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空飛ぶクルマ(eVTOL)のキープレイヤーと応用先:特許と事業戦略から読み解く市場動向

エグゼクティブサマリ

 

  • 技術分野の市場概観と重要性:
    eVTOL(電動垂直離着陸機)市場は、都市の交通混雑という差し迫った課題と、航空業界全体の脱炭素化というマクロトレンド双方に応える、次世代モビリティの中核分野です。2025年時点で約4億ドルと推定される世界市場は、複数の市場レポートに基づき、2030年代半ばまでに1,700億ドルから4,000億ドル規模へと急成長(CAGR 50%超)するとの予測 1 が存在しますが、予測値の幅は非常に大きくなっています。この不確実性は、技術ではなく、FAA(米国連邦航空局)やEASA(欧州航空安全機関)などによる「型式認証」という規制上のハードルをいつ、どの企業がクリアできるかに市場の成立が依存していることを示しています。
  • 本レポートで分析する「主要な戦略グループ」の分類と、そこに属する主要プレイヤー:
    本レポートは、技術的アプローチ、認証戦略、および資本・製造アライアンスに基づき、現在のeVTOL市場を以下の5つの戦略グループに分類します。
    1. グループ1FAAトラック認証リーダー: (Joby Aviation, Archer Aviation) 潤沢な資金と自動車・航空大手との強固なアライアンスを背景に、FAA(米国)の型式認証取得レースをリードする企業群。
    2. グループ2:自律・並行市場パイオニア: (EHang, Wisk Aero) 「パイロット搭乗」段階を意図的に省略し、自律運航モデルでの市場構築を目指す企業群。EHangCAAC(中国)で先行認証・商用化を実現し、WiskBoeingの支援でFAAの自律認証に長期的に取り組んでいます。
    3. グループ3:ナショナルチャンピオンとニッチスペシャリスト: (SkyDrive, Honda) 特定の国内市場(日本・インド)や、特定のコア技術(ハイブリッド・エンジン)に特化し、グローバルな消耗戦とは異なる生態系を構築する企業群。
    4. グループ4:レガシー・イネーブラーと(元)エクスプローラー: (Safran, Airbus, Rolls-Royce) 伝統的航空宇宙企業。Safranは「部品供給者(イネーブラー)」へ、Airbus/Rolls-Royceは「(一時)撤退・様子見」へと戦略が分化しています。
    5. グループ5:コンソリデーテッド・パイオニア(市場淘汰): (Lilium, Volocopter) 市場の先駆者でしたが、2024-2025年に資金難で経営破綻し、その技術資産(特許など)が他グループに吸収された企業群。
  • 主要な技術応用先の分類:
    市場の進展は「現在(実証)」と「未来(商用)」の2段階で進行します。
    • 現在(商用化・実証): 中国での低空域観光(EHang3、各国での実証実験(大阪・関西万博 4、米eIPPプログラム 5)が中心です。
    • 未来(開発段階): 3〜5年後の「都市内エアタクシー(UAM)」6510年後の「都市間航空モビリティ(RAM)」7、および「防衛・軍事」8 が主要なターゲット市場です。
  • 市場全体の主要トレンドと今後の課題:
    2024年から2025年にかけて、eVTOL市場は技術開発の競争から、「型式認証」の取得と、それに伴う「市場淘汰」のフェーズへと明確に移行しました。Lilium 9 Volocopter 10 の経営破綻・買収 11 は、このトレンドを象徴する出来事です。今後の市場の成否は、バッテリーのエネルギー密度 13②Vertiport(離着陸場)のインフラ整備 15③FAA/EASA/CAAC間の規制の調和 17 という3つの主要課題を解決できるかにかかっています。

 

【第1章】技術分野の定義と市場概観

 

対象技術の範囲定義

 

eVTOL(electric vertical take-off and landing)は、日本語では「電動垂直離着陸機」と訳され、その名の通り、電動推進システムを使用して滑走路を必要とせずに垂直に離着陸、ホバリング、巡航が可能な航空機として定義されます 18

この技術の中核は、従来の航空機(固定翼機やヘリコプター)が少数のタービンエンジンやローターに依存するのとは根本的に異なり、「分散型電気推進(DEP: Distributed Electric Propulsion)」を採用している点にあります。DEPは、機体に分散配置された多数の小型電気モーターとプロペラを、先進的なフライ・バイ・ワイヤ(電子制御)システムで統合制御する技術です 19。このDEPアーキテクチャにより、以下の3つの主要な利点がもたらされます。

  1. 安全性(冗長性): 多数のモーターのうち1つまたは複数が停止しても、残りのモーターが飛行を継続できるよう制御され、高い安全性を確保します 21
  2. 低騒音: 小型プロペラを低速回転させることで、ヘリコプターの大型ローターが発生させる騒音と比較して、運用ノイズを劇的に低減できます 22
  3. 高効率・ゼロエミッション: 運用中の排出ガスがゼロであることに加え、垂直離陸時と水平巡航時でプロペラの動作を最適化し、高いエネルギー効率を実現します。

機体のアーキテクチャは開発企業によって多様ですが、推進方式によって主に以下の3つに大別されます 19

  • マルチローター(Multicopter: EHang 24SkyDrive 25 が採用。構造がシンプルでホバリング性能に優れますが、巡航効率と速度、航続距離に課題があります。
  • リフト+クルーズ(Lift + Cruise: Joby Aviation 19Wisk Aero 27 が採用。垂直離陸用のローターと、水平巡航用のプロペラを別々に搭載する方式。
  • ベクタードスラスト(Vectored Thrust: Archer Aviation 19 が採用。ティルトローター(可変翼)やティルトプロペラを用い、離陸時はローターを上向きに、巡航時は前向きに傾けることで、両方のフェーズで効率を最大化します。

動力源としては、現在はリチウムイオンバッテリーが主流ですが 23、そのエネルギー密度の限界が航続距離の最大のボトルネックとなっています 14。この課題を克服するため、Hondaが開発するガスタービン・ハイブリッド方式 28 や、水素燃料電池 23 の研究も並行して進められています。

 

現在の市場規模と成長予測

 

eVTOL市場は、2025年現在、実質的な商用化の黎明期にあります。収益が上がっている事例は、中国のEHangCAAC(中国民用航空局)の認証取得後に開始した限定的な試験的商用運用 30 や、米国のJoby AviationArcher Aviationが米国防総省(DoD)と締結した研究開発・機体供給契約 31 など、ごく一部に限られています。

しかし、市場の潜在性は極めて高く評価されており、主要な市場調査機関は、今後10年で爆発的な成長が始まると予測しています。ただし、その予測値には大きなばらつきがあり、市場の不確実性を反映しています。

  • Precedence Research20252月発表): 2025年の世界市場規模を4億ドルと算出し、2034年には1,700億ドルに達する(2025年〜2034年のCAGR 54.90%)と予測しています 1
  • Grand View Research2024年データ): 2023年の市場を5億ドル、2030年には286億ドル(2024年〜2030年のCAGR 54.9%)に達すると予測しています 33
  • Mordor Intelligence2025年データ): 2025年の市場を9億ドル、2030年には43.6億ドル(2025年〜2030年のCAGR 29.65%)と、他社より保守的な予測を提示しています 14
  • Morgan Stanley Research: より長期的な視点から、TAMTotal Addressable Market: 実現可能な最大市場規模)は2040年までに5兆ドルに達する可能性があると試算しています 2

これらの予測値の極端な乖離(2030年代の予測で43億ドルから1,700億ドルまで)は、この市場の分析における重要な論点です。この差は、分析モデルの前提条件の違いに起因します。保守的な予測(Mordor Intelligenceなど)は、後述する規制、インフラ、バッテリー技術の障壁を重く評価していると推定されます。

一方で楽観的な予測(Precedence Researchなど)は、2026年〜2028年に予定されているFAAEASAによる主要プレイヤー(Joby, Archerなど)の型式認証取得が「計画通り成功」することを前提としています。認証の成功は、市場参入の「栓」を抜くことに他ならず、その場合、普及曲線はSカーブを描いて爆発的に立ち上がることになります。したがって、eVTOL市場の分析において、CAGRの数値そのものよりも、その成長の絶対的な前提条件である「型式認証」と「インフラ整備」の進捗を監視することが、最も重要であると言えます。

 

ビジネス上の重要性

 

eVTOL技術が「今、重要」である理由は、それが単なる新しい乗り物ではなく、現代社会が抱える2つの根本的な課題(都市の飽和と環境負荷)に対する、技術的・経済的な回答となり得るためです。

  1. 都市機能の革新(Urban Air Mobility:
    世界の主要な大都市は、慢性的な交通渋滞によって、年間数十億ドル規模の経済的損失と、膨大な時間の浪費に直面しています。eVTOLは「空飛ぶクルマ」として、地上の2次元交通(道路、鉄道)から解放された「3次元」の解決策、すなわちUAMUrban Air Mobility: 都市内航空モビリティ)を提供します 35。低騒音・電動で、ビルの屋上などから垂直に離着陸できるeVTOLは、既存のヘリコプターや飛行機では不可能だった、都市内を高頻度で結ぶ「エアタクシー」網の構築を可能にします。これにより、空港から都心部への移動時間などが劇的に短縮されることが期待されます 6
  2. 航空業界の脱炭素化:
    航空業界は世界のCO2排出量の約2%3%を占めており 39、国際的な脱炭素化の圧力に直面しています。しかし、大型旅客機の電動化は技術的に困難です。eVTOLは、まず短距離(UAM)および中距離(RAM: Regional Air Mobility)の領域において、化石燃料を使用しない(またはハイブリッドで大幅に削減する)クリーンな輸送ソリューションとして機能します 40
  3. 新産業の創出:
    eVTOLのビジネス上の重要性は、エアタクシー(旅客輸送)に留まりません 41。むしろ、物流(特に「ラストマイル」や「ミドルマイル」配送)、救急医療(EMS、ドクターヘリの代替)、観光、防衛、インフラ点検など、従来の地上交通やヘリコプターでは非効率・高コストであったり、騒音問題で実施できなかったりした分野での、全く新しいビジネスモデル創出が期待されています 37

