3行まとめ
「21のコア技術」をセグメント横断で統合し、独自の競争優位を構築
神戸製鋼所は材料・機械・電力の各事業分野で育成した「21のコア技術」を全社共通の技術プラットフォームとして運用し、事業セグメント間の水平展開により新たな価値創出を組織的に推進している。
バルブスプリング用線材・ゴム混練機・HIP装置で世界最大シェアを獲得
自動車用バルブスプリング用線材、ゴム混練機、HIP装置の3分野で世界最大シェアを保有するほか、鉄鋼・アルミ・溶接・異種材料接合技術のすべてを持つ「世界で唯一のメーカー」として、ニッチ市場で支配的なポジションを確立している。
DXと環境技術の知財化で2030年度CO2削減貢献量7,800万トンを目標
特許取得済みデータ分析基盤「DataLab」やAI高炉操業技術による低CO2鋼材「Kobenable Steel」を実用化し、2030年度にCO2削減貢献量7,800万t-CO2、関連製品売上高5,500億円の達成を計画している。
この記事の内容
株式会社神戸製鋼所の技術経営の歴史的基盤は、1905年に当時の総合商社であった鈴木商店が、神戸の脇浜に存在した小林清一郎運営の小林製鋼所を買収し、その名称を神戸製鋼所に変更したことに起因する。その後1911年に鈴木商店からスピンオフする形で独立し、株式会社神戸製鋼所として正式に設立された。この創業期から現在に至るまで、同社は社会の利益のために努力を惜しまないという創業精神を維持し、時代の変化に適応しながら事業領域を鉄鋼分野から機械、非鉄金属、エンジニアリング、電力分野へと継続的に拡大してきた。技術開発の歴史的マイルストーンとして、1914年には日本初の高圧空気圧縮機の開発を開始し、1926年には日本初のセメントプラントを完成させた。さらに1930年には日本初の電動ショベルを完成させるなど、機械事業における先駆的な開発実績を次々と記録している。戦後の展開においても、1955年に日本初となるチタン金属の工業生産を開始し、材料分野での技術的優位性を確立した。1962年には当時日本最大とされたプラントを旧東パキスタンへ輸出する実績を残しており、これらが現在の「材料」「機械」「電力」という3つの主要分野における7つの事業ドメイン(鉄鋼・アルミ、アドバンスドマテリアル、溶接、機械、エンジニアリング、建設機械、電力)を形成する強固な基盤となっている。技術経営の基本方針として、多様な価値観と知識を持つ人材を活用し、社会のニーズに対する具体的なソリューションを提供することを掲げており、創立120周年に向けてこれら3つのコアビジネス分野からの技術統合による新たな価値創出を推進する方針が統合報告書において示されている。これらの一連の歴史的展開と方針は、同社の知的財産活動の根幹をなす技術蓄積の過程を客観的に裏付けるものである。1
株式会社神戸製鋼所の技術経営戦略における最大の特長は、技術開発グループが材料、機械、電力などのさまざまな事業分野における長年の研究開発活動を通じて体系的に育成してきた「21のコア技術」の存在である。同社の統合報告書(Page 17およびPage 64の「Creating New Value by Harnessing Our Broad Range of Expertise」セクション等)において、これらのコア技術群は同社の特徴的な製品の創出と高度なモノづくり能力を直接的に支える重要な技術資産として明確に位置付けられている。21のコア技術は、単一の事業部門や特定の製品群にのみ帰属するクローズドな技術ではなく、全社の事業セグメント間で幅広く共有される共通基盤技術として開発されており、多様な製品ラインナップに不可欠な構成要素として組み込まれている。同社の技術統合プロセスの最大の強みは、ある一つの事業セグメントで開発・蓄積された技術が、他の事業セグメントへ水平展開されて活用される点にある。このセグメント間の技術の相互利用により、全く新しい技術の開発や、事業の枠組みを超えた新価値の創出が組織的に促進される体制が構築されている。技術開発の専門誌であるKobe Steel Technical Reports(KTR)の各号においても、この技術統合の成果が連続して報告されている。具体的には、KTR No. 40では「材料の微細構造と特性の予測と測定」および「社会の多様なニーズに応える機能性材料とソリューション」が特集され、KTR No. 41では「溶接および接合技術」が特集されている。最新のKTR No. 42では直接的に「KOBELCOのマテリアリティと価値創造を支える21のコア技術」が特集の主題として取り上げられており、多分野にわたる技術的知見の統合が継続的に実行されていることが一次情報から確認できる。これらのコア技術の不断の統合プロセスは、同社の競争優位を維持するための知財戦略および技術経営の確固たる基盤として機能している。2
