3行まとめ
研究開発費の5割超を「物流自動化」へ集中投下し構造転換を加速
全研究開発費の52.2%にあたる約707億円を産業車両セグメントに配分し、既存のハードウェア製造から高付加価値な物流ソリューション企業への転換を財務面から強力に推進しています。
2026年の新体制「TAL」発足による制御ソフトウェア基盤の統合
2026年4月に「Toyota Automated Logistics(TAL)」を発足させ、欧米の買収企業(Vanderlande等)を統合することで、ハードウェアと制御ソフトウェア(WES/WCS)の技術共通化と開発効率の最大化を図ります。
自動車技術を転用した「バイポーラ型電池」と「水素エンジン」の展開
自動車部門で培った技術を活かし、高出力な「バイポーラ型ニッケル水素電池」の量産や、2030年の市場投入を目指す水素エンジン開発を進め、物流専業の競合他社に対する差別化要因としています。
この記事の内容
豊田自動織機(以下、当社)の技術経営戦略は、財務データにおける資源配分の偏重と、公式ビジョンにおける定性的な目標設定の間に、極めて強い整合性(Alignment)を有していることが、2024年3月期(第146期)の法定開示資料および統合報告書から読み取れる。
財務指標の観点から見ると、当社の連結研究開発費は1,354億3,800万円という過去最高水準に達しており、これは連結売上高4兆849億円に対して約3.3%に相当する 1。特筆すべきは、その配分構造の非対称性である。全社売上の約68%を占める「産業車両セグメント」に対し、全研究開発費の52.2%にあたる707億3,400万円が投下されている一方で、売上構成比が相対的に低い「自動車セグメント」に対しても、研究開発費の39.9%にあたる540億1,700万円が配分されている 1。この事実は、当社が現在、既存の産業車両ビジネスにおける「自動化・知能化」への移行コストを負担しつつ、同時に自動車ビジネスにおける「電動化・脱炭素化」という破壊的イノベーションへの対応コストを、極めて高い水準で維持していることを示唆している。
設備投資(CAPEX)の動向においても、この戦略的意図はより鮮明に表れている。総額4,885億7,900万円の設備投資のうち、実に73%に相当する3,574億2,800万円が産業車両セグメントに集中投下されている 1。この巨額投資の内訳には、Toyota Material Handling Europe GroupやRaymond Groupといった海外子会社への投資が含まれており、研究開発フェーズから、グローバル市場への実装・展開フェーズへと移行していることが確認できる。これは、単なるハードウェアの製造能力増強ではなく、物流ソリューション事業におけるM&A後のPMI(Post Merger Integration)およびシステム統合に向けた「技術インフラの再構築」に対する投資であると解釈できる。
経営戦略の観点からは、「2030年ビジョン」において「住みよい地球と豊かな生活、そして温かい社会づくり」が掲げられ、その実現手段として「脱炭素」と「物流自動化」が明記されている 2。財務数値はこのビジョンを裏付けるものであり、特に「産業車両」と「自動車」の2大セグメントが、全社のキャッシュフローを支える既存事業(Cash Cow)であると同時に、次世代技術への投資を牽引する成長事業(Star)としての役割を担っているという「両利きの経営」が、数値面から証明されている。このように、当社の知財・技術戦略は、理想論に留まらない、強固な財務的裏付けを持った実行計画として機能していると言える。
当社の技術開発は、全方位的な展開ではなく、明確に定義された「重点領域」に対する選択と集中が行われている。公式資料における記述に基づき、その進捗を分析する。
第一の柱は「物流ソリューションの自動化・自律化」である。 この領域における最大の戦略的マイルストーンは、2026年4月に予定されている「Toyota Automated Logistics(TAL)」の組織再編である 3。これは、過去に買収したVanderlande(オランダ)、viastore(ドイツ)、Bastian Solutions(米国)という異なる強みを持つ3社の技術資産と顧客基盤を、北米および欧州という地域軸で統合するものである。公式発表によれば、この再編の目的は「グループ全体の連携強化」と「意思決定の迅速化」にあり、各社が保有していた自動倉庫システム(AS/RS)や制御ソフトウェア(WES/WCS)の技術統合が進むことを示唆している 4。 また、製品レベルの進捗としては、2024年9月より開始された「トラック荷役対応自動運転フォークリフト」の実証実験が特筆される。これは、従来困難とされていた「有人トラックへの積み込み作業」を、3D-LiDARを用いたインフラレス誘導技術によって無人化する試みであり、コカ・コーラ ボトラーズジャパンの白州工場という実フィールドでの稼働を開始したことは、技術が実験室レベルを超え、実用化段階(TRL 7-8相当)にあることを証明している 5。
