3行まとめ
パーパスと連動した「価値創造」戦略への転換
富士通の知財戦略は、従来の「防衛」姿勢から企業パーパス(存在意義)の実現を目指す「価値創造」戦略へと転換した。2018年以降の「統合レポート」への知財報告の集約は、この転換を象徴している。
重点技術領域「5 Key Technologies」への知財集中
事業戦略と連動し、特許ポートフォリオを「5 Key Technologies」領域に集中させている。特にAI基盤「Fujitsu Kozuchi」を核とするAI応用技術の権利化に注力し、事業の競争優位性を確保している。
「IP for Good」による共創エコシステムの推進
未活用特許を「FUJITSU Technology Licensing Program for SDGs」で公開し、社会課題解決型の共創を推進している。光触媒技術では累計約30社が製品化するなど、エコシステム構築に貢献している。
エグゼクティブサマリ
当レポートは、富士通株式会社(以下、富士通)の知的財産(以下、知財)戦略について、一次情報を基に網羅的かつ分析的に評価するものです。主要な分析結果は以下の通りです。
- 戦略思想の進化: 富士通の知財戦略は、かつての特許件数や権利行使を重視する「防衛的」な姿勢から、企業パーパス(存在意義)の実現を目的とする「価値創造」を中核に据えた戦略へと大きく転換しています。
- パーパスとの連動: 現代の戦略は「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」というパーパスと深く連動しており¹⁰、¹¹、¹⁶、知財は事業防衛の手段に留まらず、社会課題解決を推進する能動的なツールとして位置づけられています。
- 統合報告への集約: 2018年以降、独立した「知的財産報告書」の発行を停止し、「統合レポート」に内容を集約したことは¹、この戦略転換を象徴する動きです。これにより、知財活動が財務・非財務情報と並ぶ企業価値構成の重要要素として経営レベルで管理されていることが示唆されます。
- 二本柱の基本方針: 戦略の基本方針は、知的資本の活用による「価値創造への貢献」と、権利侵害リスクなどを低減する「価値毀損リスクの低減」の二側面から構成されています⁷, ᴮ²。
- 統合的な組織体制: 「知財グローバルヘッドオフィス」⁷, ¹²のもと、戦略策定、権利化、情報分析を担う専門部署が連携します。さらに、各事業部門に知財担当者を配置し¹²、事業戦略と知財戦略の一体化を図る体制が構築されています。
- 技術ポートフォリオの転換: 事業戦略の中核である「5 Key Technologies」¹⁰, ²³(Computing, Network, AI, Data & Security, Converging Technologies)領域への特許出願比率が2018年以降、顕著に増加しており²⁴、研究開発投資と知財ポートフォリオの戦略的連動が見られます。
- AI応用技術への注力: 特に、AI基盤技術「Fujitsu Kozuchi」を核とした「AI応用技術」の権利化に注力していますᴮ³。これは、社会課題解決型ビジネス「Fujitsu Uvance」の競争優位性を直接的に確保する動きです。
- 共創モデルの推進: 「FUJITSU Technology Licensing Program for SDGs」¹⁰, ¹¹を通じて、自社未活用の特許を中小企業や大学にライセンス供与し、社会課題解決に貢献するエコシステムを構築しています。これは直接的な収益以上に、ブランド価値向上やイノベーション機会の創出に寄与していると分析されます。
- 競合との差別化: 競合他社が直接的な収益化(NEC)³⁰や社内プラットフォーム連携(日立製作所)³³を重視する中、富士通は「パーパス実現」と「社外との共創」を知財戦略の根幹に据えることで、独自のポジションを確立しています。
- 今後の課題: 生成AIを巡る法整備の不確実性⁴⁵, ⁴⁶やデータ主権⁵¹, ⁵⁴といった新たな潮流への対応、そして共創モデルにおける知財管理の高度化が中長期的な課題として挙げられます。
- 戦略的意義: 富士通の知財戦略は、単なる法務機能ではなく、経営戦略そのものです。知財を核に技術、事業、社会貢献を統合し、持続的な企業価値向上を目指す先進的なモデルとして評価できます。
背景と基本方針
富士通の知的財産戦略は、過去20年間で劇的な進化を遂げてきました。かつては、多くの製造業がそうであったように、特許出願件数や他社への牽制力を主眼に置いた「防衛的」なアプローチが中心でした。しかし、同社がデジタルトランスフォーメーション(DX)企業への変革を加速させる中で、知財の役割と位置づけは根本から見直され、現在では経営戦略と不可分な「価値創造」の原動力として機能しています。
理念の進化:防衛から価値創造へ
2000年代の富士通の知財活動は、特許ポートフォリオの量的拡大と、事業の自由度を確保するための防衛的な側面に重点が置かれていました。例えば、2006年度の知的財産報告書では、国内出願件数が年間4,000件前後で推移し、増加傾向にあることが報告されています²¹。当時の基本方針は、1989年に定められた「(1)他社にインパクトを与える特許の取得、(2)取得した特許権の戦略的活用、(3)他社特許の侵害回避」の3点を骨子としており¹⁴、これは当時のハイテク製造業における標準的な知財戦略であったと言えます。この段階では、知財は主に研究開発の成果物を保護し、事業上のリスクを低減するための「盾」としての役割を担っていました。
この潮流が大きく変化する契機となったのが、2018年に独立した「知的財産報告書」の発行を取りやめ、その内容を「統合レポート」に集約したことです¹。これは単なる報告形式の変更に留まりません。財務情報や事業戦略、サステナビリティへの取り組みといった企業経営の中核情報と並列で知財戦略が語られるようになったことは、知財が専門部署だけの関心事ではなく、企業価値全体を構成する重要な経営資本として位置づけられたことを明確に示しています。この動きは、投資家やその他のステークホルダーに対し、知財がもたらす無形の価値を経営の文脈で説明する責任を、企業が自ら負ったことを意味します。
この戦略思想の進化を根底で支えているのが、富士通グループが掲げるパーパス(存在意義)、「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」です¹⁰, ¹⁶。現代の富士通の知財戦略は、このパーパスを実現するための具体的な手段として再定義されています。ビジネス法務・知財本部の知財グローバルヘッドオフィス長は、「パーパスの実現を目指し、イノベーションによる価値創造に貢献する知的財産戦略を策定し、推進しています」と明言しており¹⁶、知財活動の目的が、単なる自社の利益追求から、社会課題解決への貢献へと昇華されていることが分かります。
