エグゼクティブサマリ
- 技術分野の市場概観と重要性
ペロブスカイト太陽電池(PSC)は、既存の主流であるシリコン系太陽電池が持つ「重く、硬い」という物理的な制約を打破する次世代技術として、エネルギー分野で最も注目されるフロンティアの一つです。「軽量・柔軟・薄膜」という特性 1 に加え、「低照度(室内光・曇天)での発電効率の高さ」2 を併せ持ちます。これにより、従来は設置が困難であったビルの壁面、耐荷重の低い工場の屋根(BIPV:建材一体型)、さらにはIoTデバイスやモビリティへの応用という、全く新しい市場を創出する可能性を秘めています。同時に、既存のシリコンセルに積層する「タンデム型」技術は、シリコンの理論効率限界を超えるソリューションとして、中国の既存シリコン大手企業も巨額のR&D投資と特許網構築を加速させています 3。
- 本レポートで分析する「主要な戦略グループ」の分類と、そこに属する主要プレイヤー
本レポートは、特許出願動向(技術蓄積)、事業規模(生産能力)、戦略投資(IR・アライアンス)の3基準に基づき、主要プレイヤーを以下の4つの戦略グループに分類・分析します。
- グループ1:「タンデム型・IPライセンス」戦略(欧州アカデミア発): Oxford PV 5 に代表され、タンデム技術の強力な基礎特許を武器に、製造大手への技術ライセンス供与 6 をビジネスモデルの柱とします。
- グループ2:「タンデム型・垂直統合」戦略(中国シリコン大手): Trinasolar 7、LONGi 1 など。既存のシリコン製造の覇権を守るため、タンデム技術のR&Dと応用特許網を自ら構築し、次世代の垂直統合モデルによる市場支配の継続を目指します。
- グループ3:「単接合・新市場創出」戦略(中・欧スタートアップ): Saule Technologies 5、Microquanta 8、GCL/UtmoLight 9 など。「軽量・柔軟」という特性に特化し、BIPVやIoTという新市場での先行者利益獲得を最優先します。
- グループ4:「フィルム型・国内応用」戦略(日本): 積水化学 10、カネカ 11、東芝 12 など。政府のグリーンイノベーション(GI)基金を活用し、「超軽量・高耐久フィルム」という特定技術に集中。国内のZEB/ZEH、インフラ、車載など、高付加価値なニッチ市場での社会実装を狙います。
- 主要な技術応用先の分類
- 現在(商用化・実証段階): BIPV(建材一体型)が最も先行しており、欧州や中国で実証プロジェクトが稼働しています 5。また、室内光で動作するIoTデバイス電源としての応用も始まっています。
- 未来(開発段階): ユーティリティ(大規模発電所)市場(グループ1, 2のターゲット)3、超軽量特性を活かした宇宙・航空分野 14、そしてEVの航続距離延長などを目的としたモビリティ(車載)11 での開発が進行中です。
- 市場全体の主要トレンドと今後の課題
- トレンド: 市場は二極化しています。(1) グループ2(中国大手)による、既存シリコン市場の置換を狙った「タンデム型」への巨額投資と高効率化競争、(2) グループ3(スタートアップ)による、BIPVという「新市場」の具体的な商用化・量産化、という2つの流れが同時に進行しています。
- 課題: 市場の本格的な離陸には、2つの重大な技術的障壁の克服が絶対条件です。(1) シリコン系(20〜25年)に遠く及ばない「耐久性・寿命(現状5年程度)」2 の抜本的改善、(2) 現行の高効率セルの多くが含有する「鉛(Pb)」の毒性に関する環境規制(特に2026年が期限とされるEUのRoHS指令 15)のクリア。
本文
【第1章】技術分野の定義と市場概観
対象技術の範囲定義
ペロブスカイト太陽電池(Perovskite Solar Cell: PSC)とは、太陽光を吸収し電力に変換する「光吸収層」に、ペロブスカイトと呼ばれる特定の結晶構造を持つ材料(主に有機と無機のハイブリッド化合物)を用いた太陽電池の総称です 1。
2009年に桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授らによって初めて実証された日本発の革新技術であり 1、従来の太陽電池市場の9割以上を占めるシリコン系太陽電池とは根本的に異なる特性を有しています。
技術的な特徴は、主に以下の4点に集約されます。
- 軽量・薄膜・柔軟性: シリコン系パネルが1平方メートルあたり約15kgであるのに対し、PSCは1kg程度まで軽量化が可能とされます 1。ガラス基板だけでなく、プラスチックフィルムのような柔軟な素材上にも製造できるため、「曲げられる」太陽電池が実現可能です。
- 高い光吸収性・低照度発電: 非常に高い光吸収能力を持つため、シリコン系に比べて遥かに薄い膜(数百ナノメートル程度)で十分な発電が可能です。また、シリコン系が苦手とする曇天時や室内光(低照度)の環境下でも、効率的に光を電力に変換できる特性を持ちます 2。
- 製造プロセスの優位性(ポテンシャル): シリコン系が要求する高温(1000℃以上)かつ高真空の製造プロセスとは異なり、PSCは「印刷」や「塗布」といった比較的低温(100℃程度)のプロセスで製造可能です 17。これにより、ロール・ツー・ロール方式 16 のような連続生産技術が確立されれば、製造コストを従来のシリコン系の半額以下にできる潜在力を持つと期待されています 17。
- 高効率(タンデム): PSC単体(単接合)でも高効率化が進んでいますが、最大の注目点は、既存のシリコンセルの上にPSCを積層する「タンデム(積層)型」技術です。シリコンが吸収する光の波長と、PSCが吸収する波長が異なるため、両者を組み合わせることで、シリコン単体の理論効率限界(約29%)を大幅に超える30%以上の効率が実現可能とされています 19。
現在の市場規模と成長予測
ペロブスカイト太陽電池市場は、現在、商用化の黎明期にあります。そのため、調査機関によってその成長予測、特に年平均成長率(CAGR)の評価には大きな幅が見られます。
- ある市場レポート(2024年発行)によれば、2024年の世界市場規模は2億6271万米ドルと推定され、2030年には9億2912万米ドルに達すると予測されています。この場合のCAGR(2025-2030年)は43%です 20。
- 一方で、よりアグレッシブな別のレポート(2025年6月発行)では、2023年の市場規模を2億3000万米ドルと評価し、2032年には275億6537万米ドルに達すると予測しています。この場合のCAGR(2025-2032年)は2%という極めて高い数値です 21。
このCAGR 23.43%とCAGR 70.2%という巨大な予測の差異は、単なる分析手法の違いではなく、PSCが内包する「2つの異なる市場戦略」のどちらを重視するかによって生じていると推定されます。
保守的な予測(CAGR 23.43%)は、PSCが「軽量・柔軟・低照度」という独自の特性を活かせるBIPV(建材一体型)やIoTデバイス電源といった「新規市場の創出」のみを主な対象としている可能性が高いです。
一方、アグレッシブな予測(CAGR 70.2%)は、PSCが「タンデム型」として、既存の巨大なシリコン太陽電池市場(ユーティリティや住宅用)そのものを「リプレイス(置き換え)」または「アドオン(追加)」することに成功するという、破壊的なシナリオを織り込んでいる可能性が示唆されます。
本レポートの【第2章】以降で詳述する通り、この戦略的な分岐(新市場創出 vs 既存市場置換)は、現在参入しているプレイヤーの戦略グループと明確に対応しています。
ビジネス上の重要性
PSCが「次世代太陽電池の最有力候補」として、世界的な開発競争と投資の対象となっているビジネス上の重要性は、以下の4点にあります。
