3行まとめ
知的資本を成長の源泉に位置づけ、独自技術で加工食品・低温物流の収益力を強化
ニチレイグループは統合報告書において「知的資本」を人的資本・DXと並ぶ重要な無形資産と定義し、チキン加工品の独自技術や冷凍米飯ブランドの育成、遠隔操作ロボット・自動搬送機などの最先端技術導入を通じた事業拡大を推進している。
2030年に売上高1兆円・海外比率30%を目標とし、海外投資比率を15%から26%へ拡大
2030年の財務目標として売上高1兆円、営業利益率8%、ROIC 9%以上、ROE 10%以上を掲げ、中期経営計画における設備投資総額1,200億円のうち海外向け投資割合を大幅に引き上げる方針を開示している。
AIシステム導入・蓄電池稼働・アップサイクル商品など、技術の社会実装が加速
2025年以降、製氷事業における生産・輸送・在庫計画を自動立案するAIシステムの導入、グループ初の蓄電池・太陽光発電システムの稼働開始、規格外麺のクラフトビールへのアップサイクルなど、環境・DX・食品ロス削減の各領域で具体的な技術実装が進んでいる。
この記事の内容
株式会社ニチレイの経営および財務基盤に関して、As-of 2026/03/04時点において最新の法定開示情報である「2026年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(発表日:2026年2月3日)および「有価証券報告書の訂正報告書」(提出日:2025年7月18日)に基づき確認した事実を記述する。同資料において、代表取締役社長は大櫛顕也氏であることが明示されている。連結業績の実績値として、「2026年3月期 第3四半期決算短信」の「(1)当四半期の経営成績等の概況」の項目によれば、当第3四半期連結累計期間(2025年4月1日〜2025年12月31日)の売上高実績は537,666百万円(=5,376.66億円)、営業利益実績は30,529百万円(=305.29億円)、経常利益実績は31,354百万円(=313.54億円)、親会社株主に帰属する四半期純利益実績は21,858百万円(=218.58億円)であることが示されている。本期間における研究開発費の実績値は、四半期連結損益計算書内の「販売費及び一般管理費」の項目に含まれる形で1,490百万円(=14.90億円)と計上されており、前年同期(2024年4月1日〜2024年12月31日)の実績である1,610百万円(=16.10億円)と比較して120百万円(=1.20億円)の減少となっている。通期(2025年4月1日〜2026年3月31日)の連結業績予想については、2025年11月11日公表の数値から変更はなく、売上高700,000百万円(=7,000.00億円)、営業利益39,500百万円(=395.00億円)、経常利益40,300百万円(=403.00億円)、親会社株主に帰属する当期純利益28,000百万円(=280.00億円)を計画値として設定している。また、前提条件として通期の年間為替レートを1米ドル150円、1ユーロ160円、1バーツ4.4円と想定していることが確認できる。これらの業績に影響を与える将来のリスクや不確実な要素として、商品開発から原料調達、生産、販売まで一貫した品質保証体制確立の実現性や、新商品・新サービス開発の実現性などが挙げられている。1
ニチレイグループにおける研究開発および技術展開の拠点体制に関して、公式企業情報ページおよび各事業セグメントの公式ページにおいて複数の施設が列挙されている。株式会社ニチレイフーズの技術開発部門は、千葉県千葉市美浜区新港9番地に位置する「ニチレイグループ 技術開発センター」を総合的な研究開発の拠点として運用している。当該センターでは、機器・設備・施設などの「ハード」と、知識・専門性・ノウハウなどの「ソフト」を組み合わせた研究開発体制を構築している。具体的には「研究開発」「商品開発」「装置開発・生産革新」の3つの機能を連携させている。「研究開発」機能ではアセロラや野菜などの素材および食品加工に関する基礎研究や、官能評価および機器分析を通じたおいしさの分析・評価を実施している。「商品開発」機能では、マーケティングプランに基づく商品設計や、実際の工場設備に近い機器を用いた量産化のためのラインテストを実施している。「装置開発・生産革新」機能においては、オリジナル生産装置の開発や工場生産ラインの設計・運用管理(ラインエンジニアリング)、さらには労働力削減や業務効率化を目的としたAI、IoT、ロボティクスなどの最先端技術の導入を推進している。一方、バイオサイエンス事業を担う株式会社ニチレイバイオサイエンスは、埼玉県狭山市新狭山1-11-8に「グローバルイノベーションセンター」を設置している。また、持株会社の管轄として東京都大田区南雪谷3-22-1にニチレイ研修センター「スコレ雪ヶ谷」を配置している。さらに、グループ内には「ニチレイフーズリサーチ」という部門が存在し、全国の食に関する調査を実施している。4
