3行まとめ
「事業・研究開発・知財」の三位一体活動と3本の柱で知財戦略を推進
川崎重工グループは知的財産を重要な経営資源と位置づけ、事業戦略に即した知財戦略の検討立案、非価格競争力の源泉となる知財の確保、知財リスクマネジメントの徹底を戦略的知財活動の3本の柱として設定している。
水素事業でオープン&クローズ戦略を採用、2030年に3,000億円の事業規模を目標
エンジン本体部分などは標準化で市場拡大を図る一方、燃焼制御技術や燃料噴射技術などコア部分は特許化・ノウハウ秘匿化によりクローズとし、商用規模の水素事業で2040年に5,000億円の事業規模を目指す計画を示している。
ノウハウ秘匿戦略にも報奨金を支給し、発明の権利化と技術流出防止を両立
特許法の職務発明規定に基づく出願・登録・実績の3段階報奨制度を運用し、特許出願を行わず社内に秘匿する発明に対しても同様に報奨を行う仕組みを整備している。
この記事の内容
事業概要 川崎重工業株式会社およびそのグループ企業は、1878年に創業者である川崎正蔵によって設立された川崎築地造船所を起源とする総合エンジニアリング企業である 1。同社グループは、「世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献する Global Kawasaki」をグループミッションとして掲げ、広範な領域における高度な総合技術力によって地球環境との調和を図りながら新たな価値の創造に取り組んでいる 1。事業セグメントは、航空宇宙システム、車両、エネルギーソリューション&マリン、精密機械・ロボット、パワースポーツ&エンジンの5つを主要部門として展開している 1。具体的な提供製品・サービスとしては、防衛省向け機器や民間航空機向け航空エンジン、鉄道車両、LPGおよびアンモニア運搬船、水素関連設備、プラント関連機器、半導体製造装置向けを中心とした産業用ロボット、船舶用の油圧機器、ならびに米国市場を主体とする二輪車やオフロード四輪車など多岐にわたる 1。創業以来培ってきた技術と知見を活かし、陸・海・空のモビリティからロボットまで、幅広い領域で「世界初」「日本初」の製品を世の中に送り出してきた実績を持つ 1。
財務 川崎重工業株式会社の2024年度(2024年4月1日〜2025年3月31日)実績の連結売上収益は2兆1,293億円、事業利益は1,431億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は880億円である 1。同期間のセグメント別売上収益および事業利益の実績は、航空宇宙システムが売上収益5,678億円・事業利益558億円、車両が売上収益2,223億円・事業利益84億円、エネルギーソリューション&マリンが売上収益3,981億円・事業利益442億円、精密機械・ロボットが売上収益2,415億円・事業利益70億円、パワースポーツ&エンジンが売上収益6,093億円・事業利益478億円となっている 1。また、2026年3月期第3四半期(2025年4月1日〜2025年12月31日)の連結累計実績においては、売上収益が1兆5,614億300万円(前年同期比10.9%増)、事業利益が824億3,700万円(前年同期比4.3%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益が658億5,300万円(前年同期比49.1%増)を計上している 4。2026年3月期の通期連結業績の会社予想は、売上収益2兆3,400億円、事業利益1,450億円、親会社の所有者に帰属する当期利益900億円と公表している 4。
技術・知財 川崎重工グループは、「川崎重工グループ知的財産方針」を制定し、知的財産を事業競争力を高めるための重要な経営資源の一つとして位置づけている 5。同方針に基づき、「事業」と「研究開発」に「知的財産」を加えた三位一体による活動を推進し、当社グループの知的財産権の確保と活用、ならびに第三者の知的財産権の尊重と侵害予防に努めている 5。戦略的知財活動の3本柱として、「事業戦略に即した知財戦略の検討立案」「非価格競争力の源泉となる知財を確保」「知財リスクマネジメントの徹底」を掲げる 5。組織体制としては、代表取締役副社長執行役員を技術担当役員とし、技術開発本部知的財産部が全社的な施策の立案と推進を行うとともに、全社技術会議や知的財産権委員会などを通じて各事業部門と連携している 5。また、特許法の職務発明規定に基づく出願報奨、登録報奨、実績報奨の3段階の報奨金支給制度を運用しており、特許出願を行わずノウハウとして秘匿戦略をとった発明に対しても同様に報奨を行う仕組みを整備している 6。
