【要約】
「発明塾」塾長の楠浦です。
今回は、2025年4月に開講し討議を行った「新規事業サポーター養成講座(支援者向け発明塾)」の第1回で僕がお話しした内容を、ダイジェストでご紹介します。
新規事業サポーター養成講座(支援者向け発明塾)
https://www.techno-producer.com/business-supporter-course/
(上記は公開講座のご案内ですが、企業内開催も承ります)
今からお話しする内容は、あまり言われていないことだと思いますが、「新規事業」「研究・開発テーマ」を生み出す上で、非常に重要なことなんですよね。
そして、「企業内発明塾」でも、実は全くお話ししていません。
「支援者育成プログラム」をオプション契約いただいているところではお話しすることになっています。
理解されていない方が多いのですが、「提案者」を育てる、提案者に結果を出してもらうために行う「企業内発明塾」で指導する内容と、「支援者育成」に必要な内容は、まったく異なるんですよね。
なぜか。
何がどう異なるのか。
では、本題です。
この記事の内容
言葉の定義ですね。
そもそもここで共通理解がないと、「支援」と称して「足を引っ張っているだけ」になります。
実際、そうなっている場面を、僕は多数見てきました。
そしてまた、今回も!(笑)
いろいろな企業で、「新規事業が生まれない」「新規事業の提案が来ない」「いいアイデアが出てこない」という声を聞きますが、実は現場はこうなっている、という典型例を、今回も目の当たりにしました(笑)。
僕がお伝えしたことは、以下です。
提案者(発案者)が、自分の見つけてきたエッジ情報を説明しながら、どこに目をつけているかを紹介している。その時に支援者がやるべきことは何か。
発明塾では、リアルタイムで情報やコメントをどんどん共有していくのですが、「私はそうは感じません」みたいなコメントを書いた人がいました。
いやいや、あんたの意見なんか聞いてねーわ(笑)。
目の前の着眼、着想がなんであるか。
まずはそれを、関連事実を確認しながら、ありのままとらえる。
それを育てるために、どのような情報が必要か。
社長に提案して一発で通る企画にするために、ここからどう持っていくのか。
これを、「頭をフル回転させて」考えて、先手先手で情報を調べ、出していく。
「意見」ではなく「事実」で巻き取る。
科学ですね。
企画を、科学するわけです。
意見だけだと、宗教ですね。
(私はこう思う・こう信じる、を、客観的な事実を示さずにひたすら主張するわけですから、反論不可能で、それは科学ではありません:K.ポパーの定義による)
発明塾は、科学なんです。
あなたの「意見」は聞いてません。
そして、主役は「提案者」ですから、、、「あなた」の意見はいらない。
だから、「あなたの意見」はいらない、ということになります。
さきほど、こう書きました。
「目の前の着眼、着想がなんであるか。
まずはそれを、関連事実を確認しながら、ありのままとらえる。」
実は、これができない人が多い。
理由は、主に2つだとわかっています。
主役は「提案者」です。
だから、「提案者がどう考えているか」を、まずは丁寧に読みとる。
提案者が何をしたいのか。
なぜ、したいのか。
そこが原点です。
これができない支援者が多い、ということは、過去の多数の事例でわかっているのですが、今回も出ました。
ある方は、最後の振り返りで「自我を捨てないといけない」と書いていましたが、その通りです。
あなたがやりたいことは、あなたが自分で提案してやればいいわけです。
勝手にやってください(笑)。
そうではなく、提案者がやりたいこと、興味があること、引っかかったこと、面白いなと思ったこと。
これを「原点」「始点」「支点」「軸」にして、広げ、育て、新規事業企画にして、社長を通し、新規事業として成長、成功させていく。
そのために、できることは、いつだって、どこだって、なんだって、すべてやる。
これが、発明塾における支援者の理想像です。
僕がそうしているからです。
提案者が最短距離で新規事業にたどり着く道筋を、参加者以上に真剣に考え、整えていく。
それだけが、支援者の仕事です。
社長に提案するなら、社長がオッケーしないと、たどり着かないですよね。
だから、社長の思考回路で考える。
シンプルです。
結果に、提案者以上にコミットする、当事者以上にコミットするのが支援者です。
僕が毎日やってることです。
支援者は、裏方なんです。
だから、裏方にプロとして徹する。
これを、支援者向け発明塾では、徹底的に指導します。
なぜか。
今回のように、「ほとんどの人が、これができない」からです。
そして、これができないと「提案者の足を引っ張る」ことになります。
それは、「支援」ではないですよね。
あと、多いのが「提案者と同じ目線で、だらだら議論してしまう」です。
これも、時間を浪費します。
その場は楽しいので、非常に危険なんです。
支援者の仕事は「社長が一発オッケーするところまで、提案者の着眼(例:ここが気になる)を巻き取ること」です。
だから、提案者が考えている・言っていることの「数手先」を見据えて、情報を提供していく。
企業内発明塾OBOGは理解していると思いますが、僕は、アイデアや企画について、一見なんとなく、楽しく話しながらも、世界中の企業の事例や最先端情報を次々に提示して、議論と作業を巻き取っていきます。
なぜか。
提案を持っていく先の経営者は、そういう世界中の企業の成功事例に精通しています。
あの手この手で、勝ち方を考えている、そればっかり考えている人ですから、当然です。
そういう人の目から見て、この企画・アイデア・着想・着眼がどうか、を常に考えているからです。
でも、そういう議論をしても、話が長くなって実りは薄いし、提案者にそこまで求めるのはさすがに酷だなぁと、特に最近は思っています。
彼ら・彼女たちはすでに、「自ら提案する」というリスクを負っています。
それだけで十分じゃないかなと。
スーパーマン(パーソン)は、いないのです。
提案者は、すでに十分なリスクを取っている。
支援者がプロとして、そのリスクを極限まで低減してあげる支援をする。
(その上で、最後は背中を押す ※)
これが僕の考え方です。
そのためには、「社長が知ってそうなことは知っておく」必要があります。
僕は毎日、日米の主要企業の決算・IRを必ず1社以上、読みます。
いま話題の企業も大事だし、ニッチでダントツの企業や老舗企業も大事。
だから、業界業種を問わず、ありとあらゆる企業の決算やIRに、毎晩目を通しています。
なぜか。
皆さんの会社の社長も、そうしているからですよ(笑)。
社長は全員、そうしています。
ぜひ、社長に聞いてみてください(笑)。
社長と話さずに、社長の思考回路が理解できることは、まず無いでしょうね。
社長・経営者と、常に話すことです。
僕も、前職で社長に毎日ついて回ってはじめて、理解できました。
社長と話す機会がない?簡単には会えない?
