3行まとめ
「arrowhead 4.0」による超高速・高信頼インフラの確立
2024年稼働の第4世代システムでは、0.2ミリ秒の注文応答時間と3ノード同期技術を実装し、国際競争力のある処理速度と障害へのレジリエンス(強靭性)を両立させています。
「Progmat」等への出資によるデジタル資産基盤の標準化
戦略子会社JPXIを通じてProgmatやBOOSTRYへ出資し、セキュリティトークン領域などで自前主義を排したオープンイノベーションによるエコシステム拡張と標準化を推進しています。
AWSとの実証実験およびAI活用によるビジネスモデル転換
基幹売買機能へのクラウド適用(AWS)に向けた実証実験を開始するとともに、生成AIサービス「J-LENS」などでデータを高付加価値化し、ハードウェア依存からの脱却を図っています。
1. エグゼクティブサマリー: 「Exchange & Beyond」に向けた技術的転換点
日本取引所グループ(JPX)は現在、伝統的な「市場開設者」としての役割から、グローバルな「総合金融・情報プラットフォーム」への質的転換を図る重大な局面にある。長期ビジョン「Target 2030」および「中期経営計画2027」において、同社は従来の取引・清算機能の提供にとどまらず、データ、デジタル技術、ESG(環境・社会・ガバナンス)情報を融合させた新たな価値創造プロセスを構築している。本ファクトブックは、JPXの技術基盤、知的財産(IP)戦略、および戦略的投資ポートフォリオを網羅的に調査・分析したものであり、経営層が技術経営(MOT)の観点から意思決定を行うための基盤情報を提供する。
調査の結果、JPXの知財・技術戦略は明確な「バイモーダル(二極化)」アプローチを採用していることが明らかとなった。
第一の柱は、**「要塞化されたコアインフラ(Fortress Infrastructure)」**である。現物株取引システム「arrowhead」およびデリバティブ取引システム「J-GATE」においては、ベンダー(富士通、Nasdaq)との強固な共創関係のもと、極限までレイテンシー(遅延)を短縮し、かつティア1(最高水準)の可用性を維持するための「実装技術」そのものを競争力の源泉たるIPとして位置づけている。ここでは、特許による排他権の主張よりも、ブラックボックス化された運用ノウハウと、巨額の設備投資による参入障壁の構築が優先されている。
第二の柱は、**「オープンイノベーションによるエコシステム拡張(Ecosystem Expansion)」**である。2022年に設立された戦略子会社「JPX総研(JPXI)」を中核として、ブロックチェーン、AI(人工知能)、クラウド技術を活用した新領域の開拓が進められている。ここでは、自前主義を脱却し、ProgmatやBOOSTRYといった外部プラットフォームへのマイノリティ出資を通じて、業界標準(デファクトスタンダード)の形成に関与する戦略が採られている。特に「グリーン・トラッキング・ハブ」に見られるIoTとブロックチェーンの融合は、サステナブルファイナンス領域におけるJPX独自の技術的優位性を示している。
本報告書における主要な分析結果と戦略的インサイト:
- レジリエンス(強靭性)のIP化: 2020年のシステム障害を教訓に、arrowhead 4.0では「3ノード同期」などの冗長化技術が強化された。これは単なる防災対策ではなく、国際金融都市としての信頼性を担保するための「無形資産」として機能している1。
- ハイブリッド・クラウド戦略の始動: AWS(Amazon Web Services)との協業によるクラウド活用実証実験(PoC)は、2030年代に向けた抜本的なアーキテクチャ変更の予兆である。これは、ハードウェア依存型のIPモデルから、クラウドネイティブなロジック依存型のIPモデルへの移行を示唆しており、将来的なCAPEX(資本的支出)構造を劇的に変化させる可能性がある3。
- データの「製品化」と知財権: 従来、取引の副産物に過ぎなかった市場データは、今や「JPXプライム150指数」やAI検索サービス「J-LENS」といった高付加価値商品へと昇華されている。これらは著作権や商標権、および独自の算出ロジック(ノウハウ)によって保護された戦略的IPである4。
- 脱・自前主義のセキュリティトークン戦略: セキュリティトークン(ST)領域において、JPXは自社で独自のブロックチェーンを開発するのではなく、「Progmat」や「ibet for Fin」といったコンソーシアム型プラットフォームへの出資を通じて、インフラの標準化を主導する立ち位置を確保している7。
2. コア・トレーディング・インフラストラクチャ:防衛的IP戦略の深層
JPXの競争優位の源泉は、世界最高水準の処理能力と信頼性を誇るマッチングエンジンにある。この領域における知財戦略は、単に特許を出願することではなく、ベンダー技術と独自の業務要件(ビジネスロジック)を高度に融合させ、他社が模倣困難なシステム環境を構築することにある。
2.1 現物株式売買システム「arrowhead」の進化と技術的特異点
東京証券取引所(TSE)の象徴である「arrowhead」は、富士通との共同開発により進化を続けてきた。2010年の初代稼働以来、高速性(Low Latency)と信頼性(Reliability)を両立させる技術的挑戦の歴史そのものが、JPXの技術的ブランドを形成している。
2.1.1 arrowhead 4.0:技術仕様に見るIPの所在
2024年11月5日に稼働を開始した第4世代「arrowhead 4.0」は、市場利用者の利便性向上、国際競争力の強化、そしてレジリエンスの向上を目的として開発された。その技術的スペックは、世界の主要取引所と比較してもトップティアに位置する1。
主要技術仕様と戦略的含意:
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機能コンポーネント
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技術仕様・性能指標
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知財・技術経営上の含意