この新しい理念に基づき、現在の知財戦略は明確な2つの基本方針を柱としています。それは、「価値創造への貢献」と「価値毀損リスクの低減」です⁷, ᴮ²。前者は、富士通グループが保有する技術やノウハウといった「知的資本」を権利化し、積極的に活用することで新たな事業や顧客価値を生み出す側面です。後者は、他者の権利を尊重し、自社の権利侵害を未然に防ぐといったコンプライアンス遵守やリスク管理の側面を指します。この両輪を回すことで、知財を攻守にわたって経営に活かし、持続的な成長を目指すというのが、現在の富士通の基本姿勢であると分析されます。
知財ガバナンスの確立
知財戦略の経営マター化は、コーポレートガバナンスの観点からも裏付けられます。富士通では、ビジネス法務知財本部長が、社外取締役や社外監査役が参加する独立役員会議などの場で、知財マネジメントの戦略や進捗を定期的に報告し、経営層と議論する体制を構築しています⁷, ¹³。
この体制には、いくつかの重要な意味合いが含まれます。第一に、知財戦略が経営の監督下で実行されることを保証するものです。これにより、知財活動が事業戦略から乖離することなく、常に全社的な目標達成に貢献するよう規律づけられます。第二に、知財に関わるリスクと機会が、取締役会レベルで適切に評価・管理されることを意味します。例えば、大規模な特許訴訟のリスクや、新たな技術領域への知財投資の機会などが、専門部署の判断だけに委ねられるのではなく、全社的な経営判断として扱われることになります。
このように、統合レポートへの集約という「情報開示の統合」と、取締役会へのレポーティングライン確立という「ガバナンス体制の統合」は、富士通が知財を単なる法務・技術資産ではなく、企業価値と持続的成長を左右する経営の重要課題として捉えていることの証左です。この強固なガバナンス基盤こそが、後述する先進的な知財活用戦略を可能にする土台となっていると推察されます。
当章の参考資料
- https://www.fujitsu.com/jp/about/businesspolicy/tech/intellectualproperty/archives/archives.html
- https://global.fujitsu/ja-jp/sustainability/intellectual-property
- https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4615
- https://yorozuipsc.com/uploads/1/3/2/5/132566344/6ba46ebf47a49720c8b4.pdf
- https://www.fujitsu.com/jp/about/businesspolicy/tech/intellectualproperty/purpose/
- http://www.jipa.or.jp/kaiin/kikansi/honbun/2005_09_1303.pdf
- https://www.fujitsu.com/jp/about/businesspolicy/tech/intellectualproperty/
- https://www.fujitsu.com/jp/imagesgig5/ipreport2006j.pdf
ᴮ². https://www.fujitsu.com/jp/about/businesspolicy/tech/intellectualproperty/
全体像と組織体制
富士通の知財戦略が実効性を伴っている背景には、その理念を具現化するために設計された、精緻かつ統合的な組織体制が存在します。この体制は、全社的な戦略を一元的に策定・推進する「中央集権的」な司令塔機能と、各事業部門の現場ニーズに密着して戦略を実行する「分散的」な実行機能を両立させている点に最大の特徴があります。これにより、研究開発の最前線で生まれたイノベーションの種を、事業価値へと確実に転換させる仕組みが構築されています。
知財グローバルヘッドオフィス:戦略の中枢
富士通の知財活動の中枢を担うのは、ゼネラルカウンセル配下の「ビジネス法務・知財本部」に所属する「知財グローバルヘッドオフィス」です⁷。この組織配置自体が、知財を単なる技術管理ではなく、法務リスク管理と一体の経営課題として捉えていることを示唆しています。知財グローバルヘッドオフィスは、主に3つの専門部署から構成されており、それぞれが明確な役割を担いながら連携しています¹², ᴮ⁵。
- 知的財産戦略室:
この部署は、組織全体の「頭脳」に相当します。全社的な知財方針の策定・推進を担うだけでなく、意匠・商標の権利化、ライセンス交渉や訴訟対応といった権利活用、国際標準化活動の推進、さらには経営戦略に資する高度な知財情報分析(IPランドスケープ)まで、広範な戦略的機能を所管しています¹²。経営層や技術部門トップとの対話を通じて、事業の方向性を知財戦略に落とし込み、また知財情報から得られた洞察を経営にフィードバックする、極めて重要な役割を担っています。
- 知的財産センター:
従来の「特許部」に相当する、組織の「エンジンルーム」です。事業部門や開発部門が生み出した発明を、質の高い特許権として権利化する実務部隊であり、特許ポートフォリオの構築と維持管理を担当します¹²。発明の発掘から明細書作成、特許庁との折衝まで、権利化の全プロセスを担う専門家集団です。商標や意匠に関する実務的な相談の一次窓口としての機能も果たします。
- 知財インテリジェンスサービス室:
この部署は、IPランドスケープ分析を専門的に行い、事業部門や研究開発部門の意思決定を支援する情報分析部隊ですᴮ⁵。競合他社の技術動向、特定技術分野における「ホワイトスペース(未開拓領域)」の特定、M&A候補先の技術力評価など、知財情報を活用して戦略的なインテリジェンスを提供します。
これらの専門部署が知財グローバルヘッドオフィス内で連携するとともに、知的財産関連サービスを提供するグループ会社「富士通テクノリサーチ株式会社」とも協働することで⁷、戦略策定から実務、情報分析までをシームレスに遂行する体制が整えられています。
事業部門との連携:戦略と現場の統合
富士通の組織体制の最も注目すべき点は、中央集権的な知財専門組織と、各事業部門との間に強固な連携メカニズムを構築していることです。多くの大企業では、知財部門と事業部門がサイロ化し、研究開発の成果が事業に結びつかない「死蔵特許(IP on the shelf)」問題が発生しがちです。富士通は、この課題を組織設計によって克服しようとしています。
その要となるのが、「法務知財ビジネス推進センター」の存在と、各事業部門への知財担当者の配置です¹², ᴮ⁵。
まず、法務知財ビジネス推進センターは、事業部門の担当者が法務や知財に関する相談事を気軽に持ち込める「総合窓口」として機能しますᴮ⁵。これにより、現場が抱える課題が迅速に専門部署へエスカレーションされる体制が確保されています。