統合報告書(統合レポート2024および2025)に示された中長期の事業戦略ならびに無形資産の取り扱いについて記述する。「ニチレイグループ 統合レポート 2024」において、同社は「知的資本」を成長の源泉となる重要な無形資産の一つと位置づけている。人的資本およびDX(デジタルトランスフォーメーション)と並び、これらの無形資産の価値向上が持続的な企業価値の向上に不可欠であるとの方針を示している。戦略の実行においては、加工食品事業における独自技術を活用したチキン加工品の拡大や、冷凍米飯類におけるブランドの育成による収益性の最大化が言及されている。低温物流事業においては、遠隔操作ロボットや自動搬送機などの最先端技術の導入を加速し、労働力不足へのソリューションを提供することで社会課題の解決と事業拡大を図る方針を示している。「ニチレイグループ 統合レポート 2025」では、2030年の姿として売上高1兆円(=10,000.00億円)、海外売上高比率30%、営業利益率8%、ROIC(投下資本利益率)9%以上、ROE(自己資本利益率)10%以上という具体的な財務目標を掲げている。ROIC向上のための施策として、加工食品事業では戦略カテゴリーの強化や生産設備の投資回収、省人化・効率化、DXの活用を推進し、低温物流事業では欧州主要港湾の基盤強化や他社アセットを活用した輸配送機能の強化、バイオサイエンス事業では分子診断事業での製造原価最適化などを推進している。また、海外売上高比率の目標達成に向けて、中期経営計画(2022年4月1日〜2025年3月31日)の3年間における設備投資総額1,200億円(=1,200.00億円)のうち、海外への投資割合を当初計画の15%から26%に増加させる見込みであることが開示されている。7
環境負荷低減およびサステナビリティに関する中長期のKPI(重要業績評価指標)について、公式サステナビリティページにおける開示事実を記述する。ニチレイグループは、2050年に向けた目標として、国内外を含めたサプライチェーン全体(Scope1、Scope2、Scope3)の温室効果ガス(GHG)排出量を可能な限りゼロに近づける「カーボンニュートラル」の達成を方針として掲げている。この目標に向けた段階的なCO2排出量削減目標として、2030年度の目標値を設定している。具体的には、2030年度目標として、国内および海外のScope1,2の排出量を2022年度基準比で42%削減すること、ならびに国内および海外のScope3の排出量を同じく2022年度基準比で25%削減することを目指している。同ページに記載された図表内の実績値によれば、国内および海外のScope1,2における2024年度の実績は2022年度比で9%の削減(△9%)であり、2025年度の目標としては同16%の削減(△16%)を設定している(なお、別の記載箇所では「2024年度までに2022年度比でCO2排出量20%削減を達成している」との記述も存在し、同一ページ内で一次情報間に不一致が確認される)。Scope3排出量の削減に向けた取り組みとしては、2024年度において排出量算定における計算方法の見直しを行い、カテゴリ1がScope3の約80%を占めることから、サプライヤーとの協働や積極的な対話を通じた削減活動を推進している。また、再生可能エネルギーの導入施策として、バイオマス、太陽光、風力などで発電されたグリーン電力の活用や電力証書の取引を含めたロードマップを策定している。9
2025年以降のニュースリリースに基づく公式な技術展開および製品開発の動向について記述する。2025年1月23日の発表において、ニチレイは新型コロナウイルスとインフルエンザの両方を同時に検査できる抗原定性検査キット「アンスペクトコーワW」の製造および販売の開始を公表した。食品技術の社会発信として、2025年4月9日には、大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「EARTH MART」内に設けられる「進化する冷凍食品」の展示に対して技術協力を実施することを発表した。環境・エネルギー関連のインフラ整備としては、ニチレイロジグループが2025年6月30日に同グループ初となる蓄電池システムの稼働を開始し、続いて2025年8月25日には初となる軽量薄型の太陽光発電システムの稼働を開始した。畜産分野の飼料研究においては、2025年8月8日にアマニ油脂肪酸カルシウムを添加した飼料で肥育した豚(亜麻仁の恵み)に関する脂肪特性および消化性に関する研究・検証結果の発表を行った。アップサイクル技術を用いた食品ロス削減の取り組みとして、2025年10月9日にニチレイフーズが製造工程で発生する規格外の麺をクラフトビールに加工するアップサイクル商品の第3弾を発表した。さらに、デジタルトランスフォーメーション(DX)の具体的な実装例として、製氷事業を担うニチレイアイスが2025年10月15日に、生産・輸送・在庫の計画を自動で立案するAIシステムを開発および導入したことを発表し、業務効率化と働き方改革の推進を図っている。10
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発行体 |
文書名/ページ名 |
発行日/公開日 |
種別 |
URL |
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株式会社ニチレイ |
有価証券報告書の訂正報告書(第107期) |
2025/07/18 |
法定開示 |
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株式会社ニチレイ |