 

【第2章】キープレイヤーの特定と戦略グループ分類

 

本レポートは、eVTOL市場の複雑な競合環境を分析するため、主要なプレイヤーを以下の3つの分析基準に基づいて評価し、5つの「戦略的グループ」に分類します。

  • 分析基準1:技術蓄積(特許出願動向): WIPO(世界知的所有権機関)が発行した2024-2025年の技術動向レポートによれば、eVTOLを含む航空輸送分野の特許出願の「量」においては、BoeingAirbusSafranRTXRaytheon)といった伝統的な航空宇宙・防衛企業や、中国科学院などの国家的研究機関が依然として上位を独占しています 44
  • 分析基準2:事業規模(現在の市場シェアや生産能力): 2025年現在、市場は実質的な商用化前夜にあるため、「市場シェア」という指標は意味を持ちません。本レポートでは、この基準を「型式認証プロセスの進捗」と「量産体制の構築(工場の建設、製造パートナーの確保)」に置き換えて評価します。この基準では、CAAC(中国)の認証を完了したEHang 48、およびFAA認証レースの最終段階にあるJoby Aviation 49Archer Aviation 50 が明確に先行しています。
  • 分析基準3:戦略投資(IR発表、投資額、大手企業とのアライアンス): 型式認証を取得するまでの莫大な開発費(いわゆる「死の谷」)を乗り越えるための「資本力」と、認証取得後に商用機を量産(「死の谷」の次)するための「製造パートナー」の有無は、eVTOL企業の生存を左右する絶対条件となっています。

この3つの基準を総合的に評価すると、eVTOL市場の最も重要な構造的特徴が浮かび上がります。それは、「分析基準1(特許の量)」と「分析基準2/3(事業化の実行力)」の間に存在する、強烈な「逆相関」です。

WIPOのデータ 44 で特許出願の上位に名を連ねるAirbus 51Rolls-Royce 53 は、2024年から2025年にかけて、eVTOL機体開発プログラムの「一時停止」または「撤退」を相次いで発表しました。一方で、分析基準2(認証)と基準3(アライアンス)で市場をリードするJoby AviationArcher Aviationは、特許ポートフォリオの「量」ではなく、自動車業界の巨人(Toyota 54, Stellantis 55)という「量産パートナー」とのアライアンスによって、その地位を確立しています。

これは、eVTOLの競争が、既に「アイデア(特許)」の段階を終え、膨大な資本を必要とする「認証と量産」という、極めて現実的かつ実行集約的なフェーズに移行したことを明確に示しています。そして、この新しいフェーズにおいては、伝統的な航空宇宙企業ではなく、自動車メーカーこそが「王(キングメーカー)」としての役割を担っていることが示唆されます。

この構造的理解に基づき、本レポートは全プレイヤーを以下の5つの戦略グループに分類します。

  • グループ1:「FAAトラック認証リーダー」 (FAA-Track Certification Leaders)
    • 属する企業: Joby Aviation, Archer Aviation
    • 選定理由: 基準2(認証)と基準3(アライアンス)で市場を牽引。FAA(米国)の型式認証プロセス(5段階)の最終ステージ(Stage 4/5)で激しく競合しています 49。両社とも、航空大手(Delta 54, United 6)からの大規模な事前受注コミットメントと、自動車大手(Toyota 54, Stellantis 55)との製造・資本提携を確立しており、世界で最も影響力のある米国市場のデファクトスタンダードを狙う戦略です。
  • グループ2:「自律・並行市場パイオニア」 (Autonomous & Parallel-Market Pioneers)
    • 属する企業: EHang, Wisk Aero
    • 選定理由: グループ1を含む他社の多くが「有人(パイロット搭乗)」での認証を目指す中、最初から「完全自律(ないし地上監視型)」モデルに特化。EHangは、CAAC(中国)というFAAとは異なる規制体系下で、世界で初めて自律型有人機の型式証明(TC)と生産承認(PC)を取得 48、中国国内で商用化を開始 30 し、「並行市場」を確立しました。Wisk Aeroは、Boeingの完全子会社 56 として、FAAの自律認証という最も困難かつ長期的な道を、豊富なリソースを背景に進めています 57
  • グループ3:「ナショナルチャンピオンとニッチスペシャリスト」 (National Champions & Niche Specialists)
    • 属する企業: SkyDrive, Honda
    • 選定理由: グローバルなUAM市場での直接対決を避け、明確な「ホームグラウンド」または「独自技術」に特化。SkyDriveは、JCAB(日本)の認証 58 と大阪・関西万博 4 をテコに、スズキ 59 と共に日本・インド市場を狙う「ナショナルチャンピオン」戦略を採っています。Hondaは、F1技術を応用した独自のハイブリッド・ガスタービン技術 29 を武器に、航続距離250マイル 7 という、全電動機では到達不可能な「長距離RAM(地域間)」というニッチ市場を開拓する「スペシャリスト」戦略です。
  • グループ4:「レガシー・イネーブラーと(元)エクスプローラー」 (Legacy Enablers & (Former) Explorers)
    • 属する企業: Safran, Airbus, Rolls-Royce
    • 選定理由: 分析基準1(特許)のリーダー企業群 44。しかし、市場への関与が明確に分化しました。Safranは、EASA認証済みの電動モーター「ENGINeUS」を新興企業に供給する「イネーブラー(部品供給者)」戦略 62 にピボットし、B2B市場で確実な地位を築いています。対照的に、AirbusCityAirbus NextGen51Rolls-RoyceElectrical部門)53 は、バッテリー技術の未熟さ 52 や市場の不確実性を理由に、機体開発プログラムを「一時停止」または「終了」した(元)エクスプローラーです。
  • グループ5:「コンソリデーテッド・パイオニア(市場淘汰)」 (The Consolidated Pioneers)
    • 属する企業: Lilium, Volocopter
    • 選定理由: 市場の初期リーダー(Pioneers)であり、高い注目を集めましたが、分析基準3(戦略投資)の維持に失敗。莫大な開発費と認証の遅れにより「死の谷」で資金が枯渇し、2024年〜2025年に相次いで経営破綻(またはそれに準じる状態)となりました 9。彼らの存在が重要なのは、その「死」が市場の転換点であると同時に、彼らが遺した資産(特に特許)が「グループ1Archer)」11 や「中国資本(Wanfeng)」12 に安価で買収(Consolidated)され、勝者の戦略をさらに強化するための「燃料」となっているためです。

 

【第3章】主要な技術応用先の分析

 

eVTOLの応用先は、その技術的成熟度、規制の整備状況、社会受容性の醸成に応じて、段階的に拡大していくと予測されます。

 

「現在」の応用先:商用化

 

2025年現在、大規模な商用サービスはまだ開始されていません。現在の主な活動は、技術実証と規制当局へのデータ提出、社会受容性の醸成を目的とした「実証実験」と、一部で始まった「試験的商用化」です。

  • 中国市場(EHang: 唯一の例外として、EHangCAAC(中国)の型式証明(TC)と生産承認(PC)を背景に、広州市のOH Bayリゾート 3 や合肥市のLuogang中央公園 3 など、管理された特定のエリアにおいて「低空域観光(Low-altitude tourism)」を目的とした「試験的商用運用」を2025年第2四半期に開始しました 30。これは限定的ではあるものの、世界で初めて「運賃」が発生するeVTOLサービスであり、実質的な商用化の第一歩です。
  • イベント連動型デモンストレーション:
    • 2024年パリ五輪では、Volocopterが(最終的に乗客を乗せた商用飛行には至らなかったものの)会場周辺でのデモンストレーション飛行を実施しました 66
    • 2025年大阪・関西万博では、SkyDriveが会場内の離着陸ポート(EXPO Vertiport)からのデモ飛行(当初は無人・遠隔操縦)を成功させました 4。これらは、多くの人々にeVTOLを認知させ、安全性をアピールする上で重要な役割を果たしています。
  • 国家プログラムによる実証:
    • 米国では、運輸省(DOT)とFAAが「eIPP (eVTOL Integration Pilot Program)」を2025年に立ち上げました 5。これは、JobyArcherといった認証プロセス最終段階の企業に対し、型式認証(TC)のであっても、貨物輸送や救急医療といった特定のユースケースでの試験的な運用を許可し、実運用データ(安全性、騒音、空域管理)を収集することを目的としています 49

 

「未来」の応用先:開発段階

 

