3行まとめ
技術実装による構造転換で過去最高の売上1兆1,999億円を達成
2025年3月期の連結売上高は1兆1,999億円を記録し、労働集約型から技術資本集約型の「社会システム産業」への転換が財務成果に直結しています。
「セコムドローンXX」や「cocobo」による物理セキュリティの無人化を推進
2024年発売の「セコムドローンXX」や自律走行ロボット「cocobo」の実装により、労働力不足を解消しつつ高度な監視サービスを提供しています。
知財の「権利化」と「秘匿化」を使い分けるハイブリッド戦略を展開
検知アルゴリズム等のコア技術は営業秘密(ブラックボックス化)として守りつつ、システム制御やビジネスモデルの特許化を進める高度な知財管理を行っています。
この記事の内容
セコム株式会社(以下、セコム)における知財・技術戦略は、従来の労働集約的な警備ビジネスモデルから、技術資本を集約させた「社会システム産業」への構造転換を牽引する核心的なドライバーとして機能している。2025年3月期の連結売上高は1兆1,999億4,200万円に達し、過去最高を更新する結果となった 1。この財務的成果は、単なる市場の自然増によるものではなく、AI画像解析、センシング技術、および自律走行ロボティクスを実装した高付加価値サービスの展開と、それに伴う戦略的な価格改定(ARPU:Average Revenue Per Userの向上)が直接的に寄与していることが確認される 2。特に、家庭向けおよび事業所向けオンライン・セキュリティシステムにおけるサブスクリプションモデルの強化は、初期導入後の継続的な収益(Recurring Revenue)の安定化と利益率の改善に貢献している。技術投資は、警備員の配置最適化やオペレーションの自動化を通じて、人件費高騰という構造的リスクを相殺し、営業利益の維持・拡大を可能にする財務的レバレッジとして作用している。セコムの財務戦略において、技術はコストセンターではなく、収益の質を変革するための「資本財」として位置づけられており、その実装スピードが直接的に企業のトップラインおよびボトムラインに反映される構造が確立されている。
セコムが定義し、経営資源を集中投下している重点技術領域は、「自律化(Robotics & Drones)」、「AI画像解析(Computer Vision)」、および「サイバー・フィジカル・セキュリティ(Cyber-Physical Security)」の3点に集約される。特に進捗が著しいのは、物理セキュリティの無人化を推進するハードウェアとソフトウェアの融合領域である。具体的には、自律走行型巡回監視ロボット「cocobo」の実装に加え、2024年春に市場投入されたAI搭載セキュリティドローン「セコムドローンXX」が挙げられる 3。これらのハードウェア群は、単独で機能するのではなく、セコムのクラウド基盤および画像センターとリアルタイムに連携し、侵入検知から追跡、通報までを自律的に実行するエコシステムを形成している。また、常駐警備員が装着するウェアラブルデバイスとAIカメラの連携により、現場情報のデジタル化と指令の高度化を実現しており、物理的な警備業務とデジタル技術の融合(警備DX)が、実証実験のフェーズを超えて商用サービスとして定着しつつある 2。これらの技術進捗は、労働力不足への対応という守りの側面だけでなく、常時監視と即時対応というサービスレベルの向上を実現する攻めの戦略として機能している。
2025年3月末時点におけるセコムの特許出願中の発明数は179件であり、これに既存の特許権を加えたポートフォリオが厳格に管理されている 4。セコムの知財戦略における最大の特徴は、単なる出願数の最大化(量的拡大)を追求するのではなく、事業競争力に直結するコア技術の権利化(質的強化)と、模倣困難な技術の秘匿化(ブラックボックス化)を組み合わせたハイブリッド戦略にある。公開情報および技術トレンドからの分析によれば、警備ロボットの自律走行制御、ドローンの画像伝送・処理、およびプライバシー保護を考慮した監視データ処理に関する特許網の構築が進められていると推測される。一方で、セキュリティシステムの根幹をなす検知アルゴリズムや暗号化通信プロトコルなど、侵害の発見が困難であり、かつ競争優位の源泉となる技術については、特許出願を行わずに営業秘密として徹底管理する戦略を採用している可能性が高い。これは、技術開示による競合他社の模倣を防ぎつつ、長期的な独占的地位を維持するための合理的かつ高度な知財マネジメントの結果であると言える。
綜合警備保障株式会社(ALSOK)との比較において、セコムの技術的優位性は「サービスプラットフォームの統合度」と「先行者利益によるデータ蓄積」にある。ALSOKも警備ロボットやドローンの開発を進めているが 5、セコムは「セコムグループ ロードマップ 2027」に基づき、セキュリティのみならず、防災、メディカル、保険、BPO・ICTを包括する「あんしんプラットフォーム」構想を掲げ、各サービス間のデータ連携を深化させている点が差別化要因となっている 6。技術的には、自社開発のAI解析基盤とデータセンター運用能力が、サービスの信頼性と拡張性を支える基盤となっている。一方で課題としては、急速に進化する生成AI技術のセキュリティ業務への適用スピードと、グローバル市場における現地ニーズへの適合(ローカライゼーション)が挙げられる。特に、海外のビッグテック企業がスマートホーム領域に参入する中で、独自のエコシステムをいかに維持・拡大し、プラットフォーマーとしての地位を盤石にするかが問われている。