さらに重要なのが、各事業部門に専任の「知財戦略担当者」を割り当てている点です¹²。この担当者は、単に中央の知財部門からの指示を伝達する役割ではありません。担当する事業部門のビジネスモデル、市場環境、顧客の課題、そして技術開発のロードマップを深く理解した上で、その事業に特化した知財戦略を共に策定し、推進する「ビジネスパートナー」としての役割を担います。事業部門側にも「知財戦略責任者」や「知財戦略マネージャー」が任命されており¹²、知財部門と事業部門が両輪となって戦略を推進するサイクルが制度化されています。
この組織構造は、古典的な「死蔵特許」問題に対する洗練された解決策であると分析できます。研究開発の初期段階から事業部門と知財部門が連携することで、市場ニーズに合致し、かつ事業上の競争優位性を確立できるような発明の創出が促進されます。そして、権利化された知財は、事業部門の担当者によって常に事業活用の可能性が検討され、製品・サービスへの実装、ライセンスアウト、あるいはパートナーシップ構築のツールとして能動的に活用されることになります。これにより、研究開発投資に対するリターンを最大化する仕組みが実現されているのです。
グローバル体制
富士通の知財マネジメントは、日本国内に留まりません。欧州、インド、中国、オーストラリア、米国の5拠点に配置された知財責任者と定期的な会合を実施するほか、世界8か国に設置された研究拠点に対しても知財サポートを提供しています¹³。これにより、グローバルな事業展開や研究開発活動に即した、地域ごとの法制度や市場環境を考慮した知財戦略を実行できる体制を整えています。レポートラインを活用し、各地域の活動がグローバルヘッドオフィスの全体戦略と整合するよう管理されており⁷、全世界で一貫性のある知財ガバナンスが効いていることがうかがえます。
当章の参考資料
- https://global.fujitsu/ja-jp/sustainability/intellectual-property
- https://www.tokkyo.ai/tokkyo-interview/fujitsu-ip/
- https://www.fujitsu.com/jp/about/businesspolicy/tech/intellectualproperty/purpose/
ᴮ⁵. https://www.tokkyo.ai/tokkyo-interview/fujitsu-ip/
詳細分析
富士通の知財戦略は、単一の活動ではなく、技術ポートフォリオの変革、エコシステム形成、そしてブランド価値の保護という、多岐にわたる側面から立体的に展開されています。これらの活動はすべて、同社が目指すDX企業への転換と、パーパスである「持続可能な世界の実現」に貢献するという一点で結ばれています。本章では、3つの主要な切り口から、その戦略の具体的な中身を詳細に分析します。
技術領域:「5 Key Technologies」を支えるポートフォリオ変革
富士通の事業戦略および研究開発戦略の中核には、「5 Key Technologies」と呼ばれる5つの重点技術領域が存在します。これは、Computing、Network、AI、Data & Security、Converging Technologies(複数の技術を融合させる技術)から構成されており¹⁰、²³、同社が提供するデジタルサービスの技術的基盤を成すものです。知財戦略は、このテクノロジー戦略と完全に同期しており、5 Key Technologiesにおける競争優位性を確立・維持するための知財ポートフォリオ構築を最優先課題としています¹⁰。
この戦略的シフトは、特許出願のデータにも明確に表れています。富士通の公式情報によると、2018年以降の特許出願累積件数に占める5 Key Technologies関連の割合は、著しく増加傾向にあります²⁴。これは、かつてのように広範な技術分野で満遍なく出願するのではなく、経営資源を集中すると定めた重点領域に知財投資も連動させていることを示しています。近年の特許公開件数や取得件数が、2000年代のピーク時と比較して減少傾向にあること²⁰、²¹は、戦略が「量」から「質」へと転換し、事業貢献度の高い重要技術に絞って権利化を進めている結果であると推察されます。
特に注目すべきは、AI分野における権利化方針の進化です。富士通は、統合レポート2024において、従来のコア技術に加えて「AIの応用技術のIP権利化」に注力していることを明記していますᴮ³。ここで言う「応用技術」とは、AIという汎用技術を、特定の業種(例:製造、ヘルスケア、リテール)が抱える固有の課題解決に適用するための具体的な技術や、AIと他の4つのKey Technologyを融合させた技術を指します。これは、同社のサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)事業の中核である「Fujitsu Uvance」のオファリングに直接実装される技術群ですᴮ³。
この動きは、2024年2月に発表されたAIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi」をFujitsu Uvanceに実装して提供するという事業戦略と完全に一致していますᴮ³。つまり、富士通は抽象的なAIアルゴリズムそのものだけでなく、「AIを使って顧客のこの課題をこう解決する」というソリューションレベルでの特許網を構築することで、Fujitsu Uvanceの付加価値と模倣困難性を高めようとしているのです。研究部門と知財部門が連携し、開発中の技術が市場で持つ強みを知財情報から分析し、その結果を研究部門にフィードバックするというサイクルᴮ³は、まさにこの戦略的ポートフォリオ構築を支える具体的な活動と言えます。
収益・エコシステムモデル:「IP for Good」による共創価値
富士通の知財戦略がユニークなのは、権利の独占や直接的なライセンス収入の最大化のみを目的とせず、知財を「共創の触媒」として活用し、より大きなエコシステム価値を生み出そうとしている点です。その象徴的な取り組みが、「FUJITSU Technology Licensing Program for SDGs」です¹⁰、¹¹、¹⁷。
このプログラムは、富士通が保有する特許のうち、自社事業では直接利用していない、いわゆる「未活用特許」を、SDGs達成に貢献することを目的として、国内外の企業、大学、研究機関などにライセンス供与するものです。これは単なる社会貢献活動(CSR)に留まらず、富士通のパーパスを具現化し、新たな事業機会を創出する高度な戦略と位置づけられます。
