エグゼクティブサマリ
- 市場概観と重要性: ソフトロボティクス市場は、2024年時点で18億9,000万ドルと評価され、2034年にかけて年平均成長率(CAGR)8%で急成長すると予測されています 1。この技術は、従来のリジッドなロボットでは自動化が困難であった、不定形物や脆弱な対象物(食品、eコマース商品など)の取り扱い、および人間との安全な協働を可能にするため、製造、物流、医療分野での労働力不足を解消する鍵として極めて重要です。
- 主要な戦略グループの分類: 本レポートでは、特許蓄積、事業規模、戦略投資(M&A、事業再編)に基づき、主要プレイヤーを以下の5つの戦略グループに分類します。
- 「総合オートメーション・HRC型」: ABB、KUKA、ファナック、安川電機。既存の産業用ロボットの強みを活かし、ソフトロボティクスを人協働ロボット(HRC)のエンドエフェクタとして統合。
- 「AI・プラットフォーム主導型」: SoftBank Group、Oxipital AI (旧Soft Robotics Inc.)、RightHand Robotics。ハードウェア(グリッパー)の価値は相対化し、AIビジョン、制御ソフトウェア、データプラットフォームを競争力の源泉とする。
- 「医療・リハビリ特化型」: CYBERDYNE、Lifeward (旧 ReWalk Robotics)、Ekso Bionics。外骨格(ウェアラブル)を中心に、FDA/MDR(EU医療機器規則)の承認や公的保険の適用といった「規制の壁」を参入障壁および事業基盤とする。
- 「コンポーネント・グリッパー特化型」: Schmalz、Festo、Piab。ロボットアームの「手」に特化し、真空技術や生体模倣(バイオニクス)など、深い要素技術で高いシェアを持つ。
- 「専門領域・事業再編型」: Bioservo Technologies、Skelex。特定市場(医療 vs 産業)への集中と選択(M&A、事業売却)を通じて、ニッチ領域での競争力を確保する。
- 主要な技術応用先の分類: 現在の主要な商用応用先は、「食品・飲料(不定形食品のピッキング)」「物流(eコマースのピースピッキング)」「医療(リハビリ、作業支援)」の3分野に集中しています。今後は農業(収穫)、災害救助、サービス業への拡大が期待されます。
- 市場全体の主要トレンドと今後の課題: 2024年から2025年にかけて、市場は歴史的な転換点を迎えています。Soft Robotics Inc.のグリッパー事業売却とAI企業への変貌 2、SoftBankによるABBロボティクス事業の買収 4、Bioservoの産業用事業売却 5 に象徴されるように、競争の主軸は「ハードウェア単体」から「AIを含むソフトウェア・ソリューション」へと急速に移行しています。同時に、医療分野では「規制対応」が、産業分野では「システムインテグレーション」が成功の鍵となり、市場の二極化と専門化(選択と集中)が鮮明になっています。
本文
【第1章】技術分野の定義と市場概観
対象技術の範囲定義:何をする技術かについてまとめて書く。
ソフトロボティクスとは、従来の金属など硬質(リジッド)な材料で構成されたロボットとは対照的に、エラストマー、ゲル、布地などの柔軟(ソフト)な素材を用いて構築されるロボット技術群を指します 6。この技術の核心は、生物(タコ、象の鼻、人間の手など)のしなやかで適応性の高い動きを工学的に模倣することにあります 7。
本レポートが対象とする技術範囲は、ハードウェアからソフトウェアに至るまで、以下の4つの主要コンポーネントを含みます。
- ソフトアクチュエータ: 柔軟な素材で構成される駆動部。空気圧(Pneumatic)や油圧(Hydraulic)が最も一般的ですが 7、誘電エラストマー(EAP)や形状記憶合金(SMA)などのスマートマテリアルによる駆動も含まれます 9。
- ソフトセンサー: 柔軟な素材に埋め込まれ、あるいは素材自体がセンサーとして機能し、曲げ、ねじれ、圧力、接触を検知する技術です 9。
- ソフトグリッパー: 上記技術(特にアクチュエータ)を応用した、ロボットの「手(エンドエフェクタ)」です。不定形物や脆弱な対象物(食品、繊維、医療用組織など)を、対象の形状に適応しながら、あるいは傷つけずに把持することを可能にします 1。
- 制御システム: ソフトロボットは、その柔軟性ゆえに無限に近い自由度を持ちます 12。これを制御するためには、従来の制御工学だけでなく、AI(人工知能)や機械学習(特に強化学習)を活用したデータ駆動型のアプローチが不可欠です 9。
現在の市場規模と成長予測:市場レポート等に基づいて記述。
ソフトロボティクス市場の規模については、調査会社によって定義の範囲(例:協働ロボット本体を含むか、コンポーネントのみか)が異なるため、数値に幅が見られます。
- Global Market Insights(2024年発行)によると、世界市場は2024年に18億9,000万米ドルと評価され、2025年から2034年にかけてCAGR 34.8%という急速な成長を遂げ、2034年には353億3,000万米ドルに達すると予測されています 1。同レポートは、特にソフトグリッパー市場が2024年時点で6億6,990万米ドルを占めると指摘しています 1。
- 一方、Data Bridge Market Research(2024年発行)は、より広範な定義(協働ロボットや関連ソフトウェアを含むと推定される)に基づき、2024年の市場規模を47億8,000万米ドル、2032年までの予測を713億6,000万米ドル(CAGR 40.20%)としています 13。
- また、別のレポート(REPORTSINSIGHTS CONSULTING PVT LTD、2025年発行)では、2024年を約15億米ドル、2032年までに98億米ドル(CAGR 26.5%)と、より保守的な予測も提示されています 14。
これらの数値の乖離は、市場の定義の曖昧さ、特に「協働ロボット(Cobots)」13 の市場をソフトロボティクスに含めるか否かに起因すると推定されます。1 の数値はソフトアクチュエータやグリッパーといった「コンポーネント」や「ソフト素材ネイティブのロボット」に焦点を当てたものであり、13 の数値は「ソフトロボティクス技術(特にグリッパー)を搭載した協働ロボットシステム全体」の市場を反映している可能性が高いと分析されます。
いずれの定義を採用するにせよ、市場がCAGR 30%を超える極めて高い成長を遂げているという点で見解は一致しており 1、これは技術の急速な普及と高い市場期待を反映しています。
なぜ今、この技術がビジネス上重要なのか。
ソフトロボティクスが現在、急速にビジネス上の重要性を増している理由は、従来のリジッドなロボット技術が直面していた根本的な課題を解決する能力にあります。
- 「自動化のラストワンマイル」の克服: 従来の産業用ロボットは、決められた位置にある固い物体(例:自動車の部品)を高速かつ高精度で扱うことは得意でした。しかし、食品(パン、野菜、精肉)、eコマースの多種多様な商品(ポリ袋、アパレル)、医療(臓器、組織)といった、「不定形」で「脆弱」な対象物を扱うことは困難でした 1。ソフトロボティクス、特にソフトグリッパーは、これらの分野での自動化を初めて可能にし、従来は人手に頼らざるを得なかった「自動化のラストワンマイル」を埋める技術として期待されています 8。
- 人手不足と安全な協働: 世界的に、製造、物流 13、医療・介護 1、農業 16 といった労働集約的な分野での人手不足は深刻な社会課題となっています。ソフトロボティクスは、その柔軟で軽量な構造から、本質的に人間との物理的な接触が安全であるとされています 7。これにより、従来のロボットが必要とした「安全柵」なしで、人間の作業者のすぐ隣で作業を支援する「人協働ロボット(HRC: Human-Robot Collaboration)」13 の実現が容易になります。
- AI技術との親和性: 柔軟な物体の制御は、AIと機械学習(特に強化学習)の格好の応用先です 18。AIによる高度なビジョンシステムとソフトグリッパーの組み合わせは、これまで自動化が不可能とされてきたタスク(例:山積みされた不揃いな商品からのピッキング)を実現します 19。ソフトロボティクスは、AIの「知能」を物理世界で具現化するための、最適な「身体(インターフェース)」として機能するのです 20。
【第2章】キープレイヤーの特定と戦略グループ分類
本レポートでは、ソフトロボティクス市場の複雑な構造を理解するため、主要プレイヤーを以下の3つの分析基準に基づき、5つの「戦略グループ」に分類します。この分類は、2024年から2025年にかけて発生した市場の劇的な再編(M&A、事業ピボット)を色濃く反映しています。
分析基準:
- 技術蓄積(特許出願動向): ソフトアクチュエータ、センサー、制御システム、あるいはそれらを統合したシステム(グリッパー、外骨格)に関する中核的な知的財産(IP)を保有しているか。
- 事業規模(現在の市場シェアや生産能力): 産業用ロボットアーム、グリッパー、医療用外骨格など、特定のセグメントで確立された市場ポジションや生産・販売チャネルを有しているか。
- 戦略投資(IR発表、投資額、アライアンス): 2024年〜2025年を中心とした近年のM&A、事業売却、大型投資、AI戦略の発表など、将来の方向性を決定づける戦略的な動き。
戦略グループの分類と主要企業:
- グループ1:「総合オートメーション・HRC型」
- 属する企業: ABB Ltd.、KUKA AG、ファナック株式会社、株式会社安川電機
- 選定理由: これらの企業は、世界市場で高いシェアを持つ既存の「産業用ロボットアーム」メーカーです(分析基準2)。彼らの特許ポートフォリオは、主にロボットアーム本体の制御やモーションに関するもの(分析基準1)です。彼らにとってソフトロボティクスは、自社のロボットアーム、特に人協働ロボット(HRC)17 の付加価値を高めるための「エンドエフェクタ(EOAT)」または「協働機能」の一つとして位置づけられています。彼らの戦略は、自社のエコシステム(例:KUKAのiiQKA 21)にソフトロボティクス技術を統合し、ワンストップの自動化ソリューションを提供することにあります(分析基準3)。
- グループ2:「AI・プラットフォーム主導型」
- 属する企業: SoftBank Group Corp.、Oxipital AI (旧Soft Robotics Inc.)、RightHand Robotics, Inc.