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注文応答時間 (Order Response)
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約0.2ミリ秒 (200マイクロ秒)
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HFT(高頻度取引)業者の要求水準を満たす低遅延を実現。FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアアクセラレーション技術の活用が推測され、これらは富士通との共同特許やノウハウとして保護される領域である1。
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情報配信時間 (Info Dissemination)
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約0.5ミリ秒
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約定情報を瞬時に市場へ伝播させる能力は、アルゴリズム取引の透明性を担保する重要な機能であり、データ商品としての価値を高める1。
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システムアーキテクチャ
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3ノード同期データサーバ
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レジリエンスIP: 従来のホットスタンバイ方式を超え、常に3つのノードが同期して処理を行うことで、障害時の切り替え時間を極小化し、データロストを防ぐ。これは2020年の機器故障による全日停止事故への直接的な技術的回答であり、運用プロセスの核心的IPである1。
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開発パートナー
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富士通株式会社
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共同IP: 富士通の高性能サーバ「PRIMEQUEST」やミドルウェア「Primesoft」等に依存しており、JPXの業務要件と富士通の基盤技術が不可分に結合している9。
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新規実装機能におけるビジネスロジックIP:
arrowhead 4.0では、以下の新機能が実装されており、これらはプログラムコードとして著作権保護されるだけでなく、市場運営ルールとシステムロジックが一体となったビジネスモデル特許の対象となり得る領域である。
- クロージング・オークション(Closing Auction):
売買立会終了前の5分間(15:25~15:30)にプレ・クロージング時間を設け、板寄せを行う方式。特に「スペシャル・エグゼキューション(Special Execution)」と呼ばれる、板寄せ不成立時に時間優先で指値注文を約定させるロジックは、価格形成の透明性と約定機会の最大化を両立させるための複雑なアルゴリズムであり、JPX独自の市場設計ノウハウが凝縮されている1。
- FLEX Market by Order (MBO):
従来の気配値段ごとの数量配信(FLEX Standard)に加え、すべての注文情報を個別に配信するサービス。これにより、投資家は板状況をより詳細に分析可能となる。膨大なデータストリームを遅延なく配信する技術は、システムのスケーラビリティを示すとともに、新たな収益源(有料データサービス)としてのIP活用事例である1。
2.1.2 クラウドシフトへの布石:AWS活用実証実験 (PoC)
JPXの技術戦略における最大の転換点は、2025年11月に発表された「現物売買システムのクラウド適用可能性に関する実証実験(PoC)」である3。
- パートナー: 東京証券取引所、富士通、アマゾン ウェブ サービス(AWS)。
- 実験のスコープ: 現在のarrowhead 4.0でもシステムリソースの蓄積やログ分析といった周辺機能にはAWSが利用されているが、今回のPoCでは**「売買機能」そのものを含むミッションクリティカルな領域**へのクラウド適用を検証する。
- 戦略的インサイト: これは「Target 2030」以降の次世代システムを見据えた動きである。もし中核機能のクラウド化が実現すれば、JPXの技術的資産は「特定のハードウェア(オンプレミス)への最適化技術」から、「クラウドネイティブな分散処理ロジック」へと移行する。これにより、ハードウェアの老朽化リスクや更改サイクルの硬直性から解放される一方、AWSというプラットフォーマーへの依存度が高まるため、マルチクラウド対応やコンテナ技術などの新たな技術的自律性がIP戦略の焦点となるだろう。
2.2 デリバティブ売買システム「J-GATE」:グローバル標準への同化戦略
独自開発のarrowheadとは対照的に、大阪取引所(OSE)のデリバティブシステム「J-GATE」は、グローバルスタンダードであるNasdaq Genium INETパッケージを採用している。ここでのIP戦略は「差別化」ではなく「同質化」による国際流動性の取り込みにある。
2.2.1 J-GATE 3.0 の性能プロファイルと標準化の利点
2021年9月に稼働したJ-GATE 3.0は、世界中の機関投資家が接続しやすい環境を提供することを最優先している10。
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指標
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仕様
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ベンチマーク・背景