その成功事例として頻繁に挙げられるのが、「光触媒チタンアパタイト」技術のライセンスです¹⁰, ᴮ⁷。この技術は、紫外線を当てることで抗菌性を発揮する材料に関するもので、富士通は当初、自社のPCや携帯電話の筐体への応用を想定して特許を取得しました。しかし、結果的に自社製品への大規模な採用には至りませんでした。そこで同社は、この技術を本プログラムを通じて外部に開放。その結果、累計で約30社のライセンス先企業が、富士通が想定もしていなかった製品、例えば空気清浄機のフィルター、マスク、ボールペンといった多様な製品を開発・販売するに至りました¹⁰, ᴮ⁷。
この事例が示す戦略的意義は複数あります。第一に、研究開発投資から生まれたものの事業化に至らなかった「埋蔵資産」を知財ライセンスという形で収益化し、投資の一部を回収した点です。第二に、ライセンス先のパートナー企業(特に中小企業やスタートアップ)にとっては、自社単独では開発が難しい高度な技術を活用して新製品を市場に投入する機会を得た点です。富士通はライセンス供与に際し、技術サポートや広報協力も積極的に行っておりᴮ⁷、パートナーの成功を後押ししています。第三に、そして最も重要なのが、この共創を通じて社会課題(この場合は衛生環境の向上)の解決に貢献し、富士通の企業ブランド価値と社会的評価を高めた点です。直接的なライセンス収入以上に、こうした無形の価値や、将来の協業につながる可能性のあるパートナーシップネットワークの構築こそが、このプログラムの真の戦略的リターンであると分析されます。
この「IP for Good」とも言うべきアプローチは、知財を自社だけで囲い込むのではなく、社会の公器として活用することで、自社と社会の双方に価値をもたらすという、新しい時代の知財活用のあり方を示唆しています。
市場・顧客アプローチ:ブランドとデザインによる体験価値の保護
富士通がDXサービス企業へと変貌を遂げる中で、顧客との接点は物理的なハードウェアから、デジタルなソフトウェアやサービスへと移行しています。この変化に伴い、特許で保護される機能的価値と同等、あるいはそれ以上に、ブランドやデザインによって担保される「体験価値(UX)」の重要性が増しています。
この領域を担うのが、知的財産戦略室です。同室は、特許だけでなく、商標や意匠といった「ソフトIP」の権利化・管理も担当し¹²、グローバル市場で一貫したブランドイメージを構築・保護する役割を担っています。特に「Fujitsu Uvance」のようなサービスブランドは、顧客が富士通の提供価値を認知する上での重要な入り口であり、その名称やロゴを商標権で強固に保護することは、事業戦略の根幹を支える活動です。
さらに、富士通は個別の権利をバラバラに取得するのではなく、複数の知財を組み合わせる「知財ミックス戦略」によって、総合的な競争優位性を構築していると見られますᴮ²。例えば、あるUvanceのオファリングは、その中核となるデータ処理技術が「特許」で保護され、ユーザーインターフェースの優れたデザインが「意匠権」で保護され、そしてサービス全体の名称が「商標権」で保護される、といった多層的な防御が考えられます。これにより、競合他社は単一の技術を模倣するだけでは富士通の提供価値全体を再現することが困難になり、持続的な競争優位性が確保されます。
富士通グループの一員である富士通ゼネラルが、エアコンのブランド「ノクリア」や「AIRSTAGE」を登録商標として保有していること⁴も、製品・サービスレベルでのブランド価値保護がグループ全体で徹底されていることを示す一例です。デジタル時代において、顧客の信頼とロイヤルティを獲得する上で、こうしたブランドとデザインに関わる知財戦略の重要性は、今後ますます高まっていくものと予測されます。
当章の参考資料
- https://www.fujitsu-general.com/shared/jp/pdf-fcjp-csr-integrated-report-2025-all-02.pdf
- https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4615
- https://yorozuipsc.com/uploads/1/3/2/5/132566344/6ba46ebf47a49720c8b4.pdf
- https://www.tokkyo.ai/tokkyo-interview/fujitsu-ip/
- https://yorozuipsc.com/blog/127895801
- https://ipforce.jp/applicant-593/stats
- https://www.fujitsu.com/jp/imagesgig5/ipreport2006j.pdf
- https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4615
- https://www.fujitsu.com/jp/about/businesspolicy/tech/intellectualproperty/portfolio/
ᴮ². https://www.fujitsu.com/jp/about/businesspolicy/tech/intellectualproperty/
ᴮ³. https://global.fujitsu/-/media/Project/Fujitsu/Fujitsu-HQ/about/integrated-report/download-integrated-report/integrated-report-2024_jp.pdf?rev=6410d25a658444aebcb77a82beebba25
ᴮ⁷. https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4615
競合比較
富士通の知財戦略の独自性をより深く理解するためには、同業の国内大手IT企業であるNEC(日本電気株式会社)および日立製作所の戦略との比較が不可欠です。各社ともに知財を重要な経営資源と位置づけていますが、その哲学、組織体制、そして重点を置く活用モデルには顕著な違いが見られます。この比較分析を通じて、富士通が日本のハイテク業界において、どのような戦略的ポジショニングを築こうとしているのかが明らかになります。
NEC:収益化を徹底追求するマネタイズ戦略
NECの知財戦略は、「収益化」への強い志向が特徴です。同社は知的財産を「事業競争力と安定性の根幹を支える重要な経営資源」と明確に位置づけ³⁰、知財ライセンスによる収益力向上を積極的に推進しています。特に注目すべきは、2026年度から始まる次期中期経営計画において、知財関連事業で「全社利益の10%」を稼ぎ出すという極めて野心的な財務目標を掲げている点です³⁰。
この目標達成のため、NECは顔認証やAI創薬といった自社の強みを持つ先端技術分野の特許ポートフォリオを拡充し、スタートアップから大手企業まで幅広い層へのライセンス提供を加速させています³⁰。組織面でも、2026年4月を目処に、特許権利化支援や調査分析を担ってきた完全子会社「日本電気特許技術情報センター」を吸収合併し、本社の「知的財産&ルールメイキング部門」に機能を統合することを決定しました³⁰。これは、意思決定の迅速化と経営資源の最適化を図り、より効率的かつ強力に収益化を推進するための布石であると見られます。