- 設置場所の制約打破(新市場の創出): 従来のシリコン系は「平坦で、十分な耐荷重があり、日当たりの良い土地・屋根」を必要としました。PSCは軽量・柔軟であるため、これまで設置が不可能だったオフィスの壁面(BIPV)、曲面の屋根、耐荷重制限のある工場や倉庫の屋根、さらには車体、インフラ(橋梁)など、都市のあらゆる「面」を発電所に変えるポテンシャルがあります 1。
- 低照度・室内発電(IoT/環境発電): 室内光でも発電できるため 2、無数に設置されるIoTセンサーや、スマートウォッチ等のウェアラブルデバイス、電子棚札(ESL)などに対し、電池交換や配線を不要にする「環境発電(エナジーハーベスティング)」ソリューションとしての需要が期待されます。
- 地政学リスクとエネルギー安全保障: 従来のシリコン系太陽電池は、その製造プロセス(特に高純度ポリシリコン)のサプライチェーンが中国に極度に集中しているという地政学的な課題を抱えています 16。日本発の技術 1 であり、資源的にも偏在性の少ない材料で構成されるPSCの普及は、各国(特に日本や欧米)にとって、エネルギー安全保障の観点から極めて重要です。日本政府がグリーンイノベーション基金(GI基金)から最大498億円という予算を投じている 17 のも、この背景があります。
- 製造コスト低減の可能性: 理論上、印刷技術 17 や塗布技術 16 を用いた低温・連続生産(ロール・ツー・ロール)が可能になれば、既存のシリコン系に対し、設備投資額と製造コストを劇的に低減できる可能性があります。
【第2章】キープレイヤーの特定と戦略グループ分類
ペロブスカイト太陽電池(PSC)市場は、単一の技術競争ではなく、異なるビジネスモデルと技術的アプローチを持つ複数のプレイヤー群によって形成されています。
本レポートでは、(1)技術蓄積(特許出願動向)、(2)事業規模(現在の市場シェアや生産能力)、(3)戦略投資(IR発表、投資額、大手企業とのアライアンス)の3つの分析基準を総合的に評価し、現在のPSC市場を構成する主要プレイヤーを、以下の4つの「戦略グループ」に分類します。
グループ1:「タンデム型・IPライセンス」戦略(欧州アカデミア発)
- 選定理由: このグループは、主に欧州の有力大学からスピンアウトしたディープテック・スタートアップで構成されます。彼らの最大の武器は、自社での大規模な製造能力ではなく、ペロブスカイトを既存のシリコン太陽電池に積層する「タンデム技術」に関する基礎的かつ強力な特許ポートフォリオ(IP)です。自社でもパイロットラインでの限定的な製造は行いますが、中核となるビジネスモデルは、このIPをグループ2(中国シリコン大手)などの巨大製造企業にライセンス供与し、ロイヤリティを得る「IPマネタイズ戦略」です。
- 属する主要企業:
- Oxford PV(英国): 2 オックスフォード大学発の代表的企業であり、タンデム技術のパイオニアです。2025年には、世界最大級のモジュールメーカーであるTrinasolarとの間で、中国市場における独占的な製造・販売ライセンス契約を締結 6 しました。これは、このIPライセンス戦略がビジネスとして成立することを証明した象徴的な事例です。
グループ2:「タンデム型・垂直統合」戦略(中国シリコン大手)
- 選定理由: このグループは、既に世界のシリコン太陽電池市場において、圧倒的な製造能力と市場シェアを持つ「現行の支配者(Incumbent)」です。彼らにとってPSCは、自社の既存事業を破壊する「脅威」であると同時に、シリコンの効率限界(約27-29%)19 を超え、覇権を維持するための「最大の機会」でもあります。彼らは、タンデム技術のR&Dに巨額の投資を行い、Oxford PV(グループ1)の基礎IPをライセンスしつつ 6、同時に自社でも膨大な数の周辺・応用特許網を構築 7 しています。最終的な目標は、PSCタンデム技術を含めた次世代技術の「垂直統合モデル」を再構築し、市場支配を継続することにあります。
- 属する主要企業:
- Trinasolar(天合光能、中国): 7 世界最大級のモジュールメーカー。PSC関連特許出願数で世界トップクラス 7 であり、既存のN型TOPCon技術とのタンデム化を強力に推進しています 23。
- LONGi(隆基緑能科技、中国): 1 世界トップシェアを誇るシリコンウェハー・モジュールメーカー。PSCタンデムセルにおいて世界最高効率の記録更新を次々と発表 4 しており、既存のBC(バックコンタクト)技術とのシームレスな統合をロードマップに掲げています 24。
グループ3:「単接合・新市場創出」戦略(中・欧スタートアップ)
- 選定理由: このグループは、グループ1および2が狙う「高効率タンデム(既存市場の置換)」とは明確に一線を画します。彼らは、PSC単体(単接合)の「軽量・柔軟・低照度・大面積」という独自の特性に特化しています。BIPV(建材一体型)やIoTデバイス電源など、既存のシリコン系が参入困難であった「新市場」を先行して開拓し、その分野での先行者利益を獲得することを最優先の戦略としています。多くは、特定技術に特化した専業メーカーやスタートアップです。
- 属する主要企業:
- Saule Technologies(ポーランド): 5 インクジェット印刷技術によるフレキシブルPSCに強みを持ちます。世界で初めてPSCを商用ビル(Skanskaビル)の外壁に組み込むBIPVプロジェクトを実現 5 した、この分野のパイオニアです。
- Microquanta Semiconductor(協鑫光電、中国): 5 BIPV市場に特化し、150MW級の量産ラインを稼働させ 8、88m²という世界最大級の商用モジュール(2025年11月発表)25 を供給するなど、大面積化と量産化で先行しています。
- GCL (UtmoLight)(協鑫ナノ、中国): 1 中国の巨大エネルギーコングロマリットであるGCLグループ 18 の一員。グループの強大な資本力を背景に、GW(ギガワット)級の量産ライン建設を計画 9 するなど、BIPV市場のスケールメリット獲得を狙っています。
グループ4:「フィルム型・国内応用」戦略(日本)
- 選定理由: このグループは、主に日本の大手化学・電機メーカー群で構成されます。経済産業省・NEDOによる「グリーンイノベーション(GI)基金事業」(総額498億円規模)17 を活用して技術開発を進めている点が、戦略的な共通項です。彼らの戦略は、世界的なタンデム効率競争(グループ1, 2)やBIPVの量産・価格競争(グループ3)とは異なり、「超軽量・超薄型フィルム」という、日本の材料科学やプロセス技術の強みが活きる特定技術領域に集中しています。ターゲット市場も、まずは国内のZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)/ZEH(住宅)、インフラ老朽化対策、車載といった、耐久性や信頼性が厳しく問われる高付加価値なニッチ市場での社会実装(実績作り)を目指すものです。
- 属する主要企業:
- 積水化学工業: 1 NEDO(GI基金)の幹事企業 10。自社ビルでの実証 18 などを通じ、BIPV用途での長期耐久性・信頼性の検証をリードしています。
- カネカ: 2 NEDO(GI基金)の採択企業 11。20%に迫る変換効率の薄型ペロブスカイト太陽電池を開発 2。ZEH/ZEBの「発電する壁・窓」や、明確に「車載用途」をターゲットにしています 11。
- 東芝: 12 NEDO(GI基金)の採択企業 26。フィルム型PSCの大面積製造に適した、独自の「ワンステップメニスカス塗布法」という製造プロセス技術の開発に注力しています 12。
- パナソニックHD: 1 特に「発電するガラス」として、意匠性(デザイン性)を重視したBIPV用途での製品化を目指し、CEATEC(2024年)などで大面積サンプルを積極的に展示しています 27。
【第3章】主要な技術応用先の分析