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レイテンシー (50%値)
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40マイクロ秒
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ナノ秒単位を争う世界の先物市場において、十分な競争力を持つ低遅延性能。これにより、HFTによるマーケットメイクや裁定取引を誘致している10。
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スループット
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約100,000件/秒
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ボラティリティ急拡大時や、取引時間が長い夜間セッション(ナイト・セッション)における注文集中に耐えうる高いスケーラビリティを確保10。
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接続プロトコル
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ITCH (市場データ) / OUCH (注文)
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APIの標準化: Nasdaqの標準プロトコルを採用することで、シカゴ(CME)や欧米市場に接続している海外投資家が、追加の開発コストを最小限に抑えて日本市場に参入できる。API仕様自体はNasdaqのIPであるが、それを採用することによる「ネットワーク外部性」をJPXの資産として活用している10。
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2.2.2 動的サーキットブレーカー (DCB) と運用IP
J-GATEの運用において重要な技術的要素が、動的サーキットブレーカー(DCB: Dynamic Circuit Breaker)である。これは、急激な価格変動が発生した際に一時的に取引を中断し、冷却期間(板合わせ)を設ける仕組みである。
- 運用インシデントからの考察(2024年8月・2025年11月):
2024年8月および2025年11月、OSEは指数オプション取引等において「DCB値幅の拡大」を予定していたが、相場状況等を鑑みて急遽「拡大のキャンセル(取りやめ)」を行う措置をとった12。
これらの事例は、システムが自動的に機能するだけでなく、市場運営者(Market Operations)がパラメータを動的に管理・調整する**「運用ノウハウ(Operational IP)」**の重要性を示唆している。パッケージシステムを利用していても、そのパラメータ設定や緊急時の介入判断ロジックは、JPX独自のノウハウとして蓄積されている。
2.3 ネットワーク基盤「arrownet」とコロケーション
arrowheadとJ-GATEをつなぐ神経系である「arrownet」およびコロケーション(Co-location)サービスは、物理的なIP資産である。
- L1マルチキャスト:
JPXは「L1(レイヤー1)マルチキャスト」サービスを提供しており、これはネットワークスイッチの物理層レベルでデータを複製・配信することで、極めて低遅延かつ確定的な(ジッターの少ない)データ受信を可能にする。この物理インフラの設計・運用は、HFT業者を繋ぎ止めるための強力な技術的優位性となっている14。
- リスク管理機能:
ネットワーク切断時に自動的に未約定注文を取り消す「Cancel on Disconnect」や、異常発注時に強制的に注文を停止する「Kill Switch」機能は、システムの安全性と市場の公正性を担保するための必須機能であり、これらは投資家保護の観点からも重要な技術的実装である1。
3. デジタル・イノベーションと新資産クラス(JPXIの戦略)
2022年4月に設立された**株式会社JPX総研(JPX Market Innovation & Research, Inc. / JPXI)**は、グループのデータ・デジタル事業を集約し、従来の取引所ビジネスの枠を超えた収益源を創出する「出島」としての役割を担っている。JPXIの知財戦略は、守り(コアシステムの安定稼働)から攻め(新技術の社会実装)へとシフトしている。
3.1 ブロックチェーン・セキュリティトークン戦略:コンソーシアム型標準の確立
JPXは、独自のプライベート・ブロックチェーンを構築して囲い込むのではなく、主要な金融機関が参加するコンソーシアム型プラットフォームに出資・参画することで、業界標準(デファクトスタンダード)を形成する戦略を採っている。これにより、技術開発リスクを分散しつつ、将来的な決済・清算インフラとしての主導権を確保しようとしている。
3.1.1 Progmat(プログマ)との連携
JPXは、三菱UFJ信託銀行が主導し、SMBC、みずほ、SBI、NTTデータなどが出資する株式会社Progmatに株主として参画している7。
- プラットフォームの役割: Progmatは、セキュリティトークン(ST)、ユーティリティトークン、ステーブルコインの発行・管理を行うための共通基盤である。
- 戦略的意図: 2026年にも予想される「トークン化法(Tokenization Act)」の整備や、トークン化された株式の流通を見据え、JPXは国内最大の「ナショナル・インフラ」となりうるProgmatに出資することで、将来的なデジタル資産市場における清算・決済(ポストトレード)のハブとしての地位を盤石にしている7。
- ステーブルコインとの接続: Progmatは「Progmat Coin」基盤を通じて、Cosmos等のパブリックチェーンとのクロスチェーン決済(TOKIやNobleとの提携)を推進している16。JPXはこのエコシステムに関与することで、将来的なグローバル資金決済の効率化や、24時間365日取引の実現に向けた布石を打っている。