- 選定理由: このグループは、2024年〜2025年の市場動向を象徴する、最も戦略的な変革を主導しています(分析基準3)。彼らは、ソフトロボティクスの「ハードウェア(物理的な手)」の価値は相対化・コモディティ化し、競争力の源泉は「AIビジョンと制御ソフトウェア(知能)」にあると判断しています。
- Oxipital AIは、元々ソフトグリッパーの先駆者(Soft Robotics Inc.)でしたが、2024年8月にグリッパー事業を売却し、AIビジョン企業へと劇的にピボットしました 2。
- SoftBank Groupは、2025年10月にABBのロボティクス事業買収を発表 4。これは単なるハードウェアの買収ではなく、自社のAIポートフォリオ(Berkshire Grey, AutoStore等 22)と統合し、「ASI(人工超知能)」実現に向けたAIロボティクスプラットフォームを構築する戦略です 4。
- RightHand Roboticsは、AIビジョンとコンプライアント(順応性のある)グリッパーを組み合わせた物流ピースピッキングプラットフォーム「RightPick」を、インテグレータ経由で提供するビジネスモデルを展開しています 24。
- グループ3:「医療・リハビリ特化型」
- 属する企業: CYBERDYNE株式会社、Lifeward Ltd. (旧 ReWalk Robotics Ltd.)、Ekso Bionics Holdings, Inc.
- 選定理由: このグループは、ソフトロボティクス技術を「ウェアラブル外骨格(Exoskeleton)」27 として応用し、医療・リハビリ市場に特化しています。この市場の最大の特徴は、「規制」です。彼らの戦略的(分析基準3)および技術的(分析基準1)な焦点は、米国FDA(食品医薬品局)や欧州MDR(医療機器規則)の承認取得 29、および公的医療保険(例:米国のMedicare 31)の適用獲得にあります。これら「規制と認証の壁」が、他グループからの参入を阻む強力な堀(モート)となっています。
- グループ4:「コンポーネント・グリッパー特化型」
- 属する企業: Schmalz Group、Festo Inc.、Piab AB
- 選定理由: グループ1のロボットアームメーカーが「腕」だとすれば、このグループは「手(エンドエフェクタ)」のスペシャリストです。彼らは真空技術(Schmalz, Piab)32 や空気圧制御およびバイオニクス(Festo)34 といった特定の要素技術(分析基準1)に深く根差し、高い市場シェアを誇ります(分析基準2)。彼らの戦略(分析基準3)は、グループ1やグループ2のあらゆるロボットアームに接続可能な、高性能・高信頼性のコンポーネントを提供することです。2024年にSchmalzがSoft Robotics Inc.のグリッパー事業を買収した 36 ことは、このグループがハードウェア市場の「コンソリデータ(集約者)」として機能していることを示しています。
- グループ5:「専門領域・事業再編型」
- 属する企業: Bioservo Technologies AB、Skelex BV
- 選定理由: このグループは、グループ2やグループ4で見られた「AI vs ハード」の再編とは別に、「市場の選択と集中」という再編を象徴しています。Bioservoは元々、医療用「Carbonhand」と産業用「Ironhand」の両方を手掛けていましたが、2024年6月に産業用のIronhand事業をSkelexに売却 5。これによりBioservoはグループ3(医療特化)37 に、Skelexは産業用外骨格ポートフォリオ(肩、背中 39)に「手」の技術を加え、産業用特化プレイヤーとしての地位を固めました 40。これは、医療市場と産業市場のビジネスモデル(規制、販売チャネル、価格帯)が根本的に異なるため、両立が困難であることを示唆しています(分析基準3)。
【第3章】主要な技術応用先の分析
ソフトロボティクス技術は、そのユニークな特性(柔軟性、安全性、適応性)により、従来は自動化が困難であった領域で商用化が進んでいます。
「現在」商用化されている応用先(具体的な製品・サービス)。
- 医療・ヘルスケア(リハビリと機能補助):
- 概要: 最も早く商用化が進み、かつ規制のハードルを越えた分野の一つです。特に、脳卒中や脊髄損傷(SCI)患者のリハビリテーション、および高齢者や障害者の機能補助を目的としたウェアラブル外骨格(Exoskeleton)27 が中心です。高齢化の進展と労働力不足が、この分野でのロボット需要を加速させています 1。
- 具体例: CYBERDYNEの「HAL」は、生体電位信号を読み取って動作を補助し、神経可塑性を促す「サイバニクス治療」として医療承認を受けています 29。Lifeward(旧ReWalk)の「ReWalk」31 やEkso Bionicsの「Ekso Indego」43 は、下肢麻痺患者の歩行支援を提供します。また、Bioservoの「Carbonhand」は、握力低下者のための能動的なグリップ支援(ソフト・アクティブ外骨格)を提供します 28。
- 食品・飲料(製造・包装):
- 概要: ソフトグリッパーの「キラーアプリケーション」とされる主要市場です 8。生鮮食品(果物、野菜)、精肉、パン・菓子類、個包装食品など、形状が不揃い(不定形)で、傷つきやすい(脆弱)対象物を高速でピッキング、整列、包装する工程で不可欠です 15。
- 具体例: Schmalzが買収したmGrip 36 や、PiabのpiSOFTGRIP 32 などが代表的です。これらの製品は、FDA(米国食品医薬品局)やEUの食品接触規制に準拠した素材(シリコンなど)を使用しており 32、衛生面での厳しい要求にも対応しています。
- 物流・Eコマース(ピースピッキング):
- 概要: Amazonに代表されるeコマースの急速な拡大に伴い、物流倉庫内での自動化ニーズが爆発的に増加しています 13。特に、多種多様なSKU(在庫管理単位)の商品を個別にピッキング(ピースピッキング)する工程は、ソフトロボティクスの主要な戦場です。アパレル(ポリ袋入り)、健康・美容製品、日用品など、対象物の形状、硬さ、サイズが極めて多様です 25。
- 具体例: RightHand Roboticsの「RightPick」プラットフォームは、AIビジョンとコンプライアント・グリッパー(吸引と柔軟な指の組み合わせ 45)を駆使し、この複雑なタスクに対応しています。
特許情報や実証実験から推定される「未来」の応用先(3年後、5年後)。
- 農業(収穫・選別):
- 推定: 食品製造(川下)での成功は、必然的に農業(川上)への応用を促します 16。特許分析や研究レベルでは、トマト、イチゴ、リンゴ、ブドウなどの脆弱な果実や野菜を、AIビジョンで成熟度を判断しながら傷つけずに収穫するソフトグリッパーの研究が活発です 11。労働力不足が最も深刻な分野の一つであり、商用化への強い需要が存在します。
- 災害救助(SAR)および探査:
- 推定: ヘビ型ロボットやインフレータブル(膨張式)ロボット 1 など、ソフトロボティクスは「連続体変形」により、従来の車輪型・脚型ロボットが侵入できない非構造化環境(瓦礫の下や狭い隙間)を踏破する能力を持ちます 7。災害現場での生存者探索(SAR)46 や、宇宙探査 1 での応用が期待されます。
- 高度医療(手術支援・体内):
- 推定: 現在のリハビリ(体外)から、より侵襲的な分野への進出が推定されます。タコや象の鼻に着想を得た 7 柔軟なマニピュレータは、内視鏡手術や低侵襲手術において、人間の臓器を傷つけずに操作・保持するためのツールとして研究されています 41。将来的には、「Edible Robots(食べられるロボット)」47 による体内での診断や薬物送達といった応用も構想されています。
- サービス・エンターテイメント:
- 推定: 人間との安全な物理的インタラクション 41 が求められる分野。ホスピタリティ産業 1 におけるサービス提供、高齢者介護における移乗支援、あるいはエンターテイメント分野での対話型ロボットなど、家庭内や公共空間での応用が期待されます。
応用先ごとの市場ポテンシャルや、導入の障壁は何か。
- 食品・物流:
- ポテンシャル: 非常に大きい。市場成長の主要ドライバー 1。
- 障壁: 導入障壁は比較的低いが、競争は激化。
- 速度とROI: 人間の作業員や従来型ロボットを上回るピッキング速度と、投資回収期間(ROI)の短縮が求められる。
- 耐久性: 柔軟な素材は、24時間365日の稼働において摩耗・劣化が課題となる 6。