確認書(第107期) |
2025/06/17 |
法定開示 |
https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100VYQR.pdf |
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株式会社ニチレイ |
ニチレイグループ 統合レポート 2024 |
2024/09/XX |
統合報告書 |
https://www.nichirei.co.jp/sites/default/files/inline-images/ir/integrated/pdf/ngir2024_all.pdf |
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株式会社ニチレイ |
ニチレイグループ 統合レポート 2025(言及のみ) |
2025/09/05 |
統合報告書 |
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株式会社ニチレイ |
2026年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結) |
2026/02/03 |
決算短信 |
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株式会社ニチレイ |
サステナビリティ 環境目標 KPI 2030 2050 |
未明示 |
公式ポリシー |
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株式会社ニチレイ |
国内・海外の拠点一覧 |
未明示 |
公式ページ |
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株式会社ニチレイフーズ |
会社概要 - 企業情報 |
未明示 |
公式ページ |
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株式会社ニチレイフーズ |
ニチレイグループ 技術開発センター |
未明示 |
公式ページ |
https://www.nichireifoods.co.jp/corporate/research-development/ |
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株式会社ニチレイフーズ |
会社概要 - 工場紹介 |
未明示 |
公式ページ |
https://www.nichireifoods.co.jp/corporate/company/factory.html |
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株式会社ニチレイ |
ニュースリリース 2025年一覧 |
未明示 |
公式ニュース |
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株式会社ニチレイ |
企業情報 IRライブラリー 決算説明会資料 |
未明示 |
公式IR |
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JST / J-GLOBAL |
特許「不凍タンパク質」情報 |
未明示 |
公的特許DB |
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201303007436720281 |
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ニチレイロジグループ |
事業所一覧 |
未明示 |
公式ページ |
https://logisticsnetwork.nichirei-logi.co.jp/company/officelist/ |
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案件名 |
Announcement |
Effective (Event) |
Completion |
Start |
状態ラベル |
根拠 |
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冷凍食品の賞味期限延長の案内 |
2025/01/10 |
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稼働/提供開始 |
10 |
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新型コロナ・インフルエンザ同時検査キット「アンスペクトコーワW」製造販売開始 |
2025/01/23 |
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2025/01/23 |
稼働/提供開始 |
10 |
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大阪・関西万博 シグネチャーパビリオン「EARTH MART」内「進化する冷凍食品」展示へ技術協力 |