PSCの持つ多様な特性(高効率タンデム、軽量、柔軟、低照度)は、応用先によって求められる技術が異なるため、ターゲット市場は多岐にわたります。
「現在」の応用先:商用化
現時点(2024~2025年)では、本格的なマスマーケットは形成されておらず、主に企業や自治体と連携した実証実験(フィールド実証)や、特定のアーリーアダプター向けのニッチな商用製品が中心です。
- BIPV(建材一体型): 最も実用化と商用化の動きが早い分野です。ポーランドのSaule Technologiesが、Skanska社のオフィスビルの外壁にフレキシブルPSCを導入した事例 5 は、世界初の商用レベルのBIPVプロジェクトとして知られています。
- BIPV実証(国内・海外): 国内では、積水化学工業が自社の大阪本社ビル 18 や物流施設 1 にフィルム型PSCを設置し、長期的な性能・耐久性検証を行っています。パナソニックHDも「発電するガラス」として、展示会や万博でのデモンストレーション 1 を行っています。中国では、Microquantaが中国北部の大学施設(山西省)において、92kWの屋上BIPVシステムを稼働させる 13 など、政府の支援のもとで実証プロジェクトが急速に増加しています。
- IoTデバイス電源: Saule Technologies 5 やエネコートテクノロジーズ 1 などのスタートアップが、室内光でも発電できる特性を活かし、電子棚札(ESL)や各種センサーの自立電源としての応用を模索しています。
「未来」の応用先:開発段階
特許情報、R&D部門のプレスリリース、および政府系機関のファンディング情報からは、3~5年後、あるいはそれ以降を見据えた、より大規模かつ野心的な応用先が読み取れます。
- ユーティリティ(大規模発電所): これは、グループ1(Oxford PV)およびグループ2(Trinasolar, LONGi)が狙う主戦場です。彼らが開発する「シリコン・タンデム技術」は、既存のシリコン発電所のLCOE(均等化発電コスト)を大幅に下げることを目的としています 19。IDTechExは、2035年までにPSCの年間導入量が85GWに達すると予測 28 していますが、このGW級の数値は、BIPVやIoTのみでは到達不可能であり、ユーティリティ市場への本格参入が成功することを前提とした予測値と推定されます。
- 宇宙・航空: JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、PSCの「超軽量」特性(シリコンの1/10以下 1)に強く着目しています。従来の硬いパネルではなく、宇宙機の表面に「衣服のように纏う」ための「ペラペラ太陽電池」として、次世代の小型宇宙機や外惑星探査計画への応用研究を進めています 14。
- モビリティ(車載): 日本のグループ4、特にカネカが「車載用途への展開」を公式な開発計画としています 11。軽量なフィルム型PSCは、EV(電気自動車)のルーフやボディパネルに搭載し、航続距離を延長するための補助電源(ソーラー充電)として、極めて有望なソリューションと見なされています。
- アグリボルタイクス(農業用太陽光発電): PSCは、材料や構造を調整することで光の透過性(シースルー)を制御できます。この特性を活かし、農地の上で発電と作物の育成を両立させる「ソーラーシェアリング」への応用が期待されています 28。
ポテンシャルと導入障壁
- ポテンシャル:
PSC市場は、2つの巨大なポテンシャルを同時に内包しています。
- ブルーオーシャン市場の創出: BIPV、IoT、モビリティ、宇宙といった、従来のシリコン系がその「重さ・硬さ」故に参入できなかった、全く新しい「ブルーオーシャン市場」を創出する可能性(主にグループ3, 4の戦略)。
- 既存市場のディスラプト(破壊・置換): シリコン・タンデム技術により、既存の巨大なシリコン市場(年間数百GW規模のユーティリティ・住宅市場)のコスト構造を根本から破壊し、「置き換える」可能性(主にグループ1, 2の戦略)。
- 導入障壁(技術的ボトルネック):
この巨大なポテンシャルを実現する上での障壁は、依然として深刻です。
- 耐久性・寿命: 最大かつ最重要の課題です。シリコン系太陽電池が一般的に20~25年の長期出力保証を提供するのに対し、PSCは水分、酸素、熱、紫外線に弱く、現状の寿命は5年程度とされています 2。これが解決されない限り、BIPVやユーティリティ用途で求められる長期信頼性を満たすことはできず、LCOE(生涯発電コスト)の分析においてもシリコン系に勝つことは困難です 29。
- 鉛(Pb)の毒性・規制: 現行の高効率PSCのほとんどが、光吸収層に有毒な重金属である鉛を含んでいます 31。これが破損時に環境流出するリスクは、特に環境規制に厳しい欧州のRoHS指令(電子・電気機器における特定有害物質の使用制限)において、重大な懸念事項となっています。
- 大面積化に伴う効率低下: 研究室レベルの小面積セル(数mm角)では高効率が次々と報告されていますが、これを商用サイズのモジュール(1m角以上)にスケールアップ(大面積化)すると、ペロブスカイト層の膜を均一に製造することが技術的に難しく、変換効率が低下するという課題が報告されています 2。
【第4章】主要戦略グループ別の詳細分析
本章では、【第2章】で定義した4つの戦略グループに属する主要企業の事業戦略、IR・投資動向、アライアンスを網羅的に分析します。(本章は、ご指定に基づき十分な分量を確保して記述します)
4-1. グループ1:「タンデム型・IPライセンス」戦略(欧州アカデミア発)
このグループのビジネスモデルは、半導体業界におけるARM(アーム)社に類似しています。自らはファブレス(またはファブライト)として中核となるIP(設計)を開発・ライセンス供与し、製造(ファブ)は巨大な生産能力を持つ他社(主にグループ2)に委ねることで、巨額の設備投資リスクを負わずに市場全体から収益を上げることを目指します。
- Oxford PV(英国)
- 戦略概要: Oxford PVは、自らを「ペロブスカイト太陽電池技術の世界的リーダー」と位置づけ、特に「ペロブスカイト・オン・シリコン」タンデム技術の商用化に焦点を当てています 2。同社の戦略は、ドイツ・ブランデンブルクに保有する自社工場でのタンデムセル製造(年間100MW規模)と並行して、他社、特に巨大な製造能力を持つメーカーに対して、自社が保有する強力な基礎特許ポートフォリオをライセンス供与する「IPマネタイズ戦略」を明確に打ち出しています。
- IR・アライアンス動向:
- Trinasolarとの画期的なライセンス契約(2025年4月): 同社のIP戦略を象徴するのが、2025年4月9日に発表された、中国の巨人Trinasolarとの特許ライセンス契約です 6。この契約は、Oxford PVのタンデム技術IPの正当性と価値を、市場の最大手企業が公式に認めたことを意味します。
- 契約の戦略的含意: この契約により、Oxford PVはTrinasolarに対し、世界最大の太陽光市場である中国本土における、タンデムPV製品の製造・販売に関する独占的なライセンスを供与しました 6。これには、Trinasolarが中国国内の他メーカーに「サブライセンス」を供与する権利も含まれていると報じられています 23。これは、Oxford PVが自ら中国の多数のメーカーと個別に交渉する手間を省き、Trinasolarを「中国市場におけるIP代理店」として活用する、非常に効率的な戦略です。
- Oxford PVのCEO、David Ward氏は、この発表に際し「この契約は、我々の技術が主流になるというミッションのマイルストーンである」「中国以外の市場でのライセンスに興味がある他の当事者からの連絡を歓迎する」とコメント 6 しており、このIPライセンスモデルを欧州、米国、その他のアジア市場へグローバルに展開する意志を明確に示しています。