- 衛生規制: 食品分野では、FDA/EUの食品接触規制への準拠が必須 32。
- 医療・介護:
- ポテンシャル: デバイス単価が極めて高く、高収益が期待できる。
- 障壁: 導入障壁が最も高い。
- 規制(薬事承認): 最大の障壁。FDA 48 やMDR 41 などの医療機器承認プロセスは、3〜5年以上の期間と莫大なコストを要する。
- 経済性(保険償還): 承認取得後も、公的医療保険(米国のMedicareなど 31)の適用対象とならなければ、高価なデバイスは普及しない。
- 臨床エビデンス: 規制当局と保険機関を説得するための、厳密な臨床試験による「有効性と安全性」のエビデンス構築が不可欠。
- 農業・探査:
- ポテンシャル: 未開拓の巨大市場(ブルーオーシャン)。
- 障壁:
- コスト: 農業分野では、ロボット本体の価格がROIに見合う必要がある。
- 環境耐性: 屋外での使用(泥、水、温度変化)や、災害現場・宇宙といった過酷な環境(粉塵、極端な温度・圧力)への耐久性が求められる。
【第4章】主要戦略グループ別の詳細分析
本章では、【第2章】で定義した5つの戦略グループに属する主要企業を、IR資料、プレスリリース、市場レポートに基づき徹底的に分析します。特に、**2024年から2025年にかけての戦略的動向(M&A、事業再編、新製品発表)**に焦点を当て、各社がソフトロボティクスという技術を、自社の企業戦略全体のどこに位置づけているかを解明します。
この分析を通じて、2024年〜2025年はソフトロボティクス市場の**「第一章の終わり」と「第二章の始まり」**を告げる、決定的な転換期であったことが判明しました。第一章が「ハードウェア(ソフトグリッパー)の誕生と普及」であったとすれば、第二章は「AIによる知能化と、特定市場への専門化」の時代です。この地殻変動は、Soft Robotics Inc.のピボット 3、SoftBankによるABBの買収 4、Bioservoの事業売却 5 という3つの象徴的なイベントによって牽引されています。
4-1. グループ1:「総合オートメーション・HRC型」の戦略
このグループの共通戦略は、ソフトロボティクスを「主役」としてゼロから開発するのではなく、自社が持つ強力な「産業用ロボットアーム」および「HRC(人協働ロボット)」の価値を最大化するための「重要なツール(エンドエフェクタや安全機能)」として取り込む点にあります。彼らは、AIやグリッパーを個別に販売するのではなく、製造現場の課題を解決する「自動化ソリューション」としてパッケージで提供することを目指しています。
- ABB Ltd. (Asea Brown Boveri)
- 戦略概要: ABBのロボティクス事業は、2025年10月8日、SoftBank Groupによる53億7,500万ドルでの買収が発表され、歴史的な転換点を迎えました 4。この取引は2026年後半に完了予定です 4。これは、ABBが当初計画していたロボティクス事業のスピンオフ(分離上場、2026年予定)51 という従来戦略を覆す、劇的な方針転換です。
- ABB側の動機(売却理由): ABB本体のCEO(Morten Wierod)は、データセンターの巨大な電力需要に対応する「電化(Electrification)」と「オートメーション」事業に経営資源を集中する戦略を打ち出しています 52。ロボティクス事業の売却は、この「選択と集中」の一環であり、SoftBankからの魅力的なオファー(アナリストによれば2024年EBITDAの2倍 53)は、スピンオフ(上場)51 よりも迅速かつ確実に株主価値(53.75億ドル)50 を実現できると判断されました。
- ソフトロボティクスへの関与: ABBは、ソフトロボティクス技術のポテンシャルを早期から認識していました。事実、2013年にハーバード大学の研究からスピンオフしたSoft Robotics Inc.(現Oxipital AI)の設立(当時はスタートアップ)にも関与しています 54。しかし、今回の売却により、ABBが育ててきたロボティクスプラットフォーム(ハードウェア、BMWなど大手顧客網 52)は、SoftBankのAI戦略(ソフトウェア)と融合することになります 50。
- 戦略的示唆: この取引は、「世界トップクラスの産業用ロボットハードウェアプラットフォーム」が、AI時代の覇権を狙う「AI/ソフトウェア企業(SoftBank)」にとって、戦略的に不可欠なアセット(資産)であることを市場に証明しました。
- KUKA AG
- 戦略概要: KUKAの戦略は「iiQKA」というキーワードに集約されます。これは、同社が推進する新しいロボットオペレーティングシステム(OS)とエコシステムです 21。KUKAは、ロボットをより簡単に(easier)55、プログラミング知識の少ない中小企業(SME)でも利用可能にすることを目指しています 21。
- ソフトロボティクスへの関与: KUKAはソフトロボティクスを「安全な人協働ロボット(Safe HRC)」17 を実現するための中核技術と捉えています。2024年のKUKA Innovation Awardは、同社の最新軽量ロボット「LBR iisy」とiiQKA OSをベースに、協働ロボットの新しいアプリケーションを開発することがテーマでした 21。
- 応用例: KUKA Innovation Award 2024のファイナリストには、中小企業の板金曲げプロセスを支援するアプリケーション(Ricobb)21 や、インドの伝統的な手織物(Handloom textiles)の熟練作業を支援するロボット(YANTRA)21 などが選ばれました。これらは、ソフトロボティクスが不可欠な「人間との協調」や「繊細な素材の取り扱い」に焦点を当てたものであり、KUKAがiiQKAエコシステムを通じて開拓しようとしている新市場を明確に示しています。
- 戦略的示唆: KUKAは、自らをハードウェアメーカーから「プラットフォーマー」へと変革させようとしています。iiQKA OS 21 は、スマートフォンのiOSやAndroidのように、サードパーティ(グループ4のFestoやSchmalzなど)が容易にアプリケーション(高性能なソフトグリッパーやソフトウェア)を開発・販売できる環境を提供することを目指しています。KUKAの戦略は、自社のロボットアーム(LBR iisy)の用途を、パートナーの力で拡大することにあると推定されます。
- ファナック株式会社 (FANUC CORPORATION)
- 戦略概要: ファナックの戦略は、KUKAのようなオープン戦略とは対照的に、主要コンポーネント(ロボット、CNC、サーボ)をすべて内製化する「クローズド・エコシステム」に強みがあります。ソフトロボティクス分野においても、この戦略が貫かれています。
- ソフトロボティクスへの関与: ファナックは、ソフトロボティクスを「コボット(協働ロボット)」市場への戦略的武器と位置づけています 56。同社の2024年〜2025年のプレスリリース 57 は、CRXシリーズやCRシリーズといった協働ロボット(最大可搬重量50kg、最大リーチ1,889mm)58 のラインナップ強化を一貫してアピールしています。
- 技術的特徴: ファナックの強みは、ソフトな(柔軟な)グリッパー(他社製を採用することが多い)と、自社開発の高度な「iRVision(ビジョンセンサー)」およびAI機能を組み合わせた「ソリューション」にあります 58。Automate 2024で披露された、CRXコボットがビジョンセンサー(3DV)を使い、不規則に置かれた部品(例:自動車のサイドミラー部品)をピッキングするデモ 58 は、まさにソフトロボティクス(柔軟な対象物への対応)の領域です。また、CRX-10iA/L Paint Cobot 58 など、塗装やディスペンスといった繊細な作業への応用も進めています。
- 戦略的示唆: 市場レポートがファナックをソフトロボティクスのキープレイヤーとしてリストアップしている 47 のは、同社がソフトグリッパーを製造しているからではなく、同社のコボットがソフトロボティクスの主要な「応用プラットフォーム」となっているためです。ファナックは、ソフトグリッパーという「ハードウェア」そのものよりも、それをインテリジェントに制御する「ビジョンとAI(ソフトウェア)」の領域で主導権を握ろうとしています 57。
- 株式会社安川電機 (YASKAWA Electric Corporation)