第二の柱は「電動化と脱炭素パワートレーン」である。 自動車セグメントにおける象徴的な成果は、「バイポーラ型ニッケル水素電池」の量産化と採用拡大である。当社は、2021年のトヨタ「アクア」への初搭載以降、2022年には石浜工場・共和工場での増産体制を敷き、レクサス「RX」やトヨタ「クラウン」といった上位車種への展開を実現した 6。これは、ニッケル水素電池という成熟技術に対し、バイポーラ構造という革新的なパッケージング技術を適用することで、「高出力化」と「省資源化」を同時に達成した稀有な事例である。 さらに、BEV(電気自動車)だけではカバーしきれない建機・大型車両領域に向けて、「水素エンジン」の開発を加速させている。2025年10月には、産総研(AIST)との共同研究成果として「実機検証が可能となる性能の目処付け」を完了し、株式会社AIRMANのコンプレッサーに搭載しての実証試験を開始した 7。これは、2030年の市場投入という長期ロードマップに対する、中間マイルストーンの確実な達成を意味する。
当社の知的財産活動は、製品の差別化要因となるコア技術の権利化と、他社参入障壁の構築に重点を置いている。公開されている特許公報および技術文献から、そのポートフォリオの特性を分析する。
バイポーラ型ニッケル水素電池に関しては、その構造的特徴である「集電体の共有」と「樹脂封止」に関連する特許群が強固に構築されている。豊田自動織機技報(Technical Review)によれば、バイポーラ型構造の開発においては、正極と負極の間の絶縁信頼性を確保するための「シーリング部の強度設計」や、大電流を流した際の「電池内抵抗の低減」が技術的課題であったとされる 8。これに対し、当社はFEM解析を用いたシミュレーション技術と、高機能性集電箔と樹脂の接合技術に関する独自ノウハウを蓄積しており、これらが特許として権利化されていることが推察される。具体的な特許番号として、自動運転関連では「特許第7318892号」などが確認され、ハードウェア制御とソフトウェアアルゴリズムの両面で知財網を形成している 9。
外部の客観的評価としても、Clarivateなどの分析レポートにおいて、当社は「水素・燃料電池」や「電動化」関連技術の主要出願人としてランクインしている 10。特に、電動コンプレッサー(e-Compressor)の領域では、カーエアコン用コンプレッサーの世界シェアトップ企業として、モータ駆動効率やインバータ一体型構造に関する基本特許から改良特許までを網羅的に保有しており、競合他社に対する圧倒的な優位性を維持している。 特許の出願傾向としては、日本国内(JPO)を中心としつつも、主要市場である米国(USPTO)、欧州(EPO)、中国(CNIPA)へのパテントファミリー展開を積極的に行っており、グローバルでの事業展開と知財保護が同期していることが確認できる。
物流ソリューション市場におけるグローバルコンペティターである、ドイツのKION GroupおよびJungheinrichとの比較において、当社の立ち位置は「規模の優位性」と「投資余力」において際立っている。
KION Group(ドイツ)との比較: KION Groupの2024年度アニュアルレポートによると、同社の研究開発費は3億9,280万ユーロ(約600〜650億円相当※換算レートによる)であり、売上高に対するR&D比率は3.4%である 11。KIONは「Automation & Software」を戦略的重点領域とし、特にSupply Chain Solutions(SCS)セグメントにおける利益率回復と、モバイルオートメーションへの投資を優先している 12。 対して、豊田自動織機のR&D投資額は1,354億円(約8〜9億ユーロ相当)に達しており、KIONの2倍以上の絶対額を投じている。R&D比率(3.3%)自体は近似しているものの、母数となる売上規模と投資絶対額の差は、長期的な技術開発競争において当社に有利に働くと推測される。特に、当社は自動車部門で培った「電池」「モータ」「エンジン」の要素技術を物流部門に転用できる垂直統合型の強みを有しているのに対し、KIONは純粋な物流機器・システムメーカーである点が異なる。
Jungheinrich(ドイツ)との比較: Jungheinrichの2024年度の研究開発費は1億7,100万ユーロ(約270〜300億円相当)であり、売上高53億9,200万ユーロに対する比率は約3.2%である 13。同社はリチウムイオン電池技術やAGV(無人搬送車)に強みを持つが、投資規模においては当社およびKIONに及ばない。 当社は、Jungheinrichの全売上高に匹敵する規模の投資を「産業車両セグメント」単体で行っており、特にハードウェアの量産効果とグローバルサプライチェーンの構築能力において、競合を凌駕する基盤を有していると言える。
当社の将来に向けた投資計画は、単年度の予算配分ではなく、中長期的な技術ロードマップに基づいて実行されている。
物流自動化領域のロードマップ: 最も明確なマイルストーンは、2026年4月の「Toyota Automated Logistics(TAL)」発足である 3。この時点までに、欧州ではVanderlandeとviastoreの事業統合、北米ではBastianとVanderlandeの事業統合を完了させ、統合ブランドの下でのソリューション提供を開始する計画である。これにより、従来は個別に開発されていた倉庫制御システム(WCS/WES)やハードウェアプラットフォームの共通化が進み、2026年以降、開発効率の向上とコストシナジーが顕在化することが期待される。