2025/04/09 |
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合意/契約 |
10 |
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ニチレイロジグループ 初の蓄電池システム稼働開始 |
2025/06/30 |
- |
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2025/06/30 |
稼働/提供開始 |
10 |
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「亜麻仁の恵み®」豚の脂肪特性・消化性に関する研究結果の発表 |
2025/08/08 |
2025/08/08 |
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完了 |
10 |
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ニチレイロジグループ 初の軽量薄型太陽光発電システム稼働開始 |
2025/08/25 |
- |
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2025/08/25 |
稼働/提供開始 |
10 |
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規格外麺をクラフトビールにするアップサイクル商品第3弾の発表 |
2025/10/09 |
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完了 |
10 |
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ニチレイアイス 製氷事業の生産・輸送・在庫計画自動立案AIシステムの開発・導入 |
2025/10/15 |
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2025/10/15 |
稼働/提供開始 |
10 |
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ASEAN地域統括会社の設立発表 |
2026/02/24 |
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計画/方針 |
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マレーシアICCLグループの連結子会社化手続き完了 |
2026/03/02 |
- |
2026/03/02 |
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完了 |
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国 |
特許番号 |
発明名称(公式表記) |
正本一次情報(ページ名) |
公的DBでの検証結果 |
根拠URL |
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※ 2026/03/04時点で、有報(直近FY)・統合報告書(直近版)・公式IR/公式ニュース(直近24ヶ月)を確認した範囲では、単一の特許リストを提供する正本一次情報として特定できるウェブページを特定できない(調査範囲内では確認できず)。例外として、J-GLOBALのデータベース上で「不凍タンパク質」に関連する公開番号「WO2011-115145」(出願:株式会社ニチレイフーズ)の存在のみが確認されている。11 |
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研究組織・施設一覧テーブル
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施設・組織名(公式表記) |
根拠ページ名 |
URL |
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ニチレイグループ 技術開発センター |
会社概要 - ニチレイグループ 技術開発センター |
https://www.nichireifoods.co.jp/corporate/research-development/ |
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グローバルイノベーションセンター |
国内・海外の拠点一覧 |
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ニチレイ研修センター「スコレ雪ヶ谷」 |
国内・海外の拠点一覧 |
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食品ロス研究所 |
国内・海外の拠点一覧 |
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氷の実験室(こおらす) |