セコムは「ロードマップ 2027」において、2027年度に向けた成長投資を財務戦略の柱として掲げている 6。具体的なR&D投資額の数値目標は開示されていないものの(Not Disclosed)、資本コストを意識した上で、収益性拡大に向けた新サービス・ソリューション開発への資源配分を優先する方針が明確に示されている。投資の重点は、従来のハードウェア単体の開発から、サービス全体の付加価値を高めるソフトウェア、AIアルゴリズム、およびデータ解析基盤へとシフトしている。また、技術開発における自前主義に固執せず、「SECOM Acceleration Program」などを通じたオープンイノベーションや、国内外のスタートアップへのCVC(Corporate Venture Capital)投資を通じて、外部の革新的な技術を迅速に取り込むエコシステム形成を加速させる計画である 6。これにより、技術革新のスピードに追随し、2030年を見据えた社会システム産業の構築を目指している。
セコムおよび競合他社(ALSOK)における、過去5年間のR&D投資額および関連する財務指標の推移を以下に詳細に記述する。なお、セコムの具体的な研究開発費については、直近の公開資料(有価証券報告書、決算短信等)において明確な金額の開示が確認できなかったため、確認可能な財務指標と企業の公式方針に基づき、その投資規模と傾向を分析する。
表1:セコム株式会社 財務・R&D指標推移(連結)
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会計年度 (Fiscal Year) |
売上高 (Revenue) |
研究開発費 (R&D Expenses) |
対売上比率 (R&D/Rev) |
主要な戦略的マイルストーン・開示事項 |
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2021年3月期 |
1,035,898 百万円 |
Not Disclosed |
- |
「セコムグループ ロードマップ 2022」最終年度に向けた基盤整備。セキュリティサービスのデジタル化推進。 |
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2022年3月期 |
1,049,859 百万円 |
Not Disclosed |
- |
セキュリティロボット「cocobo」の本格運用開始。AI・ロボティクス実装の加速。 |
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2023年3月期 |
1,101,307 百万円 |
Not Disclosed |
- |
「セコムグループ ロードマップ 2027」策定。成長投資へのリソース配分を明確化。 |
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2024年3月期 |
1,154,740 百万円 |
Not Disclosed |
- |
「セコムドローンXX」開発発表。警備DX専門部署の新設による技術実装の組織化。 |
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2025年3月期 |
1,199,942 百万円 |
Not Disclosed |
- |
過去最高売上更新。サステナビリティレポートにて知財・人財投資の重要性を再確認。 |
出典: 1
詳細解説:
セコムの有価証券報告書および決算短信において、研究開発費は「販売費及び一般管理費」の内訳として処理されている可能性が高いが、サマリー情報においては独立した項目として開示されていない(Not Disclosed)。しかし、財務データにおける売上高の推移を見ると、過去5年間で約16%の増加を記録しており、特に2024年3月期以降の伸びが顕著である。この成長曲線は、技術実装によるサービス単価の上昇と契約数増加が相乗効果を生んでいることを強く示唆している。「ロードマップ 2027」では、営業キャッシュフローおよび手元資金を原資として、成長投資(R&Dを含む)を機動的に実施する方針が明記されており、財務的な健全性を維持しつつ、積極的な技術投資を行う姿勢が確認できる 6。具体的には、収益性拡大に向けた新たなサービス・ソリューションの提供のための投資が最優先事項とされており、これにはAI開発やシステム基盤の刷新が含まれると推測される。