戦略・成長 川崎重工業株式会社は、グループの目指す将来像として「グループビジョン2030」を定め、「安全安心リモート社会」「近未来モビリティ」「エネルギー・環境ソリューション」の3つを注力フィールドとして設定している 1。戦略的成長シナリオとして、水素関連事業においては2030年に3,000億円、2040年に5,000億円の事業規模に達する計画を示し、液化水素運搬船や水素発電機などの社会実装を進めている 7。ロボティクス分野では、ソーシャルロボットを重点テーマと位置付け、2025年4月に「ソーシャルロボット事業戦略部」を設置して介護やビル管理、空港管理などの用途開発を実施している 8。さらに、国や自治体、企業の枠組みを超えた共創と社会実装を加速させるためのプラットフォームとして、東京都大田区にソーシャルイノベーション共創拠点「KAWARUBA」を開設し、新たな事業モデルの構築に取り組んでいる 1。
リスク・ESG 川崎重工グループは、「川崎重工グループ サステナビリティ経営方針」を制定し、コーポレート・ガバナンスの充実とリスク管理を推進している 1。サステナビリティに関するリスクの識別および評価は、社長を委員長とするサステナビリティ委員会にて実施され、気候変動や人権デューデリジェンスに関する議論が行われている 5。特定されたリスクやモニタリング状況は、少なくとも年2回取締役会に報告される体制となっている 5。環境分野においては、事業活動における全ての環境負荷を低減する「ゼロ・エミッション」の実現や、資源を効率的に活用する循環型社会への貢献を方針として掲げている 1。また、2024年5月の決議において、取締役および執行役員の業績連動報酬に、従業員エンゲージメント指標およびESG指標(CO2削減と第三者機関評価)を独立した評価指標として反映する報酬制度の改正を実施している 5。
川崎重工業株式会社およびその連結子会社を含む川崎重工グループは、1878年に創業者である川崎正蔵が設立した川崎築地造船所を起源とする企業である 1。同社グループは125年以上にわたり、陸上、海上、航空のモビリティ分野から産業用ロボット分野まで、幅広い領域において高度な技術を提供する総合エンジニアリングメーカーとして活動している 1。創業の精神である「そのわざを通じて国家社会に奉仕する」という意志を受け継ぎ、現在ではグループミッションとして「世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献する Global Kawasaki」を掲げている 1。このグループミッションのもと、広汎な領域における高度な総合技術力によって地球環境との調和を図りながら、豊かで美しい未来社会の形成に向けて新たな価値を創造することを社会に対する役割として明文化している 1。
同社グループの経営活動における原則を示す「グループ経営原則」においては、以下の4項目を指針として定めている 1。
また、従業員が共有すべき価値観として、多様なお客様の要望にこたえること、テクノロジーの頂点を目指すこと、独自性・革新性を追求することなどをバリューとして規定している 1。これらの理念と原則を基盤として、同社グループは水素エネルギーへの転換やロボット技術を活用した新たな働き方の提唱など、未来に向けたソリューションと新たな仕組みづくりに取り組んでいる 1。
同社グループの主要な事業体制は、製品およびサービスの性質に基づいて分類された5つの報告セグメントによって構成されている 1。 第一のセグメントである「航空宇宙システム事業」では、防衛省向けの航空機および航空エンジン、ならびに民間航空機向けエンジンの製造および販売を展開している 1。 第二のセグメントである「車両事業」では、日本国内のみならず、北米向け(ニューヨーク市交通局向けなど)やアジア向けなどの鉄道車両の製造および販売を行っている 1。 第三のセグメントである「エネルギーソリューション&マリン事業」では、LPGおよびアンモニア運搬船、LNG運搬船などの船舶の建造を行うとともに、水素社会の実現に向けた水素関連設備、プラント関連機器、ならびに防衛省向けの艦艇用機器などの製造および販売を手掛けている 1。 第四のセグメントである「精密機械・ロボット事業」では、半導体製造装置向けを中心とした産業用ロボットや医療用ロボットのほか、中国建設機械市場向けや船舶用の油圧機器の製造および販売を展開している 1。 第五のセグメントである「パワースポーツ&エンジン事業」では、米国市場などを主体とする先進国向けの二輪車、オフロード四輪車、パーソナルウォータークラフト(「JET SKI」等)、ならびに汎用ガソリンエンジンなどの製造および販売を行っている 1。