だったら提案者か支援者になって、(一緒に)提案しに行けばいいわけです(笑)。
それが企業内発明塾です。
機会は自分で作るものです。
待ってても来ません。
というか、この場合は、待つ理由がわかりません(笑)。
自分で自由に作れるものなので。
※ 背中を押すのが支援者の仕事だ、という人がいますが、背中を押すと言って、リスクを減らしてあげずに、突き落とす人がいる(笑)。これも支援ではない。どっちかというと殺人ですね(笑)。
ご紹介できる範囲で、実際にどういう作業を「僕が」行って、支援者候補の皆さんが、どう変わったか、書いておきます。
実は皆さん、「僕の一言」というか「僕の仮説検索結果一つ」で、ガラリと変わります(笑)。
これが、発明塾なんですよね。
僕は、グダグダ教えるのが嫌いなので、「一つ、ズバリやってみる」ことで、「一瞬で理解してもらう」ことにしています。
そのためには、「仮想事例ではなく、実際に成果を出すために、白熱した作業が行われる」必要性があります。
なぜか。
僕がノらないからです(笑)。
というのは冗談で、「ディテール」(詳細)がないと、作業ができないからなんですよね。
よく、「仮想事例で演習しましょう」というのがありますが、基本的に無意味です。
事例が仮想だと、検討に必要な情報(詳細)が、全く足りない。
そこで何が起きるかというと、重要な前提条件を都合よくでっち上げる。
この「でっち上げクセ」がついてしまうと、ダメなんですよね。
本物の企画の時も、「調べもせずに、前提(課題など)をでっち上げる」んです、平気で。
なので僕は、「意見はいらないので調べて」というわけです。
調べるには、現実の問題でないとダメなんです。
調べつくしたうえで、出てこないものは、合理的に推測できる範囲で仮説を立てる。
この姿勢を身につけるには、「仮想事例」はマイナスの効果しかありません。
何より、「調べ尽くす」技術が身につきません。
今回は、ある物流企業で新規事業を提案する、というお題で、取り組んでいます。
いい企画であれば、実際に社長室に連絡して、社長に提案するつもりです(笑)。
これは、皆さん次第ですね。
実際のやり取りの流れを、簡単に箇条書きにしておきます。
こういうことなんですよね。
意見ではなく、事実。
もっと調べたくなる、詳細。
人が動きたくなるのが、一流の「支援」です。
動かすのではなく、「動きたくなる」情報を出す。
もっと考えたくなる、もっと調べたくなる。
これを引き起こすために、何をすればよいか。
結果から逆算するわけです。
あなたの意見を、提案者と同じ目線で語っている暇なんて、どこにもない(笑)。
ましてや、足を引っ張っている場合でもない。
自分の仕事も終わりませんから、いいことは何もない。
提案者の仕事も、自分の仕事もさっさと終わらせて、結果を出すにはどうするか。
これが、僕がいつもやっていることであり、発明塾です。
忙しいですからね(笑)。
僕がやって見せたこと、その後起こったことを、支援者候補の一人がまとめてくれました。
世界中の企業を毎晩調べていると、だいたい、「この事業だったら、この辺の企業が成功事例をもってそうだな」とわかってきます。
そういえば、あの会社こういうことやってたな、とか、最近異業種で取り組んでるところがあったな、とか。
あなたの意見を、無駄に垂れ流している暇があったら、毎晩そういう企業を調べることです(笑)。
僕がお伝えしたことを箇条書きにしておきます。
上では取りあげきれなかったことも入っています。
またそのうち、どこかで書きます(笑)
いかがですか?
皆さん、ちゃんと「支援」できてますか?
こういう支援者を、育ててますか?
こういう支援者を育てたい。
そう思われた方は、「企業内発明塾」「支援者向け発明塾」をご利用ください。
企業内発明塾
https://www.techno-producer.com/kigyounai-hatsumeijuku/
新規事業サポーター養成講座(支援者向け発明塾)
https://www.techno-producer.com/business-supporter-course/
(上記は公開講座のご案内ですが、企業内開催も承ります)
なお、企業内発明塾で「支援者も育てたい」場合は、その旨を最初からおっしゃってください。
書いた通り、支援者は勝手には育ちません。
支援者育成専用のプログラムが別にあり、それをオプションで申込みいただき、実施することになります。
支援者育成は、非常に重要です。少し間違えると、「提案者気分で、足を引っ張る支援者」「社長目線がなく、通らない企画を量産して提案者の工数を無駄にしてしまう支援者」が育ちますので、ご注意ください。
これは、すでに多数の実施実績からわかっていることであり、今回の「新規事業サポーター養成講座(支援者向け発明塾)」でも、それが改めて事実として確認できた、ということです。
楠浦 拝
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