- 特許戦略: 同社の特許ポートフォリオは、シリコンセルの上にペロブスカイト層を積層する際の「タンデム構造」そのものや、性能を左右する「層間の界面制御」など、技術の根幹を成す「基礎特許」に集中していると推定されます。この「川上」のIPを強固に押さえることで、製造(川下)の巨人たちに対して優位な交渉ポジションを確保し、ライセンス収益というビジネスモデルを確立しています。
4-2. グループ2:「タンデム型・垂直統合」戦略(中国シリコン大手)
このグループは、現在のシリコン市場の支配者であり、PSCを自らの覇権を脅かす「脅威」ではなく、覇権を「延長」するための次世代技術と捉えています。彼らの戦略は、圧倒的な資本力と製造スケールを背景に、タンデム技術のR&D、IP、標準化のすべてを自ら主導し、次世代の垂直統合モデルを構築することです。
- Trinasolar(天合光能、中国)
- 戦略概要: 世界最大級の太陽電池モジュールメーカーであるTrinasolarは、既存のP型(PERC)からN型(TOPCon)への技術移行を主導していますが、その「次」のキラーテクノロジーとしてPSCタンデムを明確に位置づけています。同社の戦略は、自社が強みを持つ既存のN型TOPCon技術をボトムセル(下層)として活用したタンデム構造 23 により、高効率化と既存製造ラインの活用によるコストシナジーを追求するものです。
- IR・アライアンス動向:
- 2024年サステナビリティレポート: 同レポート内で、「ペロブスカイト・シリコン・タンデム技術において大きな進歩を遂げた」「この分野での商用化の第一人者となることに専念している」と公式に明記 33 しており、タンデム技術がR&Dの最優先事項であることを裏付けています。
- Oxford PVとのライセンス契約(2025年4月): グループ1で述べた通り、Oxford PVから基礎特許のライセンスを受けました 22。
- 特許戦略:「Buy & Build」の二重戦略(パテント・ピンサー):
Trinasolarの特許戦略は、一見すると矛盾しているように見えますが、極めて高度な「Buy(購入)」と「Build(構築)」の二重戦略(パテント・ピンサー=挟み撃ち)を実行しています。
- Build(自社構築): IPRdailyの分析によれば、TrinasolarはPSC関連特許で481件という膨大な出願を行い、世界トップに立っています 7。
- Buy(ライセンス購入): その一方で、基礎技術(タンデム構造)については、競合であるはずのOxford PVからライセンス(購入)を選択しました 6。
- 戦略的解釈: この動きは、矛盾ではなく、短期的な「スピード」と長期的な「支配権」を両立させるための、非常に計算された戦略です。
- 短期(Buy): Oxford PVの基礎特許を回避して自社開発を続けることは、将来的なIP侵害訴訟のリスクを抱えるだけでなく、開発の遅延、すなわち市場投入の遅れ(Time-to-Marketの喪失)を招きます。そこで、短期的にはライセンス料を「コスト」として支払い(Buy)、IPリスクを合法的にクリアし、最速で市場に参入する道を選びました。
- 中長期(Build): 同時に、自社で構築した481件以上の膨大な特許網(Build)を整備します。これらの特許は、Oxford PVが持つ「基礎構造」そのものではなく、Trinasolarが強みを持つ「TOPConとの具体的な積層方法」、モジュールの「封止技術」、「量産ライン向けの製造プロセス技術」といった、商用化に不可欠な「応用・周辺特許」に集中していると強く推定されます。
- 将来(ピンサー=挟み撃ち): これにより、Trinasolarは市場で圧倒的な製造シェアを握ります。将来、Oxford PVの基礎特許が切れるか、あるいはライセンス更新の交渉時期が来た際、Trinasolarは自社が構築した「応用特許の壁(パテント・シケット)」と「製造スケール」を武器に、「我々の製造プロセスは、貴社の基礎特許を実質的に使わない形で進化している」あるいは「我々の応用特許が無ければ、貴社の基礎特許も製品化できない」として、クロスライセンスの要求や、ライセンス料の大幅な引き下げを迫ることが可能になります。
- この「Buy & Build」戦略は、短期のスピードと長期の支配権を両立させる、中国の製造巨人が得意とする高度なIP戦略の典型例です。
- LONGi(隆基緑能科技、中国)
- 戦略概要: Trinasolarと並ぶもう一方の巨人であるLONGiは、PSCタンデム技術において「世界最高効率の更新」をR&D戦略の核に据えています。2024年年次報告書 3 でもタンデムセルの進捗が強調されており、商用M6サイズで32% 3、ラボレベルでは6% 4 と、世界記録を次々と塗り替えています。これは、技術的リーダーシップを市場に強くアピールする戦略です。
- IR・アライアンス動向:
- 既存技術(BC)との融合: 同社の技術白書 24 によれば、彼らの戦略的優位性は、自社が次世代技術として推進する「BC(バックコンタクト)」技術と、将来の「ペロブスカイト積層技術」が「シームレスに統合可能」である点にあります。BC技術のプラットフォーム上で、将来的にPSCをアドオン(追加)することにより、他社(例:TOPConベースのTrina 23)に対する技術的優位性を築こうとしています。
- 特許戦略:「デファクトスタンダード(事実上の標準)」の確立:
LONGiの戦略で特筆すべきは、単なるR&Dに留まらず、「市場のルールメイキング(標準化)」を同時に主導している点です。
- 標準化の主導: LONGiは、「タンデム太陽電池の量子効率試験方法」(NB/T11735-2024)および「ペロブスカイトベースのタンデム太陽電池I-V試験」(NB/T11736-2024)に関する2つのエネルギー業界標準の策定を主導し、これらは2024年12月に承認・リリースされました 4。
- 戦略的解釈: これは、技術力と標準化戦略を直結させた、極めて強力な市場支配戦略です。
- まず、ラボレベルで世界最高効率の記録を出し続けます(技術的優位性の広報)。
- 次に、その高効率を実現した自社の技術(特にBCタンデム)を前提とした「試験方法」や「性能評価基準」を、業界標準(IECなど)として先行して提案・確立します。
- これにより、市場の「評価軸」そのものを、自社技術(BCタンデム)に有利な形に誘導します。
- 後発企業や競合他社(例:TOPConタンデム)も、LONGiが設定した土俵(評価基準)の上で性能を競争せざるを得ない状況(デファクトスタンダード化)を作り出す。これは、自社の特許技術を将来的に市場の必須技術へと誘導する、高度なルールメイキング戦略と分析されます。
4-3. グループ3:「単接合・新市場創出」戦略(中・欧スタートアップ)
このグループは、グループ2(中国大手)が圧倒的な資金を投下するタンデム型の効率競争を意図的に避け、PSC単接合の「軽量・柔軟・低照度」といった特性に特化しています。彼らの戦場は既存のユーティリティ市場ではなく、「BIPV」という新しい市場です。
- Microquanta Semiconductor(協鑫光電、中国)
- 戦略概要: 同社は、タンデム型とは異なり、PSC単接合の「BIPV(建材一体型)」市場に明確に特化しています 13。タンデムのような超高効率競争ではなく、BIPVに必要な「大面積化」「実用効率」「コスト」「耐久性」を最優先する戦略です。
- IR・アライアンス動向:
- 量産化と大面積化の先行: 同社は中国(江蘇省)で150MWのモジュール生産ラインの試運転を行っていると報じられています 8。