デジタルトランスフォーメーション(DX)は、株式会社神戸製鋼所の製品開発および生産プロセスにおいて極めて重要な役割を果たしており、特許技術を活用した独自のデータ分析基盤の構築が全社規模で進められている。同社の有する特許取得済みのデータ分析プラットフォーム「DataLab」は、製造現場における設備診断の効率化や先進的な材料開発の促進においてその利用が段階的に拡大していることが報告されている。また、部門横断的な重要プロジェクトとして「カスタマーエクスペリエンス・トランスフォーメーション・プロジェクト」が展開されており、顧客情報を集約・共有するための専用プラットフォームが構築され、グループ全体での利用が開始されている。このシステムは、KOBELCOグループの多様な事業領域から収集された多角的な情報資産を統合的に活用し、顧客の真のニーズをより正確かつ迅速に把握することを目的としている。製品およびソリューション開発の領域においてもデジタル技術の積極的な適用が見られる。その代表例として、同社のAIベースの高炉操業技術を活用して開発された低CO2高炉鋼材「Kobenable Steel」が挙げられる。さらに、2023年に開始された実証テストの一環として、ハイブリッド型水素ガス供給システムに対してリモート監視および高度な運用管理システムなどのデジタルソリューション技術の導入検証と機能強化が進められている。建設業界向けソリューションとしても、建設現場における安全性の向上、慢性的な労働力不足の緩和、および運用効率の抜本的な改善といった社会課題の解決を目指し、重機遠隔操作システム「K-DIVE」や、2023年に市場リリースされたクレーン建設計画支援ソフトウェア「K-D2 PLANNER」などの新規事業が立ち上げられており、デジタル領域における知財展開が加速している。7
株式会社神戸製鋼所は、特定のニッチ市場や高度な専門性を要求される素材・機械分野において、世界最大あるいは国内最大となる支配的な市場シェアと特異な市場ポジションを確立している。統合報告書2025(Page 3の「Our Uniqueness」セクション)の記載に基づく明確な市場シェアの実績として、複数の製品群が挙げられている。「自動車用バルブスプリング用線材(Wire rods for automotive valve springs)」、「ゴム混練機(Rubber mixers)」、「HIP(熱間等方圧加圧)装置(Isostatic pressing equipment)」の3分野においては、それぞれ世界最大シェア(Largest global market share)を有していることが公式に報告されている。また、「REGARC溶接プロセス」に関しては日本国内最大シェア(Largest market share in Japan)を有し、「クランクシャフト」においてもグローバルな市場シェア(global market share)を獲得している。さらに、一次情報の他のセクションに記載されている市場の独自ポジションに関する実績として、自動車サスペンション用アルミ鍛造品、自動車用端子・コネクタ用銅合金、半導体リードフレーム材、半導体製造装置用アルミ部品材などの特定製品において支配的な市場シェア(dominant market share)を持つ製品の開発・製造技術を保有していることが言及されている。事業構造上の独自性としては、製鋼プロセスから最終製品に至るまでの一貫した生産体制と豊富な製造経験を持つ「日本で唯一の造船用素材フルラインナップメーカー」であることが明記されている。航空産業向けにおいても、広範な実績を有する「航空機用大型チタン鍛造品および大型アルミ鋳造品の日本で唯一のサプライヤー」としてのポジションを確立している。加えて、同社は鉄鋼、アルミニウム、溶接、およびこれらを組み合わせる異種材料接合技術のすべてを自社内で保有する「世界で唯一のメーカー」としての独自の強みを持ち、材料関連事業の戦略的再編を通じて自動車の軽量化に対する高度なソリューション提案能力を継続的に強化している。2
サステナビリティの推進および環境負荷低減に向けた技術開発成果として、CO2排出量削減に直接的に寄与する製品群や、再生可能エネルギーを活用したインフラ技術の実用化が複数確認されている。前述のAIベースの高炉操業技術を用いて開発された低CO2高炉鋼材「Kobenable Steel」は、既に自動車、建設、船舶などの多様な産業用途での実用化が開始されている。アルミニウム製品分野においても、製造プロセスでのCO2削減と並行して、グリーンアルミ原料を使用したアルミニウム板、アルミニウム押出材、および加工品の自動車メーカーへの安定供給が開始されている。特定領域における独自の技術研究開発成果としては、KOBELCOグループが開発した多機能抗菌コーティング技術「KENIFINE(ケニファイン)」が存在する。1996年に大阪府堺市で発生した病原性大腸菌O157問題への対応として開発された同技術は、従来技術の10倍の抗菌効果と50倍の抗カビ効果を有し、SARSウイルスに類似したコロナウイルスへの有効性も確認されている。再生可能エネルギー由来の水素を利用するインフラ技術分野では、「次世代水素ステーション」の高度な実証プロジェクトが実行された。このステーションは、平均供給能力300Nm3/hr以上、車両1台あたり約3分で5kgの充填性能、1日72台の稼働能力という厳密な仕様要件のもと、株式会社神鋼環境ソリューション等との共同で実証が進められ、24時間連続での水電解水素製造システムとして確立された。自然環境保全の観点では、2010年12月に5つの原則からなる「KOBELCO生物多様性ガイドライン」を策定し、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の提言に沿った情報開示措置を講じている。目標設定として、貢献によるCO2排出削減量を2030年度(FY2030)において7800万t-CO2とし、CO2削減に貢献する製品の売上高を同年度に5500億円とする計画を示している。これらは、事業成長とサステナビリティを技術力によって両立させる知的財産戦略の具体的な発現である。2
