3行まとめ
金融業界史上最大の技術投資170億ドルがAIで10億ドル超の価値を創出
JPモルガン・チェースは2024年度に170億ドル(約2.5兆円)の技術予算を計上し、その約50%を新規価値創出に投資。AI・機械学習プロジェクトは10億ドル以上のビジネス価値を生み出し、目標を15億ドルへ上方修正した。
生成AI基盤「LLM Suite」を20万人に展開、ブロックチェーン決済は日次20億ドル突破
独自の生成AIプラットフォーム「LLM Suite」を全従業員の60%以上に展開し、American Banker誌の「2025 Innovation of the Year」を受賞。ブロックチェーン事業「Kinexys」は日次取引額20億ドルを突破し、決済トランザクション数は前年比10倍の成長を記録。
特許は「量より質」で勝負、エージェント型AIへの移行を加速
競合のバンク・オブ・アメリカが約6,600件の特許を保有するのに対し、JPMCは「IndexGPT」商標出願など市場先占型の権利化を徹底。今後は「エージェント型AI(Agentic AI)」への投資を加速し、2024年末までにアプリの70%・データの75%をクラウド移行する計画を推進。
この記事の内容
JPモルガン・チェース(以下、JPMC)の知財および技術戦略は、単なるコスト削減や業務効率化の手段を超越し、企業のトップライン(売上高)を牽引する中核的な成長エンジンへと変貌を遂げています。2024年度において、同社は金融業界史上最大規模となる170億ドル(約2.5兆円)の技術予算を計上しました 1。この投資額は、競合であるバンク・オブ・アメリカの120億ドルやウェルズ・ファーゴの40億ドルを大きく引き離すものであり、JPMCが「銀行の免許を持ったテクノロジー企業」としての地位を確立しようとする強固な意志を反映しています 1。特筆すべきは、この巨額予算の配分構造です。全予算の約50%が既存システムの維持管理(Run the Bank)ではなく、新規の価値創出(Change the Bank)に充てられています 1。この積極的な投資姿勢は、具体的な財務成果として結実し始めています。例えば、AIおよび機械学習(ML)の導入プロジェクトは、2023年時点で既に10億ドルを超えるビジネス価値(収益増加およびコスト回避)を創出しており、その目標額は15億ドルへと上方修正されました 3。具体的には、リテール部門における顧客ごとのパーソナライズされた提案機能が2億2,000万ドルの収益インパクトをもたらし、法人顧客向けの分析・インサイト提供機能が1億ドルの付加価値を生み出しています 3。さらに、ブロックチェーン技術を基盤とした決済ネットワーク「Kinexys(旧Onyx)」は、日次取引額が20億ドルを突破し、決済トランザクション数は前年比で10倍の成長を記録しています 4。これは、技術開発が研究室の中にとどまらず、直接的なトランザクション手数料やプラットフォーム利用料としてキャッシュフローを生み出している明白な証拠です。
JPMCのR&Dポートフォリオは、「AI・機械学習による自律化」、「ブロックチェーンによる価値移転の即時化」、そして「量子コンピューティングによる計算能力の飛躍」という3つの主要テーマに集約されます。
第一に、AI領域では「Generative AI(生成AI)」の実装が急速に進展しています。同社は、OpenAI等の外部モデルに依存しつつも、企業データのセキュリティを確保するために独自のプラットフォーム「LLM Suite」を開発・展開しました。2024年夏には、資産管理部門を中心に約20万人(全従業員の60%以上)がこのツールを利用可能となり、リサーチ業務の自動化やコーディング支援において劇的な生産性向上を実現しています 5。
第二に、ブロックチェーン領域では、2024年11月に事業ブランドを「Kinexys」へと刷新し、実証実験フェーズから完全な商用化フェーズへと移行しました。特に、JPM Coin(現Kinexys Digital Payments)によるクロスボーダー決済の即時化と、日中レポ取引(Intraday Repo)による流動性管理の高度化は、従来の金融インフラでは不可能だった「プログラム可能な貨幣(Programmable Money)」の実装例として業界をリードしています 4。
第三に、量子コンピューティングに関しては、AWSやCaltechとの共同研究を通じて、NISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum)時代における実用的なアルゴリズム開発で先行しています。特に「ポートフォリオ最適化」や「オプション価格設定」における計算速度の指数関数的な向上を目指し、将来の金融工学を再定義する準備を進めています 6。
JPMCの特許戦略は、競合他社とは一線を画す「質的優位性」の追求に特徴があります。数量ベースでは、バンク・オブ・アメリカ(BofA)が約6,600件の特許を保有し、年間600件以上のペースで権利化を進めているのに対し、JPMCの出願数は相対的に抑制されています 8。しかし、その内実は極めて戦略的です。JPMCは、汎用的な技術ではなく、ビジネスモデルの独占に直結する「コア・アルゴリズム」や「顧客インターフェース」に関する権利化を徹底しています。例えば、「IndexGPT」という商標出願は、生成AIを用いた投資アドバイスサービスという新たな市場カテゴリーを先占しようとする意図を明確に示しています 9。また、特許出願の内容を見ると、「データドリフト検出(Data Drift Detection)」や「顧客感情分析(Client Sentiment Analysis)」、「生体認証データの匿名化」といった、AIの信頼性(Trustworthy AI)とプライバシー保護に関する高度な技術が含まれており、これらはAIを金融サービスに適用する際の最大の障壁となる規制対応やリスク管理を技術的にクリアするための重要な資産となっています 11。
