器向けの黒色トッププレートの新製品「StellaShine Mono」が開発された 2。
医療およびライフサイエンス分野において、日本電気硝子株式会社の特殊ガラスは高度な安全性と精密な光学特性を提供している。製品情報によれば、カバーガラス付きの放射線遮蔽用鉛ガラス「LXプレミアム」や無鉛放射線遮蔽ガラス「LFX-9」が、医療現場での安全性とメンテナンス性を高める部材として展開されている。また、高い化学的耐久性を持つ医薬品容器用の管ガラス「BS」および「BS-A」が供給されている。先述の通り、2025年12月16日には全電気溶融炉による医薬品容器用管ガラスの量産が開始されており、医療インフラへの安定供給と環境負荷低減が両立されている 1。
光学機器やイメージング技術との連携においては、2025年1月29日に、大掛かりな光学機器を不要にする革新的な「光シート顕微鏡用光源」を共同開発したことが発表された。この開発に関連する基礎研究として、2024年に「組織透明化試薬LUCIDと小型3Dイメージング装置HandySPIMを用いたリモート3D病理診断システムへの取り組み」に関する講演が行われている。病理診断のデジタル化およびリモート化に寄与する光学デバイスの開発は、医療分野における新たなソリューションの創出を示している 1。
自動車およびモビリティ分野向けには、同社の技術が構造材料およびセンシングデバイスに応用されている。統合報告書「Nippon Electric Glass Integrated Report 2024」の「Automobiles」の項によれば、Eガラスファイバから作られるエンジニアリングプラスチックは、車両の軽量化による環境性能の向上に重要な役割を果たしており、グローバル市場におけるシェアは約70%(実績値、対象年度の厳密な明示は調査範囲内では確認できず)に達していると記載されている。さらに、自動運転の実現に向けた安全性を担保するキーコンポーネントとして、高性能ガラスを用いたセンシングデバイスが展開されている 3。
住宅および建築向けの社会インフラ材料としては、高い耐熱性と防火性能を持つ防火ガラス「ファイアライト」および「ファイアライトプラスネオ」が提供されている。2025年11月11日には、防火ガラス「ファイアライト」がEPD(環境製品宣言)を取得した。EPDの取得は、製品のライフサイクル全体における環境負荷の透明性を示すものであり、環境配慮型建築材料としての価値を公的に証明する知財戦略の一環である 2。
光学および通信インフラ向けには、ダイヤモンドに匹敵する輝きを持つ宝飾ガラス「infiora」、世界最高性能の赤外線透過ガラスを使用した赤外線用レンズ、従来材料の約2倍の磁気光学特性を持つガラスを使用した光アイソレーター、全面AR(反射防止)コートを施したボールレンズ、およびLEDなどの光変換に使用される信頼性の高い蛍光体ガラス「ルミファス」などが提供されている。2023年にはOptical Engineering誌に「高い透過特性を持つカルコゲナイドガラスを用いた赤外線レンズユニット(Infrared lens units using chalcogenide glass with high transmission properties)」の論文が掲載され、2022年には「UV-C光検出センサ用の蛍光体含有ガラスの開発」や「高光取出し効率を実現したUV光源用シール材付きリッドの開発」に関する講演が行われるなど、特殊光学分野における継続的な技術開示と製品化が行われている 1。
日本電気硝子株式会社の知的財産戦略は、特許出願による排他的権利の確保だけでなく、学術論文や学会講演を通じた公知化と技術的プレゼンスの向上を組み合わせたハイブリッドな形態をとっている。同社の公式ウェブサイトに設けられた「論文・解説アーカイブ」には、これまでに発表された研究開発や技術に関する論文、講演要旨、技術解説が網羅的に蓄積・管理されており、継続的な技術革新の基盤となっている 1。
学術論文の分野において、近年発表された主要な研究成果の全容は以下の通りである。2024年には、RSC Advances誌において「アルカリ含浸を用いたAuナノ粒子装飾による耐アルカリ性ナノ多孔質ガラスの機能化と、CO除去のための触媒活性(Functionalisation of alkali-resistant nanoporous glass via Au nanoparticle decoration using alkaline impregnation: catalytic activity for CO removal)」が発表された。2023年には、ACS Omega誌において「アンモニア触媒アルドール縮合の反応場として多孔質ガラスを用いたノナナールガスセンサ(Nonanal Gas Sensors Using Porous Glass as a Reaction Field for Ammonia-Catalyzed Aldol Condensation)」に関する論文が掲載された。さらに過去には、2022年にScientific Reports誌において「テクスチャ表面によるガラス上の弾性材料の摩擦制御(Friction control of elastic materials on glass by means of textured surfaces)」、2021年にRadiation Measurements誌において「RPL線量計用の高耐候性銀ドープリン酸塩ガラス(Ag-doped phosphate glass with high weathering resistance for RPL dosimeter)」に関する論文が発表されている。基礎的な材料科学の研究として、2010年には「ビッカース硬度試験におけるクラック発生へのB2O3含有量の影響(Effect of B2O3 content on crack initiation under Vickers indentation test)」、2011年には「ビッカース硬度試験におけるガラスの高密度化の荷重依存性(Load dependence of densification in glass during Vickers indentation test)」などの知見が公表されている。これらの論文群は、ガラスの物理特性、触媒機能、センサー応用、および機械的強度に関する同社の深い学術的理解を示している 1。