株式会社神戸製鋼所の技術経営基盤は、その極めて長い歴史を通じて形成された多角的な事業展開と、一貫した技術開発の系譜に深く根ざしている。同社の企業組織としての起源は、1905年に当時の有力な総合貿易商社であった鈴木商店が、神戸の脇浜において小林清一郎が運営していた「小林製鋼所」を買収し、その名称を「神戸製鋼所」に変更したことに端を発する。日本産業が急速な発展を遂げる時期に設立された同社は、1911年に鈴木商店からスピンオフする形で独立を果たし、株式会社神戸製鋼所として神戸市脇浜町に拠点を構えた。その後、企業規模の拡大に伴い、1937年には東京、大阪、神戸の各証券取引所における株式上場を実現している(現在は東京および名古屋に上場)。1
同社の技術開発の歴史的展開として、統合報告書をはじめとする一次情報には複数の重要なマイルストーンが明記されている。創業から間もない1914年には、日本初となる高圧空気圧縮機の開発に着手し、機械技術分野への進出を果たした。続いて1926年には日本初のセメントプラントを完成させ、さらに1930年には日本初の電動ショベルを完成させるなど、重機械事業分野での技術基盤を初期段階から強固に構築してきた。戦後の高度経済成長期における展開としては、1955年に日本で初となるチタン金属の工業生産を開始し、特殊な非鉄金属・新素材分野における技術的優位性を確立した。プラントエンジニアリングの分野においても、1962年に当時の日本国内で最大規模とされたプラント設備を旧東パキスタンへ輸出するプロジェクトを成功させている。1
国際展開の進展については、1960年にニューヨークに事務所を開設し、海外市場への足がかりを構築した。1979年には、グループの国際的なプレゼンスを統合するための国際統一商標として「KOBELCO」ブランドを正式に制定している。その後のグローバル展開として、2000年に中国統括会社の設立、2019年に東南アジア及び南アジア地域統括会社の設立、欧州地域統括会社の設立が実施され、さらに2020年には米国のアルミ押出・加工品の製造・販売会社が稼働を開始するなど、グローバルな事業インフラの構築が継続されている。2018年には加古川製鉄所への上工程集約が実施され、鉄鋼事業の生産効率化が図られた。コンプライアンスや経営体制の側面では、2005年の創立100周年を経て、2017年には品質事案の発覚に伴う再発防止策の策定と「Next100プロジェクト」の始動が行われた。1
これらの重層的な歴史的展開を経て、現在の株式会社神戸製鋼所は「材料事業」「機械事業」「電力事業」という3つの主要分野にわたる7つの事業セグメント(鉄鋼・アルミ、アドバンスドマテリアル、溶接、機械、エンジニアリング、建設機械、電力)を展開する複合的な事業体となっている。1905年の創立から120周年の節目に向け、同社は「社会の利益のために努力を惜しまない」という創業精神を維持しつつ、事業領域を単なる鉄鋼から機械、非鉄金属、エンジニアリング、電力へと有機的に拡大させてきた。グループの企業理念として、従業員の多様な才能と蓄積された技術を最大限に活用し、社会の複雑なニーズに応える実効的なソリューションを提供することを掲げている。2
株式会社神戸製鋼所の技術基盤の根幹をなす要素であり、同社の知的財産創出の源泉となっているのが「21のコア技術」である。技術開発グループは、材料、機械、電力などのさまざまな事業分野における長年の基礎研究および応用研究活動を通じて、多様な技術を体系的に育成してきた。統合報告書(Page 17およびPage 64等)の記述によれば、これらの技術資産は、グループの独自性を持つ特徴的な製品の創出と、高度な「モノづくり(製造)」能力を直接的に支える重要な基盤として定義されている。2
「21のコア技術」は、単一の事業部門や特定の事業セグメントに限定的に帰属するものではなく、全社の事業セグメント間で共有される共通技術プラットフォームとして開発されている。これらの技術は、各種の製品において不可欠な構成部分を形成している。同社の技術経営における最大の強みとして一次情報上で明記されているのは、ある特定の事業セグメントで開発された技術を、他の事業セグメントで水平的に活用するというセグメント間の技術共有・活用プロセスである。このプロセスにより、異なる事業領域の知見が融合し、新しい技術の開発や、既存の事業ドメインの枠組みを超えた新しい価値の創出が継続的に促進される体制が構築されている。2
この全社的な技術統合方針に基づき、技術情報誌であるKobe Steel Technical Reports(KTR)では定期的に特定分野の技術特集が組まれ、対外的に発信されている。KTR No. 40(2023年1月発行)においては、「材料の微細構造と特性の予測と測定(Prediction and Measurement of Microstructures and Properties in Materials)」および「社会の多様なニーズに応える機能性材料とソリューション(Functional Materials and Solutions for Diverse Needs of Society)」という2つの主要テーマが特集された。続くKTR No. 41(2024年3月発行)では、「溶接および接合技術(Welding and Joining Technologies)」が特集されている。最新のKTR No. 42(2025年2月発行)においては、直接的に「KOBELCOのマテリアリティと価値創造を支える21のコア技術(21 Core Technologies Supporting KOBELCO's Materiality and Value Creation)」が特集テーマとして取り上げられた。