特許情報、各社のIR資料、および技術ロードマップから、今後3年〜10年で以下のような応用先が本格化すると推定されます。

  • 3-5年後 (2028-2030): 都市内航空モビリティ (UAM)
    • Joby AviationとArcher Aviationが目指す主要市場です。空港と都心のビジネス街(例:ニューヨークのマンハッタンとJFK/ニューアーク空港間 6)や、都市内の主要ハブ間をオンデマンドで結ぶ「エアタクシー」サービス 68 です。Jobyはドバイで2026年のサービス開始を 31Archerは米国・UAE2026年〜2028年のサービス開始をロードマップに掲げています 69
  • 3-5年後 (2028-2030): 物流・貨物 (Logistics & Cargo)
    • 乗客輸送と比較して、安全認証や社会受容性のハードルが低いと見られており、UAMよりも早期に本格的な商用化が実現する可能性があります。AIR社が開発する「AIR ONE Cargo」(ペイロード250kg70 や、Elroy Air 71 のように、最初から貨物専用機として設計・開発されるケースも多いです。前述のeIPPプログラムでも、貨物輸送は乗客輸送と並ぶ重点分野とされています 5
  • 5-10年後 (2030-2035): 地域間航空モビリティ (RAM)
    • UAM(都市内)よりも長距離の「都市間」(例:東京-名古屋、ニューヨーク-ボストン)を結ぶモビリティです。これは、現行の全電動(バッテリーのみ)の機体では航続距離が絶対的に不足するため、次世代バッテリー技術、またはハイブリッド技術が鍵となります 7Hondaが開発する航続250マイル(約400km)のガスタービン・ハイブリッド機 28 は、このRAM市場を明確にターゲットとした技術戦略です。また、Archer Aviationが経営破綻したLiliumから長距離RAM関連の特許を取得した 72 ことも、UAMの次のステップとしてRAM市場への進出を狙っていることを示唆しています。
  • 5-10年後 (2030-2035): 完全自律運航
    • パイロットを機体から排除し、地上からの遠隔監視(Multi-Vehicle Supervisors74 に移行することで、運航コストを劇的に下げ(人件費、パイロット訓練コストの削減)、ビジネスモデルのスケール(パイロット不足問題の解消)を実現する、eVTOLの最終形態です。Wisk AeroBoeing)が2030年までの実現を目指し、FAAと長期的な認証プロセス(G-1, G-2)を進めています 57。中国市場では、EHangがこのモデルを先行して実現し、商用化しています 48
  • 5-10年後 (2030-2035): 防衛・軍事
    • eVTOLの持つ静粛性、低運用コスト、低熱探知性、そして滑走路不要の垂直離着陸能力は、軍事分野(偵察、特殊部隊の輸送、兵站、負傷者後送)において極めて高い戦術的価値を持ちます 76Jobyは既にDoD1億ドル超の契約を結び、米空軍基地に機体を納入 31Archerも防衛テック企業Andurilと提携し、民生用とは異なる「ハイブリッドVTOL軍用機」の開発を明確に打ち出しています 8

 

ポテンシャルと導入障壁

 

各応用先には、巨大なポテンシャルと、それを阻む深刻な障壁が存在します。

  • 旅客 (UAM/RAM):
    • ポテンシャル: 数千億ドルから1兆ドル規模と試算される、最も巨大な市場 1
    • 障壁:
      1. インフラ: Vertiport(離着陸場)の建設場所(特にビルの屋上)の確保、建設コスト(一部試算では1施設あたり300万〜1000万ドル 79)、そして法規制(ゾーニング)15
      2. 電力供給: Vertiportのインフラ以上に深刻なのが、多数のeVTOLが同時に急速充電を行う需要に対し、既存の都市電力網が対応できるかという「グリッド(電力網)」の問題です 16
      3. 経済性(運賃): 初期の運賃は、ヘリコプターよりは安価なものの、地上のタクシーやライドシェアと比較して著しく高価になる(初期の試算で$6.25/乗客マイル 83)と予測され、富裕層やビジネス利用向けのニッチな市場に留まるリスクがあります。
      4. 社会受容性: 安全性への懸念、騒音(静かとはいえ無音ではない)、上空からのプライバシー侵害といった、地域住民からの心理的・政治的な反発 79
    • 物流 (Cargo):
      • ポテンシャル: UAMより早期に収益化が可能です。特に医療品(緊急)や高付加価値品(B2B)の輸送 85 に適しています。
      • 障壁: インフラや電力供給の障壁はUAMと共通です。
    • 防衛 (Defense):
      • ポテンシャル: 政府(DoD)という単一の巨大な顧客。明確な国家安全保障上のニーズと予算が(既に)存在します 76
      • 障壁: 民生用よりも遥かに厳格な要求スペック(全天候性、航続距離、耐環境性、安全性)。

 

【第4章】主要戦略グループ別の詳細分析

 

本章は、第2章で定義した5つの戦略グループに属する主要企業の事業戦略(IR、投資、アライアンス)を網羅的に分析します。

 

4-1. グループ1:「FAAトラック認証リーダー」の戦略

 

このグループは、eVTOL市場で最も注目を集めるJoby AviationArcher Aviationによって構成されます。彼らの戦略は、潤沢な民間資本と、自動車・航空業界の巨人との戦略的アライアンスをテコに、世界で最も厳格かつ影響力のあるFAA(米国連邦航空局)の型式認証を「有人機」として取得し、米国、中東、アジアの主要都市で2026年〜2028年にエアタクシーサービスを(自社またはパートナー企業を通じて)開始することです。両社はFAA認証の最終ステージで激しく競合しており、そのアプローチには明確な違いが見られます。