国内・海外の拠点一覧 |
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ニチレイフーズリサーチ |
会社概要 - 企業情報 |
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※ Gate-10のリスト整合ルールを適用。公式ページにおいて施設の総数が明示されていないため、数の断定は行わず、公式ページにおいて確認できる施設を列挙するにとどめる。 |
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工場一覧テーブル(株式会社ニチレイフーズ 直営工場およびグループ工場)
株式会社ニチレイは、東京都中央区築地六丁目19番20号に本店を置く企業である。2025年7月18日に関東財務局長宛てに提出された「有価証券報告書の訂正報告書」(対象事業年度:第107期、自2024年4月1日 至2025年3月31日)、および2026年2月3日に提出された適時開示書類「2026年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」において、代表取締役社長として大櫛顕也氏が記載されている。また、同訂正報告書における事務連絡者として経理部コーポレート経理グループのグループリーダーである田中達哉氏が、決算短信における問合せ先責任者として経理部長の佐藤康範氏がそれぞれ明記されている。これらの体制を通じて、コーポレート・ガバナンスおよび情報開示の責任体制が敷かれている。1
「有価証券報告書の訂正報告書」によれば、「第一部 企業情報 第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移 (2) 提出会社の経営指標等」における第107期(2025年3月期)の「株主総利回り」の数値に訂正が行われている。具体的には、訂正前の数値が68.6%であったのに対し、訂正後は126.8%と大幅な上方修正がなされている。同期間の比較指標(配当込みTOPIX)は213.4である。過去の推移を参照すると、第103期(2021年3月期)の株主総利回りは94.9%(比較指標142.1)、第104期(2022年3月期)は80.8%(比較指標145.0)、第105期(2023年3月期)は92.8%(比較指標153.4)、第106期(2024年3月期)は143.0%(比較指標216.8)となっており、長期的な資本効率の向上と株主還元の動向が確認できる。1
「2026年3月期 第3四半期決算短信」の「(1)当四半期の経営成績等の概況」における実績値について詳述する。当第3四半期連結累計期間(2025年4月1日〜2025年12月31日)の売上高実績は、前年同期比0.5%増となる537,666百万円(=5,376.66億円)を記録した。一方で、営業利益実績は同3.9%減の30,529百万円(=305.29億円)、経常利益実績は同5.2%減の31,354百万円(=313.54億円)と減益となっている。親会社株主に帰属する四半期純利益実績は同6.2%増の21,858百万円(=218.58億円)であることが示されている。本期間において、四半期連結損益計算書内の「販売費及び一般管理費」に含まれる研究開発費の実績は1,490百万円(=14.90億円)であり、前年同期(2024年4月1日〜2024年12月31日)の実績である1,610百万円(=16.10億円)から120百万円(=1.20億円)減少している。この研究開発費の推移は、グループ全体の販売費及び一般管理費におけるコストコントロールの状況を反映している。3
同決算短信の四半期連結貸借対照表における負債の部の明細(2025年3月31日現在と2025年12月31日現在の比較)は以下の通りである。
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勘定科目 |
前連結会計年度(2025/03/31) |
当第3四半期(2025/12/31) |
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買掛金 |
27,137百万円 |
32,511百万円 |
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電子記録債務 |
993百万円 |
1,554百万円 |
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短期借入金 |
6,348百万円 |
17,234百万円 |
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コマーシャル・ペーパー |
3,000百万円 |
10,000百万円 |
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1年内償還予定の社債 |
10,000百万円 |
10,000百万円 |
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1年内返済予定の長期借入金 |
9,713百万円 |