環境技術領域のロードマップ: 水素エンジンに関しては、2030年頃の市場投入をターゲットとしている 7。現在のフェーズは「実証試験(Proof of Concept)」段階であり、2025年10月からのAIRMAN社との連携による建設現場での運用データ収集を経て、2020年代後半には製品化に向けた量産設計フェーズへ移行すると想定される。 また、電池技術については、電動車の普及スピードに合わせて生産ラインの増強を段階的に行う計画であり、石浜工場等の設備投資計画がその証左である 6。
これらのロードマップは、いずれも「2030年ビジョン」という長期目標からバックキャストされたものであり、短期的な市場変動に左右されない、一貫した技術投資が行われる蓋然性が高い。
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Evidence ID |
発行体 |
文書名/タイトル |
発行日/基準日 |
種別 |
URL |
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2 |
豊田自動織機 |
Corporate Profile 2023 |
2023年 |
公式IR |
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14 |
豊田自動織機 |
2030年ビジョン |
As-of 2026 |
公式サイト |
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15 |
Toyota Industries |
Integrated Report 2025 |
2025年 |
統合報告書 |
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19 |
Toyota Industries |
Toyota Industries Report 2024 |
2024年 |
統合報告書 |
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5 |
豊田自動織機 |
国内初の4本フォークタイプのトラック荷役対応自動運転フォークリフト実稼働へ |
2024/09/10 |
プレスリリース |
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6 |
豊田自動織機 |
車載電池製造ラインを石浜工場に新設 |
2022/08/30 |
プレスリリース |
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7 |
豊田自動織機 |
自社開発水素エンジンの実証試験を開始 |
2025/10/21 |
プレスリリース |
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8 |
豊田自動織機 |
豊田自動織機 技報:バイポーラ型ニッケル水素電池 |
不明(As-of 2026) |
技術論文 |
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13 |
Jungheinrich |
Annual Report 2024 Data |
2025年 |
年次報告書 |
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17 |
Vanderlande |
ADAPTO Shuttle System |
As-of 2026 |
製品公式 |
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11 |
KION Group |
Annual Report 2024 Financials |
2025年 |
年次報告書 |
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1 |
豊田自動織機 |
有価証券報告書(第146期) |
2024/06 |
法定開示 |
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4 |
豊田自動織機 |
Warehouse Automation Business Reorganization |
2025/11/11 |
プレスリリース |
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3 |
豊田自動織機 |
欧米における物流自動化事業の再編について |
2025/11/11 |
プレスリリース |
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24 |
WIPO |
Technology Trends: Future of Transportation |