3.1.2 BOOSTRYと「ibet for Fin」
JPXは、野村ホールディングスと野村総合研究所(NRI)のジョイントベンチャーであるBOOSTRYにも5%出資している8。
- 技術スタック: BOOSTRYが開発する「ibet for Fin」は、コンソーシアム型のブロックチェーンネットワークであり、金融機関がノードを運営する分散型金融(DeFi)の要素を取り入れている。
- ユースケース: JPX自身が発行した「デジタル環境債(Digitally Tracked Green Bond)」の裏側には、このibet for Finが採用されている。JPXはBOOSTRYと提携することで、債券の発行・管理プロセスのデジタル化技術を実地で検証し、その知見を自社の知財として蓄積している8。
3.2 サステナブル・ファイナンス技術:グリーン・トラッキング・ハブ
JPXが開発した**「グリーン・トラッキング・ハブ(Green Tracking Hub)」**は、ESG投資における最大の課題である「グリーンウォッシング(見せかけの環境配慮)」を技術的に解決する独自のIP資産である18。
- システムアーキテクチャと特許性:
- IoTデータ連携: 投資対象となる再生可能エネルギー発電所(バイオマス、太陽光等)に設置されたスマートメーター等から、発電量データを自動的に取得する。
- ブロックチェーン記録: 取得したデータをCO2削減量に換算し、その実績値をセキュリティトークン(Green Bond Token)上に日次で記録する(ibet for Fin基盤)。
- 可視化レイヤー: 投資家向けWebダッシュボードにおいて、改ざん不可能な実績データをグラフ等で可視化し、CSVダウンロード機能を提供する。
- IPの価値: 従来、年次報告書等で手作業で行われていたレポーティング業務を自動化・リアルタイム化するこの仕組みは、ビジネスモデル特許の要素を多分に含んでおり、日立製作所等が発行するデジタルグリーンボンドにも採用されるなど、JPXIのB2Bソリューション(Sustainability-as-a-Service)として外販可能な資産となっている21。
3.3 人工知能 (AI) の活用:J-LENSと業務効率化
JPXはAI技術を実験段階から実用段階へと移行させ、特に自然言語処理(NLP)を活用した開示情報の価値最大化に取り組んでいる。
- J-LENS (ベータ版):
2025年12月に公開されたこのサービスは、生成AI(LLM)を活用し、企業の適時開示情報(TDnetデータ)を自然言語で検索・分析できるツールである4。
- 技術的特徴: 「ベクトル検索」技術を採用しており、「利上げ」と「金利引き上げ」のような用語の揺らぎを吸収するほか、「配当を20%以上増額した企業」といった文脈的なクエリに対応する。
- マネタイズ: 現状は無料であるが、将来的な有料化が計画されており、JPXが保有する膨大なテキストデータを収益化するための重要なIPプロダクトである。
- 売買審査におけるAI活用:
ロンドン証券取引所グループ(LSEG)がAmazon Bedrockを活用して市場監視を高度化しているのと同様に、JPXも市場監視業務において生成AIを活用し、ニュースのセンチメント分析と株価変動の相関を分析することで、インサイダー取引や相場操縦の検知能力を向上させていることが推察される24。
4. 投資戦略と予算配分:技術への資本投下
「中期経営計画2027」および「ITマスタープラン」において、JPXは技術投資を成長のドライバーとして明確に位置づけている。
4.1 IT投資予算の構造
2025年度から2027年度にかけてのIT戦略では、以下の規模での投資が計画されている。
- 成長投資枠: 3年間で約500億円規模のCAPEXを見込んでおり、その多くがシステム更改およびデジタル・データ分野への投資に充てられる26。
- コスト構造の変化: 2025年度の営業費用は前年度比2%増の790億円となる見込みである。この増加要因には、arrowhead 4.0の償却費開始に加え、クラウド移行に向けた検証コストや、デジタル人材の採用・育成コストが含まれている28。
- 戦略枠: 既存システムの維持更新とは別に、JPXIを中心とした「デジタル・データ」領域の成長投資に約100億円が配分されている29。
4.2 戦略的マイノリティ出資ポートフォリオ
JPXは、自社開発にこだわらず、特定領域で優れた技術を持つ企業へのマイノリティ出資を通じて、R&Dリスクを外部化しつつ技術アクセス権を確保する戦略(CVC的アプローチ)をとっている。
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投資先企業
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出資規模・形態
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戦略的意図・獲得技術
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出所
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Digital Asset Markets
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約3.1百万ドル (マイノリティ)
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暗号資産交換業のノウハウ獲得、金(ゴールド)裏付けトークン「ジパングコイン」等の流通基盤連携。
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30
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OpenGamma
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100万ドル (マイノリティ)
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デリバティブのリスク管理・証拠金計算における高度な分析技術の獲得。