10,135百万円 |
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リース債務 |
3,568百万円 |
3,509百万円 |
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未払費用 |
40,351百万円 |
40,967百万円 |
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未払法人税等 |
4,811百万円 |
6,314百万円 |
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役員賞与引当金 |
216百万円 |
189百万円 |
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その他 |
22,942百万円 |
29,183百万円 |
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流動負債合計 |
129,083百万円 |
(※明示なし、各項目の合計による推移) |
短期借入金およびコマーシャル・ペーパーの大幅な増加が確認され、短期的な運転資金の調達が拡大している状況が読み取れる。3
通期(2025年4月1日〜2026年3月31日)の連結業績予想については、2025年11月11日公表の数値から据え置かれている。「2026年3月期 第3四半期決算短信」の「(2)連結業績予想などの将来予測情報に関する説明」によれば、売上高予想は700,000百万円(=7,000.00億円)、営業利益予想は39,500百万円(=395.00億円)、経常利益予想は40,300百万円(=403.00億円)、親会社株主に帰属する当期純利益予想は28,000百万円(=280.00億円)、1株当たり当期純利益予想は111.74円を計画値としている。この予想の前提となる通期の年間為替レートは、1米ドル150円、1ユーロ160円、1バーツ4.4円に設定されている。配当計画に関しては、2025年4月1日付の1株につき2株の株式分割後の基準において、年間配当金合計47.00円(第2四半期末23.00円、期末予想24.00円)を予定している。これらの業績に影響を与える将来のリスクや不確実な要素として、商品開発から原料調達、生産、販売まで一貫した品質保証体制確立の実現性や、新商品・新サービス開発の実現性などが列挙されている。3
同決算短信に基づくセグメント別の通期計画(予想数値)は以下の通りである。
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セグメント |
売上高予想 |
営業利益予想 |
備考 |
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食品事業 |
412,000百万円 |
19,500百万円 |
うち加工食品 売上高333,000百万円、営業利益18,000百万円 |
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水産事業 |
40,000百万円 |
1,000百万円 |
- |
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畜産事業 |
45,800百万円 |
500百万円 |
- |
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低温物流事業 |
300,000百万円 |
19,800百万円 |
- |
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不動産事業 |
4,800百万円 |
1,800百万円 |
- |
食品事業および低温物流事業が売上高と営業利益の大部分を占める計画となっており、特に加工食品領域が食品事業を牽引する中核としての位置づけが明確に示されている。これらのセグメントごとの収益力強化が、グループ全体の利益計画を支える構造となっている。3
ニチレイグループは、各事業セグメントにおいて研究開発機能および生産技術機能を展開している。株式会社ニチレイフーズが運営する「ニチレイグループ 技術開発センター」は千葉県千葉市美浜区新港9番地に位置し、総合的な研究開発業務の拠点として機能している。同センターの運用体制は、ハードウェア(機器・設備・施設)とソフトウェア(知識・専門性・ノウハウ)を組み合わせることで有効な研究開発体制を構築していると規定されている。技術開発部門は、主に3つの機能が連携してイノベーションと生産を牽引する構造となっている。
1つ目の機能である「研究開発」では、アセロラや野菜、食品加工に関する基礎研究を実施するとともに、健康維持・増進技術や持続可能な原材料の利用に焦点を当てた中長期的な開発を行っている。また、人間の五感を用いる「官能評価」と、機械を使用して味、香り、食感を分析する「機器分析」を組み合わせたおいしさの分析・評価を実施し、味と健康を両立させる新たな価値の創造を推進している。