JPMCの最大の競争優位性は、圧倒的な資本力に裏打ちされた「内製化能力(Engineering Culture)」にあります。170億ドルの技術予算は、単にハードウェアやソフトウェアを購入するためだけではなく、全世界で約63,000名に及ぶ技術者・エンジニア集団を維持・拡大するために投じられています 1。この規模は、多くの純粋なテクノロジー企業の従業員数を凌駕しており、JPMCが外部ベンダーに依存することなく、自社のペースでイノベーションを推進できる基盤となっています。また、4つの新しいプライベートクラウドデータセンターの構築により、インフラコストの効率化とデータの主権確保を両立させています 14。
一方で、課題も存在します。レガシーシステムのモダナイゼーションは進行中ですが、依然として膨大なアプリケーション資産(約6,000以上)を抱えており、これらをクラウドネイティブなアーキテクチャに移行(Refactoring)するプロセスは複雑かつ長期戦となっています。2023年時点でアプリケーションの約60%が戦略的データセンターへ移行完了していますが、残りの40%の移行と、ハイブリッドクラウド環境におけるセキュリティガバナンスの維持は、引き続き経営上の重要課題です 3。
JPMCの技術ロードマップは、「AIファースト」と「エージェント型ワークフロー」への完全移行を示唆しています。これまでのAI活用が「人間の支援(Copilot)」に主眼を置いていたのに対し、今後はAIが自律的にタスクを遂行する「エージェント型AI(Agentic AI)」への投資を加速させています 16。また、クラウド戦略においては、2024年末までにアプリケーションの70%、データの75%をパブリックまたはプライベートクラウドへ移行するという野心的な目標を掲げています 14。さらに、サステナビリティ分野においても技術の役割が拡大しており、独自の炭素排出量分析ツール「Carbon Compass」の外販や、炭素除去技術(Carbon Removal)への直接投資を通じて、気候テック領域でのプレゼンスを高めていく計画です 17。
JPモルガン・チェースの技術投資戦略は、「規模の経済」を最大限に活用し、競合他社が追随不可能な「参入障壁」を構築することにあります。過去5年間のデータは、パンデミックや経済変動にかかわらず、技術投資を一貫して増加させてきた事実を示しています。特に重要なのは、システム維持費(Run the Bank)を抑制しつつ、新規開発投資(Change the Bank)の絶対額と比率を増やしている点です。
表1:技術投資額および関連指標の推移(2019年-2024年)
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会計年度 |
技術総支出 (Total Tech Expense) |
前年比成長率 (YoY) |
うち新規投資額 (Investments/Change the Bank) |
新規投資比率 |
従業員数 (Total Employees) |
主な戦略的焦点 |
引用 |
|
2024 (計画) |
$17.0 Billion |
+11.1% |
~$8.5 Billion (Est.) |
~50% |
生成AI基盤 (LLM Suite)、Kinexys拡大、サイバーセキュリティ |
1 |
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2023 |
$15.3 Billion |
+7.0% |
$7.2 Billion |
47.1% |
パブリッククラウド移行、AI/MLの収益化開始 |
3 |
|
|
2022 |
$14.3 Billion |
+14.4% |
Not Disclosed |
Not Disclosed |
データセンター統合、Chase.comのAWS全面移行 |
3 |
|
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2021 |
$12.5 Billion |
+6.8% |
Not Disclosed |
Not Disclosed |
デジタルバンキング機能拡張、リモートワーク基盤整備 |
3 |
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2019 |
$11.7 Billion |
- |
Not Disclosed |
Not Disclosed |
レガシーモダナイゼーション、アジャイル開発の導入 |
3 |
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解説:170億ドルの投資が意味するもの