川崎重工グループの2024年度(2024年4月1日〜2025年3月31日)の連結財務実績において、売上収益は2兆1,293億2,100万円となっている 2。利益項目については、事業利益が1,431億2,300万円、税引前利益が1,075億1,800万円、親会社の所有者に帰属する当期利益が880億100万円を計上している 2。同年度における総資産額は3兆169億5,100万円であり、親会社の所有者に帰属する持分は7,029億1,500万円、親会社所有者帰属持分比率は23.3%となっている 2。キャッシュ・フローの状況については、営業活動によるキャッシュ・フローが273億1,000万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが1,112億円の支出であり、フリー・キャッシュ・フローは377億円の黒字を記録している 9。
2024年度のセグメント別の売上収益および事業利益の実績は以下の通り公表されている 1。
各セグメントの研究開発費については、航空宇宙システムが166億円、車両が20億円、エネルギーソリューション&マリンが37億円、精密機械・ロボットが87億円となっている(パワースポーツ&エンジンの研究開発費は調査範囲内では確認できず) 1。
最新の四半期決算である2026年3月期第3四半期(2025年4月1日〜2025年12月31日)の連結累計実績においては、売上収益が1兆5,614億300万円(前年同期比10.9%増)となっている 4。事業利益は824億3,700万円(前年同期比4.3%増)、税引前利益は888億7,200万円(前年同期比37.9%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は658億5,300万円(前年同期比49.1%増)を計上している 4。この第3四半期累計の業績においては、航空宇宙システム事業およびエネルギーソリューション&マリン事業が好調に推移し、全体の利益を牽引している。一方で、パワースポーツ&エンジン事業は米国関税政策の影響を大きく受けたものの、他の好調な事業部門がこれをカバーする構造となり、全体として前年同期比での増益を達成している。
2026年3月期(2025年4月1日〜2026年3月31日)の通期連結業績に関する会社予想は、売上収益2兆3,400億円(対前期比9.9%増)、事業利益1,450億円(対前期比1.3%増)、税引前利益1,220億円(対前期比13.5%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益900億円(対前期比2.3%増)と公表されている。基本的1株当たり当期利益の会社予想は538.43円である 4。配当金の会社予想については、2026年3月期の年間配当金を166.00円(第2四半期末75.00円、期末91.00円)としている 4。
設備投資計画に関し、2025年度において総額約1,540億円の投資が計画されている 2。セグメント別の主な投資目的と計画金額は、航空宇宙システムが航空機及び民間航空エンジンの生産合理化対応設備などに410億円、車両が鉄道車両の生産合理化対応設備などに50億円、エネルギーソリューション&マリンが水素事業対応及び産業機械の生産合理化対応設備などに160億円、精密機械・ロボットが油圧機器及び産業用ロボットの生産合理化対応設備などに95億円、パワースポーツ&エンジンがパワースポーツ製品の増産対応設備などに535億円、その他部門が水素事業対応などに290億円となっている 2。
川崎重工グループは、経営におけるサステナビリティの位置付けを明確にするため、「川崎重工グループ サステナビリティ経営方針」を制定している 5。この方針のもと、製品とサービスを通じて社会と環境のサステナビリティに貢献することを企業としての使命と捉え、将来にわたり世界が直面するさまざまな社会・環境課題に対して革新的な解決策をつくり出すことに取り組んでいる 5。同グループは、責任ある企業行動と経営基盤の強化を通じて、持続可能な社会と継続的な企業価値向上をともに実現することを目指している 5。