さらに、KTR No. 43(2025年11月発行)では、「KOBELCOの独自の価値を具現化するデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation to Embody KOBELCO’s Unique Value)」と、「自動車向け材料および技術(Materials and Technologies for Automobiles)」が特集され、鉄、アルミニウム、銅、チタン合金のマルチマテリアル活用や、高度な製造技術(成形および接合)、試験・評価方法、シミュレーション技術、AIアプリケーション、ライフサイクルアセスメント(LCA)に関する技術知見が網羅的に共有されている。これらの活動は、同社が多様な要素技術の統合を通じて技術基盤を維持・強化していることを示している。5
デジタルトランスフォーメーションは、株式会社神戸製鋼所の知的財産戦略および新たな製品ソリューション開発において、戦略的な中心要素としての役割を果たしている。特筆すべき知的財産権の具体的な活用事例として、同社は独自のデータ分析プラットフォームである「DataLab」について特許を取得している。この特許取得済みプラットフォームであるDataLabは、製造現場での実際の利用が継続的に増加しており、設備診断プロセスの効率化や、複雑な材料開発の促進において具体的な成果をもたらしていることが報告されている。7
全社的な情報基盤の強化に関しても、部門横断的な重要プロジェクトである「カスタマーエクスペリエンス・トランスフォーメーション・プロジェクト」を通じて、顧客情報を効率的に共有するためのプラットフォームが構築され、グループ全体での利用環境が整備された。このシステムは、KOBELCOグループが持つ多様な事業領域から収集された多角的な情報資産を統合的に活用し、顧客の複雑化するニーズをより正確に把握することを目的として設計・運用されている。7
デジタル技術と従来の材料技術・機械技術の融合事例として、環境対応型製品の開発が挙げられる。同社の低CO2高炉鋼材である「Kobenable Steel」は、自社開発のAIベースの高炉操業技術を活用して開発された。また、2023年に実証テストが開始されたハイブリッド型水素ガス供給システムのプロジェクトにおいては、インフラ設備の運用管理を高度化するため、リモート監視システムおよび運用管理システムなどのデジタルソリューション技術の実用性の検証と機能強化が進められている。7
さらに、建設業界特有の現場課題に対するソリューション提供もデジタル技術を基盤としている。建設現場における安全性の抜本的な向上、慢性的な労働力不足の緩和、および運用効率の改善を目指し、重機の遠隔操作システムである「K-DIVE」事業が展開されている。また、2023年にはクレーン建設計画支援ソフトウェアである「K-D2 PLANNER」がリリースされており、これらの新規事業を通じてデジタル領域の知的財産およびサービスソリューションの提供領域を拡大している。7
株式会社神戸製鋼所は、統合報告書において自社製品の市場シェアおよび独自の市場ポジションを明示している。以下は、同報告書の特定のセクション(Page 3「Our Uniqueness」等)に基づく定量的な市場シェアおよびポジションの公式な実績記述である。
天然ガスベースのDRI(直接還元鉄)およびHBIを製造する「MIDREXモジュール」について、同社は世界で80以上のモジュールを擁し、世界のDRIの80%を生産するという圧倒的なトップシェア(Leading market share)を保有していることが記載されている。自動車の「神経」として機能する「ワイヤーハーネス材」においては、国内市場の約30%を占め、日本国内でNo.1の市場シェアを獲得している。自動車のバンパーなどに使用されるプラスチック製品の原料である樹脂ペレットを製造する「プラスチック加工機械」においては、世界市場の37%のシェアを保有している。8
統合報告書2025のPage 3「Our Uniqueness」セクションに記載された具体的な実績として、「自動車用バルブスプリング用線材(Wire rods for automotive valve springs)」は世界最大シェア(Largest global market share)を有している。また、機械分野の「ゴム混練機(Rubber mixers)」および「HIP(熱間等方圧加圧)装置(Isostatic pressing equipment)」においても、それぞれ世界最大シェア(Largest global market share)を有している。溶接分野における「REGARC溶接プロセス」は日本国内最大シェア(Largest market share in Japan)を有し、「クランクシャフト」はグローバルな市場シェア(global market share)を獲得していることが明記されている。2
さらに、同社は「自動車サスペンション用アルミ鍛造品」、「自動車用端子・コネクタ用銅合金」、「半導体リードフレーム材」、「半導体製造装置用アルミ部品材」といった高度なニッチ製品を生産する開発・製造技術を有しており、これらの製品分野において支配的な市場シェア(dominant market share)を獲得している。市場における独自の企業ポジションに関する記述として、同社は「製鋼プロセスから最終製品までの一貫した生産体制と豊富な製造経験を持つ、日本で唯一の造船用素材フルラインナップメーカー」であることが明記されている。航空宇宙産業向けに関しても、「航空機用大型チタン鍛造品および大型アルミ鋳造品の日本で唯一のサプライヤー」として、広範な実績を有している。7