2024年の技術予算170億ドルは、単なるITコストではありません。アナリストのマイク・メイヨ氏がJPMCを「銀行業界のNVIDIA」と評したように 1、この予算は企業の構造転換を目的としています。
CEOジェイミー・ダイモンおよびCIOロリ・ビールの発言は、技術が経営戦略の「従」ではなく「主」であることを明確に示しています。
ブロック引用:AIの破壊的インパクトについて(Jamie Dimon, 2023 Annual Letter)
"While we do not know the full effect or the precise rate at which AI will change our business—or how it will affect society at large—we are completely convinced the consequences will be extraordinary and possibly as transformational as some of the major technological inventions of the past several hundred years: Think the printing press, the steam engine, electricity, computing and the Internet, among others."
(AIが我々のビジネスをどの程度の速度で変えるか、社会にどのような影響を与えるか、その全容は未知数であるが、我々はその結果が並外れたものになると確信している。それは印刷機、蒸気機関、電気、コンピュータ、インターネットなど、過去数百年の主要な技術的発明と同様に、変革をもたらす可能性がある。)20
ブロック引用:クラウド戦略の進捗と目標(Jamie Dimon, 2023 Annual Letter)
"Getting technology to the cloud (public or private) is essential to fully maximize all capabilities, including the power of data... To date, about 50% of applications run a large part of their processing in the public or private cloud... By the end of 2024, the goal is to have 70% of applications and 75% of data moved to the public or private cloud."
(技術をクラウド(パブリックまたはプライベート)へ移行することは、データの力を含むあらゆる能力を最大化するために不可欠である...現在までに約50%のアプリケーションがクラウド上で稼働している...2024年末までに、アプリケーションの70%、データの75%をクラウドへ移行することを目標としている。)14
ブロック引用:技術投資と成長の相関(Lori Beer, CIO)
"We move $10 trillion a day … So there is a direct correlation to our tech investments, products and services. There's just the normal business growth, and then there's the continued optimization of how we use infrastructure."
(我々は1日に10兆ドルを動かしている...つまり、我々の技術投資、製品、サービスには直接的な相関関係がある。通常のビジネス成長に加え、インフラ利用の継続的な最適化が存在する。)1
JPMCの技術ポートフォリオは、金融業務のバリューチェーン全体をカバーしていますが、特に「AIによる判断支援」と「ブロックチェーンによる価値移転」の2点において、業界標準を塗り替えるような独自技術の開発に注力しています。
JPMCのAI戦略は、単発のツール導入ではなく、全社的な「AIエコシステム」の構築にあります。
2024年11月、JPMCはブロックチェーン事業部門「Onyx」を「Kinexys(キネクシス)」へリブランドしました。これは、実験的なフェーズを終え、グローバルな金融インフラとして本格稼働することを宣言するものです 4。
表2:Kinexysプラットフォームの構成要素とビジネス機能
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プロダクト名 (旧称) |
機能・役割 |
ビジネスインパクト・実績 |
引用 |
|
Kinexys Digital Payments (JPM Coin) |
ブロックチェーンベースの預金口座・決済レール。24/7稼働、多通貨対応。 |
日次取引額$2B以上。決済トランザクション数10倍増(YoY)。FX機能の実装予定。 |
4 |
|
Kinexys Digital Assets (Onyx Digital Assets) |
資産のトークン化および担保管理プラットフォーム。日中レポ取引(Intraday Repo)を提供。 |
累計処理額$1.5 Trillion以上。国債やMMFをトークン化し、即時資金調達に利用。 |