2025年 |
公的機関レポート |
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10 |
JPO |
GXTI Patent Analysis Report |
2024年 |
公的機関レポート |
豊田自動織機の技術戦略を理解する上で、財務諸表に現れるR&D投資の構造分析は不可欠な出発点である。直近の法定開示資料である第146期有価証券報告書(2024年3月期)に基づき、当社の資源配分方針を詳細に解剖する。
表:セグメント別研究開発費の実績と構成(2024年3月期)
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セグメント |
研究開発費(百万円) |
全体構成比 |
対セグメント売上比率(推計) |
主な開発テーマ(公式記載) |
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産業車両 |
70,734 |
52.2% |
約2.5% |
電動フォークリフト、自動化技術、物流ソリューションシステム |
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自動車 |
54,017 |
39.9% |
約5.0% |
電動コンプレッサー、電子機器、車載電池、FC・エンジン |
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繊維機械 |
5,939 |
4.4% |
- |
Not Disclosed |
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その他 |
4,746 |
3.5% |
- |
Not Disclosed |
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合計 |
135,438 |
100.0% |
3.3% |
(受託研究費8,097百万円を含む) |
注:対セグメント売上比率は、有価証券報告書のセグメント売上高(産業車両:約2.8兆円、自動車:約1.0兆円)に基づき算出。 引用元:1
詳細分析とインサイト:
この投資構造から読み取れる最大の戦略的メッセージは、当社が「自動車部品サプライヤー」という枠組みを超え、「物流テクノロジー企業」への転換を完了しつつあるという点である。産業車両セグメントへのR&D投資額が全社の過半(52.2%)を占めている事実は、経営資源の主戦場が物流領域にあることを雄弁に物語っている。
産業車両セグメントにおける開発テーマとして「自動化技術(Automation Technologies)」や「物流ソリューションに対応するシステム機器(System equipment for logistics solutions)」が具体的に列挙されている点は極めて重要である 1。これは、従来型のフォークリフト(ハードウェア)の開発に加え、倉庫全体を制御するソフトウェアやシステムインテグレーションへの投資が相当な比重を占めていることを示唆している。ハードウェアのコモディティ化が進む中、付加価値の源泉を「鉄の塊」から「知能化されたシステム」へと移行させる戦略的意図が、この707億円という数字に内包されている。
一方で、自動車セグメントに対する投資も540億円と、決して縮小傾向にはない。むしろ、対売上高比率で見れば約5%と、産業車両セグメント(約2.5%)の倍近い密度で投資が行われている。これは、自動車業界全体が直面している「CASE(Connected, Autonomous, Shared, Electric)」革命、とりわけ「電動化」への対応コストが極めて高いことを示している。具体的には、「ディーゼルエンジン」から「ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池自動車など電動車向けの電動コンプレッサーおよび電子機器、ハイブリッド車用の車載電池」へのポートフォリオ入替が急速に進められており 1、既存の内燃機関技術の延命ではなく、脱炭素技術への全面的なシフトが投資のドライバーとなっている。
設備投資(CAPEX)の観点からも、この傾向は裏付けられる。当期における設備投資総額4,885億円のうち、産業車両セグメントには3,574億円が投じられている 1。この中には、「トヨタ マテリアル ハンドリング ヨーロッパグループ(1,080億円)」や「レイモンドグループ(816億円)」への投資が含まれており、欧米市場における生産・販売・サービス体制の強化が、R&Dと並行して大規模に行われていることが確認できる。これは、開発した技術を即座にグローバル市場へ展開するための「実装インフラ」への投資であり、技術開発と事業展開がシームレスに連動していることを示している。
当社の技術戦略の根底には、創業以来の企業DNAである「豊田綱領」と、現代におけるその解釈である「2030年ビジョン」が存在する。経営陣の発言や公式文書からは、技術を単なる利益創出の手段ではなく、社会課題解決のための公器として捉える姿勢が一貫して読み取れる。