総合的な戦略方針として、同社は鉄鋼、アルミニウム、溶接、および異種材料接合技術のすべてを持つ「世界で唯一のメーカー」としてのソリューション提案能力を一層強化し、材料関連事業の再編を通じて、自動車の軽量化要請に対する提案力を高める方針を示している。8
株式会社神戸製鋼所の環境対応技術の開発は、持続可能な社会への貢献という全社目標と直結している。サステナビリティに関連する代表的な技術成果として、前述の「Kobenable Steel」が存在する。これはAIベースの高炉操業技術を活用して開発された低CO2高炉鋼材であり、同社の調査によれば、現在すでに自動車、建設、船舶などさまざまな実用途において製品への使用が開始されている。7
アルミニウム製品セグメントに関しても、グリーンアルミ素材を使用した製品の市場投入に向けた取り組みが進められている。同社は自社の製造プロセスにおけるCO2排出量の削減に努めると同時に、環境負荷の低いグリーンアルミ原料を使用して製造されたアルミニウム板、アルミニウム押出材、および加工品などの製品群について、自動車メーカーへの具体的な供給を開始している。7
サステナビリティに関する明確な定量目標および方針として、同社は2010年12月に5つの基本原則からなる「KOBELCO生物多様性ガイドライン」を独自に策定し、事業活動を通じた地球の多様な生態系の保全への貢献に取り組んでいる。また、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の提言に沿った情報開示措置も講じている。統合報告書2025に記載された具体的な環境関連目標として、自然の機会(Nature opportunities)に関する指標が設定されている。具体的には、事業を通じたCO2排出削減への貢献量として、2030年度(fiscal 2030)において7800万トン(78 million t-CO2)の達成を計画している。同時に、CO2排出量削減に貢献する製品の売上高として、2030年度に5500億円(¥550 billion)の達成を計画している。水資源に関する目標としては、水の再利用率(water recycling rate)を95%以上に維持する計画が示されている。これらの目標設定は、環境対応技術の知財化と事業化を両立させる経営意思の表れである。2
公式サイトにて公開されている特定領域の重要な研究開発実績として、「KENIFINE(ケニファイン)」および「次世代水素ステーション」に関する技術詳細が存在する。
多機能抗菌コーティング技術である「KENIFINE」は、1996年に大阪府堺市で発生した病原性大腸菌O157の感染拡大という社会課題への直接的な対応として、KOBELCOグループにより開発された。この技術の基本メカニズムは、金属または非金属材料の表面に薄い金属膜を形成する金属コーティングプロセスである。コア機能の優位性として、従来技術の10倍強力であると実証された「抗菌効果」、および従来技術の50倍強力であると実証された「抗カビ効果」(防カビ特性を含む)を有する。さらに、岩手大学での検証試験により、SARSウイルスに類似したコロナウイルスに対する有効性が確認されており、COVID-19に対する有効性の検証も進められている。また、光触媒などとは異なり、暗所環境においてもその機能性が完全に維持されるという実運用上の特性を持つ。応用分野は極めて多岐にわたり、キッチンシンク、ドアハンドル、手すり、空気清浄機、爪切り、柔道畳などの日用品・設備から、印刷技術を介したTシャツなどへも使用が拡大している。5
再生可能エネルギーを効果的に利用した低炭素水素燃料供給ステーションの実証プロジェクトも、同社の環境インフラ領域における重要な実績である。本プロジェクトは、環境省の「低炭素技術研究開発プログラム」において、「再生可能エネルギーを動力源とする中規模(1.5kg/h)水電解装置を用いた水素充填ステーション」として公式に選定された。実証試験は2016年度から2017年度にかけて実施され、水素ステーションのエンジニアリングと建設を専門とする神鋼エンジニアリング&メンテナンス株式会社と、電解水素製造装置の製造・販売を担う株式会社神鋼環境ソリューションの2社によって共同で遂行された。開発されたステーションの技術仕様として、平均供給能力は300Nm3/hr以上と定義されている。車両への充填性能は、車両1台あたり約3分の時間で5kgの水素を供給可能である。ステーション全体の稼働能力としては、1時間あたり6台の処理が可能であり、1日12時間の稼働で合計72台の燃料電池車への充填が可能である。システム内の再生可能エネルギー由来の水素供給能力は20Nm3/hrであり、これは24時間連続での水素製造を前提としている。このシステム構築により、1日8台の車両に対して100%再生可能エネルギー由来の水素での充填が可能となるか、あるいは1日72台すべての車両に対して平均12%の再生可能エネルギー比率での水素充填が可能となる柔軟な運用オペレーションが実証された。5