NECの戦略は、知財が生み出すキャッシュフローを最大化することに主眼を置いた、非常に明確でアグレッシブな「マネタイズ・ドリブン」モデルと言えます。そのためのフレームワークとして「イノベーションサイクルドライバーとしての知的財産活動」を策定しており²⁹、経営と一体化した知財活動を実践しています³¹。
日立製作所:Lumada事業を核とするシナジー創出戦略
日立製作所の知財戦略は、同社のデジタル事業の中核である「Lumada」との強固な連携が最大の特徴です。同社は、CIPO(Chief Intellectual Property Officer)を設置し、その主導のもとで組織横断的かつグローバルに知財活動を強化しています³³。
日立の戦略で特筆すべきは、保護対象を知的財産権(特許、意匠など)に限定せず、ソフトウェア、データ、ノウハウ、企業秘密といった広範な「IP(Intellectual Property)」として捉えている点です³³。そして、これらの多様なIPをグループ全体で共有・活用することで、事業間・地域間のシナジーを創出し、Lumadaソリューションの価値を最大化することを目指しています。これは、グループ全体の総合力を結集する「真のOne Hitachi」の実現に貢献する、「プラットフォーム・ドリブン」なアプローチと言えます。
また、日立は生成AIの進展といった新たな技術トレンドにも迅速に対応しており、著作権リスクの分析や社内ガイドラインの策定、知財業務への生成AI活用など、リスク管理と機会創出の両面で先進的な取り組みを進めていることも注目されます³³。
比較分析表と富士通の独自性
これら競合の戦略と比較することで、富士通の知財戦略の独自性がより鮮明になります。以下の表は、3社の戦略を主要な項目で比較したものです。
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比較項目
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富士通 (Fujitsu)
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NEC (Nippon Electric Company)
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日立製作所 (Hitachi)
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中核となる知財哲学
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パーパス・ドリブン:企業の存在意義(社会への信頼と持続可能性)の実現を知財活用の根幹に据える¹⁶, ¹⁷。
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マネタイズ・ドリブン:知財を事業競争力と収益の源泉と位置づけ、キャッシュフロー創出を重視³⁰。
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プラットフォーム・ドリブン:Lumada事業の価値向上とグループシナジー創出の源泉として知財を活用³³。
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組織体制
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中央集権的な「知財グローバルヘッドオフィス」と、事業部門に埋め込まれた担当者による連携体制⁷, ¹²。
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本社「知的財産&ルールメイキング部門」への機能集約。子会社吸収による効率化と迅速化を推進³⁰。
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CIPO主導のグローバル横断体制。特許、ソフトウェア、データなど広範なIPを一元管理³³。
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重点技術分野
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「5 Key Technologies」、特に「Fujitsu Uvance」を支えるAI応用技術の権利化に注力ᴮ³, ²⁴。
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顔認証、AI創薬など、直接的な収益化が見込めるコア技術にフォーカス³⁰。
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デジタルおよびLumada関連領域。事業間シナジーから生まれる知財を重視³³。
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エコシステム・収益化モデル
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社外共創モデル:「IP for Good」を体現するSDGsライセンスプログラムで、社会課題解決とエコシステム形成を推進¹⁰, ¹¹。
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直接収益モデル:全社利益の10%という高い財務目標を設定。積極的なライセンス活動を展開³⁰。
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社内活用モデル:グループ内でのIP共有を推進し、主にLumadaソリューションの強化と内製イノベーションを促進³³。
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近年の戦略的動向
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AI基盤「Fujitsu Kozuchi」関連の知財ポートフォリオ構築ᴮ³。WIPO GREENを通じた環境技術の活用促進¹¹, ¹⁷。
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知財関連子会社の吸収合併(2026年予定)³⁰。知財事業の野心的な財務目標設定³⁰。