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31
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ミンカブ・ジ・インフォノイド (旧 みんせつ)
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5億円
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IRコミュニケーションプラットフォームとの連携。決算説明会情報のデータ化とJPXサイトへの統合。
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32
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BOOSTRY
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5%
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セキュリティトークン基盤「ibet for Fin」への関与。デジタル債券の発行インフラ確保。
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8
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Progmat
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共同出資
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ステーブルコイン・デジタル資産のナショナルプラットフォームへの関与。
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7
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4.3 TSE Asia Startup Hub によるエコシステム形成
将来のIPOパイプラインを確保するため、TSEは「TSE Asia Startup Hub」を立ち上げ、アジアの有望スタートアップを囲い込んでいる。
- 2025年支援対象: シンガポール、韓国、マレーシア等から20社を選定(例:Intellect、Tonik Financial、Surfin Meta Digital Technology等)。
- 知財的側面: これは直接的な技術獲得というよりは、JPXの市場規則やガバナンス基準をアジアのスタートアップに早期に適用させる「ソフトIP」の輸出戦略であり、将来的な上場手数料およびデータ収益の確保を狙ったものである33。
5. 知的財産ポートフォリオと特許分析
JPXの特許戦略は、一般的なテクノロジー企業のように「基本特許で市場を独占する」ことではなく、ベンダーとの共同出願を通じて「特定の実装技術を防御する」ことに主眼が置かれている。
5.1 共同出願特許(富士通・TSE)
特許データベースの調査からは、特に「arrowhead」に関連すると思われる共同出願が確認される。
- 主要テーマ: 「自動取引システム」「注文マッチングロジック」「高速データ処理」に関する特許群。
- 特許事例 (US Patent 8,725,621 等): 市場価格情報に応答して注文を処理する自動システムに関する特許。これはレイテンシー・アービトラージ(遅延裁定)を防ぐためのロジックや、大量注文時の負荷分散処理など、市場の公平性を技術的に担保する仕組みを保護していると考えられる36。
- UI/UX関連: 過去の特許(US 7,725,382等)には、トレーディング画面のインターフェースや板情報の表示方法に関するものが含まれており、これらは取引端末のユーザビリティを保護する意図が見られる37。
5.2 第三者特許への対応(Trading Technologiesの事例)
電子取引の世界では、米国のTrading Technologies社(TT)などが保有する「板画面(MD Trader)」等の特許網が強力な影響力を持っている。
- リスク管理: TT社は「クリック・ベース・トレーディング」等の特許(US 7,693,768等)を積極的に行使してきた歴史がある。JPXおよび接続するISV(独立系ソフトウェアベンダー)は、これらの特許を侵害しないよう、GUIの設計やAPIの仕様策定において慎重な回避策またはライセンス対応を行っていると推測される39。
- API同期: OSEのJ-GATEにおいて、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のiLink 3.0移行などに合わせてAPI仕様を同期させているのは、TT社などのグローバルベンダーのプラットフォームを利用する海外投資家の利便性を損なわないための措置であり、間接的な知財リスク管理の一環とも言える40。
5.3 データ権・インデックスIPの強化
JPXは、システムそのものよりも、そこから生成される「データ」と「指数(インデックス)」の権利化を強化している。
- JPXプライム150指数: PBR(株価純資産倍率)1倍超、ROE(自己資本利益率)8%超という「価値創造企業」を選抜する独自のメソドロジー(算出方法)自体がIPであり、これに連動するETFや先物商品からのライセンス収入を狙っている6。
- JPX Start-Up Acceleration 100 Index: 2026年3月算出開始予定のこの新指数は、「売上高成長率」と「時価総額成長率」に着目してスタートアップを選定する。グロース市場のボラティリティと成長性を商品化するためのIPプロダクトである5。
6. ガバナンス・リスク管理とシステムの強靭化
技術的失敗はJPXにとって最大の経営リスクであり、その再発防止策は「組織的・プロセス的IP」として体系化されている。
6.1 2020年システム障害と再発防止のIP化