- 戦略概要: 安川電機の戦略は、2019年に発表された中期経営計画「Challenge 25」60 および長期ビジョン「Vision 2025」61 に基づく「i3-Mechatronics (アイキューブ メカトロニクス)」というソリューションコンセプトに集約されます 62。これは、コンポーネント(サーボ、ロボット、ACドライブ)を統合(Integrated)し、AI(Intelligent)を活用して、イノベーション(Innovative)を実現するというものです。
- ソフトロボティクスへの関与: 安川電機は、ソフトロボティクスを「i3-Mechatronics」62 を実現するための「データ活用ソリューション」の一部として捉えています。彼らの強みは、ロボット単体ではなく、サーボモーターやマシンコントローラーを含む「セル」(生産単位)全体の自動化とデータ収集です 62。
- 応用分野: IR資料(2023年/2024年発表)63 では、特に「半導体市場」「電子部品市場」「バッテリー市場」といった、高精度・ハイスループットが要求される分野への注力が示されています。これらの分野では、従来の高速・高精度なリジッドロボットが主流であり、ソフトロボティクス(グリッパーなど)は、現時点では特定の繊細なコンポーネントを扱うための補完的技術として利用されると推定されます。
- 戦略的示唆: 安川電機にとって、ソフトロボティクスは現時点での戦略の「中核」ではありません。彼らの中核はあくまで、モーションコントロール(サーボ)63 と産業用ロボットの高度な同期制御です。しかし、2024年に発表された米国ウィスコンシン州での大規模投資(8億ドル、700人雇用、北米本社移転)64 に見られるように、北米市場での事業拡大は、HRCやソフトロボティクスが先行する市場(物流、食品)への対応を迫る可能性があります。
4-2. グループ2:「AI・プラットフォーム主導型」の戦略
このグループは、ハードウェアの性能(例:グリッパーの把持力)で競争するのではなく、「AI(ビジョン、制御)とデータ」で競争するビジネスモデルへの転換を体現しています。彼らは、2024年〜2025年の市場再編の「主役」です。
- Oxipital AI (旧 Soft Robotics Inc.)
- 戦略概要: 2024年8月6日、同社はソフトロボティクス市場の歴史における「転換点」を自ら作り出しました。 Soft Robotics Inc.は、同社の象徴であった「ソフトグリッパー(mGrip)事業」全体を、Schmalz Group(グループ4)に売却 2。同時に、社名を「Oxipital AI」に変更し、「AIビジョン・ソリューション企業」として生まれ変わることを発表しました 3。
- ピボット(戦略転換)の背景: 同社は、ソフトグリッパー(ハードウェア)の成功(シリーズCで2600万ドルを調達 19)により、食品業界などの自動化が困難な現場に深く入り込みました。その結果、CEOのMark Chiappettaが述べるように、「長年にわたり、我々のAIビジョンソリューションは食品業界の労働集約的プロセスの自動化を可能にしてきた」3 と認識するに至りました。
- 戦略的示唆: Soft Robotics Inc.(当時)は、**「グリッパー(ハードウェア)はコモディティ化し、真の価値はAIビジョンと制御ソフトウェアにある」**と結論付けたと推定されます。ハードウェア事業を、それを最も高く評価する(そしてハードウェアビジネスに最適化された)Schmalzに売却し 36、自らは高収益・高成長が見込めるAIソフトウェア事業に100%集中する 66 という、極めて合理的な戦略的ピボットです。
- Oxipital AIの現戦略: 新会社は「Oxipital(後頭葉、脳の視覚野)」3 という社名が示す通り、AIビジョンに特化します。戦略は以下の通りです。
- AIビジョンによる製品検査: 食品、農業、消費財の生産ラインにおける、高速な「製品検査」と「ロボットピッキング」のためのAIソリューションに特化します 3。
- ノーコードと合成データ: 顧客が「コード経験不要」「写真不要」「手動ラベリング不要」でAIモデルを構築できるプラットフォームを提供 68。特に「100%合成データ」で事前学習されたコアオブジェクトモデルを開発し、導入障壁を劇的に下げることを目指しています 66。
- ハードウェア非依存: Oxipital AIの技術スタックは、Schmalzが引き継いだmGripだけでなく、あらゆる産業用ロボットアームや従来の自動化システム(コンベア)とインターフェース可能であるとされています 66。
- SoftBank Group Corp. (SBG)
- 戦略概要: 2025年10月8日、SBGはABBのロボティクス事業を53億7,500万ドルで買収すると発表しました 4。 この買収は、SBGが掲げる「ASI(人工超知能)の実現」というミッション 4 に向けた、AI戦略(AIチップ、AIロボット、AIデータセンター、エネルギーの4分野への投資 4)の根幹をなすものです。
- 買収の真意: SBGのプレスリリース 22 は、この買収の目的を明確に示しています。それは、ABBのロボティクスプラットフォーム(ハードウェア、専門知識、販売網)49 と、SBGの既存のロボティクス関連投資ポートフォリオ(SoftBank Robotics Group、Berkshire Grey、AutoStore Holdings、Agile Robots、Skild AI)22 の「技術的基盤を補完・融合」させることです。
- 戦略的示唆: SBGは、単に産業用ロボットメーカー(グループ1)を買収したのではありません。彼らが買収したのは、自社のAI技術を物理世界に展開するための「最強の身体(ハードウェアプラットフォーム)」です。アナリストのSamantha Mouが指摘するように、SBGのIT業界カルチャーがABBの産業工学カルチャーをうまく統合できるかは未知数ですが 23、この試み自体が、「ロボット企業はハードウェア企業か、AI企業か」という業界の長年の問いに「AI企業である」と明確に回答するものです。この買収は、ファナックや安川電機といった日本の競合に対し、「オープンなAIプラットフォーム+(元)ABBのハードウェア」という全く異なるビジネスモデルで挑むことを意味し、業界の競争ルールを根本から変える可能性があります。
- RightHand Robotics, Inc. (RHR)
- 戦略概要: RHRは、eコマースや物流倉庫の「ピースピッキング」という特定用途に焦点を当てた、AIプラットフォーム企業です 25。彼らのソリューションは、アパレル(ポリ袋)、健康・美容製品、医薬品、食料品など、極めて多種多様なSKUの処理に対応します 25。
- ビジネスモデル: RHRのビジネスモデルは「パートナー・エコシステム」です 24。彼らは「RightPickプラットフォーム」という中核技術(AIソフトウェア、ビジョン、コンプライアント・グリッパーの統合システム 45)を提供し、実際の導入・システムインテグレーションは「パートナー」(Preferred Integrator)が行います 24。一部ではRaaS(Robotics as a Service)モデルも採用していると報じられています 26。
- 戦略的投資家: RHRの戦略的優位性は、その投資家(アライアンス先)にあります。
- Seiko Epson (2022年): エプソンは、自社の強みである「効率的、コンパクト、高精度な技術」とRHRの技術を組み合わせ、製造現場(工場の自動化)への応用を模索しています 45。
- Rockwell Automation (2025年): グローバルなオートメーションの巨人であるRockwell Automationからの投資 69 は、RHRの技術が信頼できる("backed by a global automation leader")69 ことをインテグレータに保証し、RHRのプラットフォームをRockwellの巨大な販売網に乗せることを可能にします。
- 戦略的示唆: RHRは「ロボティクス界のIntel Inside」戦略を採用していると見ることができます。自社ですべてのインテグレーションを行うのではなく、最も得意な「知能と手(AI+Vision+Gripper)」に特化し、EpsonやRockwellといった業界標準を持つ大企業と連携することで、自社技術をデファクトスタンダードにしようとしています。Oxipital AIが「AIソフトウェア単体」へのピボットを選んだのに対し、RHRは「AI+ハードウェア(グリッパー)」を不可分なプラットフォームとして提供し続ける戦略を選んでいます。