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生成AIに関するリスク管理と活用ガイドラインの策定など、新技術への迅速な対応³³。
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この比較から、富士通の戦略が持つ明確な独自性が浮かび上がります。NECが知財の「経済的価値」の最大化を、日立が「社内での相乗効果」の最大化を追求しているのに対し、富士通は知財の「社会的価値」と「共創的価値」の創出を戦略の中心に据えています。
「FUJITSU Technology Licensing Program for SDGs」に代表されるように、自社の利益のみならず、パートナーや社会全体の利益に貢献する形で知財を活用しようという思想は、競合他社には見られない際立った特徴です。これは、短期的な収益インパクトでは測れない、ブランドレピュテーションの向上、イノベーションネットワークの構築、そして優秀な人材の獲得といった、中長期的な企業価値向上に繋がる可能性があります。
結論として、富士通は知財戦略において、単なる技術力や収益性の競争とは異なる次元で、企業の社会的責任や存在意義を問い直すという、先進的なアプローチを採っていると評価できます。このパーパスを基軸とした戦略こそが、同社の最大の差別化要因であり、持続的な成長の鍵を握っていると推察されます。
当章の参考資料
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- https://yorozuipsc.com/blog/127895801
- https://www.fujitsu.com/jp/about/businesspolicy/tech/intellectualproperty/portfolio/
- https://jpn.nec.com/intellectual-property/topics/250929.html
- https://dempa-digital.com/article/698603
- https://jpn.nec.com/intellectual-property/topics/240926.html
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リスク・課題
富士通が推進する先進的な知財戦略は、多くの機会を創出する一方で、多様かつ複雑なリスクと課題に直面しています。これらのリスクは、短期的に対処すべきオペレーショナルなものから、中長期的に事業モデルの根幹を揺るがしかねない戦略的なものまで、多岐にわたります。本章では、時間軸に沿って潜在的なリスクと課題を分析し、その戦略への影響を考察します。
短期的リスク(1〜2年)
短期的なリスクは、主に日々の事業活動に直接影響を及ぼす可能性のある、具体的かつ顕在化しやすいものです。
- 特許侵害訴訟リスク:
ハイテク業界において、特許侵害訴訟は常に存在する経営リスクです。富士通自身も、有価証券報告書の「事業等のリスク」項目において、自社製品・サービスが他社の知財を侵害した場合、使用料の支払いや設計変更費用が発生し、損益に影響を及ぼす可能性があると言及しています³⁶, ᴮ¹⁰。過去には、Netgear社との規格特許に関する訴訟²⁷や、台湾のNanya Technology社とのDRAM製品に関する特許訴訟²⁸など、実際に訴訟を経験しています。グローバルな事業展開と技術の複雑化に伴い、特に競争の激しいAIやコンピューティング分野では、競合他社や特許不実施主体(NPEs)からの訴訟リスクは常に警戒すべき課題です。
- オープンソースソフトウェア(OSS)のコンプライアンス:
現代のソフトウェア開発においてOSSの利用は不可欠ですが、そのライセンスは多種多様で複雑な義務を課すものが少なくありません。富士通は、サービスビジネスへのシフトを加速させており、OSSの利用形態が許諾条件に違反していると指摘された場合、ソースコードの開示義務や損害賠償といった深刻な事態に発展する可能性がありますᴮ¹⁰。同社はOSSコンプライアンス体制を構築しているとしていますがᴮ²、全社レベルで膨大な数のソフトウェアコンポーネントを管理し、常にライセンスを遵守し続けることは、継続的な努力を要するオペレーショナルな課題です。
- 共創活動における情報管理:
「FUJITSU Technology Licensing Program for SDGs」に代表されるオープンイノベーションや共創活動は、新たな価値創造の源泉である一方、情報漏洩のリスクを増大させます。パートナー企業との技術的な協議やデータ共有の過程で、特許化されていないノウハウや営業秘密といった重要な知的資本が意図せず流出する可能性があります。共創のスピード感と、厳格な情報管理という、時に相反する要求のバランスを取ることは、極めて高度なマネジメントを必要とします。
中期的リスク(3〜5年)
中期的なリスクは、組織体制や人材、ポートフォリオの質に関わる、より構造的な課題です。
- グローバルな知財ポートフォリオ管理の複雑化:
富士通は世界中で事業を展開し、多数の特許を保有・維持しています。各国の法制度、審査基準、維持費用の違いに対応しながら、事業戦略上最適な国で権利を取得し、維持・放棄の判断を的確に行うことは、莫大なコストと専門知識を要します。特に、特定の地域では法的な制約により知財が十分に保護されず、模倣品のリスクに晒される可能性も指摘されていますᴮ¹⁰。事業のグローバル化が進むほど、このポートフォリオ管理の複雑性とコストは増大し続けます。
- 高度知財人材の確保と育成:
現代の知財担当者には、法律や技術の専門知識だけでなく、経営戦略を理解し、事業部門と対等に議論できるビジネススキルが求められます¹²。特に、富士通のように知財を事業共創のツールとして活用する戦略においては、ライセンス交渉、アライアンス構築、技術評価といった多様な能力を持つ人材が不可欠です。このような高度なスキルセットを兼ね備えた人材は市場全体で希少であり、その獲得競争は激化しています。社内での育成にも時間がかかるため、中長期的な人材パイプラインの構築は喫緊の課題と言えます。
- 技術の陳腐化とポートフォリオの最適化:
AIやコンピューティングといった技術分野は、進化のスピードが極めて速く、数年前に取得した特許が今日では価値を失っているという事態が起こり得ます。価値の低くなった特許を維持し続けることはコストの無駄遣いになるため、定期的にポートフォリオ全体を見直し、事業貢献度の低い権利を放棄(プルーニング)し、そのリソースを新たな重点技術分野に再投資する、ダイナミックなポートフォリオ管理が求められます。この新陳代謝を効果的に行えるかどうかが、知財投資の効率性を左右します。
長期的リスク(5年以上)
長期的なリスクは、法制度や市場構造の変化といった外部環境の変動に起因する、予測が困難で、かつ事業の根幹に影響を与えうるものです。