  • Joby Aviation (JOBY)
    • 戦略的概要: Jobyの戦略は「垂直統合型」のサービス事業者モデルです。機体の設計開発、製造(Toyotaの知見を活用)、そして最終的な運航サービスまで、エコシステムの大部分を自社(またはDeltaのような緊密なパートナー)の管理下に置くことを目指しています。
    • FAA認証とロードマップ:
      • 進捗: Jobyは、FAAが定める5段階の型式認証プロセスのうち、第4段階(Type Inspection Authorization: TIA)の最終準備フェーズにあります 492025年第2四半期末(6月末)時点で、Joby側(申請者)が担当するStage 4の完了度は70%に達していると報告されています 86
      • TIAテスト: TIAは、FAAのテストパイロットが「適合機(Conforming Aircraft)」(量産機と同等の設計・製造プロセスを経た機体)に実際に搭乗し、飛行試験を通じて設計の安全性を最終確認する、認証プロセスで最も重要なステップの一つです 49Joby2025115日、このTIAテストに使用する最初のFAA適合機のパワーオンテストを開始したと発表しました 872026年中にはFAAパイロットによる「for credit」(認証取得のための公式)飛行テストの開始を目指しています 54
      • 商用化目標: ロードマップでは2026年の商用サービス開始を目標としています 88
    • アライアンスと市場開拓:
      • 製造(Toyota: 2020年からの戦略的パートナーであり、Jobyの量産戦略の根幹です。トヨタは、Jobyのカリフォルニア工場において、トヨタ生産方式(TPS)のノウハウ(製造プロセス設計、品質管理、コスト削減)を提供し、効率的な量産化を支援しています。トヨタ自動車(北米)のCEOJobyの取締役会にも参加しており 89、極めて強固な関係です。
      • 運航・顧客(Delta Air Lines: 米国内の主要な航空パートナー。DeltaJoby6,000万ドルを出資し、ニューヨークやロサンゼルスなどのハブ空港と都市部を結ぶエアタクシーサービスにおいて、独占的なパートナーシップを結んでいます 54
      • 中東(UAE・ドバイ): 2026年初頭のサービス開始を目指す独占契約をドバイ政府(RTA)と締結しています 312025年夏にはドバイで高温環境下(約110°F、約43°C)での実証飛行キャンペーンを完了させ 54、商業的準備の検証を行いました。
      • アジア(日本・韓国): 日本では全日本空輸(ANA54、韓国ではSK Telecomと提携。202511月には、東京都が主導する「eVTOL実装プロジェクト」のフェーズIに、ANAJoby連合として選定されました 90
    • 防衛戦略(第二の柱):
      • Jobyは、DoD(国防総省)との関係が競合他社と比べても際立って深い。米空軍のAFWERXプログラムを通じて、契約総額は13,100万ドル超に達しています 77
      • 2024年、エドワーズ空軍基地に2機目の機体を納入し、米空軍による実践的な運用テスト(人員輸送、兵站など)が開始されています 312025年にはさらに2機をマクディール空軍基地に納入予定です。
      • 2025年Q2、防衛大手L3Harris Technologiesとの提携を発表。Jobyの機体(S4)をベースに、ガスタービン・ハイブリッド版(防衛・低高度ミッション用)を開発する計画です 542025年秋の飛行テスト、2026年のデモンストレーションを目指しており、これはJobyの技術ポートフォリオを全電動からハイブリッドへと拡大する重要な一手です。
    • 機体スペック (Joby S4):
      • 分類:リフト+クルーズ(Lift + Cruise
      • 乗員・乗客:1パイロット + 4乗客 26
      • 最高速度:200 mph (322 km/h) 26
      • 航続距離:100150マイル (161241 km) 26
    • 分析: Jobyの戦略は「UAM(都市内)」に留まりません。機体スペック(航続150マイル)は、競合のArcher20-50マイル)を遥かに凌駕しており 26、最初から「RAM(地域間)」市場も明確に視野に入れています。L3Harrisとのハイブリッド機開発 54 は、まず防衛分野でのニーズに応えるものですが、そこで培われる技術と認証ノウハウは、将来の民間RAM市場(Hondaが狙う領域)への技術的な布石とも解釈できます。
  • Archer Aviation (ACHR)
    • 戦略的概要: Jobyとは対照的な「水平分業型」モデルを追求。自社(Archer)は機体の設計、認証、システムインテグレーション、そしてサービス網の構築という「頭脳」部分に集中。最も資本集約的(Capital Intensive)でノウハウが必要な「量産」は、自動車製造の巨人Stellantisに全面的に委託します 55
    • FAA認証とロードマップ:
      • Jobyを猛追する形でFAA認証プロセスを進行中です。
      • eIPPプログラム: Archerの短期戦略で非常に重要なのが、20256月のトランプ政権による大統領令 92 によって設立された「eVTOL Integration Pilot Program (eIPP)5 の活用です。Archerは、このプログラムに基づき、DOT/FAAと「型式認証(TC)の取得」であっても、早ければ202692 にも貨物輸送や救急医療といった特定のユースケースで「Midnight」の初期展開(商用運用)を開始する可能性について協議しています 88。これは、型式認証取得までの莫大なキャッシュバーン(「死の谷」)を、早期の収益で補うための重要な戦略です。
      • 商用化目標: 2026年〜2028年の商用サービス開始を目指しています 9
    • アライアンスと市場開拓:
      • 製造(Stellantis: Archerのビジネスモデルの根幹をなす、最も重要なアライアンスです 55StellantisArcherの独占的契約製造パートナーとして、ジョージア州コビントンに建設中の大規模工場(年間最大650機生産能力)93 の立ち上げを全面的に支援。Stellantis2023-2024年にかけて最大15,000万ドルの資本注入枠を設定し 5520247月までに既に累計16,500万ドル以上を投資しています 94。さらにStellantisは、量産立ち上げに必要な労働コスト(最大約7億ドル)も支援し、その見返りとしてArcherの株式を取得するという、極めて深く踏み込んだ契約を結んでいます 93
      • 運航・顧客(United Airlines: 10億ドル規模となる機体「Midnight200機の確定発注(さらに10億ドル規模のオプション付)を行い、既に1,000万ドルのデポジット(前金)を支払済みです 6。両社は、ニューヨークのダウンタウン・マンハッタン・ヘリポートとニューアーク国際空港を結ぶ路線 6 など、具体的なエアタクシー網の構築を共同で進めています。
      • 中東(UAE・アブダビ): Abu Dhabi Aviation (ADA) が「ローンチ・エディション」の最初の顧客となり、ADAと共に中東での運航体制(パイロット訓練、MRO)を構築します 9
      • アジア(韓国・日本): 韓国ではKorean Air 96、日本では日本航空(JAL97 と提携し、各市場への参入を目指しています。
    • 防衛戦略(第二の柱):
      • Archerもまた、民生用(Midnight)とは別に、防衛分野を第二の事業の柱として明確に設定しています。
      • Anduril提携: 2024年、防衛テック分野の新興巨人Anduril Industriesと戦略的提携を発表 8。両社で、Midnightとは異なるハイブリッド推進・自律型VTOL軍用機を共同開発し、米国防総省(DoD)の大型プログラム(Program of Record)の獲得を目指します 98
      • 防衛向けM&A: 2025年8月、この防衛プログラムを加速するため、同じくカリフォルニアを拠点とする競合(Karem Aircraftのスピンオフ)であるOverairから、特許ポートフォリオと主要な技術人材を買収しました 32
    • 戦略的M&A (Lilium特許買収):
      • 2025年1015日、Archerは市場を驚かせる発表を行いました。経営破綻した(グループ5の)Lilium GmbHの特許ポートフォリオ(約300件)を、わずか1,800万ユーロ(約2,100万ドル)で落札・取得したのです 11
      • このM&Aの戦略的意味は極めて重要です。Liliumは、その歴史において$1.5B(約15億ドル)以上を費やし 11、ダクテッドファンを用いた「長距離RAM(地域間)」技術(高電圧システム、バッテリー管理、飛行制御技術を含む)100 を開発していました。Archerは、その技術資産の核を、わずか4%のコストで手に入れたことになります。
      • Archerの現行機「Midnight」の航続距離は20-50マイル(背中合わせの20マイル飛行に最適化)22 であり、UAMに特化しています。Liliumの技術は、このMidnightには直接使用されません。
      • これは、Archerが(1)現行のUAM戦略(Midnight)、(2)防衛戦略(Anduril/Overair)に続く、(3将来の「長距離RAM」民間機および「ライトスポーツ機」72 の開発ロードマップのための、重要な技術(特にダクテッドファン技術)102 を確保したことを意味します。「隠れた戦略」がM&Aによって明らかになった典型例です。
    • 機体スペック (Archer Midnight):
      • 分類:ベクタードスラスト(Vectored Thrust12ティルト6構成)
      • 乗員・乗客:1パイロット + 4乗客 22
      • 最高速度:150 mph (241 km/h) 20
      • 航続距離:2050マイル (3280 km) 20注:20マイル(約32km)の連続飛行に最適化され、飛行間充電時間は約10 22

 

4-2. グループ2:「自律・並行市場パイオニア」の戦略

 

このグループは、「パイロット不足」という将来のボトルネックと、「パイロット人件費」という運航コストの最大要因を、技術によって根本的に解決するため、「自律運航」を初期戦略に据えるプレイヤーです。しかし、その実現アプローチと市場戦略は、中国のEHangと米国のWisk Aeroで正反対と言えるほど対照的です。

  • EHang (EH)
    • 戦略的概要: EHangの戦略は、「自律・短距離・多ローター」というシンプルな機体(EH216-S)と、それに最適化された群制御・管制プラットフォーム(UACS)をパッケージで開発。世界で最も協力的かつ迅速な規制当局であるCAAC(中国民用航空局)と密に連携し、「世界初」の認証取得を最優先。中国本土および規制が追従する国(UAE、東南アジアなど)105 で「低空域経済(Low-Altitude Economy)」のデファクトスタンダードを構築することです。
    • CAAC認証(世界初の「三冠」):
      • EHangは、FAAEASAの競合他社に先駆け、自律型有人eVTOLにおいて世界で初めて、規制当局(CAAC)から航空機の商用化に必要な主要な3つの証明書をすべて取得しました。
      • 型式証明 (TC): 2023年10月に取得 106。機体設計の安全性を証明するものです。
      • 生産承認 (PC): 2024年47日に取得 3TCに基づいた機体を量産するための品質管理体制(Yunfu市の工場)を証明するものです。
      • 標準耐空証明 (AC): 2024年4月に第一号機に対して取得 107PCに基づき製造された個別の機体の安全性を証明するものです。
    • 商用化(世界初の収益化):
      • この「TCPCACの三冠」を背景に、EHangは世界で最も早く商用化(収益化)フェーズに移行しました。
      • 2025年第2四半期(4-6月)から、広州市のリゾート地や合肥市の公園などで、「試験的商用運用(Trial Commercial Operation)」を開始 3
      • 2025年第2四半期だけで700便以上の安全な運航を完了し 30、一般向けの商業運航サービスの開始に向けた実績を積んでいます。
      • 財務インパクト: この商用化はEHangの財務諸表に劇的な影響を与えています。2025年第2四半期(826日発表)の総売上は14,720万人民元(約2,050万米ドル)に達し、前四半期比で+464.0%、前年同期比で+44.2%の大幅な増加を記録しました 30。粗利益率(Gross Margin)も6%という高い水準を維持しています 30
      • これは、競合他社がまだFAA認証に巨額の赤字(例:ArcherQ2 2025の調整後EBITDA損失は-11870万ドル 92)を投じている「開発フェーズ」にある中、EHangは世界で唯一、eVTOL事業で「四半期ベースの黒字(調整後純利益940万人民元 30)」を達成し始めた企業であることを示します。
    • 技術的エコシステム:
      • EHangの強みは機体だけでなく、その運航を支えるプラットフォームにもあります。20238月、同社の「EHang Unmanned Aircraft Cloud System (UACS)」はCAACから試験運用の承認を得ました 108。これは、地上局から多数の機体をクラスター管理し、空域、飛行計画、オペレーターを統合管理するシステムであり、自律運航フリートの安全かつ効率的な運用の根幹となります。
    • 機体スペック (EHang EH216-S):
      • 分類:マルチローター(Multicopter、同軸二重反転ローターx8基、プロペラx16
      • 乗員・乗客:0パイロット + 2乗客(自律運航) 24
      • 最高速度:130 km/h (81 mph) 24
      • 航続距離:3035 km (1822マイル) 24
    • 分析: EHangの機体スペック(航続30km)は、Joby160km+)やHonda400km)と比べるべくもないほど短いものです。しかし、EHangは戦略的に「長距離」を最初から目指しませんでした。「観光地での数十分の遊覧飛行」という、現行のバッテリー技術と自律制御技術で確実に実現可能(=CAACの認証が下りやすい)、かつ収益性の高いニッチ市場にターゲットを絞り込みました。この徹底した現実路線と規制当局との緊密な連携こそが、世界初の商用化という結果につながったと分析されます。
  • Wisk Aero
    • 戦略的概要: EHangとは対照的に、「自律・長距離・高信頼性」モデルを追求します。技術的に最も複雑な「固定翼(リフト+クルーズ)」と「自律運航」を組み合わせ、世界で最も厳格な規制当局であるFAAの認証取得を目指すという、極めて野心的かつ長期的な王道戦略です。この戦略は、親会社であるBoeing 56 の「レガシー航空宇宙のDNA」(安全性・信頼性への妥協なき追求)と、それを支える豊富なリソース(資金、エンジニア、認証ノウハウ)を背景にしています。
    • FAA認証とロードマップ:
      • 「自律」の壁: Wiskは、FAAに「有人」のカテゴリー(Powered-lift)で申請を行っている競合他社とは異なり、「自律」での型式認証を申請しています 57。これは、パイロットが機内に存在しないことを前提とし、地上にいる「マルチビークル・スーパーバイザー」が複数の機体を監視・管理する運航モデル 74 を含めて、FAAに認証させる必要があります。
      • 進捗: FAAとの認証プロセスは着実に進行しています。WiskFAAと協力し、自律機に適用される規制の枠組み(G-1 Certification Basis)と、Wiskがそれをどう満たすか(G-2 Issue PaperMeans of Compliance)の策定を進めています 57Wiskは、既存の航空認証(ハードウェアとソフトウェア)の枠組み内で自律性が認証可能であると主張しています 57
      • 商用化目標: 2030年までの商用サービス開始を目標としています 75。これは、2026年を目指すグループ1より数年遅れますが、自律運航が実現した場合のインパクトは計り知れません。
    • アライアンスと市場開拓:
      • Boeing: Wiskは2023年にBoeingの完全子会社となりました 56。これにより、Boeingの巨大なエンジニアリングリソース、100年以上にわたる認証ノウハウ、グローバルなサプライチェーン、そしてWIPOレポート 44 で示されるBoeingの膨大な特許ポートフォリオへのフルアクセスが可能となりました。
      • 市場: 米国(ヒューストン、ロサンゼルス 88)、日本(Japan Airlinesと提携 56)、オーストラリア(ブリスベン)などで、都市や規制当局と連携し、将来の自律運航を見据えたインフラや空域管理の検討を進めています。
    • 機体スペック (Wisk Generation 6):
      • 分類:リフト+クルーズ(Lift + Cruise、ティルト6基+固定リフト6基)
      • 乗員・乗客:0パイロット + 4乗客(自律運航) 27
      • 最高速度:120ノット (138 mph / 222 km/h) 27
      • 航続距離:90マイル (144 km)(予備バッテリー含む) 112
    • 分析: EHangとWiskの比較は、eVTOL市場における「中国モデル」と「米国モデル」の競争軸を象徴しています。EHangは「今ある技術」で「今ある(管理された)市場」を迅速に取り、実績とデータを積み上げる戦略です。一方、WiskBoeing)は、「未来の(あるべき)技術」を追求し、時間はかかっても「グローバルな(開かれた)市場」を根底から変革し、総取りしようとする戦略です。Wisk90マイルという航続距離は、EHang30kmとは比較にならず、グループ1Joby100-150マイル)に匹敵します。Wisk2030年に「自律」で「90マイル」の機体をFAA認証させることができれば、その時点で「有人」で「50マイル」の機体を運航している競合(Archer)の運航コストとネットワーク効率を根底から覆す「ゲームチェンジャー」となる可能性があります。