- 世界最大級モジュールの発表(2025年11月): 2025年11月、2,400 × 1,200 mm(88m²)という商用サイズのBIPV用モジュールを発表し、TÜV SÜD(テュフズード)の認証で18.6%の効率と509.21Wの出力を達成したと報告されました 25。これは、研究室レベルの効率ではなく、実際の建材として使用可能な「大面積」モジュールで、商業的に信頼できる性能を達成したことを示す重要なマイルストーンです。
- ロードマップ: 同社のロードマップには、「20%の効率と25年の寿命を持つ大面積モジュールの生産」が掲げられています 13。これは、BIPV市場で既存のシリコン系と本格的に競合するための、耐久性(寿命)2 という最大の課題を克服する意志を明確に示しています。
- GCL (UtmoLight)(協鑫ナノ、中国)
- 戦略概要: 中国の巨大エネルギーコングロマリットであるGCLグループ 18 の一員であり、グループの強力な資本力とグローバルな販売網を背景に持つ点が最大の強みです。Microquanta同様、BIPV市場を主戦場と定めています。
- IR・アライアンス動向:
- GW級の量産計画: 100MWのパイロットラインを経て、1GW(ギガワット)級の商用生産ラインの建設が2023年初頭に開始されたと報じられています 9。これは、他のスタートアップとは一線を画す、圧倒的な生産規模による市場支配(スケールメリットによるコストダウン)を真っ向から目指す「スケール戦略」です。
- 日本市場への進出(2025年7月): 日本の専門商社であるユアサ商事が、GCL/UtmoLight社との協業(日本国内でのPSC製品の取り扱い)を発表しました 34。これは、GCLが自社のBIPV製品の主要な販売チャネルとして、BIPVの潜在需要が高い(耐荷重の低い屋根が多い)日本市場を重要視していることの表れです。
- Saule Technologies(ポーランド)
- 戦略概要: Oxford PVと並び、欧州を代表するPSCスタートアップです。同社の戦略は、「インクジェット印刷」という独自の製造プロセス技術 8 を核に、タンデム型ではなく「フレキシブル(柔軟)」な単接合PSCに特化している点です。
- IR・アライアンス動向:
- 世界初の商用BIPV: 同社の戦略は、スウェーデンの建設会社Skanska社のワルシャワ・オフィスビル外壁に、フレキシブルPSCを導入した事例 5 に象徴されます。これは単なる技術デモではなく、実際の商用ビルへの導入であり、BIPV市場の「ファーストムーバー(先行者)」としての地位を確立しました。
- BIPVおよびIoTへの集中: 同社は、建材やIoTデバイス(低照度発電)への応用を明確に打ち出しており 5、グループ2(中国大手)が狙うユーティリティ市場とは明確に異なるニッチ市場をターゲットとしています。
4-4. グループ4:「フィルム型・国内応用」戦略(日本)
このグループ(積水化学、カネカ、東芝、パナソニックなど)の戦略は、NEDOの「グリーンイノベーション(GI)基金事業」(次世代型太陽電池の開発プロジェクト、最大498億円)10 と密接に連携しています。これは事実上、日本の「ナショナル・プロジェクト」としての側面を持ちます。
彼らは、中国勢が圧倒的な投資を行うタンデム型の効率・コスト競争(グループ2)や、BIPVの量産競争(グループ3)を正面から避け、「超軽量・超薄型フィルム」という、日本の材料科学・プロセス技術の強みが最も活きる技術領域に戦略的に集中しています。
- 積水化学工業
- 戦略概要: GI基金プロジェクト(「軽量フレキシブルペロブスカイト太陽電池の量産技術確立とフィールド実証」)の幹事企業 10 であり、日本のBIPV開発をリードする存在です。
- IR・アライアンス動向: 同社の最大の強みは、太陽電池セルそのものの開発力に加え、長年培ってきた「封止技術」や「フィルム加工技術」という高度な材料技術にあります。自社ビル(大阪)18 や物流施設 1 での長期実証実験を重視しており、これはPSCの最大の課題である「耐久性」2 を、自社の高機能材料技術で克服しようとするアプローチを示しています。2025年4月24日更新の事業戦略ビジョン 10 でも、このフィールド実証を通じた量産技術の確立が明記されています。
- ターゲット市場: 耐久性の実証を前提に、耐荷重の低い工場の屋根や、ビルの壁面といったBIPV市場を狙っています。
- カネカ
- 戦略概要: 同じくGI基金プロジェクトの採択企業 11。
- IR・アライアンス動向: 同社は、10cm角の超薄型PSC(ポリイミド基板)で2% 11、また20%に迫る効率 2 を達成するなど、高い技術力を示しています。
- ターゲット市場: 同社の戦略的特徴は、ターゲット市場を「ZEH(住宅)、ZEB(ビル)の壁・窓」および「車載用PV」と明確に定義している点です 11。これは、同社が持つ既存の建材関連事業や、自動車部品関連事業との強力なシナジーを最大限に追求する戦略と推定されます。
- 東芝
- 戦略概要: GI基金プロジェクト(「フィルム型ペロブスカイト太陽電池実用化に向けた材料デバイス設計・製造プロセス技術開発」)の採択企業 26。
- IR・アライアンス動向: 同社の2024年5月 12 および2025年7月 26 のNEDO成果報告会資料によれば、東芝の戦略的焦点は「製造プロセス技術」そのものにあります。
- 特許戦略:「プロセスIP」の確立:
東芝は特に、大面積のフィルム基板(ロール・ツー・ロール)にペロブスカイト層を均一かつ高速に塗布できる、独自の「ワンステップメニスカス塗布法」12 の開発に成功したと報告しています。これは、従来2回塗布が必要だったプロセスを1回で完了させる革新的な技術です。
- 戦略的解釈: この動きは、典型的な日本の「プロセス(装置・製造技術)IP」戦略です。
- 東芝は、最終製品(PSCモジュール)で中国の量産メーカー(グループ2, 3)と正面から価格競争をするのではなく、彼らが容易に模倣できない高度な「製造プロセス(塗布技術)」の特許を押さえること(IPの確立)を狙っている可能性が示唆されます。
- 将来的に、その高度な製造装置やプロセスライセンスを、世界中のPSCメーカー(中国勢を含む)に販売・供与することで収益を上げる、あるいは自社グループ内でのみ使用することで圧倒的な製造優位性を確保する。これは、半導体製造装置や高機能材料で日本企業が強みを持つ「BtoBの部品・装置(Pick & Shovel)」戦略であり、賢明なポジショニングと言えます。
- パナソニックHD
- 戦略概要: BIPV市場の中でも、特に意匠性(デザイン性)が求められる「発電するガラス」に焦点を当てています 1。
- IR・アライアンス動向: CEATEC 2024などの主要展示会で、大面積の実サンプル(ガラス型PSC)を積極的に展示 27 しており、基礎開発フェーズから、具体的な建築家やデベロッパーへのマーケティング・提案フェーズに移行しつつあることがうかがえます。
【第5章】特許戦略と事業戦略の整合性
【第4章】で分析した主要企業の戦略について、特許動向(分析基準1:技術的野心)と、IR・アライアンス(分析基準2, 3:公式戦略)が「一致」しているか「ギャップ」があるかを評価します。この整合性(またはギャップ)から、各社の戦略の「本気度」や「隠れた戦略」を推定します。
- 整合性が高い(Alignment)企業群:
- Oxford PV(グループ1):
- 特許戦略: 「タンデム構造」に関する基礎特許の確立。
- 事業戦略: 確立したIPを他社(Trinasolar)にライセンス供与する 6。
- 評価: 完璧に整合しています。彼らは自社の強み(IP)を正確に理解し、それを最大化するビジネスモデル(IPマネタイズ)を忠実に実行しています。
- LONGi(グループ2):
- 特許戦略: 「高効率化技術」「BCタンデム構造」に集中。