- 生成AIを巡る法的不確実性:
富士通の戦略はAIを中核に据えていますが、生成AIが生み出すコンテンツの著作権や、AIが自律的に行った発明の特許適格性など、AIと知財を巡る法制度は世界的にまだ黎明期にあり、大きな不確実性を抱えています。文化庁の見解では、人間の「創作的寄与」がなければAI生成物に著作物性は認められないとされていますが⁴⁵、⁴⁶、この「寄与」の程度を巡る議論は続いています。将来的に、AIによる学習データの利用が厳しく制限されたり、AI発明の保護が認められなかったりするような法改正が行われた場合、富士通のAI関連事業や研究開発に大きな制約が生じる可能性があります。
- データ主権と知的財産の交錯:
DXの進展に伴い、データそのものが価値を持つ重要な経営資源となっています。一方で、各国の経済安全保障政策の一環として、自国内のデータを国外に移転することを規制する「データ主権(データソブリンティ)」の考え方が強まっています⁵¹, ⁵⁴, ⁵⁶。データは著作権や営業秘密といった知的財産と密接に関連しており、国境を越えたデータ流通の制限は、グローバルなサービス提供や研究開発体制に影響を及ぼす可能性があります。データという新たな保護対象と、従来の知的財産権法との関係性をどのように整理し、グローバルな規制の潮流に対応していくかは、長期的な戦略課題です。
- ビジネスモデル変革への追随:
富士通は、ハードウェアの売り切りモデルから、サービスとしてのソフトウェア提供(SaaS)やサブスクリプションモデルへと事業構造を転換しています。これらのサービスベースのビジネスモデルを効果的に保護するためには、従来の製品特許とは異なる知財戦略が求められます。例えば、ビジネス方法特許の活用、サービス提供プロセスにおけるノウハウの秘匿化、利用規約や契約による権利保護など、多様な手段を組み合わせる必要があります。事業モデルの変革スピードに知財戦略が追随できなければ、新たな収益源の競争優位性を十分に確保できないリスクがあります。
これらのリスク・課題は、富士通の知財戦略が常に変化し続ける外部環境に適応し、進化し続ける必要があることを示しています。リスク管理体制の強化³⁵, ³⁷, ³⁸と、将来を見据えた法制度・技術動向のモニタリングが、今後の持続的成長の鍵を握ると言えるでしょう。
当章の参考資料
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ᴮ¹⁰. https://pr.fujitsu.com/jp/ir/policy/risk/
今後の展望
富士通の知財戦略は、単に社内の方針に留まらず、国内外の政策動向、技術革新、そして市場構造の変化といったマクロな潮流と密接に連携しながら、その未来像を形成していくものと見られます。本章では、これらの外部環境との接続点から、富士通の知財戦略が今後どのような方向に進化していく可能性があるのかを展望します。
国家戦略との同期:「知財推進計画2025」との整合性
日本政府の知的財産戦略本部は、2025年6月に「知的財産推進計画2025」を決定しました³⁹, ⁴¹。この計画は、日本の国際競争力低下という現状認識のもと、「IPトランスフォーメーション」を掲げ、知財を基軸とした新たな価値創造サイクルの構築を目指すものです⁴¹、⁴²。計画が示す方向性は、富士通の現在の知財戦略と驚くほど高い整合性を持っています。
計画の柱の一つである「知財・無形資産への投資による価値創造」³⁹は、企業に対し、知財を戦略的に活用し、その価値をステークホルダーに積極的に発信するよう求めています。富士通が統合レポートを通じて知財戦略を開示し、パーパス経営との連動性を強調していることは、まさにこの方針を先取りする動きと言えます。
また、計画ではスタートアップや中小企業との連携、地方創生への貢献も重視されており⁴²、富士通の「FUJITSU Technology Licensing Program for SDGs」による地域企業へのライセンス提供¹¹、¹⁷は、この国家戦略を民間レベルで実践するモデルケースとなり得ます。
さらに、計画が戦略領域として選定した8分野には、「デジタル・AI」や「情報通信」が含まれており³⁹、富士通が注力する「5 Key Technologies」と大きく重なります。今後、政府がこれらの分野における研究開発や標準化活動を後押ししていく中で、富士通は自社の知財ポートフォリオを活かし、官民連携プロジェクトなどで主導的な役割を果たす機会が増える可能性があります。このように、富士通の知財戦略は、国の大きな方針と歩調を合わせることで、追い風を受ける形でさらに推進されていくものと予測されます。
AI・データ時代のルール形成への関与
今後の知財制度の最大の論点は、間違いなくAIとデータです。生成AIの学習データとしての著作物の利用(インプット)と、AIが生成したコンテンツの権利(アウトプット)を巡る法整備は、現在進行形で議論が進められています⁴³, ⁴⁶, ⁴⁷。文化庁などが示す考え方⁴⁹は一つの指針となりますが、産業界の実態に即した、イノベーションを阻害しないルール形成が不可欠です。
富士通は、AI技術を開発する側(AI開発者)であると同時に、AIサービスを顧客に提供し、また社内でも活用する側(AI利用者)でもあります。このユニークな立場は、AIと知財を巡るルール形成において、極めて重要な示唆を与えることができることを意味します。例えば、AI開発者として学習データの適正な利用方法に関する技術的・倫理的ガイドラインを提示する一方で、AI利用者として、顧客が安心してAI生成物を利用できるための著作権侵害リスク低減ソリューション(例:生成物の類似性チェックツールなど)を開発・提供することも考えられます。
富士通が持つ技術的知見と、多様な顧客との実ビジネスから得られる経験を政策提言や業界団体での議論に活かすことで、自社にとって有利なだけでなく、日本のAI産業全体の健全な発展に資するルール形成に貢献していくことが期待されます。これは、同社の知財戦略における「国際標準化・ルールメイキング」活動⁷の一環として、今後ますます重要性を増していくでしょう。
信頼を基盤とするデータエコシステムの構築
DXが進展し、あらゆる産業でデータ連携の重要性が高まる中、経済産業省は「ウラノス・エコシステム」構想を推進しています⁵¹, ⁵⁵。これは、業界の垣根を越えて企業がデータを安全に共有・活用するための連携基盤を構築する取り組みであり、その根底には「信頼性のある自由なデータ流通(DFFT: Data Free Flow with Trust)」という思想があります。
このようなデータエコシステムが機能するためには、参加企業が安心して自社の貴重なデータ(営業秘密やノウハウを含む)を提供できる仕組みが不可欠です。ここで、知的財産の管理と保護が決定的に重要な役割を果たします。誰がデータへのアクセス権を持ち、利用目的はどう制限され、そこから生まれた新たな知見(AIモデルや分析結果など)の知財は誰に帰属するのか。これらのルールを明確に定めた知財フレームワークがなければ、企業はデータ共有に踏み切れません。