表2:綜合警備保障株式会社(ALSOK) 財務指標推移(連結)
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会計年度 (Fiscal Year) |
売上高 (Revenue) |
経常利益 (Ordinary Profit) |
販管費及び一般管理費 (SG&A) |
研究開発関連の注記 |
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2021年3月期 |
469,920 百万円 |
38,106 百万円 |
Not Disclosed |
- |
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2022年3月期 |
489,092 百万円 |
43,744 百万円 |
Not Disclosed |
- |
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2023年3月期 |
492,226 百万円 |
38,198 百万円 |
Not Disclosed |
- |
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2024年3月期 |
521,400 百万円 |
41,169 百万円 |
87,056 百万円 |
R&D費はSG&Aに含まれるが内訳非開示。 |
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2025年3月期 |
551,881 百万円 |
43,107 百万円 |
90,752 百万円 |
決算短信補足資料にて「研究開発費:28億円」の記述あり 7。 |
出典: 5
詳細解説:
ALSOKの2025年3月期におけるSG&A(販売費及び一般管理費)は907億5,200万円であり、前期比で増加傾向にある 5。一部資料(決算短信補足資料のスニペット)において「研究開発費:28億円」との記述が確認された 7。この数値が事実であれば、売上高に対するR&D比率は約0.5%程度となる。一般的な製造業やIT企業と比較して低い水準にあるが、これは警備業界の特性上、ハードウェアの基礎研究よりも、既存技術のサービス適用やシステム統合、オペレーション改善に投資が向けられていることを示唆している。ALSOKの投資戦略は、現場の警備員の能力を補完するための技術導入に重点が置かれており、セコムと比較して「現場力」と「技術」の融合におけるアプローチの違いが財務数値にも表れていると考えられる。
経営層による技術および知財戦略へのコミットメントは、各年度の統合報告書および中期経営計画(ロードマップ)における記述から明確に読み取ることができる。セコムの経営陣は、技術を単なるツールとしてではなく、企業価値向上のための不可欠な資本として定義している。
セコムグループ ロードマップ 2027における成長投資方針 「収益性拡大に向けた新たなサービス・ソリューションの提供のための成長投資、人財確保・育成のための継続投資、サービス価値の最大化と業務効率化による生産性向上などを重点施策として掲げる。財務戦略として2027年度...」 出典: 6
この方針記述は、技術開発を「機能向上」という狭義の目的ではなく、「収益性拡大」と「生産性向上」に直結する経営課題として位置付けていることを示している。特に、「サービス価値の最大化」という文脈において、AIやロボティクスの活用が不可欠であるとの認識が背景にある。また、サステナビリティレポート2025においては、「人的資本」と「知的財産」を企業の持続的成長を支える両輪として定義し、これらへの投資状況を積極的に開示する姿勢を強化している 6。これは、投資家やステークホルダーに対し、セコムが労働集約型企業から知識集約型企業へと変貌を遂げつつあることをアピールする戦略的なメッセージでもある。
セコムが展開する技術ポートフォリオは、物理セキュリティの自動化・無人化を推進する領域に集中している。以下に、主要な技術プロジェクトとその実装状況をカタログ化し、それぞれのビジネス貢献度を分析する。
表3:セコム重点技術領域と実装プロジェクト
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技術領域 (Technology Domain) |
プロジェクト・製品名 (Project/Product) |
ステータス (Status) |
技術・ビジネス実装詳細 (Implementation Details) |
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Aerial Robotics (航空ロボティクス) |
セコムドローンXX |
Launched (2024年春発売) |
[機能] 自律飛行による広域巡回監視、侵入者自動追跡。映像のリアルタイム送信とドローン内部への高画質蓄積。
