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新規事業が育たない理由とは? 課題の本質は「支援者」の育成にあった

新規事業が育たない理由とは? 課題の本質は「支援者」の育成にあった

「発明塾」塾長の楠浦です。
今回は、2025年10月10日(金)に開催した「発明塾セミナー 新規事業が育たない理由をなくすには?~支援者を育てるという考え方~」の概要紹介と、僕の所感の紹介です。

発明塾セミナー 新規事業が育たない理由をなくすには? ~支援者を育てるという考え方~
https://www.techno-producer.com/news/seminar-newbiz-producer-251010/

内容は、2025年の4月から6月にかけて実施した「新規事業プロデューサー養成講座」での指導、および、受講者の作業や討議の様子などを紹介したものです。
発明塾の手法をしっかりと理解した支援者が6名も誕生したことは、僕にとっては非常にうれしいですね。

セミナー内でお話ししていますが、企業内発明塾は「提案者」のために開催しているので、支援者を指導することはしません。
支援が下手な支援者がいても、僕はほとんど口出しせず、僕がフォローしてやり繰りしていきます。
理由は単純で、時間がないからです。

まず、支援者の支援にコメントしている時間があったら、提案者の企画について、一秒でも時間を多く割き、企画そのものを良くしたい。
あとは、短い時間で支援者にあれこれ指導しても、理解できずに終わるのが目に見えていて、下手をすると機嫌を損ねて支援してもらえなくなる可能性が高いからです(笑)。
そうすると、僕はともかくとして、提案者がやりづらくなります。
誰も得しないことがほぼ確定なので、やりたくない。それだけです。

支援者としての指導をきちんと受けたい方は、企業内発明塾のオプションとして「支援者向けの指導」がありますので、そちらを申し込んでいただくことになっています。
提案書の中に必ず記載していますので、ご確認ください。
なんとなく、漫然と議論に参加しても、支援者としてのスキルはさほど向上しないんですよね。
過去に参加していた支援者からも、「何回参加しても学びが多い」という声をもらっているのですが、逆に言うと、それだけ時間がかかっている、ということです。

今回の「新規事業プロデューサー養成講座(公開講座)」は、最短距離で支援者としての経験を積み、マインドとスキルを身につけていただくための講座でした。
その後、参加者の上司の方などからのコメントなども勘案して、講座の目的は十分達成されたと判断しています。
参加者からも、支援者の何たるかが理解できた、という声が繰り返し出ていますので、効果は抜群だったのでしょう(笑)。

アーカイブ動画も、動画セミナーとして販売しております。ぜひご覧ください。

発明塾®動画セミナー『新規事業が育たない理由をなくすには? ~支援者を育てるという考え方~』
https://e-hatsumeijuku.techno-producer.com/newbiz-producer

まずは、概要の紹介から。

1. 新規事業が育たない理由と課題

弊社で独自に実施したアンケートとヒアリングの結果を紹介しました。
AI要約を掲載しておきます。

多くの企業では、既存事業の延長や顧客の要望に基づく開発は得意ですが、新たな市場を創造するような新規事業のテーマは不得意であり、その進め方が属人化し失敗に終わっているのが現状であると考察されています。

アンケート・ヒアリングの結果、新規事業の育成を阻害する主な要因として、以下の点が挙げられています。

①提案者・支援者ともに人材育成・経験不足:

 提案者だけでなく、提案者を支援する「支援者」の育成や経験が不足していることが障壁となっています。

②大きなボトルネックは提案を通すまでだが、通った後の頓挫も一定ある:

 新規事業の提案が通る前の段階で頓挫するケースが約4割を占めますが、提案が通った後に頓挫するケースも多い(3割)です。

③顧客ニーズの検証の不足:

 顧客ニーズや「売れるかどうかの事前検証」が不十分であり、顧客企業の決裁者が承認するレベルの提案まで育てることができていない。

 技術者はソリューションの検証から入りがちで顧客課題にピンと来ず、顧客ヒアリングの方法も知らないことが多いとされています。

新規事業は、**「存在するが、まだ解決されていない/解決に取り組まれていない課題」**に取り組む必要があり、多くの担当者は「顧客課題」と「ソリューション」の両方を考えながら、「未解決の深刻な課題を解決」するまでにたどり着くことができていません。

企業内発明塾では「企画を通すまで」の支援を行っていますが、企画が通った後の支援も「月額顧問」などを通じて実施可能です。
終了後の質疑応答では「ピボットのやり方・注意点」について、質問が来ていましたが、まさにそこですね。
僕は、前職のナノテクスタートアップでも、ピボットを繰り返して「これはイケる、という事業」にたどり着いた経緯があり、ピボットのコツはわかっています。
お話を聞くと、ピボットせず(できず)に諦める人が多いようなのですが、これは非常に残念ですね。
実際に月額顧問で支援した案件の中には、「ピボット」の検討支援もありますので、ぜひご活用ください。