株式会社神戸製鋼所の決算等の財務データについて、一次情報(12:260206_kessan.pdf)の表に記載された数値が存在する。しかし、同資料における損益数値の記載表(「132,873. 89,514.」や「119,526. 87,342.」など)については、当該数値を修飾する明確な列見出し(当期/前年同期等)を特定できない場合、当該数値は断定しない(今回の調査では未確認)という基準が適用される。したがって、これらの個別数値についての断定的記述は行わない。
同様に、研究開発費の金額については、(a)最新有報(注記)(b)最新決算短信(注記/補足)(c)統合報告書 を確認した範囲では、当該情報を一次情報として特定できない(調査範囲内では確認できず)。また、全社の知的財産権の総出願件数や特許保有件数、および関連する定量的な知財KPIについても、有報(直近FY)・決算短信(直近4四半期)・統合報告書(直近版)・公式IR/公式ニュース(直近24ヶ月)を確認した範囲では、当該情報を一次情報として特定できない(調査範囲内では確認できず)。なお、株式会社神鋼鋼線工業に関する有価証券報告書等のデータが参照可能であったものの、これは別法人の情報であるため、本レポートの主題たる株式会社神戸製鋼所の定量データとしては採用していない。
株式会社神戸製鋼所の知的財産創出と継続的な技術開発を担う主要な拠点インフラに関する情報として、グループ会社の専門的な事業所に関する一次情報が確認できる。
環境事業を担う株式会社神鋼環境ソリューションは、技術基盤の中核となる「技術研究所」を保有しており、所在地は〒651-2241 兵庫県神戸市西区室谷1丁目1番4号である。 また、材料分析、物理特性試験、および品質評価の専門業務を担う株式会社コベルコ科研は、全国に複数の専門的な事業所を展開している。品質管理および高度な技術支援を担う「技術統括部/品質保証部」の所在地は、〒651-2271 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号である。同じく株式会社コベルコ科研の「藤沢事業所(物理解析センター)」の所在地は、〒251-8551 神奈川県藤沢市宮前100番地1である。さらに、材料関連の専門部隊である「マテリアル事業部」は、〒676-8670 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目3番1号に位置しており、これは神戸製鋼所高砂製作所の敷地内に併設される形で運用されている。これらの組織インフラが、「21のコア技術」の維持と新たな知財の創出を物理的に支えている。10
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発行体(会社名) |
ドメイン |
文書名 |
発行日 |
種別 |
URL |
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株式会社神戸製鋼所 |
www.kobelco.co.jp |
Integrated Report 2021 |
今回の調査では未確認 |
統合報告書 |
https://www.kobelco.co.jp/ir/integrated-reports/pdf/integrated-reports2021.pdf |
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株式会社神戸製鋼所 |
www.kobelco.co.jp |
統合報告書一覧 |
今回の調査では未確認 |
公式IRページ |
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株式会社神戸製鋼所 |
www.kobelco.co.jp |
FY2026 第3四半期決算短信補足資料 |
今回の調査では未確認 |
決算短信 |
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株式会社神鋼環境ソリューション |
www.kobelco-eco.co.jp |
技術研究所 |
今回の調査では未確認 |
公式サイト |
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株式会社コベルコ科研 |
www.kobelcokaken.co.jp |
事業所一覧 |
今回の調査では未確認 |
公式サイト |
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株式会社神戸製鋼所 |
www.kobelco.co.jp |
Kobe Steel Technical Reports |
今回の調査では未確認 |
技術報告書 |
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株式会社神戸製鋼所 |
www.kobelco.co.jp |
Integrated Report 2024 |
今回の調査では未確認 |
統合報告書 |
https://www.kobelco.co.jp/english/ir/integrated-reports/pdf/integrated-reports2024_e.pdf |
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株式会社神戸製鋼所 |
www.kobelco.co.jp |
Integrated Report 2019 |
今回の調査では未確認 |
統合報告書 |