 

4-3. グループ3:「ナショナルチャンピオンとニッチスペシャリスト」の戦略

 

このグループは、グループ1FAAリーダー)が繰り広げるグローバルな消耗戦とは一線を画し、明確な「ホームグラウンド(自国市場)」または「独自技術(ニッチ)」で足場を固める戦略を採るプレイヤーです。

  • SkyDrive (Japan)
    • 戦略的概要: 「ナショナルチャンピオン」戦略。日本政府、規制当局(JCAB)、および国内の異業種大手(スズキ、JR、電力、銀行)と強固なパートナーシップ(オールジャパン体制)を構築。2025年大阪・関西万博という国家的なマイルストーンを最大限に活用して国内での認知と運用実績を確立し、その後、製造パートナーであるスズキの強力な販路を活用してインド市場へ展開する、という明確な2段階戦略です。
    • JCAB認証とロードマップ:
      • 進捗: 2025年2月、国土交通省航空局(JCAB)は、SkyDriveの機体「SKYDRIVE (SD-05)」に対し、G-1認証基準(G-1 Certification Basis)を発行しました 58。これは、FAAG-1に相当し、JCABがこの新型機をどのような基準で審査するかという「ルールブック」が確定したことを意味し、型式認証取得に向けたプロセスが本格化したことを示します。
      • 大阪・関西万博: SkyDriveは、2025年大阪・関西万博の「未来の社会ショーケース」に選定されています 116202549日、メディアデーにおいて会場内のEXPO VertiportSD-05のデモ飛行(無人・遠隔操縦)を成功させました 672025年夏にかけても、万博会場でのデモ飛行が予定されています 117
      • 商用化目標: 万博での実績を足掛かりに、2028年頃の商用サービス開始を目指しています 90
    • アライアンスと市場開拓:
      • 製造(スズキ): 2022年からの戦略的パートナー 11920236月に生産協定を結び、20243月からスズキグループの工場(静岡県)で「SD-05」の生産(組立)を開始しました 60
      • インド市場(スズキとの共同展開): SkyDriveが日本市場と並んで最重要視する海外市場です。スズキはインドの自動車市場で圧倒的シェア(Maruti-Suzuki)を持っており、この製造・販売・ブランドネットワークを活用できることが最大の強みです 119
        • 2024年1月、インド・グジャラート州政府と戦略的パートナーシップを締結し、2027年までのeVTOL運航(エコシステム構築)を目指すことで合意しました 121
        • 2025年1月には、インド最大手のプライベートジェット運航会社であるJetSetGoから、SD-05を最大50機(プレオーダー)受注したと発表しました 123
      • 国内(JR・インフラ): 2025年74日、プレシリーズDラウンドとして83億円の資金調達を発表 59。このラウンドには、既存株主のスズキ、関西電力、三菱UFJ銀行などに加え、JR東日本JR九州が新規投資家として参加しました 59
      • JRの資本参加は、単なる資金調達を超えた戦略的な意味を持ちます。「空のモビリティ(eVTOL)」と「地上のモビリティ(新幹線・在来線)」の連携、すなわちMaaSMobility as a Service)エコシステムの構築が明確に意図されています。将来的には、主要な駅ビル(Vertiportを併設)から、eVTOLで空港や観光地へシームレスに接続する、日本独自のインフラ連携モデルが想定されます。
    • 機体スペック (SkyDrive SD-05):
      • 分類:マルチローター(Multicopter12モーター・ローター)
      • 乗員・乗客:1パイロット + 2乗客 125
      • 最高速度:100 km/h (62 mph) 126
      • 航続距離:1540 km (925マイル) 125
    • 分析: SkyDriveの機体スペック(航続15-40km)は、グループ2EHang30-35km)とほぼ同等であり、グループ1Joby160km+)やWisk144km)には遠く及びません。これは、SkyDriveが(少なくとも初期モデルのSD-05では)長距離性能や高速巡航性能を追求せず、大阪湾岸(万博会場)や都市内の特定地点間(例:駅-空港、駅-観光地)を結ぶ、短距離シャトルサービスに特化していることを示しています。EHangと同様、現実的な技術で実現可能な市場から参入する戦略です。
  • Honda
    • 戦略的概要: 「ニッチスペシャリスト」戦略。Hondaは、グループ1Joby/Archer)が激しく争う「全電動UAM」市場への参入を意図的に回避しています。その代わり、自社の持つ多様なコア技術(ガスタービン、F1のエネルギーマネジメント 61HondaJetの航空技術)を融合させ、「ハイブリッド・パワートレイン」という明確な技術的優位性を確立。この技術を用いて、全電動機では到達不可能な「長距離RAM(都市間)」市場という、競合のいないブルーオーシャンを創造し、独占することを目指しています。
    • 技術的優位性(ハイブリッド):
      • 動力源: バッテリーのみに依存する全電動機とは異なり、ガスタービン発電機と(比較的小型の)バッテリーを組み合わせたハイブリッドシステムを採用します 28
      • F1技術の応用: F1パワーユニット開発で培われた超高回転発電機の技術や 29F1マシンに近い速度域での空力シミュレーション解析技術 29 を、eVTOL開発に直接応用しています。
      • 航続距離: このハイブリッド技術により、全電動eVTOL(航続数十km)を圧倒する**400km(約250マイル)**の航続距離を目指しています 7。これは、都市内の移動(UAM)ではなく、都市間の移動(RAM)を可能にするスペックです。
    • FAA認証とロードマップ:
      • 進捗: Hondaは202511月、FAAHonda Research Instituteに対し、55ポンド(約25kg)を超える縮小テストモデル(プロトタイプ)のデモンストレーション飛行を202610月まで許可する承認を与えたと報じられました 29。これは、認証プロセスに向けた初期の重要なステップです。
      • 商用化目標: 2030年頃の市場投入をターゲットとしています 7
    • 機体スペック (Honda eVTOL):
      • 分類:ハイブリッド(リフト用ローター8基+推進用ダクテッドファン2基)
      • 乗員・乗客:1パイロット + 4乗客 7
      • 最高速度:(未公表)
      • 航続距離:400 km (250マイル) 7
    • 分析: Hondaの戦略は、eVTOL市場の「第二波」を狙うものです。第一波(2026-2028年)がJoby/Archerによる「全電動UAM」の戦いであるとすれば、第二波(2030年〜)はバッテリー技術の限界が露呈した後、より長い航続距離が求められる「RAM」の戦いとなると予測されます。Hondaは、そのRAM市場が本格的に立ち上がるタイミング(2030年)に、最適化されたハイブリッド機を投入する計画です。興味深いことに、グループ1Joby 54Archer 8 が(主に防衛用として)ハイブリッド機の開発を「後追い」で始めている事実は、Hondaの技術戦略の先見性や正しさを裏付けている可能性があります。

 

4-4. グループ4:「レガシー・イネーブラーと(元)エクスプローラー」の戦略

 