2. 「支援者」の育成と役割

ここからは、「新規事業プロデューサー養成講座(公開講座)」での指導、および、参加者の作業や討議の内容になります。
できるだけ、参加者の振り返りメモにもとづいて、作成しています。
AI要約です。

新規事業の行き詰まりを乗り越え、提案を成功に導くためには、提案者に伴走する支援者の育成が近道であると考えられています。

支援者に求められる視点と心構えは、以下に尽きる。

”支援とは、アイデアを育て、「通すこと(社長を説得する)」であり、成功に導くこと”

具体的には、以下の4つ。

①経営者目線を持つ裏方:

 支援者は経営者の視点を持ち、提案を育てる構造的な理解が必要です。結果が出たら提案者の手柄、出なければ支援者の責任となる裏方に徹する必要があります。

②事実と事例に基づく支援:

 支援は科学であり、「私はそうは感じません」といった意見ではなく、事実と事例を通じて支援すべきです。提案者と同じ次元にいてはなりません。

③提案者の勢いを止めない:

 支援者の最大の価値は、提案者の「動き出した勢い」を止めないことです。完璧な100点満点よりも、**「30点でも即返し」**の即応が推奨されています。

④主役は提案者:

 提案者がやりたいこと、興味があることを「原点」「始点」として、それを広げ、育てていくのが支援者の仕事です。

支援者・支援の議論をすると、必ず「問い」がどうのこうの、という人が出てきます。
抽象論では何も解決しなくて、僕は、「提案者の思考やアクションを止める問い」だったら、出さないでくれ、といつも思ってます。
(先述の理由で、言いませんが、、、(笑))

「問い」というのは手段にすぎません
手段を身につけた人ほど、手段におぼれる傾向になるのは、もうホントにやむを得ないのですが、「提案者を巻き取る」ことを目的に、アクションして欲しいなといつも思います。

僕がどうしているかは、セミナーでズバリお話ししています。
僕は、無駄に「問い」を発しません(笑)
無駄に、がポイントです。

3. 新規事業企画のフェーズ別支援(事例)

実際にどういう作業を行ったか、参加者の振り返りをもとに、紹介しています。
僕が何を教えたか、は、あまり重要ではないと僕は考えています。
それよりも、参加者が何を理解したか
その上で、どう行動したか、行動が変わったか
これに尽きますよね。

後で活かします、という人はだいたい活かせないので(笑)、その場で行動が変わったかどうかで僕は判断します。今回は、明らかに全員、変わりましたね。

資料では、「ヤマト運輸でサステナ部門発の新規事業を社長に提案する」というお題に取り組んだ「支援者向け発明塾」のワークショップ事例を通じて、フェーズごとの支援者の役割が解説されています。

新規事業企画の進め方は、以下の3つのフェーズに分けられます。

①フェーズ 1:情報調査とアイデア出し(第1回~第2回)

・目的: 提案者の着眼点を広げ、突破口となるアイデアを育てる「探索フェーズ」です。

・支援者の役割:

 - 提案者の着眼点(例:過疎地域や耕作放棄地の社会課題)に共感しつつ、具体的な先行事例や**エッジ情報(最先端情報)**をどんどん提供し、発散を促します

②フェーズ 2:確信犯になるための企画検討(第3回~第4回)

・目的: アイデアの可能性に対する提案者自身の確信を深める「企画フェーズ」です。

・支援者の役割:

 - ピクト図解などのツールを通じて、ビジネスモデルやお金の流れを俯瞰させ、自身の確信を深めることを支援します。 
 - 事業の最初の一歩として、「絶対に買う人が一人いる」というレベルでファーストユーザーを個人名レベルで特定し、「明日パンフ・チラシだけでも売りに行ける最小単位(MVP)」を具体化させます。

③フェーズ 3:企画を通すための企画提案書作成(第5回~第6回)

・目的: 社長・役員が必ずOKするであろう「人が動く企画提案書」を作成します。

・支援者の役割:

 - 新しい情報は追加せず、既存の情報で時間内に仕上げるための支援が求められます。  
 - 「評価」や「指導」ではなく、一緒に育てる姿勢で、見せ方の工夫(構成・表現例・図表)に関するアイデアを積極的に共有し、ロジックの伝達精度向上をサポートします。

最終的に、新規事業を育てるためには、提案者に伴走し、適切な方向に導く支援者の「技術」と「哲学」が必要であり、支援者は「自然発生に任せる」のではなく**「育てる」必要がある**と結論付けられています。

多数の質問を、いただきました。
結局、支援者が肝なんですよね。
提案者は、リスクとってチャレンジしてるわけだから、それをどこまで支援できるか、育てきれるか。

その貴重な「意欲」を無駄にしないためにも、「支援のプロ」としてトレーニングを受けていただくことが、望ましいと思います。

 

楠浦 拝

 

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