CEOメッセージと2030年ビジョン:
公式ウェブサイトおよび統合報告書において、当社は「2030年ビジョン」として以下の目標を掲げている。
「2030年ビジョンに掲げる『住みよい地球と豊かな生活、そして温かい社会づくり』に貢献することをめざし、『CSR重要課題』を策定しました。(中略)新たな価値を創出する技術革新やイノベーションで社会課題を解決し、スマート社会とより豊かな生活の実現へ貢献します。」
引用元:2
このビジョンは、抽象的なスローガンに留まらず、具体的な事業方針へと落とし込まれている。Integrated Report 2025においては、以下の3つの具体的な貢献領域が定義されている。
また、創業の精神である「豊田綱領」には、「研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし」という一節がある 14。1926年の創業以来、自動織機から自動車、産業車両、そして物流ソリューションへと事業領域を拡大し続けてきた当社の歴史は、この綱領の実践そのものであり、現在の「物流と脱炭素」への集中投資も、この「時流に先んずる」精神の発露として正当化されている。経営陣は、短期的な収益変動リスクを負ってでも、次世代の柱となる技術への投資を継続する意思を、これらの理念を通じてステークホルダーに表明しているのである。
豊田自動織機の技術ポートフォリオは、大きく「物流ソリューション・自動化技術」と「自動車・電動化技術」の二大領域に分類される。それぞれの領域において、ハードウェアの強みとソフトウェア・制御技術を融合させた独自のポジショニングを築いている。以下に、一次情報に基づきその全貌を詳述する。
物流領域における当社の技術戦略は、単体の物流機器(フォークリフト)の高性能化に留まらず、倉庫や物流センター全体のプロセスを最適化する「統合システム」の提供にある。これを実現するために、ハードウェアの自動化と、それらを制御するソフトウェアプラットフォームの統合が進められている。
当社は2025年11月、欧米における物流自動化事業の再編という、極めて戦略的な意思決定を公表した。2026年4月の稼働を目指し、「Toyota Automated Logistics(TAL)」という新体制の下、傘下の事業会社を統合・再編する計画である 3。
表:物流自動化事業の再編と技術統合の全体像
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地域 |
統合対象となる事業会社 |
それぞれの技術的強み(Core Competence) |
統合後の戦略的狙い |
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欧州 (Europe) |
Vanderlande (蘭)
viastore (独) |
Vanderlande: 大規模空港バゲージハンドリング、高速ソーター、EC向け大規模AS/RS 4。
viastore: 中小規模自動倉庫、SAP連携WMS、イントラロジスティクス 4。 |
大規模・高速処理から中規模・柔軟対応まで、あらゆる規模の倉庫ニーズに対応可能なフルラインナップ化。重複機能の統合による開発効率向上。 |
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北米 (North America) |
Bastian Solutions (米)
Vanderlande (米国事業) |
Bastian: 独立系インテグレーターとしての提案力、独自のロボット制御技術、カスタムエンジニアリング 4。
Vanderlande: 製品力(ハードウェア)とグローバル供給能力。 |
Bastianの強力なシステムインテグレーション能力と、Vanderlandeのハードウェア製品群を融合し、北米市場におけるターンキーソリューション提供能力を強化。 |
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グローバル |
Toyota Automated Logistics (TAL) |
- |
グループ全体での意思決定迅速化。R&Dリソース(ソフトウェア、AI、制御アルゴリズム)の共有と共通プラットフォーム化。 |
引用元:3
技術的シナジーの深層分析:
この再編は単なる組織変更ではない。技術的な観点からは、「Bastianのソフトウェア力」と「Vanderlande/viastoreのハードウェア力」の融合を意味する。特に、物流システムにおいて最も重要なのは、多数のロボットや機器を協調制御する「Warehouse Execution System (WES)」や「Warehouse Control System (WCS)」である。これら各社が独自に保有していた制御ロジックやアルゴリズムをTALの下で統合・標準化できれば、開発工数の劇的な削減と、システム品質の向上が期待できる。また、Vanderlandeが強みを持つ空港分野の高度な信頼性技術(絶対に止まってはならないシステム)を、一般物流倉庫向けシステムに横展開することも可能となるだろう。