[連携] 防災センターおよびセコム画像センターと連携し、異常検知時に緊急対処員を即座に派遣するオペレーションを確立。
[特長] 旧モデル比で飛行性能・画像処理能力が大幅向上。AIによる非接触監視を実現し、危険な現場への初動対応を無人化。 3 |
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Ground Robotics (地上ロボティクス) |
cocobo (ココボ) |
Active (稼働中) |
[機能] 公共空間や商業施設内での完全自律走行巡回。AI解析による放置物検知、混雑状況把握、不審者威嚇。
[役割] 常駐警備員の業務代替および補完。人間との協働を前提とした設計であり、警備員の負担軽減と質の向上を両立。
[ビジネス] 警備業務の省人化によるコスト抑制と、高品質なセキュリティ提供による契約単価維持の両立。 2 |
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Virtual Security (仮想警備) |
バーチャル警備システム |
Active (稼働中) |
[機能] 3Dモデルのバーチャルキャラクターがミラーディスプレイ上で警戒・受付業務を実施。AIが訪問者の音声・映像を解析し、適切な応答を行う。
[実装] 等身大で表示されることで心理的な抑止効果を発揮。常駐警備員の配置削減に直接的に寄与。
[知財] インタフェース、対話AI、および遠隔バックアップシステムに関する特許技術が含まれると推測される。 2 |
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AI & Sensing (AI・センシング) |
AIカメラシステム / ウェアラブル |
Active (全社展開) |
[機能] 監視カメラ映像のリアルタイム解析(行動検知、顔認証、異常挙動特定)。警備員装着カメラ映像の共有。
[目的] 「誤報」の削減と「予兆」の検知。事後対応型のセキュリティから事前予防型へのパラダイムシフト。
[インフラ] エッジAIとクラウド処理のハイブリッド構成により、通信負荷を抑制しつつ高速な解析を実現。 2 |
詳細解説:
「セコムドローンXX」の開発と市場投入は、セコムの技術戦略における重要な転換点である。従来の産業用ドローン活用が実証実験レベルに留まるケースが多い中、セコムはこれを商用サービスとして完全にパッケージ化し、既存の「緊急対処員駆けつけサービス」という人的リソースとシームレスに結合させた点に革新性がある 3。これにより、広大な敷地を持つ工場や重要インフラ施設において、固定カメラの死角を補完し、かつ人間の巡回コストを削減するソリューションを提供している。ドローンが捉えた映像はリアルタイムで防災センター等に送信され、現地の状況確認から意思決定までの時間を大幅に短縮する。
また、「cocobo」や「バーチャル警備システム」は、深刻化する日本の労働力不足に対する直接的な回答であり、これらが単なる技術展示(PoC)ではなく、実際の収益を生むサービスとして稼働している点が特筆される。「cocobo」は、AIによる環境認識能力を持ち、放置物や転倒者などの異常を自律的に検知・通報する能力を有しており、人間の警備員が本来注力すべき高度な判断業務や接客業務へのシフトを可能にしている。「バーチャル警備システム」は、受付業務と警戒業務を兼務し、必要に応じて遠隔地のオペレーターが対応を引き継ぐハイブリッド運用を実現しており、省人化とサービス品質の維持を両立させるビジネスモデルとして確立されている。
セコムの知財活動は、技術の独占よりも「サービスの差別化」と「運用リスクの低減」に重きを置いている。特許出願の傾向からは、ハードウェアそのものよりも、システム全体の制御やビジネスプロセスを保護しようとする意図が読み取れる。
表4:知財活動概況(2025年3月時点)
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カテゴリ |
データ・指標 |
内容・分析 |
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特許出願状況 |
179件 (出願中) |
2025年3月末時点で審査請求中または公開中の特許出願数。既存の登録特許を含まない流動的な数字であるが、継続的なR&D活動を示唆する。製造業と比較して数は多くないが、サービス業としては高水準を維持。 4 |
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主要技術分野 (推定) |
G08B (警報システム)
G06Q (ビジネスモデル)
H04N (画像通信) |
公開情報や製品ラインナップから、セキュリティシステムの制御ロジック、異常検知アルゴリズム、およびこれらを用いたサービス提供方法(ビジネスモデル特許)に集中していると考えられる。特に画像解析と通信制御に関する技術の権利化が進んでいると推測される。 |