このグループは、WIPOの特許レポート 44 で示されるように、eVTOL関連技術(特に推進システム、空力、制御)において膨大な特許ポートフォリオを蓄積してきた、伝統的な航空宇宙・防衛大手です。彼らは豊富な技術と認証ノウハウを持ちながら、スタートアップとは異なる戦略的判断を下し、その戦略は「供給者」と「撤退者」に分化しました。

  • Safran
    • 戦略的概要: 「イネーブラー(Picks and Shovels)」戦略。WIPO特許リーダーの一角 44 であるSafranは、機体そのものを開発するという高リスク・高コストな競争からは距離を置き、自社の絶対的な強みである推進システム(エンジン・モーター)に特化しました。EASA認証を取得した「電動モーター」を開発し、機体開発を行うスタートアップ(Ascendance, VoltAero, Diamond Aircraftなど)にB2B供給する戦略です。
    • 中核製品と認証:
      • ENGINeUS 100: 2025年23日、Safranは「ENGINeUS 100」電動モーター(最大出力125kW)について、EASA(欧州航空安全機関)の型式認証を取得したと発表しました 63。これは、eVTOLおよび次世代電動航空機向けモーターとしては世界初クラスの認証であり、他社に対する圧倒的な競争優位(信頼性の証)となります。
      • GENeUS 300: ハイブリッド機用の高出力モータージェネレーターの開発も進めています 130
    • 顧客(パートナー): フランスのハイブリッドVTOL開発企業Ascendance(機体名:ATEA)が、水平推進用としてENGINeUSの採用を決定 62 しています。その他、VoltAeroAura AeroElectra AeroDiamond Aircraftなど、多数の新興企業がSafranのモーター採用を決定しています 132
    • 分析: Safranの戦略は、eVTOL市場で最も賢明かつ低リスクなものの一つです。「ゴールドラッシュで最も儲けたのは、金を掘った者ではなく、ツルハシ(Picks and Shovels)を売った者」という格言の通り、Safranは、どの機体OEMが最終的に生き残るかという「賭け」に参加しません。代わりに、生き残ろうとする全てのOEM(特に欧州勢)に「EASA認証済みのツルハシ(電動モーター)」を販売します。機体認証という最大のビジネスリスクを顧客(Ascendance等)に負わせ、自社はB2Bサプライヤーとして、高付加価値コンポーネント市場で確実な収益を上げるポジションを確立しました。
  • Airbus
    • 戦略的概要: 「戦略的一時停止」。WIPO特許リーダーの一角 44 であり、Vahana(単座)やCityAirbus4座)といった先進的なデモンストレーターを早期から開発・飛行させてきた 133eVTOLのパイオニアの一社です。しかし、市場の「ハイプ(過熱)」から距離を置き、現実的な技術と市場の成熟を待つ姿勢に転換しました。
    • プログラムの「一時停止」:
      • 2025年1月、Airbus HelicoptersCEOは、次世代機「CityAirbus NextGen」(2021年発表 134)の飛行試験は2025年中に継続するものの、その後の新規プログラム(商用化)立ち上げは「一時停止(Pause)」すると発表しました 51
      • 理由:1)規制の成熟度、(2)ビジネスモデルの成熟度、そして最も重要な点として(3テクノロジー(特にバッテリー)の成熟度 51
    • 分析: Airbus(および後述のRolls-Royce)のこの判断は、市場の「死の谷」が本物であることを示す強力なシグナルです。BoeingWiskを通じて(赤字を許容して)長期投資を続ける一方、欧州の雄であるAirbusは、「現状のバッテリー技術では、我々が求める安全基準と経済性(航続距離、ペイロード)を満たす商用機は作れない」という、極めて冷静かつ厳しい技術的判断を下したと推定されます。
  • Rolls-Royce
    • 戦略的概要: 「戦略的撤退」。SafranGEと並ぶ航空エンジン大手であり、WIPO特許リーダーの一角です 44
    • 部門閉鎖: 2023年11月のキャピタルマーケットデイでの戦略見直しの一環として、CEOTufan Erginbilgiç)は、eVTOLおよび地域航空機向けの電動推進システムを開発していた**Rolls-Royce Electrical」部門の事業を事実上終了(閉鎖または売却)**する方針を決定しました 53。この部門は、SiemenseAircraft部門(2019年買収)を母体としていましたが、採算性が見込めないと判断されました。
    • 分析: Safranが電動モーター「ENGINeUS」のEASA認証を取得し「イネーブラー」として成功した 63 のとは対照的に、Rolls-Royceはこの「ツルハシ」事業からさえも撤退しました。これは、同社がAAMAdvanced Air Mobility)市場全体を、自社の(より収益性の高い)中核事業(大型旅客機向けターボファンエンジン、防衛)と比較し、優先度の低い「不確実な市場」と判断したことを明確に示唆しています。

 

4-5. グループ5:「コンソリデーテッド・パイオニア(市場淘汰)」の戦略

 

このグループは、eVTOL市場が「ハイプ」から「現実」のフェーズ(Gartner Hype Cycleにおける「幻滅期」)に移行したことを示す、重要なケーススタディです。彼らは市場の先駆者(Pioneers)でしたが、莫大なキャッシュバーンと認証の遅れという「死の谷」に耐えられず、2024年〜2025年にかけて相次いで破綻・整理(Consolidation)の対象となりました。

  • Volocopter
    • 経緯: ドイツを拠点とし、シンプルなマルチローター設計(VoloCity)で、EASA(欧州)認証の最有力候補と目されていました。特に、2024年パリ五輪での商用飛行(世界初)を目指し、ADP(パリ空港公団)やパリ交通公団(RATP)などと大々的に準備を進めていました 136
    • 破綻: しかし、資金調達の難航と、EASAの認証プロセスの厳格化による遅延により、パリ五輪での商用飛行(乗客輸送)は実現せず、デモ飛行に留まりました 66。認証取得目標は2025年、商用化は2026年以降にずれ込んでいました 139。度重なる資金調達の試みが失敗した後、Volocopter20241226日、ドイツのカールスルーエ地方裁判所に破産(insolvency)を申請しました 10
    • 買収:
      • 2025年3月、管財人による売却プロセスを経て、**中国の万豊奥特(Wanfeng Auto Holding Groupが、Volocopterの資産(知的財産、施設、人材の一部)をわずか1,000万ユーロ(約1,100万ドル)**で買収したと報じられました 12。(注:買収額は資産価値4,200万ユーロを大幅に下回るものでした 142
      • Wanfengは、オーストリアの老舗航空機メーカー「Diamond Aircraft」の親会社でもあります 12
    • 分析: この買収は、地政学的にも市場的にも極めて重要です。
      • 第一に、欧州(EASA)のeVTOL認証レースの「顔」であったVolocopterが、中国資本に買収されたことで、EASAの市場立ち上げは、FAA(グループ1)やCAAC(グループ2)に対し、決定的に遅れを取ることになりました。
      • 第二に、買収主体がDiamond Aircraftの親会社である点 143 が鍵です。Volocopterは「電動化」の技術は持っていましたが、「航空機認証」のノウハウ(特にEASAの厳格な要求)に苦戦しました。一方、Diamondは「航空機認証」の豊富な実績を持つOEMです 65Wanfengは、Diamondの持つ厳格な認証ノウハウ 65 と、Volocopterの電動技術を組み合わせ、両社のリソースを再構築・転用する(例:中国市場での自律運航機としての認証 143、またはDiamondの既存機(例:DA40)の電動化 143)と推定されます。
    • Lilium
      • 経緯: ドイツを拠点とし、多数の小型電動ダクテッドファンを用いた独自の「Lilium Jet」を開発。UAM(都市内)ではなく、最初からRAM(地域間)市場を目指したパイオニアでした 144
      • 破綻: しかし、その先進的で複雑な技術(36個の電動エンジン 144)は、莫大な開発コスト(累計15億ドル超を消費 11)と、極めて高い認証のハードルを伴いました。2024年後半から資金難が深刻化し(ドイツ政府の保証交渉も不調 145)、20252月までに破綻・事業停止に至りました 9
      • 買収(資産売却):
        • 会社全体の救済は失敗し、その資産(特に知的財産)は競売にかけられました。
        • 2025年10月、米国のArcher Aviation(グループ1)が、その中核資産である特許ポートフォリオ(約300件)を、わずか**1,800万ユーロ(約2,100万ドル)**で落札・取得しました 11
      • 分析: Liliumの破綻とArcherによる特許買収は、「市場淘汰(Consolidation)」の最も象徴的な事例です。
        • Liliumが15億ドル以上を投じて生み出した「RAM(地域間)」の先進技術(ダクテッドファン、高電圧システム、飛行制御)11 は、最終的に、市場ではわずか2,100万ドル(投資額のわずか4%)の価値でしか評価されませんでした。これは、技術そのものよりも、「型式認証を取得し、量産・販売する」という事業実行能力と、それを支える資本・アライアンス(基準2, 3)の方が、現在の市場フェーズでは何倍も価値があることを残酷なまでに示しています。
        • この取引により、グループ1Archerは、グループ3Hondaが狙う「RAM」市場への参入障壁を、破格のコストで突破するための「技術的な鍵(特許)」72 を手に入れました。市場は、敗者の屍を越えて、勝者がより強くなるという「集約」のフェーズに明確に突入したのです。

 

【第5章】特許戦略と事業戦略の整合性

 

本章では、WIPOの特許動向(分析基準1)と、第4章で分析した各社の事業戦略(分析基準2, 3)が「一致」しているか「ギャップ」があるかを評価し、そこから各社の「本気度」や「隠れた戦略」を推定します。