2つ目の機能である「商品開発」では、マーケティングコンセプトに基づく商品設計、原材料の選定、レシピの構築を行っている。味や食感を改善するための試作を繰り返し、実際の工場に近い設備を用いた生産ラインテストを通じて量産能力の検証を行っている。
3つ目の機能である「装置開発・生産革新」では、試作品を安定して大量生産するための独自仕様の機械をゼロから開発している。これには、工場生産ラインの設計から実行、管理までを統括するラインエンジニアリングが含まれ、AI、IoT、ロボティクスなどの最先端技術を国内外の工場へ導入することで、省力化や運用効率の向上を図っている。5
株式会社ニチレイフーズに関連する組織として「ニチレイフーズリサーチ」という部門が存在する。当該部門は全国47都道府県において食に関する大規模な調査およびレポート作成を実施している。具体的な調査事例として、円形で中に餡などが入った和菓子の地域別呼称を調査した「今川焼調査2025」が挙げられ、19地域で「今川焼」が最多となり、九州全県では「回転焼」が使用されていると報告している。また、好きなおかずに関する「全国から揚げ調査2025」では、推定年間消費量380億個以上であり、福島県が初めて1位を獲得したと算出している。「チャーハン調査2024」においては推定年間消費量を約238万トンと算出し、から揚げと比較して2.3倍の量が食されていると報告している。「お弁当事情調査2024」では、弁当作りにおける冷凍食品の使用を約8割の人が手抜きとは見なしていないと報告している。5
生産拠点として、ニチレイフーズは国内に15の工場(直営工場およびグループ工場を含む)を展開し、冷凍食品や冷凍野菜の製造を行っている。直営工場には、北海道産じゃがいもコロッケを製造する森工場(北海道森町)、レストラン用ビーフカレーなどを製造する山形工場(山形県天童市)、蔵王えびグラタンや春巻を製造する白石工場(宮城県白石市)、本格炒め炒飯®などを製造する船橋工場、ミニハンバーグを製造する船橋第二工場、船橋第三工場(いずれも千葉県船橋市)、から揚げなどを製造する関西工場(大阪府高槻市)、本格焼きおにぎりを製造する関西第二工場(大阪府大阪市)、パリッと春巻などを製造する長崎工場(長崎県大村市)が含まれる。グループ工場としては、ニチレイアイスの大泉工場および東京工場、気配り御膳を製造するニチレイウェルダイニング(愛知県豊山町)、中冷(山口県下関市)、本格炒め炒飯®や今川焼を製造するキューレイ(福岡県宗像市)、ニチレイアイス二色の浜工場が列挙されている。これらの工場群に対して、技術開発センターの「装置開発・生産革新」機能が技術的な支援と生産ラインの最適化を提供している。5
バイオサイエンス事業においては、株式会社ニチレイバイオサイエンスが埼玉県狭山市新狭山1-11-8に「グローバルイノベーションセンター」を設置している。持株会社である株式会社ニチレイの管轄としては、東京都大田区南雪谷3-22-1にニチレイ研修センター「スコレ雪ヶ谷」を保有し、人材育成の拠点として活用している。さらに、グループのWebメディアコンテンツに関連する形で、食品ロス問題の原因を科学的に調査する「食品ロス研究所」や、安全・安心な食の知識および氷に関する実験結果を提供する「氷の実験室(こおらす)」が開設されており、消費者向けの情報発信と技術啓発を行っている。4
ニチレイグループは、統合報告書を通じて中長期の事業目標と無形資産(知的資本を含む)の戦略を開示している。「ニチレイグループ 統合レポート 2024」においては、「知的資本」を同社の成長の源泉と位置づけ、人的資本およびDXと並ぶ重要な無形資産として取り扱っている。同報告書では、これら無形資産の価値向上が持続的な企業価値の向上に不可欠であるとの方針が示されており、内閣府の「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」に準拠した記載構成が取られていることが言及されている。事業別の実行戦略において、加工食品事業では独自技術を活用したチキン加工品の拡大を加速し、冷凍米飯類においては柱となるブランドの育成を通じて収益性の最大化を目指す方針が示されている。低温物流事業においては、労働力不足へのソリューションを提供するため、遠隔操作ロボットや自動搬送機などの最先端技術の導入を加速し、社内外のアセットを活用した冷凍食品物流プラットフォームの構築を推進している。8
次いで「ニチレイグループ 統合レポート 2025」においては、「2030年の姿」として以下の具体的な財務目標を方針として掲げている。売上高1兆円(=10,000.00億円)、海外売上高比率30%、営業利益率8%、ROIC(投下資本利益率)9%以上、ROE(自己資本利益率)10%以上を目標として設定している。