学会などの学術プラットフォームにおける講演要旨のアーカイブも多岐にわたる。2021年には「低温成型性を活用した遠赤外線回折レンズの開発」、2017年には「光通信用マイクロプリズムレンズ」に関する講演が行われた。シミュレーションおよび解析技術の領域においては、2020年に「Raman分光法による気泡ガス組成の解析(Analysis of bubble gas composition by Raman spectroscopy)」や、「ガラス融液の密度に関する分子動力学計算(MD calculations for density at high temperature in R2O-SiO2 glass melts)」が発表された。また、2016年には「数値シミュレーションを用いた定常法によるガラス融液の有効熱伝導率の評価(Evaluation of effective thermal conductivity of glass melts by steady-state method with numerical simulation)」に関する成果が共有されている 1。
製品化された技術や特定の分野におけるガラスの役割に関する専門誌向け技術解説も、技術ブランディングの重要な手段として機能している。2021年には「ガラスフリットとレーザーを用いたセラミックパッケージの気密封止技術」が解説され、2016年には「セラミックス封止用レーザーガラスフリットの技術と特徴」や「マイナスの熱膨張係数を有した球状ガラスフィラー DL-7400」に関する記事が公開された。2015年には「抗菌性能を向上させた抗菌ガラス DL-7900」、「世界最薄の赤外線吸収フィルターの技術と特徴」、および「分析方法の客観的な評価としてのISO/IEC17025試験所認定制度の活用」に関する解説が行われた。2014年には複合材「Lamion」の技術と特徴、ガラスリボンの開発、および次世代高精細ディスプレイ用ガラス基板についての記事が掲載された。安全性や環境に関する解説としては、2012年に「無鉛放射線遮蔽ガラスLFX-9のX線遮蔽性能と安全性」、2011年に「超耐熱結晶化合わせガラス ファイアライトプラス」、2006年に「環境規制(RoHSおよびELV指令)とガラス」に関する見解が発信されている。これらの継続的な情報発信は、ガラス材料の適用範囲を拡張し、産業界における同社の標準的な地位を確立するための知財戦略の一翼を担っている 1。
日本電気硝子株式会社は、日本国内に主要な開発・製造拠点であるP&P技術センター等を有する一方で、アジア、米国、欧州において各種ガラス製品の製造および販売を展開するグローバル企業である。統合報告書「Nippon Electric Glass Integrated Report 2024」の記述によれば、海外に14社のグループ会社を有しており、海外での売上がグループ全体の売上の80%以上を占めている。具体的な米国の拠点として、Electric Glass Fiber America, LLC、Nippon Electric Glass America, Inc.、およびTechneglas LLCの名称が公式報告書内に明記されている。これらの海外拠点は、現地の需要に即した製造と販売を担い、グローバル市場における競争力を維持するためのサプライチェーンの中核となっている 3。
一方で、事業環境の変化に応じた海外拠点の戦略的な再編も実行されている。2025年4月1日には、英国子会社であるElectric Glass Fiber UK, Ltd.における複合材事業の戦略的見直し(Announcement of Strategic Review of Composites Business at Electric Glass Fiber UK, Ltd.)が発表された。その後、同年6月2日に、複合材事業の構造改革に伴い当該英国子会社の操業を停止する方針(Notice to Cease Operation of a Subsidiary in the UK Due to Structural Reform of the Composites Business)が発表された。これは、特定の事業セグメントにおける収益性や市場環境の変動に対応し、リソースをより成長性の高い先端ガラス分野へ集中させるための経営判断であると位置づけられる 4。
同社の経営基盤を支える財務データの開示体制は、定期的な決算報告および適時開示を通じて維持されている。2024年度の財務諸表(Financial Report 2024)が公開されているほか、2025年2月5日には2024年度(12月期)の通期決算短信(CONSOLIDATED FINANCIAL RESULTS for the Year Ended December 31, 2024)が公表された。2025年度に向けては、4月11日に第1四半期決算短信が、7月1日には第2四半期決算短信が発表されている。さらに、業績見通しに関する情報として、2025年4月30日に当期および通期の業績予想の修正に関する通知(Notice Concerning Revision of Consolidated Earnings Forecasts for the Six Months Ending June 30, 2025 and the Year Ending December 31, 2025)が行われ、続いて7月30日にも再度、業績予想の修正に関する通知(Notice Concerning Revision of Forecasts for FY 2025)が実施されている。資本政策の側面では、株主還元の拡充や資本効率の向上を目的として、自己株式の取得状況に関する適時開示が各月(2025年2月6日、3月27日、4月30日、5月30日、6月18日等)に行われている。これらの財務情報の適時な開示は、同社の中期経営計画「EGP2028」に基づく研究開発投資の原資確保や、構造改革の進捗状況を透明性をもって資本市場へ伝達する機能を果たしている 4。
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本レポートは、公開情報をAI技術を活用して体系的に分析したものです。
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