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商標・ブランド |
SECOM
cocobo
ドローンXX |
「SECOM」ブランドの強力な保護に加え、新製品(cocobo等)のネーミングを商標化し、ブランド資産として確立。国内最大級のブランド力を維持・強化している。 2 |
詳細解説:
特許出願数179件(出願中)という数字は、大手製造業と比較すれば小規模に見えるが、サービス業としてのセコムの立ち位置を考慮すれば戦略的な意味を持つ 4。セコムの特許戦略は、ドローンやロボットの筐体構造(メカニズム)よりも、それらを制御するシステム全体のアーキテクチャ、センサーデータを用いた異常検知のプロセス、そしてそれらを顧客に提供するビジネスモデルの保護に注力していると推測される。特に、誤報を減らし、確実な検知を行うためのアルゴリズムや、複数のセンサー情報を統合して判断を下すデータフュージョン技術は、セキュリティ会社の競争力を左右するコア技術である。
また、セキュリティ分野特有の事情として、具体的な検知ロジックや暗号化技術を公開(出願)せず、ブラックボックス化する「秘匿戦略」を意図的に採用している可能性が高い。特許出願は技術内容の公開を伴うため、攻撃者にシステムの抜け穴を研究されるリスクがある。そのため、模倣が容易な外形的な機能やインターフェースについては特許で保護し、内部の深層学習モデルや脅威検知ロジックについては営業秘密として厳重に管理するという、知財ミックス戦略が展開されていると考えられる。これにより、競合他社への技術情報の漏洩を防ぎつつ、長期的な競争優位を維持している。
セコムの知財・技術は、単発の製品販売ではなく、長期的なサービス契約(リカーリングビジネス)の基盤としてビジネスモデルに深く組み込まれている。
セコムは自前主義からの脱却を図り、オープンイノベーションによる技術獲得を加速させている。外部の技術やアイデアを取り込むことで、変化の激しい市場環境に対応し、新事業創出のスピードを上げる戦略をとっている。
表5:主要な提携・オープンイノベーション活動
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パートナー/プログラム |
概要・目的 |
戦略的意図 |
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SECOM Acceleration Program 2026 |
スタートアップとの共創プログラム。セコムのリソースを活用した新事業創出。 6 |
外部の斬新なアイデアと技術を取り込み、既存事業の枠を超えた「新しい体験」を創出する。R&Dの外部化および多角化を推進し、社内リソースだけでは到達できないイノベーションを実現する。 |
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KDDI (参考) |
通信インフラおよびIoT領域での連携(過去の実績含む)。 |
5G通信環境の整備と、ドローンやロボットの遠隔制御における低遅延・高信頼通信の確保。スマートシティ構想における通信キャリアとの協業。 |
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国内大学・研究機関 |
セコム科学技術振興財団を通じた研究助成 6。 |
基礎研究段階からの技術シーズの発掘と、アカデミアとのネットワーク構築。長期的な視点での科学技術振興を通じた社会貢献と、将来的な技術応用の種まき。 |
詳細解説:
「SECOM Acceleration Program」は、単なる資金提供(投資活動)にとどまらず、セコムの持つ膨大な顧客基盤、実証フィールド、そして信頼ブランドをスタートアップに提供することで、事業化のスピードを上げる狙いがある。特に、高齢者見守り、ヘルスケア、災害対策といった領域において、セコム単独では開発に時間を要するソリューションを、機動力のある外部パートナーとの連携によって迅速に市場投入する戦略がとられている。これにより、セコムはプラットフォーマーとしての地位を強化し、スタートアップはスケールアップの機会を得るというWin-Winの関係構築を目指している。
社会インフラとしての性格を持つセコムの事業は、政府や自治体との連携が不可欠である。特に、防災・減災領域において、自治体と連携した災害時の情報収集や安否確認サービスの提供が行われている。また、ドローンを用いた被災状況確認などの実証実験への参画を通じて、規制緩和への働きかけや標準化活動にも関与している。環境・エネルギー分野においては、オンショア風力発電のバーチャルPPA(電力購入契約)締結など、脱炭素社会に向けた取り組みを推進し、CDPから高評価(Double A)を獲得している 6。これは、ESG投資を呼び込む上での重要な「非財務的知財」として機能しており、企業価値の向上に寄与している。