特にROICの向上に関して、中期経営計画「Compass Rose 2024」の中で「資本効率の追求」(2022年〜2024年)および「資本効率の向上」(2025年〜2027年)の段階的な目標を設定している。2023年度実績である7.5%のROICを9%以上に引き上げるため、各事業部門で具体的な施策を展開している。 加工食品事業(フーズ)では、米飯やチキン加工品などの戦略カテゴリーの強化、生産設備の投資回収および稼働率の向上、省人化・効率化、DXの活用を推進している。 低温物流事業(ロジグループ)では、欧州の主要港湾における基盤強化、他社アセットの活用を含む輸配送機能の強化、3PLや輸配送などアセットライトな事業の拡大を図っている。 水産・畜産事業(フレッシュ)では、低収益商材の見直し、棚卸資産の圧縮、重点市場への加工品の販売拡大を実施している。 バイオサイエンス事業(バイオ)では、分子診断事業での製造原価の最適化やイムノクロマト製品の販売拡大を進めている。 また、海外売上高比率を現状の21.3%から30%に高める計画の裏付けとして、中期経営計画(2022年4月1日〜2025年3月31日)における設備投資総額1,200億円(=1,200.00億円)のうち、海外向けの投資割合を当初計画の15%から26%に増加させる見込みであることが開示されている。7
ニチレイグループは、環境負荷低減に向けた技術目標として「カーボンニュートラル宣言」を行っており、2050年に向けて国内外のサプライチェーン全体(Scope1、Scope2、Scope3)における温室効果ガス(GHG)排出量を可能な限りゼロに近づけ、削減できなかった排出量については吸収・除去の取り組みを通じて実質ゼロを達成することを方針として定めている。この長期目標に向けたマイルストーンとして、2030年度のCO2排出量削減目標を設定している。具体的には、2030年度目標として、国内・海外のScope1,2排出量を2022年度基準比で42%削減すること、および国内・海外のScope3排出量を2022年度基準比で25%削減することを目標として掲げている。9
公式サステナビリティページ内に掲載された図表によれば、国内・海外のScope1,2に関する2024年度の実績は2022年度比で9%の削減(△9%)であり、2025年度の目標値として16%の削減(△16%)を設定している。なお、同一ページ内の別項において「2024年度までに2022年度比でCO2排出量20%削減を達成しています」との記述も存在しており、当該削減率に関する数値において一次情報間で不一致が確認される。また、Scope3(2022年度比)の2024年度実績および2025年度目標の数値は、バウンダリ変更の影響を考慮した2022年度基準値が算定中であるため「ー」として開示されている。 Scope3排出量削減に向けた具体的な技術的および管理的な取り組みとして、2024年度において排出量算定の精緻化に向けた計算方法の見直しを実施した。サプライチェーン排出量のうち、カテゴリ1がScope3全体の約80%を占めることから、サプライヤーとの積極的な対話や削減に向けた働きかけを不可欠な施策と位置づけている。さらに、カーボンニュートラルの達成に向けたロードマップに基づき、バイオマス、太陽光、風力などの再生可能エネルギーによる発電電力(グリーン電力)の利用拡大や、電力証書の取引を通じた手法の多様化を図っている。9
2025年から2026年にかけての公式ニュースリリースに基づき、ニチレイグループにおける技術開発および新製品展開の動向を詳述する。医療・バイオ技術分野において、2025年1月23日に新型コロナウイルスとインフルエンザの同時検査が可能な抗原定性検査キット「アンスペクトコーワW」の製造および販売の開始が発表された。また、食品技術分野においては、2025年1月10日に品質保持に関する研究やテストに基づく技術的検証を経て、冷凍食品の賞味期限延長に関する案内が公表されている。社会的発信の取り組みとして、2025年4月9日に大阪・関西万博におけるシグネチャーパビリオン「EARTH MART」内の「進化する冷凍食品」展示に向けた技術協力を実施することが発表された。10
環境・エネルギー技術の導入実績として、低温物流事業を担うニチレイロジグループが、2025年6月30日にグループ初となる蓄電池システムの稼働を開始したことを発表し、同年8月25日には初となる軽量薄型の太陽光発電システムの稼働を開始したことを発表した。畜産および飼料研究分野では、2025年8月8日にアマニ油脂肪酸カルシウムを添加した飼料を用いて肥育した豚「亜麻仁の恵み®」に関する、脂肪特性および消化性の効果検証に関する研究結果が発表されている。食品ロス削減および循環型経済に貢献するアップサイクル技術の活用事例として、2025年10月9日にニチレイフーズが製造工程で発生する規格外の麺をクラフトビールに加工するアップサイクル商品の第3弾を発表した。さらに、業務プロセスへのデジタル技術(DX)の具体的な実装例として、2025年10月15日にニチレイアイスが製氷事業における生産計画、輸送計画、在庫計画を自動で立案するAIシステムを開発および導入したことを発表し、業務効率の改善と働き方改革を推進している。10
技術開発と事業展開を支える経営体制および組織改編に関する動向として、2026年2月17日に代表取締役および役員の異動、ならびにグループの組織・人事異動に関する発表が行われた。また、グローバル市場における事業基盤の強化として、2026年2月24日にASEAN地域統括会社の設立が発表され、2026年3月2日にはマレーシアのICCLグループの連結子会社化の手続きが完了したことが発表されている。これにより、海外売上高比率の目標達成に向けた戦略的投資の実行状況が確認できる。3
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