  • ギャップ1:「レガシーの特許」と「市場からの撤退」
    • 分析: WIPO(世界知的所有権機関)の特許出願データ 44 を見ると、Boeing, Airbus, Safran, Rolls-Royceといった伝統的な航空宇宙・防衛企業が、eVTOL関連(特に推進システム、空力、制御)の特許を過去20年間で大量に蓄積していることが示されています。
    • ギャップ(不整合): しかし、第4章で分析した事業戦略(IR、プレスリリース)を検証すると、AirbusCityAirbus NextGenプログラムを「一時停止」51 し、Rolls-Royceは電動部門を「閉鎖」53 しています。
    • 推定: これは、eVTOL市場における「特許ポートフォリオの規模」と「事業化の本気度」が一致しないことを示す最大の証拠です。これらのレガシー企業は、技術的(特許)には先行していた、あるいは先行する能力を持っていました。しかし、彼らの経営陣は、バッテリー技術の未熟さ 52莫大な認証コストと先行投資、自社の既存中核事業(大型旅客機)とのシナジーの薄さ、といった現実的な経営判断から、商用化レースの第一波からは「撤退」または「様子見」を選択しました。
    • 例外(整合しているレガシー): このギャップの例外は、BoeingSafranです。Boeingは、自社で直接リスクを取る代わりに、Wiskを完全子会社化 56 することで、自社の特許とリソースをWiskの「自律」戦略に集中投下しています。Safranは、機体開発から撤退し、自社の特許(推進技術)を「認証済みモーター」63 というB2B製品に結実させ、「イネーブラー」として事業戦略と特許を整合させました。
  • ギャップ2:「UAM戦略(表面)」と「RAM/防衛戦略(水面下)」 - Archer
    • 分析: Archerの公式かつ表面的な事業戦略は、Stellantisとの提携 55 による「Midnight」(航続20-50マイル 22)の量産と、United Airlines 6 を使った「UAM(都市内)」サービスの提供です。
    • ギャップ(不整合): しかし、2025年にArcherが行った2つの戦略的M&Aは、このUAM戦略の範囲を明らかに逸脱しています。
      1. Lilium特許買収(202510月): 15億ドルが投じられた長距離RAM(ダクテッドファン)技術を、わずか2,100万ドルで取得 11
      2. Overair IP買収(20258月): Karem Aircraft由来の高度なローター技術(主に防衛向け)のIPと人材を取得 78
    • 推定: Archerの「本気度」は、公言されているUAMMidnight)だけに留まりません。これらのM&Aは、Archerの「隠れた戦略」あるいは「第2、第3の戦略」が水面下で同時進行していることを強く示唆しています。
    • Archerの特許ポートフォリオは、この1年で「(1)自社開発のMidnightUAM)」、「(2Overair/Anduril由来のハイブリッド(防衛)」、「(3Lilium由来のダクテッドファン(将来のRAM)」という、全く異なる3つの技術群で構成されることになりました。Stellantisという世界最強クラスの量産パートナーを持つArcherが、Liliumの特許 72 を活用し、将来的にグループ3Honda(航続250マイル)7 が狙うRAM市場に、より高性能な機体で参入してくる可能性は極めて高いと分析されます。
  • 整合性1:「技術」が「ニッチ戦略」を規定する - Honda
    • 分析: Hondaの特許は、F1応用を含む独自のハイブリッド・ガスタービン技術 29 に集中していると推定されます。
    • 整合性: 事業戦略も、この独自技術でしか実現不可能な「航続250マイル(400km)」の長距離RAM市場 7 に完璧に特化しています。
    • 推定: Hondaの戦略は、特許(技術)と事業(市場)が完璧に一致している好例です。全電動UAMの消耗戦(グループ1)を避け、自社の技術的優位性が最大限に発揮される「空白地帯」を狙う、合理的かつ「本気度」の高い戦略であると評価できます。
  • 整合性2:「規制」が「事業戦略」を規定する - EHang
    • 分析: EHangの事業戦略は、CAAC(中国)の認証を世界で最も早く取得することに最適化(全振り)されてきました 48。機体(EH216-S)も、自律運航ながらシンプルなマルチローター設計(航続30km24 を採用し、認証のハードルを意図的に下げました。
    • 整合性: これを支える技術(特許)戦略も、機体そのものの高性能化(グループ1が注力する空力特性や航続距離)よりも、自律運航に必要な「管制システム(UACS)」108 や「フリート管理」といった、事業運用(オペレーション)に必要な領域に集中していると推定されます。
    • 推定: EHangの「本気度」は、技術開発(R&D)そのものよりも、事業化(Commercialization)にあります。彼らは「最速の認証」と「最速の商用運用(売上)」30 を実現することを至上命題とし、競合他社がFAAの認証取得に巨額の赤字を垂れ流している間に、中国およびアジアの「低空域経済」市場を先行者として確立するという、極めて現実的かつ合理的な戦略を完遂しつつあります。

 

【第6章】主要戦略グループおよび企業の競合比較

 

 

戦略グループ間のポジショニング比較

 

2章で定義した戦略グループは、それぞれ異なる市場の「賭け」を象徴しており、その競合関係は多層的です。

  • グループ1FAAリーダー) グループ2(自律パイオニア):
    • 対立軸: 「有人・高スペック・高コスト」 「自律・低コスト・スケーラビリティ」
    • 分析: この対立は、市場の将来を二分する最も重要なものです。グループ1Joby, Archer)は、FAAの厳格な安全基準を満たすため、高スペックな機体(航続100マイル超)を「有人」で認証させようとしており、莫大な開発費と時間を要しています。一方、グループ2EHang, Wisk)は、「パイロット」という存在をシステムから排除することで、中長期的な運航コスト(人件費、訓練費)の劇的な削減と、スケーラビリティ(将来のパイロット不足に陥らない)を目指すという、根本的に異なるアプローチを採っています。EHangは「規制の緩い(ただし巨大な)市場」で「低スペック機」でこれを実現し 30Wiskは「規制の厳しい市場」で「高スペック機」でこれを実現しようとしています 57
  • グループ3(ナショナルチャンピオン/ニッチ) グループ1FAAリーダー):
    • 対立軸: 「グローバル標準」 「ローカル最適」
    • 分析: グループ1は「グローバル機」を開発し、米国、UAE、日本、韓国など、世界中の主要都市で販売・運航しようとしています。これに対し、グループ3SkyDriveは、スズキやJRとの連携 59 を前提とした「日本・インド最適」の機体とMaaS戦略を構築しています。Hondaは「全電動」が標準となりつつある中、あえて「ハイブリッドRAM7 というニッチ市場で独自の地位を築き、真正面からの競争を避けています。
  • グループ4(イネーブラー)のポジショニング:
    • 分析: グループ4Safran 63 は、これら全ての機体開発競争(グループ1, 2, 3)から一歩引いた「B2Bサプライヤー」という、地政学的ならぬ「産業地政学」的に最も有利なポジションにいます。どのグループが勝利しても、高性能な「認証済み」の基幹部品(電動モーター)が必要とされる限り、Safranは利益を得ることができます。
  • グループ5(市場淘汰)の示唆:
    • 分析: グループ5Lilium, Volocopter)の破綻 9 は、グループ123のいずれの戦略を採ったとしても、認証取得(技術と規制のハードル)と量産体制構築(資本と製造のハードル)の「死の谷」を越えることが、いかに困難であるかを物語っています。そして、彼らの敗北が、勝者(ArcherWanfeng)の戦略をさらに強化する「糧」となっている点に、この市場の集約(Consolidation)の厳しさがあります。

 

主要企業比較マトリクス(2025Q4時点の評価)

 

以下のマトリクスは、本レポートの分析結果を、主要企業の戦略的ポジショニングとして集約したものです。特に「機体スペック(航続距離)」と「認証状況」の対比が、各社の戦略的な「賭け」の違いを明確に示しています。

 

企業名

属する戦略グループ

主要機体

機体スペック(乗員/航続距離/速度)

認証状況 (2025Q4時点)

主要提携(製造・資本・運航)

Joby Aviation

グループ1FAAリーダー

Joby S4

1+4名 / 100-150マイル / 200 mph 26

FAA Stage 4 (TIAテスト準備中) 49

Toyota (製造), Delta (運航), ANA (運航), DoD (顧客) 31

Archer Aviation

グループ1FAAリーダー

Midnight

1+4名 / 20-50マイル / 150 mph 20

FAA Stage 3/4 (eIPPプログラム活用) 5

Stellantis (量産), United (運航), Anduril (防衛) 6

EHang

グループ2:自律パイオニア

EH216-S

0+2名 / 30-35 km / 130 km/h 24

CAAC (中国) 型式証明・生産承認 取得済 48

中国地方政府(顧客・支援)3

Wisk Aero

グループ2:自律パイオニア

Generation 6

0+4名 / 90マイル / 120 kts 113

FAA G-1/G-2 (自律認証プロセス) 57

Boeing (親会社・完全子会社) 56

SkyDrive

グループ3:ナショナルチャンピオン

SD-05

1+2名 / 15-40 km / 100 km/h 127

JCAB (日本) G-1認証基準 受領 58

Suzuki (製造・印市場), JR/ (資本) 59

Honda

グループ3:ニッチスペシャリスト

Honda eVTOL (Hybrid)

1+4名 / 250マイル / 未公表 7

FAA プロトタイプ飛行許可 取得 29

Honda (自社開発・自社製造)

Safran

グループ4:イネーブラー

ENGINeUS (モーター)

(コンポーネント)