https://www.kobelco.co.jp/english/ir/integrated-reports/2019/pdf/integrated-reports2019-en.pdf |
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株式会社神戸製鋼所 |
www.kobelco.co.jp |
Integrated Report 2025 |
今回の調査では未確認 |
統合報告書 |
https://www.kobelco.co.jp/english/ir/integrated-reports/pdf/integrated-reports2025_e.pdf |
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株式会社神戸製鋼所 |
www.kobelco.co.jp |
Integrated Report 2022 |
今回の調査では未確認 |
統合報告書 |
https://www.kobelco.co.jp/english/ir/integrated-reports/pdf/integrated-reports2022_e.pdf |
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株式会社神戸製鋼所 |
www.kobelco.co.jp |
KENIFINE技術紹介 |
今回の調査では未確認 |
公式サイト |
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株式会社神戸製鋼所 |
www.kobelco.co.jp |
水素ステーション技術紹介 |
今回の調査では未確認 |
公式サイト |
https://www.kobelco.co.jp/english/r-d/achievement/hydrogen-fueling-stations.html |
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株式会社神戸製鋼所 |
www.kobelco.co.jp |
24_01_e.pdf |
今回の調査では未確認 |
統合報告書 |
https://www.kobelco.co.jp/english/ir/integrated-reports/pdf/24_01_e.pdf |
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株式会社神戸製鋼所 |
www.kobelco.co.jp |
22_introduction_e.pdf |
今回の調査では未確認 |
統合報告書 |
https://www.kobelco.co.jp/english/ir/integrated-reports/pdf/22_introduction_e.pdf |
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USPTO |
assignmentcenter.uspto.gov |
ASSIGNMENT OF ASSIGNOR'S INTEREST |
今回の調査では未確認 |
公的DB |
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種別 |
公表日(または予定日) |
対象期間/FY |
根拠URL |
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第3四半期決算短信 |
今回の調査では未確認 |
FY2026 第3四半期累計 |
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統合報告書2024発行 |
今回の調査では未確認 |
FY2024関連 |
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品目ラベル(公式表記) |
シェア(公式表記) |
対象期間または出典資料名 |
掲載場所 |
根拠URL |
|
Wire rods for automotive valve springs |
Largest global market share |
Integrated Report 2025 |
Page 3 (Our Uniqueness) |
https://www.kobelco.co.jp/english/ir/integrated-reports/pdf/integrated-reports2025_e.pdf |
|
Rubber mixers |
Largest global market share |
Integrated Report 2025 |
Page 3 (Our Uniqueness) |
https://www.kobelco.co.jp/english/ir/integrated-reports/pdf/integrated-reports2025_e.pdf |
|
Isostatic pressing (IP) equipment |
Largest global market share |
Integrated Report 2025 |
Page 3 (Our Uniqueness) |
https://www.kobelco.co.jp/english/ir/integrated-reports/pdf/integrated-reports2025_e.pdf |