- 事業戦略: R&Dで世界最高効率を次々と更新 4 し、その技術を前提とした「IEC標準化を主導」4 する。
- 評価: 極めて強く整合しています。特許(技術)でリードし、標準化(ルール)で市場を囲い込むという、一貫したデファクトスタンダード戦略です。
- 日本企業群(グループ4):
- 特許戦略: 「フィルム化」「高耐久性(封止)」「製造プロセス(例:東芝の塗布技術 12)」に集中。
- 事業戦略: GI基金を活用し、「軽量・高耐久フィルム」として国内BIPV 10 や車載 11 市場での社会実装を目指す。
- 評価: 極めて強く整合しています。彼らはグローバルな効率・コスト競争から意図的に距離を置き、「軽量・高耐久」という日本の材料・プロセス技術の強みが活きるニッチな技術領域に、官民一体でリソースを集中投下しています。
- ギャップ(乖離)と「隠れた戦略」の分析:
- Trinasolar(グループ2):
- 表面的なギャップ(矛盾): 一方で、「PSC特許出願数 世界1」7 を大々的にアピールし、自社技術の優位性を強調しています(Build戦略)。しかしその裏で、事業戦略としては競合であるOxford PVから基礎特許のライセンスを受けています(Buy戦略)6。
- 隠れた戦略(ギャップの解釈):
これは「ギャップ(矛盾)」や「戦略の迷走」では断じてありません。むしろ、【第4章】で詳細に分析した通り、これは極めて高度で合理的な「Buy & Build(買う・建てる)の二重戦略」です。
Trinasolarの経営陣は、(A) Oxford PVの基礎特許(川上)を回避して自社開発を続けることは、IP訴訟リスクと開発遅延(Time-to-Marketの喪失)を招き、LONGi等の競合に遅れを取る「最悪手」であると判断したと推定されます。
(B) したがって、短期的にはライセンス料を支払い(Buy)、IPリスクをクリアして最速で市場に参入します。
(C) 同時に、自社で膨大な数の「応用・製造特許」(川下)を出願(Build)し続け、Oxford PVの基礎特許を「包囲」します。
(D) これにより、短期的にはOxford PVの技術を使って市場シェアを確保し、中長期的には自社の特許網と製造スケールで市場のルールを支配するという、二段構えの戦略を実行しています。
- 評価: この一見矛盾した動きこそが、TrinasolarがこのPSCタンデム市場に(シリコン市場の覇権維持のために)社運を賭けている「本気度」の最大の証左であると分析されます。
【第6章】主要戦略グループおよび企業の競合比較
戦略グループ間のポジショニング分析
本レポートで分類した4つの戦略グループは、明確に異なる市場と技術で競合しています。この競合構造は、「技術軸:高効率タンデム vs 軽量・柔軟(単接合)」および「ビジネスモデル軸:IPライセンス vs 垂直統合(製造・販売)」という2つの軸で整理できます。
- グループ1/2(タンデム型) vs グループ3/4(単接合・フィルム型):
- グループ1(Oxford PV)とグループ2(Trina, LONGi):
彼らが狙うのは、既存の巨大なシリコン市場(ユーティリティ、住宅)を「置き換える(Replace)」ことです。彼らの戦場における主要なKPI(重要業績評価指標)は、「LCOE(均等化発電コスト)」30 であり、シリコンを超える「変換効率」19 の追求が至上命題です。
- グループ3(Microquanta, Saule, GCL)とグループ4(日本勢):
彼らが狙うのは、シリコンが参入できないBIPV、IoT、モビリティといった「新市場を創出する(Create)」ことです。彼らの戦場におけるKPIは、効率以上に「軽量性(kg/W)」「柔軟性」「低照度発電効率」「意匠性(透明度など)」です。
- 地政学的ポジショニング:
- グループ2(中国製造大手): 圧倒的な「スケール(量産能力)」と資本力で市場を支配しようとしています。
- グループ1(欧州): 「IP(基礎知財)」で、製造の巨人からライセンス料を徴収するポジションを狙います。
- グループ4(日本): 「特定用途(高耐久フィルム)」と「プロセスIP(製造装置)」という、中国勢と直接競合しない高付加価値な土俵での戦いを挑んでいます。
主要企業の戦略ポジショニング比較(マトリクス)
これまでに分析した各社の複雑な戦略的立ち位置を一覧化・可視化するため、以下の比較表(マトリクス)を作成します。
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企業名
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戦略グループ
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主力技術
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ターゲット市場
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ビジネスモデル
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特許戦略の焦点
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Oxford PV
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グループ1
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Siタンデム
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ユーティリティ
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IPライセンス、自社製造
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タンデム構造(基礎特許)
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Trinasolar
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グループ2
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Siタンデム (TOPCon)
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ユーティリティ、全般
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垂直統合・製造
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応用・製造特許(出願数1位)23、IPライセンス(Buy)6
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LONGi
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グループ2
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Siタンデム (BC)
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ユーティリティ、全般
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垂直統合・製造
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高効率化(R&D世界記録)4、標準化主導 4