「サステナビリティ経営方針」は以下の3つの柱で構成されている 1。
同グループでは、社会課題と自社の事業活動との関わりやステークホルダーにとっての重要度を勘案し、定期的に重要課題(マテリアリティ)を特定している 1。重要課題は「事業を通じて創出する社会・環境価値」と「事業活動を支える基盤」の2つに大別される 1。本業を通じた取り組みを「当社グループが長期で達成すべき最重要課題」と定義しており、「グループビジョン2030」における3つの注力フィールドである「安全安心リモート社会」「近未来モビリティ」「エネルギー・環境ソリューション」がこれに該当する 1。それ以外の課題は、最重要課題の達成に向けた「基盤項目」と位置づけられ、ビジネスと人権、人財活躍推進、コンプライアンス、技術開発・DXなどが含まれる 5。
環境マネジメントの観点においては、グループ全体で「CO2 FREE(脱炭素社会の実現)」「Waste FREE(循環型社会の実現)」「Harm FREE(自然共生社会の実現)」の3つを目標として定めている 6。これらの目標達成に向けて、事業活動における全ての環境負荷を積極的に低減する取り組みを推進している 1。
川崎重工グループでは、コーポレート・ガバナンスをサステナビリティ経営の基盤として位置づけ、体制の強化を図っている 1。グループ全体の役員・従業員が行動する際の判断基準として「川崎重工グループ行動規範」を制定し、法令遵守および倫理基準に則った行動を求めている 5。
サステナビリティ推進の体制として、取締役会をグループ全体のサステナビリティ基本方針と基本計画を審議・決定する最高意思決定機関と位置づけている 5。取締役会の監督のもと、代表取締役社長執行役員を委員長とする執行側の組織として「サステナビリティ委員会」を設置している 5。サステナビリティ委員会は、取締役会で定めた基本計画に基づく各種施策を決定し、その進捗を管理する役割を担う 5。同委員会には、意思決定の客観性を担保する観点から社外取締役が出席し、業務執行監査の観点から監査等委員も出席する体制をとっている 5。原則として年2回以上開催される同委員会は、2024年度においては3回開催され、取締役会へ報告を行っている 5。
サステナビリティに関するリスクの識別および評価は、サステナビリティ委員会にて実施されている 5。同委員会では、事業環境とステークホルダーからの要請・期待の変化に対して、リスクと機会の両面から必要な対応について審議を行っている 5。2024年度の委員会においては、主にサステナビリティ開示規制やESG評価への対応、人権デューデリジェンスに関する議論が実施された 5。特に、カーボンニュートラルや循環型社会を目指す地球環境に関する事項や、人的資本の確保に関する事項などはリスクモニターの対象として指定されている 5。これらのリスクについては主管部門が継続的にリスク評価やモニタリングを行い、その活動内容は少なくとも年に2回取締役会に報告される 5。取締役会では対応の方向性を審議した上で、各リスクの対象となる部門へ必要なフィードバックを行っている 5。
経営層のコミットメントを強化するためのガバナンス施策として、2024年5月の決議により、取締役(監査等委員である取締役および社外取締役を除く)ならびに執行役員の報酬制度の改正が行われた 5。この改正により、役員の業績連動報酬の評価指標として、従来の財務指標に加えて「従業員エンゲージメント指標」および「ESG指標(CO2削減と第三者機関評価)」が独立した評価指標として反映される仕組みが導入された 5。
川崎重工グループは、企業価値を持続的に向上していくためのイノベーション創出、および競争優位な事業展開やブランド形成において、知的財産を重要な経営資源の一つと位置付けている 5。この認識のもと、「川崎重工グループ知的財産方針」を制定している 5。同方針の基本概念として、「事業戦略」と「研究開発戦略」に「知的財産戦略」を加えた「三位一体」による活動を推進し、当社グループの知的財産権の確保および活用に努めるとともに、有効な第三者の知的財産権を尊重し侵害を予防する方針を掲げている 5。
連続的な成長および非連続的イノベーションの実現を目指し、知的財産が事業に貢献するための戦略的知財活動の「3本の柱」として以下の項目を設定している 5。