Vanderlandeが提供する「ADAPTO」は、当社の物流ソリューション技術の結晶とも言える製品であり、その技術仕様には「柔軟性」と「拡張性」への執着が見て取れる。
技術仕様と特長(Fact Sheet):
導入事例と実績: この技術は既に市場での評価を確立しており、大手スポーツ小売のFoot Locker(オランダ)や、Toyota WA(オーストラリア・パース部品センター)などでの稼働実績がある 17。特にToyota WAへの導入は、グループ内での技術活用(ドッグフード)の事例として、製品の成熟度を示すものである。
既存のフォークリフト事業においても、「自動化」は最重要テーマである。2024年9月のプレスリリースでは、技術的なブレイクスルーとも言える成果が発表された。
プロジェクト概要:
関連特許動向: この領域に関連する特許として、特許第7318892号(自動搬送装置関連)などが確認されている 9。豊田中央研究所との共同出願も見られ、トヨタグループの基礎研究力(AI・センシング)が製品開発に直結していることがわかる。
自動車セグメントにおいては、トヨタグループの電動化戦略の中核を担う重要コンポーネントの供給責任を果たしている。
当社が世界で初めて実用化した「バイポーラ型ニッケル水素電池」は、成熟技術と見なされていたニッケル水素電池に革命的な性能向上をもたらした。
技術的詳細と解決課題(Technical Reviewに基づく):
BEV化が困難な領域(建機、大型トラック等)への解として、水素エンジンの開発が進められている。
開発ステータスと技術アライアンス:
当社は自前主義に固執せず、外部リソースを積極的に取り込むことで技術ポートフォリオの穴を埋め、開発スピードを加速させている。
表:主要な提携・M&A・共同研究のマトリクス
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パートナー/対象企業 |
形態 |
時期 |
狙いと成果(一次情報ベース) |
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Vanderlande (蘭) |
買収 |
2017年 |
グローバル物流市場へのアクセス。空港・EC向けハイエンドシステムの獲得。2026年のTAL統合の中核となる 16。 |
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Bastian Solutions (米) |
買収 |
2017年 |
北米市場におけるシステムインテグレーション能力の獲得。独自ロボティクス技術の取り込み 16。 |
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viastore (独) |
買収 |
2022年 |
Vanderlandeの手薄な「中規模自動倉庫」領域の補完。SAP連携ソフトウェア技術の獲得 16。 |
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産総研 (AIST) |
共同研究 |
2021年〜 |
水素エンジンの燃焼制御に関する基礎研究。科学的知見の導入による開発期間短縮 7。 |
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AIRMAN |
実証連携 |
2025年 |
水素エンジンの建機適用に向けた実地検証。エンドユーザーに近い環境でのデータ収集 7。 |
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コカ・コーラBJE |
実証連携 |
2024年 |
自動運転フォークリフトのユーザーサイトでの実証。飲料業界特有の要件(4本フォーク等)の抽出と改善 5。 |
引用元:4
これらの活動から、当社が「技術の獲得(Acquisition)」と「用途の開発(Application)」の両面でオープンイノベーションを活用していることがわかる。特に物流領域ではM&Aによる時間を買った技術獲得が顕著であり、水素・自動運転領域ではパートナーとの実証を通じた用途開発が主軸となっている。
Integrated Report 2025によると、当社のガバナンス体制において、知的財産は「経営の持続可能性を支える重要資産」として明確に位置づけられている。具体的な組織図や詳細なレポートラインは「Not Disclosed」であるが、全社的なリスク管理体制の中に知財リスク(侵害・被侵害)の管理が組み込まれており、発明の奨励と権利化、および第三者権利の尊重がポリシーとして運用されている 18。
過去の事例として、エンジン認証問題に関する言及が「Toyota Industries Report 2024」等に散見される。これは直接的な知財係争ではないが、技術開発プロセスにおけるコンプライアンス(法令順守)の重要性を再認識させる契機となった。これを受け、開発部門におけるチェック機能の強化や、品質保証体制の独立性確保といったガバナンス改革が進められている 19。知財活動においても、こうしたコンプライアンス重視の姿勢が反映され、他社特許の侵害リスク調査(クリアランス調査)等の徹底が図られていると推測される(推測のため詳細はNot Disclosed)。