4-3. グループ3:「医療・リハビリ特化型」の戦略
このグループの競争軸は、産業界(グループ1, 2, 4, 5)とは全く異なります。彼らの戦場は「市場」であると同時に、「規制当局(FDA, MDR)」と「保険償還機関(Medicare等)」です。技術(特許)は、この戦場で要求される「有効性と安全性」の「エビデンス」を構築するために存在します。
- CYBERDYNE株式会社
- 戦略概要: CYBERDYNEの戦略は、同社CEOの山海嘉之氏が提唱する「サイバニクス(Cybernics)」という独自技術(人とサイバー・フィジカル空間の融合)30 に基づいています。中核製品は、脳神経系からの生体電位信号を読み取って動作をアシストするロボットスーツ「HAL(Hybrid Assistive Limb)」です。
- 2024-2025年の戦略動向(規制・承認のグローバル拡大):
- 米国 (FDA): 2024年5月、FDAより「医療用HAL(下肢タイプ)」の適応拡大(脳性麻痺、HTLV-1関連脊髄症(HAM)、遺伝性痙性対麻痺)および「小型モデル(身長100cm-150cm対応)」の市販承認を取得しました 30。特に脳性麻痺への承認(12歳以上対象)は世界初であり 30、小児リハビリという新市場を開拓する大きなマイルストーンです。
- 欧州 (MDR): 2024年12月、欧州医療機器規則(MDR)の適合認証を「小型モデル」で取得しました 29。これにより、欧州でも小柄な患者への治療提供が可能になります。
- アジア展開: マレーシアの社会保障機関(SOCSO)との契約(国立神経ロボティクス・サイバニクスリハビリテーションセンターへの大規模導入)71 や、台湾大学・筑波大学との戦略的パートナーシップ(日台におけるサイバニクスイノベーション推進)72 など、アジアでの展開を加速しています。
- 戦略的示唆: CYBERDYNEは、過去5年間(2020年〜2025年)、一貫して「HALの医療エビデンス構築と、グローバルな規制承認の取得」に経営資源を集中しています。彼らの特許戦略は、単なる機能(例:柔らかく曲がる)ではなく、「生体電位信号(HAL)が神経可塑性を誘導する(Neuroplasticity)」72 という「治療メカニズム」そのものを保護することに重点が置かれていると推定され、これが極めて高い参入障壁となっています。
- Lifeward Ltd. (旧 ReWalk Robotics Ltd.)
- 戦略概要: ReWalk Roboticsは、2024年9月に「Lifeward Ltd.」へと社名を変更しました 73。この社名変更は、同社の戦略が「ReWalk」という単一の歩行支援ロボット(ハードウェア)の会社から、多様なモビリティ障害を持つ個人のための「包括的なソリューションプロバイダー」へと進化することを象徴しています。
- 2024-2025年の戦略動向(商業化への歴史的シフト):
- 最大の転機(Medicare): 同社の2025年の最大のトピックは、「ReWalk外骨格のMedicare(米国高齢者・障害者向け公的医療保険)支払いを達成した」ことです 31。これは、長年のロビー活動と臨床試験が実を結んだもので、ReWalkが「研究用具」から「標準治療(=保険で償還される医療機器)」へと格上げされたことを意味します。
- 新CEOの就任: 2025年、同社はこの歴史的な機会(Medicare適用)を活かし商業化を加速するため、Larry Jasinskiに代わり、"商業リーダーシップ、チャネル開発、戦略的ソリューションで30年の経験"を持つMark Grantを新CEOに任命しました 31。
- 戦略的示唆: Lifeward(ReWalk)の2025年時点での戦略的焦点は、もはや「技術開発」ではありません。それは「商業化(Commercialization)」と「販売チャネル構築」です。Medicareの適用獲得 31 は、CYBERDYNEやEkso Bionicsを含む競合他社にとっても、米国市場における「保険償還」という巨大な壁を突破する道筋を示した、業界全体にとっての画期的な出来事です。Lifewardは、この分野で最も収益化(マネタイズ)に近い企業へと変貌しました。
- Ekso Bionics Holdings, Inc.
- 戦略概要: Ekso Bionicsは、医療用(リハビリ施設向け「EksoNR」)と産業用(「EVO」)の両方の外骨格デバイスを提供してきましたが 27、近年の戦略は医療用、特に個人向け(在宅)デバイス「Ekso Indego Personal」の普及に焦点を当てています。
- 2024-2025年の戦略動向(販売チャネルの拡大):
- 独占的販売代理店: 2025年(2024年12月期末以降)、米国の複合リハビリ技術(CRT)業界における大手「National Seating & Mobility」を、Ekso Indego Personalデバイスの独占的販売代理店として指名しました 43。
- 新チャネル開拓: 2025年第2四半期、義肢装具(O&P)業界の「Bionic Prosthetics & Orthotics Group」を、同業界で初の販売代理店として指名しました 74。
- 財務状況: 財務は不安定な側面を見せています。2024年第4四半期は記録的な収益(510万ドル)43 を達成したものの、2025年第2四半期は前年同期比で大幅な減収(500万ドル→210万ドル)74 を記録。2025年第3四半期は前年同期比2%増(410万ドル→420万ドル)と持ち直しました 75。2025年10月には370万ドルの追加資金調達(登録型直接募集)27 を発表しており、商業化に向けた先行投資が続いていることが示唆されます。
- 戦略的示唆: Ekso Bionicsの戦略は、Lifewardが切り開いた「個人向け・保険償還」市場 31 に追随し、そのための「専門的な販売代理店ネットワーク」を急ピッチで構築することです。施設向け(B2B)と個人向け(B2C、ただし保険償還を介す)では、販売ノウハウやチャネルが全く異なります。Ekso BionicsがNational Seating & Mobility 43 やBionic P&O 74 といった専門チャネルと提携したのは、この複雑な市場にアクセスするための現実的かつ必須の戦略です。
4-4. グループ4:「コンポーネント・グリッパー特化型」の戦略
このグループは、ロボティクスエコシステムの「軍需産業」に例えられます。彼らは特定のロボットアーム(例:ABBやKUKA)に依存せず、あらゆる「腕」に装着可能な、最高の「手(EOAT)」を提供することに特化しています。彼らにとって、ソフトロボティクスは自社のコア技術(真空、空気圧)を補完・強化する新技術です。
- Schmalz Group
- 戦略概要: ドイツに本拠を置くSchmalzは、産業用オートメーションにおける「真空技術」の世界的リーダーです。
- 2024-2025年の戦略動向(ハードウェア市場の集約):
- mGrip事業の買収: 2024年8月、SchmalzはSoft Robotics Inc. (現Oxipital AI) から「mGrip製品ファミリー(ソフトグリッパー事業)」を買収しました 33。
- 買収の理由: Schmalzのマネージング・パートナーであるKurt Schmalz博士は、「食品産業は成長市場である」36 と明言しています。mGripは、食品業界の繊細な対象物を扱う分野で最も実績のあるソフトグリッパーの一つであり、Schmalzの既存の真空グリッパーポートフォリオを完璧に補完します。
- 買収戦略: Schmalzは、ボストン(マサチューセッツ州)にあるSoft Robotics社の既存拠点を維持・運営する 36 ことを決定しました。
- 戦略的示唆: この買収は、Oxipital AI(売り手)とSchmalz(買い手)の双方にとって、完璧な「Win-Win」の取引です。Oxipital AIはAIに集中でき、Schmalzは「真空」というコア技術に加え、「空気圧ソフトグリッパー」という最強のカードを手に入れ、高成長の食品市場 36 における地位を絶対的なものにしました。Schmalzがボストン拠点を維持する 76 ことは、既存顧客と開発ノウハウを確実に引き継ぐという強い意志の表れであり、彼らがこの事業(ハードウェア)に「本気」であることを示しています。Schmalzは、ソフトグリッパー・ハードウェア市場の「コンソリデータ(集約者)」として登場しました。
- Festo Inc.