2020年10月1日、arrowheadの機器故障とバックアップ切替の不具合により、TSEは終日売買停止に追い込まれた2。
- 技術的対策: arrowhead 4.0における「3ノード同期」の実装。
- 運用ルールのコード化: 障害発生時の「再開判断」や「停止判断」のプロセスを明確化・ルール化し、人間の判断ミスを排除する手順を確立した。これもまた、安定稼働を支える重要なノウハウである。
6.2 サイバーセキュリティとインサイダー取引対策
- 投資規模: 年間のサイバーセキュリティ予算は約100億円規模と推定され、ISO 27001等の国際基準に準拠した多層防御を構築している43。
- インサイダー取引インシデント(2024/2025): TSE社員がTDnetの未公開情報を悪用したインサイダー取引事件が発生し、金融庁から業務改善命令を受ける事態となった45。
- 対策のIP化: これを受け、上場部や適時開示担当部門における情報アクセスの物理的・論理的遮断、生体認証の導入、AIによるアクセスログ監視など、内部不正を防ぐためのセキュリティアーキテクチャ(ゼロトラスト環境)が強化された。これらの内部統制システムもまた、市場の信頼を守るための重要な技術資産である46。
7. 結論と今後の展望:技術経営の視点から
本調査から導き出される結論として、日本取引所グループは「堅牢な市場運営者」としての責務を果たしつつ、「データ・デジタル企業」への脱皮を着実に進めている。
経営層への提言・インサイト:
- クラウド移行の不可避性とIP戦略の再構築:
arrowheadのAWS PoCは単なる実験ではなく、2030年代のメインシナリオに向けた準備である。クラウド化が進めば、ハードウェア(富士通製)への依存は低下するが、AWSという巨大プラットフォーマーへの依存が高まる。したがって、**「クラウド上で稼働する独自のマッチングロジックやデータ処理アルゴリズム」**の特許化や秘匿化が、次世代のコアIP戦略となるべきである。
- G-HUBエコシステムの収益化:
Progmatやみんせつへの投資により、JPXは証券のライフサイクル(発行→IR→取引→決済→管理)の全工程にインフラとして関与する地位を築きつつある。今後は、これらの点在するサービスをID連携やデータ連携で結びつけ、**「JPX ID」**のような共通基盤を通じてユーザーを囲い込むプラットフォーム戦略が有効となる。
- データビジネスの高付加価値化:
J-LENSやJPXプライム150指数の投入は、「生のデータ」を売るモデルから「インサイト(洞察)」を売るモデルへの転換を意味する。この高マージンビジネスは、取引手数料収入の変動を補完する安定収益源として、今後さらに重要性を増すだろう。
- 信頼(Trust)の技術的担保:
インサイダー事件やシステム障害は、JPXのブランド(信認)を毀損する最大のリスクである。AIを用いた市場監視や、ブロックチェーンを用いた改ざん防止技術(グリーン・トラッキング・ハブ等)は、単なるコストセンターではなく、**「信頼を技術的に証明するツール」**として、ESG経営の中核に据えられるべきである。
総括:
JPXは、ベンダー依存の強固な基盤(レガシー)を持ちながら、JPXIを通じて機動的に新技術を取り込む(モダン)という、バランスの取れた技術ポートフォリオを構築している。今後の成長は、物理的な取引速度(レイテンシー)の追求よりも、蓄積されたデータとデジタル技術をいかに組み合わせて、新たな市場(デジタル資産、環境価値、データサービス)を創造できるかにかかっている。
補遺:主要データテーブル
表1: 主要システム・プロダクトの技術仕様と状況 (2025年度時点)
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システム/製品
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セグメント
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ベンダー/パートナー
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コア技術
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特記事項 (2024-25更新)
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arrowhead 4.0
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現物株式
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富士通
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PRIMERGY / FPGA / In-memory
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応答0.2ms、クロージング・オークション導入、3ノード同期、AWS PoC開始1
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J-GATE 3.0
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デリバティブ
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Nasdaq
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Genium INET
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応答40µs、ITCH/OUCHプロトコル、動的サーキットブレーカー(DCB)10
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Green Tracking Hub
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ESG/債券