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Microquanta
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グループ3
|
単接合(硬質)
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BIPV(建材)
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製造・販売
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単接合の大面積化、BIPV応用、量産化 25
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Saule Tech
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グループ3
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単接合(柔軟)
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BIPV、IoT
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製造・販売
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インクジェット印刷、フレキシブル応用 8
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GCL (UtmoLight)
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グループ3
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単接合(硬質)
|
BIPV(建材)
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製造・販売(GW級)
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量産スケール、BIPV応用 9
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積水化学
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グループ4
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単接合(フィルム)
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BIPV (国内)、インフラ
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製造・販売
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軽量・柔軟性、耐久性(封止技術) 10
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カネカ
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グループ4
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単接合(超薄型)
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ZEB、車載
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製造・販売
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超薄型フィルム、応用製品(壁・窓)11
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東芝
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グループ4
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単接合(フィルム)
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BIPV、インフラ
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製造・販売、プロセスIP
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製造プロセス(メニスカス塗布) 12
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【第7章】今後の市場リスクとビジネス機会
技術的ボトルネックとリスク
- (1) 耐久性・安定性の欠如(最大のリスク):
PSC市場が直面する最大かつ根本的なリスクです。PSCは水分、酸素、高温、紫外線に弱く、現状の寿命は5年程度 2 と、シリコン系(20~25年)に遠く及びません。これが克服されなければ、LCOE(生涯発電コスト)でシリコンに勝つことはできず 29、BIPVやユーティリティ市場での本格普及は限定的となります。Microquantaがロードマップで「25年寿命」13 を掲げているように、全プレイヤーがこの課題の克服にR&Dリソースを集中させています。
- (2) 鉛(Pb)の毒性と環境規制:
現行の高効率PSCのほとんどが、光吸収層に有毒な鉛を含有します 31。これがモジュールの破損(例:台風や事故)によって環境中に流出するリスクは、規制当局(特に欧州)の最大の懸念事項です。EUのRoHS指令0は、2026年までに電子・電気機器の鉛濃度を0.1%未満に抑えることを義務付けており 15、現在免除されているPVモジュールが将来的に対象となった場合、鉛ベースのPSCは市場から締め出される「レギュラトリー・リスク(規制リスク)」に直面します。
- (3) 鉛フリーPSCの技術的遅れ:
鉛の代替材料(Ge:ゲルマニウム 35、Bi:ビスマス 36、Sn:スズなど)を用いた「鉛フリーPSC」の研究も進んでいますが、現時点では鉛ベースのPSCに比べて変換効率が大幅に劣り 31、安定性にも課題が多く、実用化の目処は立っていません。
市場リスク
- (1) シリコン系技術の猛烈な進化(ムービング・ターゲット):
PSCが耐久性やコストの課題を克服している間にも、既存のシリコン技術は止まっていません。N型TOPCon 19 やHJT(ヘテロ接合)といった次世代シリコン技術の効率向上とコスト低下は猛烈なスピードで続いています。PSCが勝たなければならない相手は「現在のシリコン」ではなく「数年後の進化したシリコン」であり、PSCのターゲット(LCOEや効率)は常に逃げ続けています。
- (2) CIGSの悪夢(ハイプの剥落と市場崩壊):
2010年代、PSCと同様に「薄膜・柔軟」を謳い、次世代技術として期待されたCIGS(銅・インジウム・ガリウム・セレン)などの薄膜太陽電池は、中国勢によるシリコン系太陽電池の急激な価格低下の前に競争力を失い、多くの企業が市場から撤退・倒産した苦い歴史があります 37。現在、GCL 9 をはじめとする中国勢(グループ2, 3)が、GW級の巨額な設備投資を先行して行っています。この投資が、BIPVなどの実需要の立ち上がりを待たずに過剰な生産能力を生み出し、ハイプ(過剰期待)の剥落と共に激しい価格競争と市場の崩壊を招くリスクは常に存在します。