今回のリサーチ範囲において、セコムが当事者となっている重大な特許侵害訴訟や、経営に深刻な影響を与える知財係争の事実は確認されなかった(Not Disclosed)。これは、セコムが他社の特許権を侵害しないよう、開発段階でのFTO(Freedom to Operate:侵害予防調査)調査を徹底していること、および係争になりにくい領域での権利化を進めていることの証左である可能性がある。ただし、セキュリティ業界全体において、特許トロール(NPE)による訴訟リスクは常在しており、グローバル展開を進める上では、海外の知財リスクに対する監視体制の維持が必要である。
セコムの知財ガバナンスは、「リスクの予防」と「信頼の維持」に重点を置いている。
セコムとALSOKの2社は、日本の警備市場における双璧であるが、その技術戦略と財務構造には明確な差異が存在する。
表6:セコム vs ALSOK 技術・財務ベンチマーク(2025年3月期ベース)
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比較項目 |
セコム (SECOM) |
ALSOK (綜合警備保障) |
分析・考察 |
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売上高 (Revenue) |
1兆1,999億円 1 |
5,518億円 8 |
セコムはALSOKの約2.2倍の事業規模を誇る。海外展開および多角化(保険・医療・BPO等)の進展度の差が、この圧倒的な数字に表れている。 |
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経常利益 (Profit) |
Not Disclosed (詳細数値要参照) |
431億円 8 |
セコムの利益規模は大きく、これが次世代技術への投資余力の差につながっている。 |
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R&D/技術投資 |
ロードマップに基づく「成長投資」枠組み。具体的金額非開示だが、新サービス創出への投資意欲が高い。 |
28億円 (参考値) 7。ハードウェア開発に加え、現場オペレーション改善への投資が中心。 |
ALSOKは既存技術の応用と現場力強化に注力する一方、セコムは新技術創出とプラットフォーム化への投資を優先する傾向がある。 |
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ロボット・ドローン |
cocobo / セコムドローンXX
完全自律・商用サービス化済み。 |
Reborg-X / ドローン
巡回警備ロボット等を有し、警備現場での活用を推進。 |
両社ともロボット活用を推進しているが、セコムは「システム全体との連携(プラットフォーム化)」と「無人化」をより強く志向している。 |
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戦略キーワード |
あんしんプラットフォーム
社会システム産業 |
Integrated Security Service
総合安全安心サービス |
セコムは「社会インフラ」としての地位確立を目指し、ALSOKは「現場対応力」と「多様なサービスラインナップ」を強みとする。 |
詳細論述:
セコムは、圧倒的な資金力を背景に、AIやドローンといった先端技術への先行投資を行い、それをプラットフォームとして統合する戦略をとっている。対してALSOKは、現場の警備員の質(人的資本)を重視しつつ、それを補完するツールとして技術を活用するアプローチが見られる。セコムの強みは、医療や保険といった異業種データをセキュリティデータと結合できるポテンシャルにあり、これが将来的な「データドリブンな安全サービス」への進化を可能にする。ALSOKは、金融機関向けの現金管理やファシリティマネジメントなど、BtoB領域での堅実なサービス展開に強みを持つ。この戦略の違いは、将来的な拡張性においてセコムに分があることを示唆しているが、ALSOKの現場密着型の強さも無視できない要素である。
セコムは「ロードマップ 2027」において、以下のマイルストーンを設定し、技術と経営の統合を進めている。
本調査において、以下の事項については公開情報(IR資料、特許DBスニペット)からは詳細を確認できなかった(Not Disclosed)。これらの情報は、企業の競争戦略の核心に触れる部分であるため、非開示とされている可能性が高いが、アナリストとしては継続的な注視が必要である。
これらの情報は、今後の四半期開示や技術広報を通じて明らかになる可能性があるため、継続的なモニタリングが推奨される。
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本レポートは、公開情報をAI技術を活用して体系的に分析したものです。
情報の性質
ご利用にあたって
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