EASA (欧州) 型式認証 取得済 63

Ascendance, Diamond (供給先) 132

Volocopter

グループ5:市場淘汰

VoloCity

0+2名 / 35 km / 110 km/h

EASA 認証遅延 139 (2024年12月 経営破綻) 10

中国 Wanfeng Group が買収 12

Lilium

グループ5:市場淘汰

Lilium Jet

1+6名 / 155マイル / 155 mph 7

EASA 認証遅延 (2025年 経営破綻) 9

特許を Archer が買収 11

 

【第7章】今後の市場リスクとビジネス機会

 

 

技術的ボトルネックとリスク

 

  • バッテリー技術の限界: 最大のリスク要因であり、市場の成長速度を規定する変数です。全電動eVTOLの航続距離、ペイロード(搭載可能重量)、そして最も重要な「安全マージン(予備電力)」は、現行のリチウムイオン電池のエネルギー密度(Wh/kg14 に直接的に制約されます。Airbusが「バッテリー技術の未熟さ」を理由に商用化を「一時停止」52 したことは、このリスクの深刻さを物語っています。また、高頻度のエアタクシー運航に必要な「急速充電」 148 と、それに伴うバッテリーの「ライフサイクル(交換頻度とコスト)」14 も、事業の収益性を左右する技術的課題です。
  • インフラ(電力網): Vertiportの整備 15 は物理的な課題ですが、それ以上に、多数のeVTOLが都市の各所で同時に急速充電を行う需要に対し、既存の都市電力網(グリッド)が耐えられるかという、エネルギーインフラの課題があります 16
  • 安全性と冗長性の証明: 分散型電気推進(DEP)は、複数のローターが停止しても安全に飛行・着陸できる「冗長性」 21 を理論上の強みとしますが、これをシミュレーションと実機テストでFAAEASAに証明するプロセスは極めて厳格かつ長期にわたります。

 

市場リスク

 

  • ハイプサイクルと資金枯渇(死の谷): 2024-2025年に起きたLilium 9Volocopter 64 の相次ぐ経営破綻は、市場が「ハイプ」の頂点(過度な期待)から「幻滅期」(現実との直面)に移行したことを示します 149FAA/EASAの型式認証取得は、多くの企業が当初予測したよりも遥かに時間がかかり、コストもかかります。今後も、グループ1のリーダー(Joby, Archer)やレガシー(Wisk, Honda)以外の独立系スタートアップは、認証取得前に資金が枯渇するリスク(市場淘汰)が常につきまといます。
  • 規制の遅延と非調和: FAA(米国)、EASA(欧州)、CAAC(中国)、JCAB(日本)といった主要な規制当局間の認証基準が調和されなければ 17、メーカーは市場ごとに異なる認証を(場合によっては二重、三重に)取得する必要があり、コストと時間が倍増します。また、機体の認証(耐空証明)だけでなく、運航(AOC: Air Operator Certificate)、パイロットライセンス 150、そして「空の交通整理」を行う空域管理(UTM/U-Space42 のルール整備も、大規模な商用化の前提条件です。
  • 社会受容性(騒音・安全): eVTOLはヘリコプターよりは静かだとされますが(例:Archer Midnightはヘリの約1/1000の騒音と主張 22)、その騒音が都市住民にとって「十分静か」であるかは、主観的な問題です 84。高密度な都市上空を多数の機体が飛行することへの安全・プライバシーへの懸念 79 が、インフラ(Vertiport)整備への地域(自治体)の反対運動につながるリスクがあります。
  • 地上交通との競合: 中長期的な最大の脅威として、eVTOL(エアタクシー)は、地上で開発が進む「完全自動運転車(Robotaxi)」と競合します 151。自動運転車が(特に2030年代半ば以降に)実用化されれば、eVTOLより低コストかつドア・ツー・ドアの利便性を提供できる可能性があります。その場合、eVTOL市場は当初予測された規模まで拡大せず、高所得者層向けのニッチな輸送手段に留まるリスクも否定できません。

 

競合が手薄な「空白地帯」(ビジネス機会)

 

  • ハイブリッドRAM(地域間航空)市場:
    • 分析: グループ1Joby, Archer)が全電動UAM(都市内)で激しい競争を繰り広げる中、航続距離150300マイル(約240480km)の「都市間」を結ぶRAM市場は、技術的ハードル(バッテリーの限界)の高さから競合が手薄な「空白地帯」となっています。
    • 機会: Hondaは、ガスタービン・ハイブリッドという全電動とは異なる技術アプローチ 7 で、この市場を最初から独占的に狙っています。また、ArcherLiliumRAM関連特許 72 を、JobyL3Harrisとハイブリッド技術 54 の開発を(現時点では防衛用として)開始したことは、この「空白地帯」がUAMの次に来る、第二の主戦場となることを強く示唆しています。
  • 防衛・公共サービス(BtoG)市場:
    • 分析: 民間(BtoC)のエアタクシー市場は、インフラ整備や社会受容性、経済性(運賃)といった不確実な要素が多い市場です。一方で、防衛(DoD76、法執行(警察)153、救急医療(EMS154 といった公共(BtoG)市場は、支払いが確実な巨大顧客(政府)が存在し、静粛性、即応性といった明確なニーズがあり、管理された(民間のない)インフラ(基地、病院など)で運用できる、という3つの大きな利点があります。
    • 機会: この市場は、FAAの型式認証を待たずに、DoDの耐空証明によって収益化が可能な、重要な「空白地帯」です。JobyDoDへの機体納入 31)とArcherAndurilとの軍用機共同開発 8)は、この市場を民生用と並ぶ「第二の収益源」として既に開拓しています。
  • 「イネーブラー(供給者)」市場:
    • 分析: 市場が成熟するにつれ、機体OEMがすべての基幹部品を内製化する「垂直統合」モデルは非効率になります。グループ5Lilium, Volocopter)の破綻が示すように、機体OEMの「勝者」は、最終的に数社に限られる可能性が高いです。
    • 機会: この「賭け」に参加せず、どのOEMが勝利しても共通して必要となる「認証済み」の基幹部品を供給するB2B市場は、低リスクかつ高収益な「空白地帯」です。SafranEASA認証済みモーター「ENGINeUS63 は、この戦略の完璧な成功例です。今後、モーター、バッテリーマネジメントシステム(BMS13、アビオニクス(飛行制御システム)、UTMソリューション、そしてMRO(整備・修理・オーバーホール)155 といった分野で、こうした「イネーブラー」の需要が急増すると推定されます。

 

【総括】分析結果の客観的サマリー

 

  • eVTOL(空飛ぶクルマ)市場は、2024年から2025年にかけて、単なる技術開発(R&D)フェーズから、型式認証(Certification)、量産(Manufacturing)、市場淘汰(Consolidation)という、現実の産業化フェーズへ明確に移行した。
  • 市場は均一ではなく、本レポートで定義した5つの「戦略グループ」に分化している。
  • **グループ1FAAリーダー:Joby, Archer**は、自動車・航空大手とのアライアンスを武器に、FAA認証取得と量産体制の構築を競っている。
  • **グループ2(自律パイオニア:EHang, Wisk**は、アプローチこそ異なるが(CAAC vs FAA)、「自律運航」によるコスト削減とスケーラビリティという中長期的なゴールを目指している。特にEHangは、CAAC(中国)の認証を世界で初めて取得し、試験的ながら商用運用(売上)を開始した 30
  • **グループ3(ナショナルチャンピオン/ニッチ:SkyDrive, Honda**は、特定の国(日本・インド)122 や、特定の技術(ハイブリッド)7 に特化し、グローバルな消耗戦とは異なる戦略を採る。
  • **グループ4(レガシー:Safran, Airbus**は、Safranが「部品供給者(イネーブラー)」としてB2B市場にピボット 63 した一方、AirbusRolls-Royceは技術的・市場的な未熟さを理由に「一時撤退」51 を選択した。これは、WIPOの特許出願量 44 が、必ずしも市場での実行力と一致しないことを示している。
  • **グループ5(市場淘汰:Lilium, Volocopter**の経営破綻 9 と、その資産(特許、技術)のグループ1Archer11 や中国(Wanfeng12 への吸収は、市場が既に「集約」の段階に入ったことを示す客観的な事実である。
  • 主要な応用先は、初期の「都市内(UAM)」から、技術の進展(特にハイブリッド化)に伴い、「都市間(RAM)」および「防衛」へと多様化している。
  • 市場の最大のボトルネックは、依然として「バッテリー技術」「インフラ(Vertiportと電力網)」「規制(認証と空域管理)」の3点である。

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  151. Advanced Air Mobility: What Electric Air Taxis Need to Take Off | Bain & Company, 11月 11, 2025にアクセス、 https://www.bain.com/insights/advanced-air-mobility-what-electric-air-taxis-need-to-take-off/
  152. OPINION: Winning in the advanced air mobility market - Aerospace America - AIAA, 11月 11, 2025にアクセス、 https://aerospaceamerica.aiaa.org/departments/winning-in-the-advanced-air-mobility-market/
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  154. Advanced Air Mobility: Shaping the Future of Aviation - World Economic Forum: Publications, 11月 11, 2025にアクセス、 https://www3.weforum.org/docs/WEF_Advanced_Air_Mobility_2024.pdf
  155. Emerging eVTOL Technology | Urban Air Mobility Trends | eVTOL Market Analysis - Frost & Sullivan, 11月 11, 2025にアクセス、 https://store.frost.com/emerging-evtol-technology-creating-growth-opportunities-in-the-urban-air-mobility-landscape.html

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  • 2025年11月時点の情報に基づきます
  • 企業の非公開戦略や内部情報は含まれません
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