4 |
|
Kinexys Liink (Liink) |
金融機関向け情報共有ネットワーク。口座情報の照合やコンプライアンスチェックを効率化。 |
世界中の銀行が参加するエコシステムを形成。誤送金やAMLコストの削減に貢献。 |
24 |
|
Kinexys Labs (Blockchain Launch) |
新技術の研究開発ハブ。プライバシー保護技術やデジタルIDの開発。 |
"Project EPIC"によるプライバシー保護(ゼロ知識証明等)の実装研究。 |
23 |
解説:プログラム可能な決済(Programmable Payments)
Kinexysの核心は「プログラマビリティ」にあります。MITメディアラボのデジタル通貨イニシアチブ(DCI)との共同ホワイトペーパーでは、スマートコントラクトを用いて「条件付き決済」や「自動リバランス」を実現する技術的枠組みが詳述されています 26。これにより、財務担当者は「金利がX%を超えたら資金を移動する」「在庫が到着したら支払いを実行する」といった複雑なロジックを自動実行できるようになり、企業のキャッシュマネジメントに革命をもたらします。
JPMCの特許戦略は、出願件数を追うことよりも、金融サービスにおけるAI利用のリスク(ハルシネーション、バイアス、プライバシー)を制御するための「ガバナンス技術」の権利化に重点を置いています。
表3:主要なAI・データ関連特許および出願(2023-2025年公開分)
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公開番号 / 出願番号 |
発明の名称 (Title) |
技術概要とビジネス上の意義 |
引用 |
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US-2025-0245439-A1 |
Systems and Methods for Detecting Data Drift... |
AIモデルに入力されるデータの統計的性質が変化(ドリフト)したことを自動検知する技術。市場環境が急変した際に、AIが誤った投資判断を下すのを防ぐために不可欠なリスク管理技術。 |
11 |
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US11921896B2 |
Systems and methods for anonymizing a dataset of biometric data... |
生体認証データを、有用性を維持しつつ匿名化する技術。Kinexysの"Project EPIC"(プライバシー保護)とも関連し、顧客データを安全にブロックチェーン上で扱うための基盤特許。 |
12 |
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US12130731 |
System and method for automated testing of suite of applications |
アプリケーション群の健全性を自動テストする技術。170億ドルの投資により開発される膨大なソフトウェア資産の品質を、人手をかけずに維持するためのDevOps関連特許。 |
28 |
|
IDF-01374-US02 |
System and Method for Implementing a Client Sentiment Analysis Tool |
顧客とのコミュニケーションから感情を分析するツール。コールセンターやチャットボット(LLM Suite)に組み込まれ、顧客満足度の向上や解約予兆の検知に活用される。 |
11 |
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US12045843B2 |
Neural networks / Learning methods |
ニューラルネットワークの学習方法に関する基礎特許。具体的な詳細は要約から読み取れないが、AIのコアアルゴリズムに関する権利化を進めている証左。 |
29 |
分析:特許に見る「守り」の堅牢さ
これらの特許は、JPMCがAIを「魔法の杖」としてではなく、「管理すべき工業製品」として扱っていることを示しています。特にデータドリフトの検知や自動テストに関する特許は、AIシステムが長期間安定して稼働するための「非機能要件」を重視しており、金融機関としての堅実な技術アプローチが反映されています。
JPMCの知財は、社内利用にとどまらず、外部顧客へのサービスとして収益化されています。
JPMCは自社開発(Build)を基本としつつも、時間を買うためのM&A(Buy)や、最先端技術を取り込むための提携(Partner)を戦略的に組み合わせています。
表4:主要な技術関連M&Aおよびパートナーシップ(2021-2025年)
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対象企業/機関 |
形態 |
領域 |
戦略的狙いと統合状況 |
引用 |
|
Aumni |
買収 (2023) |
投資分析 |
評価額約2.3億ドルで買収。ベンチャー投資における法的・財務データの構造化技術を獲得し、キャピタル・コネクト(Capital Connect)プラットフォームの中核機能として統合。 |