グローバル市場において、特に物流ソリューション分野で競合する欧州大手2社(KION Group、Jungheinrich)と、一次情報に基づく詳細な比較を行う。
表:競合3社 技術・財務ベンチマーク(2024年度/直近決算基準)
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比較項目 |
豊田自動織機 (TICO) |
KION Group (独) |
Jungheinrich (独) |
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基準通貨 |
日本円 (JPY) |
ユーロ (EUR) |
ユーロ (EUR) |
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売上高 |
4兆849億円 1 |
114億3,370万ユーロ 20 |
55億4,600万ユーロ 21 |
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研究開発費 |
1,354億円 1 |
3億9,280万ユーロ (約600億円) 11 |
1億7,100万ユーロ (約280億円) 13 |
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対売上高R&D比率 |
3.3% |
3.4% |
約3.1% |
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注力技術領域 |
物流自動化(TAL)、電池(バイポーラ)、水素 |
Automation & Software, SCS (Supply Chain Solutions) |
Mobile Robots, Lithium-ion, Energy Systems |
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主要ソリューション |
ADAPTO, FASTPICK, 4本フォークAGF |
Dematic (SCS brand), KION ITS |
AGV, WMS (Jungheinrich WMS) |
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地域・再編戦略 |
TALによる欧米事業統合 (2026) 3 |
北米・中国での生産能力増強 22 |
Storage Solutions社買収による北米強化 23 |
注:円換算は概算(1ユーロ=約160-170円想定)だが、分析は原通貨ベースで行う。 引用元:1
詳細比較分析:
一次情報から抽出された、当社の将来に向けた技術・事業イベントの時系列計画は以下の通りである。
表:技術・事業ロードマップ(2024-2030)
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時期 |
領域 |
イベント・マイルストーン(出典) |
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2024年9月 |
物流 |
自動運転フォークリフト(4本フォーク)実証実験開始 5。 |
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2025年10月 |
水素 |
水素エンジン実証試験開始(AIRMAN社コンプレッサー搭載) 7。 |
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2026年4月 |
経営・物流 |
「Toyota Automated Logistics (TAL)」発足。欧州・北米における物流自動化事業の統合運用開始 3。 |
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2020年代後半 |
水素 |
水素エンジンの量産設計・製品化フェーズへの移行(推測なしの記述に基づく)。 |
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2030年頃 |
水素 |
水素エンジンの市場投入(発電機・フォークリフト・建機等への本格展開) 7。 |
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2030年 |
全社 |
「2030年ビジョン」達成目標年。脱炭素・スマート社会への貢献実現 2。 |
本調査において、一次情報(法定開示・公式IR・公的文書)の範囲内では確認できなかった事項を以下に列挙する。これらについては、推測による補完を行わず「該当情報なし」とする。
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情報の性質
ご利用にあたって
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