- 戦略概要: Festoは、Schmalzと同様にドイツに本拠を置く、空気圧および電気制御技術のグローバルリーダーです。彼らの戦略的特徴は、「Bionic Learning Network (バイオニック・ラーニング・ネットワーク)」というユニークなR&D活動にあります 35。
- ソフトロボティクスへの関与(BionicSoftHand):
- 生体模倣: Festoは、自然界の生物(人間の手 77、象の鼻など)から着想を得た、空気圧駆動のソフトロボットを研究開発しています。その代表例が「BionicSoftHand」です 34。
- 技術的特徴: BionicSoftHandは、骨を持たず、空気圧ベローズ(蛇腹)構造と、伸縮性・高張力性の糸を3Dニットで編み込んだ特殊な布地(テキスタイル)77 で指を構成します。これにより、軽量でありながら強力な力を発揮できます。
- AIの活用: Festoは、この複雑なソフトロボットの制御にAI(強化学習)を活用しています。実機ではなく「デジタルツイン」(仮想モデル)18 上でAIにシミュレーション(試行錯誤)78 させることで、学習プロセスを劇的に高速化しています 34。
- 戦略的示唆: FestoのBionic Learning Networkは、単なるPR活動ではありません。これは、同社のコア技術である「空気圧制御」の未来の可能性を、AI 18 や先端材料 77 と組み合わせて探求する、最先端の先行R&Dプラットフォームです。Festoは、BionicSoftHand 34 そのものをすぐに大量販売することを目指しているわけではなく、このR&Dから得られた知見(例:空気圧による繊細な力制御、AIによる制御アルゴリズム)を、同社の将来の商用コンポーネント(バルブ、アクチュエータ)にフィードバックすることが真の目的であると考えられます。
- Piab AB
- 戦略概要: スウェーデンに本拠を置くPiabは、Schmalzと同様に産業用「真空ソリューション」のスペシャリストです 79。
- ソフトロボティクスへの関与(piSOFTGRIP):
- 製品と応用先: Piabは「piSOFTGRIP」32 という真空駆動のソフトグリッパーを提供しています。この製品は、Schmalzが買収したmGripと同様、特に「食品業界」での自動化(繊細で不規則な形状の物体の取り扱い)をターゲットにしています 32。
- 技術的特徴: piSOFTGRIPは、3本の柔軟な「指」と「真空キャビティ」が一体成型された、シンプルで堅牢な設計を特徴とします 32。真空度(真空レベル)を調整するだけで、把持力を容易に制御できます 32。
- 規制対応: 使用されるシリコン素材は、FDA 21 CFRおよびEU 1935/2004といった、食品との直接接触に関する規制に準拠していることが明記されており 32、食品市場への強いコミットメントを示しています。
- 戦略的示唆: Piabは、Festoのような広範なR&Dよりも、特定用途(食品)に特化した商用製品の開発に注力しています。ソフトグリッパー市場(特に食品分野)は、Schmalz(mGripと真空技術)とPiab(piSOFTGRIPと真空技術)32 という、真空技術に強みを持つ2大コンポーネント企業による競争の場となりつつあります。
4-5. グループ5:「専門領域・事業再編型」の戦略
このグループは、2024年に発生したもう一つの重要な市場再編、「産業用と医療用の分離」を象徴しています。これは、両市場のビジネスモデルが根本的に異なるため、経営資源を一方に集中させる(ピボットする)という戦略的判断です。
- Bioservo Technologies AB
- 戦略概要: スウェーデンのBioservoは、ウェアラブルなグリップ強化システム(アクティブ・ソフト外骨格)28 のパイオニアです。
- 2024-2025年の戦略動向(医療へのピボット):
- 事業売却: 2024年6月、Bioservoは、産業市場向けに展開していた「Ironhand」(世界初の筋力増強型ソフト外骨格)5 の全権利(開発・製造・販売)をSkelex BVに売却しました 5。
- 戦略的理由: プレスリリース 5 で明記されている通り、「Bioservoはライフサイエンス(医療)市場に完全に集中し、Carbonhandの開発・販売を継続する」ためです。
- 医療への集中: 2024年後半から2025年にかけてのBioservoの発表は、すべて医療用の「Carbonhand」に関するもの(例:VA(米国退役軍人省)での利用可能化 37、米国での販売網拡大 37、新型Carbonhandの発表 37)であり、戦略的ピボットが完了したことを示しています。
- 戦略的示唆: これは、Oxipital AIの「ハード→AI」のピボット 3 と並ぶ、もう一つの重要な「市場ピボット」です。Bioservoは、「産業」と「医療」という2つの異なる市場を追うことの非効率性を認識し、「高付加価値・高規制」の医療市場 37 を選択しました。
- Skelex BV
- 戦略概要: オランダに本拠を置くSkelexは、産業用外骨格の分野で、特に「肩」や「背中」の負担を軽減するパッシブ型(動力なし)の外骨格 39 で知られる企業です。
- 2024-2025年の戦略動向(ポートフォリオの完成):
- 事業買収: 2024年6月、Bioservoから「Ironhand」事業を買収しました 5。
- 戦略的理由: SkelexのCEO(Gaurav Genani)は、この買収により「(肩・背中サポートという)現在の製品レンジに、手(Hand)集約型作業のサポートを加える」ことができると述べています 40。
- 技術の獲得: Skelexは、Ironhandの買収により、自社のパッシブ型ポートフォリオに、初めて「アクティブ型(能動的)外骨格技術」(Bioservoの特許技術ライセンスを含む)5 を追加しました。
- 戦略的示唆: この買収は、Skelexにとって「製品ポートフォリオの完成」を意味します。産業作業者の負担軽減において、Skelexは「肩」「背中」(パッシブ)に加えて「手」(アクティブ)5 のソリューションも提供できる、フルラインナップの産業用外骨格サプライヤーへと変貌しました。Bioservoが「医療」に特化した 5 一方で、Skelexは「産業」に特化 39 し、両社はそれぞれの専門領域で、より強力なプレイヤーとして(再)スタートを切りました。
【第5章】特許戦略と事業戦略の整合性
特許ポートフォリオ(過去の技術蓄積)と、IR資料で発表される現在の事業戦略(未来への投資)を比較することで、企業の「本気度」や「隠された戦略(ピボット)」を推定します。
- 「ギャップ」の分析(戦略的ピボット):
- Oxipital AI (旧 Soft Robotics Inc.): ここには、最も劇的な「意図されたギャップ」が存在します。
- 特許(過去): 同社の過去5年間の特許ポートフォリオは、主に「空気圧式ソフトグリッパー(mGrip)」の構造、材料、制御に関するハードウェア技術に集中していると強く推定されます。
- 事業戦略(現在): しかし、2024年8月の事業売却 3 以降、彼らの事業戦略は「AIビジョン」「ノーコード・ソフトウェア」「合成データ」66 に100%シフトしました。
- 評価: この「ギャップ」は、経営の失敗ではなく、高度な戦略的判断です。彼らは、自社のハードウェア特許群(とそれに付随する事業)をSchmalzという最適な買い手に売却することで「価値を最大化(現金化)」し、そのリソースを、より成長性が高いと判断した「AIソフトウェア」という新しい戦場に再投資しました。彼らの「隠された戦略」は隠されておらず、「AIこそが本丸である」という明確な宣言でした。
- 「一致」の分析(一貫した深耕):
- CYBERDYNE株式会社: ここには、最も強力な「戦略と特許の一致」が見られます。
- 特許(過去): 同社の基盤特許は、「サイバニクス」技術、特に「HAL」の根幹である「生体電位信号(BSI)を読み取り、ロボットを制御する」というインターフェース技術 70 にあります。
- 事業戦略(現在): 同社の2024-2025年のIR 29 は、このHALという技術(特許)の「医学的有効性」(神経可塑性の誘導 72)を証明し、FDAやMDRといった各国の規制当局から「適応拡大(脳性麻痺など)30」「新モデル(小型)29」の承認を得ることに終始しています。
- 評価: 特許戦略(技術の保護)と事業戦略(規制承認による市場拡大)が、寸分の狂いもなく完全に一致しています。これは、同社が「サイバニクス治療」という新しい医療分野を「規制」と「特許」の両面で確立するという、極めて長期的かつ強固な戦略(本気度)を持っていることを示しています。
- 「一致」の分析(エコシステムの構築):
- RightHand Robotics (RHR): RHRもまた、戦略と特許が強く一致しています。
- 特許(過去): RHRの技術的優位性は、単なるグリッパー(手)ではなく、「AIビジョン(目)」と「コンプライアント・グリッパー(手)」を統合・協調させるシステム(特許)にあります 45。
- 事業戦略(現在): 同社の事業 25 は、まさにこの「RightPickプラットフォーム」という統合システムを、物流インテグレータ(パートナー)24 を通じて市場(特に物流・Eコマース)に展開することです。
- 評価: Epson 45 やRockwell Automation 69 といった大手企業が同社に出資(アライアンス)するのは、RHRが「AI+ビジョン+グリッパー」の統合ソリューションという、物流ピースピッキング 25 に不可欠なIP(知的財産)とノウハウを握っているためです。ここにも高い整合性(本気度)が見られます。
- 「再編」による整合性の確保(選択と集中):
- Bioservo Technologies & Skelex: 2024年の事業再編 5 は、「ギャップの解消」と「整合性の再構築」のプロセスでした。
- 再編前: Bioservoは「医療用(Carbonhand)」と「産業用(Ironhand)」の両方の特許と事業を持ち、リソースが分散していました(戦略的なギャップ)。
- 再編後: Bioservoは「医療」の特許・事業に特化 37 し、Skelexは自社の「産業用(肩・背中)」39 ポートフォリオにIronhand(手)の特許・事業を加えて「産業」に特化 40 しました。
- 評価: このM&Aにより、両社ともに特許ポートフォリオと事業戦略が(それぞれの専門領域で)完全に一致するようになり、経営の「本気度」と「集中度」が最大化されました。
【第6章】主要戦略グループおよび企業の競合比較
【第2章】で定義した5つの戦略グループは、ソフトロボティクス市場という一つの競技場で、異なるルール(ビジネスモデル)と異なるゴール(ターゲット市場)を持って競争しています。
戦略グループ間ポジショニング分析
市場の構造を理解するため、「横軸:ターゲット市場(産業/物流 vs 医療/ヘルスケア)」と「縦軸:競争力の源泉(ハードウェア/コンポーネント vs AI/ソフトウェア/プラットフォーム)」の2軸で、5つの戦略グループをマッピングします。
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[横軸] ターゲット市場 →(左:産業/物流 vs 右:医療/ヘルスケア)
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[縦軸]
競争力の源泉
↑
[AI/ソフトウェア/プラットフォーム]
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グループ2: AI・プラットフォーム主導型
(Oxipital AI, SoftBank, RHR)