戦略的知財活動を全社規模で推進するため、川崎重工業株式会社は以下の体制を構築している 5。知的財産活動の全社的な責任者として、技術担当役員である代表取締役副社長執行役員 中谷 浩、および技術開発本部長である常務執行役員 川﨑 卓巳が統括している 5。実務推進組織としては、技術開発本部内の知的財産部が全社的な施策の立案および推進を担い、各事業部門に配置された知財総括責任者ならびに知財主管部門と連携し、それぞれの事業活動に即した知財活動を行う体制をとっている 5。
全社レベルでの技術戦略および知財方針を審議・共有するための会議体も整備されている 5。
各事業部門と技術開発本部は定例的な連携を行い、各事業部門が特有の研究開発を担う一方で、技術開発本部が全社横断的・将来的な開発を担い、プロジェクトごとに一体となって取り組む体制を構築している 6。
川崎重工グループは、従業員の研究開発意欲の向上と発明の保護を目的として、特許法の職務発明規定に基づく報奨制度を社内規程により定めている 6。報奨金は以下の3段階で支給される仕組みとなっている 6。
また、同制度の特徴として、技術流出を防ぐ観点から特許出願を行わずノウハウとして社内に秘匿する「秘匿戦略」をとった発明に対しても、特許出願した場合と同様に報奨を行う仕組みを整備している 6。
人財育成の領域においては、知的財産が事業競争力を高める重要な経営資源であるとの認識のもと、知的財産関連部門の担当者のみならず、営業系や企画・技術系の従業員を対象として、職位階層に応じた知財マインドの向上を目的とした知的財産研修を定期的に実施している 6。高度な技術系人財の育成目標として、特定分野の技術に精通し専門性を深めた「高度技術系人財」、複数の技術分野を横断的に理解し先端技術にも精通してシステム全体を俯瞰できる「マルチスキル人財」、およびOJT等の実践の場を通じて事業化や起業の経験を積み新たな価値創造を担う「事業化スキル・起業マインドを有する人財」の3つの方向性を掲げている 5。
川崎重工業株式会社は、目指す将来像である「グループビジョン2030」において、地球環境保護のための脱炭素社会の実現、高齢化社会・労働力不足への対応、地域間格差の解消、自然災害の抑止、エネルギーの安定供給など、社会課題に対するソリューションを提供するため、以下の3つの注力フィールドを設定している 1。
エネルギー・環境ソリューションの領域においては、水素エネルギーの普及を軸とした脱炭素社会の実現を目指している 1。同社は2009年から液化水素サプライチェーンの構築に向けた取り組みを開始し、商用規模の水素事業において2030年に3,000億円、2040年には5,000億円の事業規模に達する目標計画を公表している 5。
水素技術の開発においては、「つくる」「はこぶ」「つかう」の全工程における製品およびシステムの開発を推進している 6。
水素事業における知財・標準化戦略 水素事業の展開において、同社は技術の権利化と社会実装の加速を両立させるため、国際ルール作りと標準化戦略を推進している 7。舶用水素エンジン等のプロジェクトにおいては、開発成果を市場に普及させるための「オープン&クローズ戦略」を策定している 16。一定のルールに従って規格や仕様を定める部分(例:エンジン本体部分やEGR機器等)については標準化によって他社の市場参入を促進し、全体の市場拡大を図るオープン戦略をとる 16。一方で、燃焼制御技術、燃料噴射技術、異常燃焼検知・状態監視技術など、自社が独占すべきコア部分については、特許化やノウハウの秘匿化によってクローズとし、自社の持続可能性と利益拡大を狙う方針を示している 16。 社会受容性の醸成とルール形成に向けては、国内において「中部圏水素利用協議会」「神戸・関西圏水素利活用協議会」「水素バリューチェーン推進協議会」等の枠組みに参画し、政策提言や事業モデルの提案を実施している 7。国際的には、IMO(国際海事機関)の水素燃料船ガイドライン審議等に参画し、液化水素運搬船の規格構築に貢献している 16。
安全安心リモート社会の実現に向けて、精密機械・ロボットカンパニーのロボットディビジョンを中心に、ヒトとロボットが共生する社会実装の推進に取り組んでいる 1。同社は1968年に日本における産業用ロボットのパイオニアとして事業を開始し、累計で30万台以上のロボットを出荷した実績を持つ 8。