競合が手薄な「空白地帯」(ビジネス機会)
上記の深刻なリスクは、裏を返せば、それを解決するソリューションにとっての巨大なビジネス機会(空白地帯)が存在することを意味します。
- (1) 「鉛封止(Encapsulation)」ソリューション:
最大のリスク(RoHS規制 15)は、最大のビジネス機会でもあります。鉛フリーPSC(セル自体)の開発が難航する中、現実的な解決策として「鉛ベースのセルを使いつつ、万が一セルが破損しても鉛を外部に絶対に流出させない」高度な封止技術・鉛吸着材料 38 が求められています。この「RoHSコンプライアンス」をモジュールとして保証する封止ソリューション(ポーランドのErgis Group 41 などが開発中)は、PSCメーカー全社(特にグループ1, 2, 3)が採用せざるを得ない、重要な「BtoB部材(Pick & Shovel)」市場となる可能性が極めて高いです。
- (2) 宇宙・防衛・特殊モビリティ市場:
JAXA 14 や米国の軍事用途 1 など、コスト(LCOE)よりも「超軽量・高効率」という性能が絶対的に優先されるニッチ市場。これらの市場は、初期の製造コストが高くても導入が見込めるため、グループ4(日本勢)などが開発する高性能フィルムの、最初の安定した収益源となり得ます。
- (3) 「高効率タンデム」と「柔軟フィルム」の融合(究極の製品):
【第6章】のマトリクスで示した通り、現在「高効率タンデム」(グループ1, 2)と「柔軟フィルム」(グループ4、Saule)は、異なる戦略グループによって別々に開発されています。技術的難易度は極めて高いですが、この両者を融合した「高効率(例:30%超)かつ柔軟なタンデムフィルム太陽電池」(米国のスタートアップSwift Solar 8 などが研究)こそが、車載 11 や軽量BIPV市場を真に支配する「究極の製品」であり、競合が手薄な最大の空白地帯(聖杯)と推定されます。
【総括】分析結果の客観的サマリー
本レポートは、ペロブスカイト太陽電池(PSC)市場について、特許情報とIR・事業戦略情報の比較分析を行った。以下に、分析によって明らかになった客観的な事実を要約する。
- 技術定義と市場: PSCは「軽量・柔軟・低照度発電」1 を特徴とし、製造コスト低減のポテンシャルを持つ 16 次世代太陽電池である。市場予測は、BIPV等の新市場のみを対象とする保守的な予測(CAGR 23.43% 20)と、既存シリコン市場の代替(タンデム型)を含むアグレッシブな予測(CAGR 70.2% 21)に二分される。
- 4つの戦略グループ: 市場の主要プレイヤーは、その戦略的ポジショニングに基づき、以下の4グループに分類される。
- 「タンデム型・IPライセンス」戦略(欧州): Oxford PV 5 に代表され、基礎特許のライセンス供与(例:Trinasolar向け 6)を収益源とする。
- 「タンデム型・垂直統合」戦略(中国): Trinasolar 7、LONGi 3 など。既存シリコンの覇権維持のため、タンデム型のR&D(最高効率記録 4)と大規模な特許網構築 23、標準化 4 を進める。
- 「単接合・新市場創出」戦略(中・欧): Microquanta 25、Saule 5、GCL 9 など。BIPVやIoTという新市場に特化し、大面積化や量産化、商用導入 5 で先行する。
- 「フィルム型・国内応用」戦略(日本): 積水化学 10、カネカ 11、東芝 12 など。政府のGI基金を活用し、「超軽量フィルム」に特化。国内のBIPV、車載 11 など高付加価値分野を狙う。
- 戦略の整合性とギャップ: 多くの企業(Oxford PV, LONGi, 日本勢)で特許戦略と事業戦略は強く整合していた。一方、Trinasolarは「特許出願数世界1位」23 でありながら「Oxford PVのIPをライセンスする」6 という一見矛盾した行動を取る。これは、短期の市場投入スピード(Buy)と長期の市場支配(Build)を両立させる高度な二重戦略であると分析される。
- 主要な応用先: 現在はBIPV 5 や実証実験 1 が中心である。未来の応用先として、タンデム型によるユーティリティ市場 28、フィルム型による宇宙 14・車載 11 が存在する。
- 市場リスク: 普及の最大の障壁は「耐久性(寿命5年程度)」2 と「鉛(Pb)の毒性(EU RoHS規制 2026年期限)」15 の2点である。また、既存シリコン技術(TOPCon等)19 の進化も市場リスクとなる。
- ビジネス機会: リスクの裏返しとして、「鉛流出防止(封止)技術」38 は全メーカーが必要とする部材市場(空白地帯)である。
引用文献
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- ペロブスカイト太陽電池とは?仕組みやメリットを解説 - SMART ENERGY Week, 11月 12, 2025にアクセス、 https://www.wsew.jp/hub/ja-jp/blog/article_42.html
- LONGi Green Energy Technology Co., Ltd. 2024 Annual Report, 11月 12, 2025にアクセス、 https://static.longi.com/LON_Gi_annual_report_2024_0026f3477f.pdf
- The power has set a new world record, and tandem cell technology has become the "new favorite" of the photovoltaic industry - Yicai Global, 11月 12, 2025にアクセス、 https://www.yicaiglobal.com/star50news/2025_03_266808510091977818123
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- 宇宙で広がれ、ペラペラ太陽電池 - JAXA 宇宙科学研究所, 11月 12, 2025にアクセス、 https://www.isas.jaxa.jp/feature/forefront/240926.html
- 世界の超薄型太陽電池市場 - ログイン | @Press, 11月 12, 2025にアクセス、 https://mypage.atpress.ne.jp/smart/news/8752461
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- 【特別時事寄稿】なぜ、いま、ペロブスカイトなのか ~世界中から早期社会実装の期待が集まるペロブスカイト太陽電池の多義的な歴史的必然性とその意義、課題、今後の未来展望についての論点整理~ 東洋学園大学 特任教授(地球環境論担当)古屋 力 - Vane.Online, 11月 12, 2025にアクセス、 https://vane.online/2024/09/22/%E3%80%90%E7%89%B9%E5%88%A5%E6%99%82%E4%BA%8B%E5%AF%84%E7%A8%BF%E3%80%91%E3%81%AA%E3%81%9C%E3%80%81%E3%81%84%E3%81%BE%E3%80%81%E3%83%9A%E3%83%AD%E3%83%96%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%88%E3%81%AA/
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