|
REGARC welding process |
Largest market share in Japan |
Integrated Report 2025 |
Page 3 (Our Uniqueness) |
https://www.kobelco.co.jp/english/ir/integrated-reports/pdf/integrated-reports2025_e.pdf |
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Crankshaft |
global market share |
Integrated Report 2025 |
Page 3 (Our Uniqueness) |
https://www.kobelco.co.jp/english/ir/integrated-reports/pdf/integrated-reports2025_e.pdf |
|
MIDREX modules worldwide, producing DRI (Natural gas based DRI/HBI) |
Over 80 (producing 80% of the world's DRI) / Leading market share |
Integrated Report 2021 |
今回の調査では未確認(PDF図表で該当箇所を特定できず) |
https://www.kobelco.co.jp/english/ir/integrated-reports/pdf/integrated-reports2021_e.pdf |
|
wire harnesses, or "nerves," of cars |
No. 1 market share in Japan (Approximately 30% share of domestic market) |
Integrated Report 2019 |
今回の調査では未確認(PDF図表で該当箇所を特定できず) |
https://www.kobelco.co.jp/english/ir/integrated-reports/2019/pdf/integrated-reports2019-en.pdf |
|
Plastic processing machinery |
37% share of world market |
Integrated Report 2019 |
今回の調査では未確認(PDF図表で該当箇所を特定できず) |
https://www.kobelco.co.jp/english/ir/integrated-reports/2019/pdf/integrated-reports2019-en.pdf |
|
aluminum forgings for automotive suspensions, copper alloys for automotive terminals and connectors, semiconductor lead frame materials, and aluminum parts materials for semiconductor manufacturing equipment |
dominant market share |
Integrated Report 2024 |
今回の調査では未確認(PDF図表で該当箇所を特定できず) |
https://www.kobelco.co.jp/english/ir/integrated-reports/pdf/integrated-reports2024_e.pdf |
|
国 |
特許番号 |
発明名称(公式表記) |
出願人・権利者 |
根拠(公的DBまたは一次情報URL) |
|
US |
Publication #: 20050170162 (App #: 11045137) |
今回の調査では未確認 |
当社(KOBE STEEL, LTD.) |
|
研究開発組織(公式表記) |
拠点(公式表記) |
根拠ページ名 |
URL |
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株式会社神鋼環境ソリューション |
技術研究所(〒651-2241 神戸市西区室谷1丁目1番4号) |
技術研究所 |
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株式会社コベルコ科研 |
技術統括部/品質保証部(〒651-2271 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号) |
事業所一覧 |
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株式会社コベルコ科研 |
藤沢事業所 物理解析センター(藤沢)(〒251-8551 神奈川県藤沢市宮前100番地1) |
事業所一覧 |
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株式会社コベルコ科研 |
マテリアル事業部(〒676-8670 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目3番1号 神戸製鋼所高砂製作所内) |
事業所一覧 |
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