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日立製作所 / JPXI
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Hyperledger / IoT
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発電量・CO2削減量の自動計測・記録、デジタル環境債の可視化19
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J-LENS
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情報サービス
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JPXI
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生成AI (LLM) / ベクトル検索
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自然言語による開示情報検索、配当増額企業等のスクリーニング4
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Progmat
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デジタル資産
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三菱UFJ信託等
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Corda / Blockchain
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セキュリティトークン、ステーブルコインの発行・管理基盤7
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表2: 財務・投資データ (中期経営計画2027関連)
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項目
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数値 (概算)
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備考
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2025年度 営業収益予想
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1,610億円
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前年並み。市場環境(売買代金5兆円前提)に依存28。
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2025年度 営業費用予想
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790億円
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前年比+5.2%。arrowhead償却費増およびクラウド移行検討費用等28。
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ITマスタープラン投資枠
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500億円超 (3年間)
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システム更改に加え、デジタル・データ分野への成長投資を含む26。
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株主還元 (3年間)
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1,700億円
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配当性向60%以上、自己株式取得600億円を含む47。
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(以上)
引用文献
- Services (arrowhead) | Equities Trading Services | Japan Exchange Group - JPX, 1月 18, 2026にアクセス、 https://www.jpx.co.jp/english/systems/equities-trading/01.html
- Tokyo Stock Exchange suspends day's trade after worst-ever system glitch, 1月 18, 2026にアクセス、 https://www.tbsnews.net/world/global-economy/tokyo-stock-exchange-suspends-days-trade-after-worst-ever-system-glitch-139906
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- Japan exchange launches AI-powered disclosure search service, 1月 18, 2026にアクセス、 https://www.japantimes.co.jp/business/2025/12/10/markets/exchange-ai-disclosure-search/
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