同事業部門では、主力製品として半導体製造装置向けのクリーンロボットや、車体組立・塗装用ロボットなどを提供している 3。医療分野への展開においては、株式会社メディカロイドを通じ、日本初となる国産の手術支援ロボット「hinotori サージカルロボットシステム」を開発し、2020年に製造販売承認を取得した 1。
さらに、「グループビジョン2030」のもとで「ソーシャルロボット」を新たな注力領域と位置付けている 1。ソーシャルロボットは水素やカーボンニュートラルと並ぶ重点テーマとされており、2024年11月に社長直轄プロジェクト本部にて事業方針が決定された後、2025年4月に技術開発本部とロボットディビジョンのエンジニアが結集した「ソーシャルロボット事業戦略部」が設置された 8。遠隔操作技術などを活用し、介護、ビル管理、空港管理などの具体的な用途におけるロボット開発と社会実装に向けた実証が進められている 1。
近未来モビリティの領域では、人間の「移動本能」(理由なき移動への欲求)を満たすことをテーマとし、陸・海・空のモビリティを扱ってきた同社の強みを活かした新しい移動手段の開発と提案を行っている 1。
具体的な構想として、公共交通システム「ALICE SYSTEM」の提案を行っている 1。同システムは、乗り換えの手間をなくし、移動中も快適に過ごせる環境を提供するデジタル技術と物理的モビリティを融合したソリューションである 1。また、パーソナルモビリティの領域においては、ホイールではなく「脚」を採用したオフロード向けの4脚型モビリティ「CORLEO」を開発している 1。同モビリティは、凹凸のある地形でも安全に走行可能な設計となっており、動力源として水素発電機を搭載することで環境負荷の低減を図っている 1。
これらの新領域における事業開発と社会実装を加速させるための拠点として、東京都大田区の「HANEDA INNOVATION CITY」内にソーシャルイノベーション共創拠点「KAWARUBA(カワルバ)」を開設している 1。「KAWARUBA」では、水素・カーボンニュートラルやソーシャルロボットを具体的なテーマとして掲げ、国、自治体、企業の枠組みを超えた共創プロジェクトを進行させている 1。
川崎重工業株式会社は、日本国内に多数の製造および研究開発拠点を有している 19。主要な国内事業所および工場拠点は以下の通りである 19。
公式に公表されている2025年度および2026年度のIR(インベスター・リレーションズ)イベントの予定および実績は以下の通りである 21。
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年月日 |
イベント名 |
公表資料・状況 |
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2025年5月9日 |
2024年度決算発表 |
決算短信、決算説明資料、説明会音声配信等 |
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2025年6月26日 |
第202期定時株主総会 |
招集ご通知、決議ご通知、議決権行使結果等 |
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2025年8月6日 |
2025年度第1四半期決算発表 |
決算短信、決算説明資料、説明会音声配信等 |
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2025年11月11日 |
2025年度第2四半期決算発表 |
決算短信、決算説明資料、説明会音声配信等 |
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2026年2月9日 |
2025年度第3四半期決算発表 |
決算短信、決算説明資料、説明会音声配信等 |
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2026年5月12日 |
2025年度決算発表 |
(予定) |
本調査の範囲内で参照した一次情報においては、以下の項目について明確な事実関係または数値を特定できなかった。
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本レポートは、公開情報をAI技術を活用して体系的に分析したものです。
情報の性質
ご利用にあたって
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