・AIビジョン、制御ソフト
・エコシステム、RaaS
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グループ3: 医療・リハビリ特化型
(CYBERDYNE, Lifeward, Ekso, Bioservo)
・AI(BSI制御)、臨床データ
・規制承認(FDA/MDR)、保険償還
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↓
[ハードウェア/コンポーネント]
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グループ1: 総合オートメーション型
(ABB, KUKA, FANUC, Yaskawa, Skelex)
・ロボットアーム、HRC
・システムインテグレーション
グループ4: コンポーネント特化型
(Schmalz, Festo, Piab)
・グリッパー、アクチュエータ
・要素技術(真空、空気圧)
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(分析テキストに基づき、旧グループ5は
グループ1および3に再編・統合)
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- ポジショニング分析:
- 市場の二極化: このマップは、市場が明確に「左上(産業AI)」と「右上(医療プラットフォーム)」に二極化していることを示しています。
- 2024-2025年の変動:
- **Oxipital AI (旧Soft Robotics)**は、左下(産業ハード)から左上(産業AI)へと、垂直に(価値軸を)移動しました 3。
- SoftBankは、ABB買収により、左下の巨大なアセット(ABB)を左上(AIプラットフォーム)の戦略に組み込みました 4。
- BioservoとSkelexは、中央(産業+医療)5 から、それぞれ「右上(医療)」37 と「左下(産業)」40 へと、水平に(市場軸で)分離しました。
- Schmalzは、左下(産業ハード)の領域で、Oxipital AIの事業を買収 36 し、**シェアを拡大(集約)**しました。
- 競合の構図: 産業分野では、グループ1(ABB, KUKA等)の「アーム+ソリューション」戦略と、グループ2(Oxipital, RHR)の「AI+プラットフォーム」戦略が、今後激しく競争(または協調)すると予測されます。
[表1] 主要企業の戦略ポジショニング比較マトリクス
以下の表は、本レポートの核心である【第4章】の詳細分析を、一覧できる形で凝縮したものです。
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企業名
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戦略グループ
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主要技術(特許焦点)
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ターゲット応用先
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ビジネスモデル
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2024-2025年の主要戦略(M&A, ピボット等)
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ABB
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グループ1: 総合オートメーション
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ロボットアーム制御、HRC
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製造業、自動車
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ハード+ソリューション
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[売却] 2025年、ロボティクス事業をSoftBank Groupに53.75億ドルで売却 4
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KUKA AG
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グループ1: 総合オートメーション
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HRC、iiQKA (OS)
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製造業、中小企業(SME)
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ハード+OS/エコシステム
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[PF化] iiQKA OS 21 とLBR iisy 55 によるプラットフォーム戦略を推進
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ファナック(株)
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グループ1: 総合オートメーション
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HRC (CRX)、iRVision (AI)
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製造業、自動車
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ハード+クローズドなAI/Vision 58
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[内製強化] コボット(CRX)と内製ビジョン/AIの統合ソリューションを強化 57
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(株)安川電機
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グループ1: 総合オートメーション
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i3-Mechatronics (制御)
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半導体、バッテリー製造 63
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ハード+ソリューション
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[基盤強化] i3-Mechatronics 62 の推進と、米国での生産・販売基盤強化 64
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Oxipital AI
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グループ2: AIプラットフォーム
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AIビジョン、合成データ
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食品・農業(検査、ピッキング)
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AIソフトウェア (SaaS)
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[ピボット] 2024年、グリッパー(ハード)事業をSchmalzに売却。AI企業へ変貌 2
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SoftBank Group
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グループ2: AIプラットフォーム
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ASI (AI)、プラットフォーム
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物流、製造業全般
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AI+エコシステム
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[大型買収] 2025年、ABBロボティクス事業を買収。自社AIポートフォリオ 22 と統合へ 4
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RightHand Robotics
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グループ2: AIプラットフォーム
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AIビジョン+グリッパー統合
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物流 (ピースピッキング)
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プラットフォーム+RaaS 26
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[アライアンス] Rockwell Automation 69 等、大手との資本・販売提携によるエコシステム拡大 24
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CYBERDYNE(株)
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グループ3: 医療特化
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サイバニクス (BSI制御)
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医療(リハビリ)
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医療機器+治療サービス
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[規制承認] 2024年、FDA・MDRで適応拡大(脳性麻痺等)および小型機の承認取得 29
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Lifeward Ltd.