30 |
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Renovite Technologies |
買収 (2022) |
クラウド決済 |
クラウドネイティブな決済スイッチング技術を持つ企業。J.P. Morgan Paymentsのインフラ刷新を加速させるために買収。技術的負債の解消に寄与。 |
33 |
|
Global Shares |
買収 (2022) |
株式報酬管理 |
従業員向け株式報酬プラン管理の大手。企業顧客との接点を増やし、将来的なウェルスマネジメント顧客への転換を図る。 |
34 |
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AWS / Caltech |
共同研究 |
量子計算 |
量子アルゴリズムの共同開発。NISQデバイス向けの「分解パイプライン」を開発し、大規模ポートフォリオ最適化問題の解決に目処をつけた。 |
6 |
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QC Ware |
共同研究 |
量子計算 |
「量子ディープヘッジング(Quantum Deep Hedging)」の研究。機械学習と量子計算を組み合わせ、デリバティブのリスク管理を高度化。 |
35 |
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Climeworks |
パートナー |
脱炭素 |
25,000トンの炭素除去サービス購入契約(9年間)。単なるクレジット購入ではなく、直接空気回収(DAC)技術の商用化を金融面から支援する戦略的パートナーシップ。 |
18 |
JPMCは量子コンピューティングを「次の10年の競争優位」と位置づけています。
JPMCは、技術投資の中でもサイバーセキュリティを最優先事項の一つとしており、年間予算の一部として約8億5,000万ドル以上(推定)をセキュリティ対策に投じていることが示唆されています(※具体的予算は技術総額に含まれるが、保護関連戦略への配分から推計)37。
現時点で、JPMCが被告または原告となっている、経営に重大な影響を与える規模の知財訴訟は確認されていません。しかし、商標戦略においては積極的な動きが見られます。
JPMCの技術戦略をより深く理解するためには、米国の他のメガバンクとの比較が不可欠です。特にバンク・オブ・アメリカ(BofA)とは、アプローチにおいて明確な対照性が見られます。
表5:米国主要銀行の技術・知財戦略比較(2024年)
|
指標 |
JPMorgan Chase (JPM) |
Bank of America (BofA) |
Citigroup (C) |
Wells Fargo (WFC) |
|
技術予算 |
$17.0 Billion (業界最大) |
~$12.0 Billion |
Total Expenseの一部 |
~$4.0 Billion (ICT Spend) |
|
特許保有数 |
~1,100件 (推定) |
~6,600件 (業界最大) |
Not Disclosed |
Not Disclosed |
|
年間特許取得 |
~115件 (2020実績) |
644件 (2023実績) |
- |
- |
|
AI戦略 |
LLM Suite (内製PF重視)
独自基盤構築に巨額投資 |
Erica (既存AIの拡張)
特許数で防衛網を構築 |
GenAI Pilot
業務効率化中心 |
Fargo
Google Cloud連携 |
|
ブロックチェーン |
Kinexys (商用化・収益化)
$2B/dayの取引規模 |
Paxos連携
部分的な活用 |
Citi Token Services
貿易金融・現金管理 |
未発表 |
|
クラウド戦略 |
Hybrid Cloud
AWS + 4つの新設私設DC |
Private Cloud重視
独自クラウド比率が高い |
Public Cloud活用
Google Cloud連携強化 |
Azure/GCP
マルチクラウド |
|
引用 |
1 |
2 |
41 |
1 |
詳細比較分析:JPMC vs Bank of America
JPMCの知財戦略において見逃せないのが、気候変動対策技術です。同社は金融機関として初めて、投融資ポートフォリオの炭素強度を測定・管理するための独自メソドロジー「Carbon Compass」を開発し、これを一種の知的財産として活用しています。
JPMCの技術戦略は、以下の3つのフェーズで進化していくことが予想されます。
JPモルガン・チェースの知財戦略は、**「圧倒的な資本による技術の工業化」**と要約できます。彼らは特許の数で勝負するのではなく、170億ドルという国家予算並みの投資を通じて、独自のAI基盤(LLM Suite)や経済圏(Kinexys)を構築し、物理的なインフラとデータ量で競合を無力化しようとしています。Not Disclosed(非公開)の部分も多いものの、公開されている情報だけでも、同社が金融機関の枠を超え、世界最大級のデータ・プラットフォーマーへと変貌しつつある事実は疑いようがありません。
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