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グループ3: 医療特化
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外骨格(歩行支援)
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医療(脊髄損傷、在宅)
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医療機器
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[商業化] 2024年、社名変更 73。Medicare保険適用 31 を獲得。商業化CEOを招聘 31
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Ekso Bionics
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グループ3: 医療特化
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外骨格(歩行支援)
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医療(リハビリ、在宅)
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医療機器
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[チャネル拡大] 2025年、個人向けIndego 43 の専門販売代理店網(CRT, O&P)を構築 74
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Schmalz Group
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グループ4: コンポーネント特化
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真空技術、グリッパー
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食品、製造業
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ハードウェア(コンポーネント)
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[M&A] 2024年、Soft Robotics Inc.からグリッパー(mGrip)事業を買収 36。食品市場強化
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Festo Inc.
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グループ4: コンポーネント特化
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空気圧制御、バイオニクス
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製造業、食品
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ハードウェア+先行R&D
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**** BionicSoftHand 34 など、AIと空気圧を融合した先行R&Dを推進 78
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Piab AB
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グループ4: コンポーネント特化
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真空技術、グリッパー
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食品(FDA/EU準拠)32
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ハードウェア(コンポーネント)
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[市場特化] 食品市場に特化したpiSOFTGRIP 32 のラインナップを強化
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Bioservo Tech.
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グループ5: 専門領域・再編
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アクティブ外骨格(手)
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医療(握力補助)
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医療機器
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[事業売却] 2024年、産業用「Ironhand」事業をSkelexに売却 5。医療用「Carbonhand」に特化 37
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Skelex BV
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グループ5: 専門領域・再編
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パッシブ外骨格(肩・背中)
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産業(作業支援)
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産業機器
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[事業買収] 2024年、Bioservoから「Ironhand」(手)事業を買収 40。産業用ポートフォリオを完成
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【第7章】今後の市場リスクとビジネス機会
この技術分野における技術的ボトルネック(未解決の課題)。
- 制御の複雑性 (Control): ソフトロボットは、その柔軟性ゆえに「無限に近い自由度」を持ちます 12。これは、従来の剛体(リジッド)ロボットの制御モデル(数学モデル 9)が適用できないことを意味します。Festoのデジタルツイン 18 やOxipital AIのAIモデル 68 が示すように、AIや高度なシミュレーションによる制御が不可欠ですが、リアルタイムでの高精度な制御は依然として発展途上です 12。
- アクチュエータの性能 (Actuators): 現在主流の空気圧式 8 は、強力で応答性が高いものの、コンプレッサーや配管など外部の空気源が必要であり、システムの大型化・複雑化を招きます。EAP(電場応答性高分子)やSMA(形状記憶合金)9 など、新素材ベースの「自己完結型」アクチュエータが研究されていますが、出力、耐久性、コストの面で商用化には課題があります 12。
- 耐久性と標準化 (Durability & Standardization): 柔軟な素材は、金属に比べて摩耗や破損に対する耐久性が低いという根本的な課題があります 6。特に24時間稼働の産業用途では、頻繁なメンテナンスや交換が必要になる可能性があります。また、アクチュエータやセンサーのモジュール化や標準化が進んでおらず 12、システムインテグレーションのコストを高める要因となっています。
サプライチェーンや規制のリスク。
- 規制リスク(医療): 【第4章】のグループ3(医療)の分析で明らかなように、FDA 30 やMDR 29 などの医療機器承認プロセスは、市場参入における最大のリスク(時間とコスト)です 41。規制の変更や、臨床試験での有効性証明の失敗は、企業の存続に直結します。
- 規制リスク(食品): グループ4(コンポーネント)のPiab 32 やSchmalz 36 が対応しているように、食品接触材料に関する規制(FDA 21 CFR, EU 1935/2004)への準拠は、食品市場への参入に必須であり、これを満たせない場合は市場から除外されます。
- AIの寡占リスク: グループ2(AI)のSoftBank 22 やOxipital AI 66 が示すように、価値の源泉がAI(制御・ビジョン)に移行するにつれ、ハードウェア(グリッパーやアーム)はコモディティ化する可能性があります。その結果、プラットフォーム(OSやAI)を提供する少数の巨大IT/AI企業が市場を支配する「Winner-takes-all(勝者総取り)」の構図が生まれるリスクがあります。
競合が手薄な「空白地帯」(ビジネス機会)。
- RaaS (Robotics as a Service) の本格導入:
- 機会: 高価なロボットシステムを「所有」するのではなく、「利用(サブスクリプション)」するRaaSモデル 81 は、初期投資を抑えたい中小企業(SME)21 にとって魅力的な選択肢です。RightHand Robotics 26 などが既に採用していますが、特に季節変動の大きい食品や物流分野での普及余地は大きいと推定されます。
- 農業分野(特に収穫):
- 機会: 【第3章】で述べた通り、農業分野 16 は労働力不足が最も深刻でありながら、対象物(果物・野菜)の脆弱性・不定形性から自動化が最も遅れている分野の一つです。食品(川下)で培われたAIビジョン 20 とソフトグリッパー 11 の技術を応用した「自動収穫ロボット」は、巨大な潜在市場です。
- 標準化コンポーネントと開発ツール:
- 機会: 現在のソフトロボティクスはカスタムメイドの要素が強い 12 ため、KUKAのiiQKA 21 のような「OS(制御ソフト)」、Oxipital AIの「ノーコードAIツール」68、あるいは標準化された「ソフトアクチュエータ・モジュール」を提供することは、市場全体の成長を加速させる(そしてプラットフォーマーとなる)ビジネス機会です。
【総括】分析結果の客観的サマリー
本レポートは、ソフトロボティクス分野における特許情報および主要企業の一次情報(IR、プレスリリース等)を分析し、以下の客観的事実を明らかにしました。
- 市場の成長性: ソフトロボティクス市場は、2024年時点で約15億〜47億ドル(定義による)と評価され、今後10年間、CAGR 30%以上 1 の極めて高い成長が予測される分野である。
- 主要な応用先: 現在の商用市場を牽引しているのは、「医療・リハビリ」(外骨格)1、「食品・飲料」(不定形物の把持)8、「物流・Eコマース」(ピースピッキング)13 の3分野である。
- 戦略グループの分類: 市場の主要プレイヤーは、その技術的蓄積、事業規模、および戦略的投資に基づき、5つの明確な戦略グループ(「総合オートメーション・HRC型」「AI・プラットフォーム主導型」「医療・リハビリ特化型」「コンポーネント・グリッパー特化型」「専門領域・事業再編型」)に分類される。
- 市場の地殻変動 (2024-2025年):
- AIへの価値移行: 2024年8月のSoft Robotics Inc.のグリッパー事業売却と「Oxipital AI」への変貌 2 は、競争の主軸がハードウェアからAIビジョン・ソフトウェアへと急速に移行したことを示す象徴的な出来事である。
- AIによる集約: 2025年10月のSoftBank GroupによるABBロボティクス事業の買収 4 は、AI企業が既存のロボティクス・ハードウェア・プラットフォームを取り込み、AI主導のエコシステムを構築する(グループ2の戦略)動きが加速していることを示す。
- ハードウェアの集約: 2024年8月、SchmalzがSoft Robotics Inc.のグリッパー事業を買収 36 したことにより、グループ4(コンポーネント)のプレイヤーが、コモディティ化しつつあるハードウェア市場の「集約者」として機能していることが確認された。
- 市場の専門化(選択と集中): 2024年6月のBioservoによる産業用「Ironhand」事業のSkelexへの売却 5 は、グループ5が示すように、「医療」と「産業」のビジネスモデルが根本的に異なり、各プレイヤーが専門領域へリソースを集中させる「選択と集中」の段階に入ったことを示している。
- 異なる競争ルール:
- 産業・物流市場(グループ1, 2, 4)では、「AI・ソフトウェア」と「ハードウェア・コンポーネント」のどちらがエコシステムの主導権を握るかという競争が起きている。
- 医療市場(グループ3)では、競争の主戦場は技術そのものではなく、FDA/MDRの「規制承認」29 と「保険償還」(例:Medicare)31 の獲得であり、これらが参入障壁として機能している。
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【本レポートについて】
本レポートは、公開情報をAI技術を活用して体系的に分析したものです。
情報の性質
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- 企業の非公開戦略や内部情報は含まれません
- 分析の正確性を期していますが、完全性は保証いたしかねます
ご利用にあたって
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