富士通は、セキュリティ技術(5 Key Technologiesの一角)に強みを持ち、かつ社会からの「信頼」をパーパスの中心に据えています。この強みを活かし、ウラノス・エコシステムのような次世代の産業データ基盤において、技術的な安全性と知財的な信頼性を両立させるためのアーキテクチャ設計やルールメイキングで主導権を握る可能性があります。自社の知財戦略で培った共創のノウハウを、より大きな社会基盤の構築に応用していくこと。これは、富士通が単なるITベンダーから、デジタル社会の信頼を創造する「トラスト・プロバイダー」へと進化していく上での、重要な一歩となるかもしれません。
総じて、富士通の知財戦略は、今後、国家戦略との連携、新時代のルール形成への関与、そして社会的な信頼基盤の構築という、よりマクロで公共性の高い領域へとその射程を広げていくことが展望されます。
当章の参考資料
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戦略的示唆
本レポートの分析結果は、富士通の経営層、研究開発部門、そして事業部門に対し、知的財産をさらに強力な経営の武器として活用するための具体的なアクションを示唆しています。知財戦略を次のステージへと進化させるために、各部門が取るべき行動の候補を以下に提言します。
経営(CEO、CFO、取締役会)への示唆
- 知財ポートフォリオの「資産クラス」としての評価:
経営層は、知財ポートフォリオを、有形資産や金融資産と並ぶ独立した「戦略的資産クラス」として認識し、評価・管理する視点を持つべきです。具体的には、CFOは知財部門と連携し、ポートフォリオの維持コスト、ライセンス収入、訴訟リスク引当金といった財務的側面だけでなく、ブランド価値への貢献度や、特定事業の競争優位性をどれだけ担保しているかといった非財務的価値を可視化し、定期的に取締役会に報告する仕組みを強化することが望まれます。これにより、知財への投資判断が、より経営全体の視点から最適化されるでしょう。
- M&AおよびCVC投資における知財デューデリジェンスの必須化:
企業の成長戦略においてM&Aやコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)によるスタートアップ投資の重要性が増す中、投資判断プロセスに「知財グローバルヘッドオフィス」のインテリジェンス機能を必須のインプットとして組み込むべきです。買収・投資対象企業の技術の独自性、権利の有効性、潜在的な侵害リスクなどを事前に徹底的に評価することで、投資の成功確率を高め、将来の偶発債務を回避できます。知財分析は、技術力という無形資産を評価するための、最も客観的な指標の一つです。
- 「知財ROI」の多角的評価指標の導入:
知財活動の投資対効果(ROI)を、直接的なライセンス収入だけで測るべきではありません。「ブランドエクイティ向上への貢献度」「重要製品の売上維持への寄与率」「訴訟回避によるコスト削減効果」「共創パートナーシップの創出件数」など、多角的なKPI(重要業績評価指標)を設定し、知財部門のパフォーマンスを評価することが推奨されます。これにより、短期的な収益には繋がりにくいものの、中長期的な企業価値向上に不可欠な活動(例:SDGsライセンスプログラム)が正当に評価され、継続的な推進が可能となります。
研究開発(CTO、研究所)への示唆
- IPランドスケープを起点とする研究テーマ設定:
研究開発の初期段階、すなわちテーマ設定の段階から、「知財インテリジェンスサービス室」ᴮ⁵を積極的に活用し、徹底したIPランドスケープ分析を行うべきです。競合がひしめく「レッドオーシャン」な技術領域を避け、自社の強みが活かせる、あるいは将来有望な「ホワイトスペース(未開拓領域)」を特定し、そこに研究開発リソースを戦略的に投入するアプローチを徹底することが求められます。これは、研究開発の成功確率を高め、独自性の高い、強力な特許網の構築に直結します。
- 「IPアウェアネス」を組み込んだR&Dプロセス改革:
発明が生まれてから知財部門に相談する、という従来のプロセスから脱却し、アイデア創出の段階から知財担当者が議論に参加する「IPアウェアな(知財を意識した)」R&Dプロセスを全社的に導入すべきです。これにより、発明の新規性・進歩性を高めるためのアドバイスや、他社特許を回避するための設計変更(デザインアラウンド)が早期に可能となり、手戻りの少ない効率的な開発と、質の高い発明創出の両立が期待できます。全研究員に対する継続的な知財教育¹⁰も、この文化を醸成する上で不可欠です。
- 「発明者」から「知財価値創造者」へのマインドセット変革:
研究員の評価制度において、単なる特許出願件数だけでなく、その発明が事業にどう貢献したか(製品化、ライセンス化など)、あるいは社会課題解決にどう繋がったか(SDGsライセンスプログラムでの活用など)を評価する仕組みを導入することが有効です。これにより、研究員は自らの発明を知的「財産」として捉え、その価値を最大化することに動機づけられ、事業部門との連携にもより積極的になることが期待されます。
事業化(事業本部長、営業部門)への示唆
- 知財担当者のビジネス開発チームへの統合:
各事業部門に配置されている知財戦略担当者¹²を、法務アドバイザーとしてではなく、事業開発チームのコアメンバーとして位置づけるべきです。新製品・サービスの企画段階から知財担当者が参画し、事業戦略と知財戦略を一体で策定することで、市場投入の初期から競争優位性が組み込まれた、模倣困難なビジネスモデルを構築できます。
- 特許ポートフォリオの「マーケティング・ツール」としての活用:
自社が保有する強力な特許ポートフォリオを、単なる防御の盾ではなく、顧客やパートナー候補との対話を開くための「攻めの名刺」として活用すべきです。商談の場で、「我々のソリューションは、これだけの特許技術に裏打ちされた独自性の高いものです」と具体的に提示することは、技術的な信頼性を雄弁に物語り、価格競争からの脱却を促す強力な武器となります。特に、無形のサービスが中心となるDXビジネスにおいて、その価値を客観的に示す上で特許は有効なツールです。
- 知財を起点とした新たな収益モデルの模索:
自事業で直接使用していない技術資産(未活用特許やノウハウ)を、知財部門と連携して棚卸しし、他業種の企業へのライセンスアウトや、共同事業(ジョイントベンチャー)の設立など、新たな収益源に繋げる活動を積極的に模索すべきです。自社にとっては周辺技術であっても、他社にとっては事業の核となりうる技術は数多く存在します。知財を起点としたオープンイノベーションは、既存事業の枠を超えた成長機会を創出する可能性を秘めています。
当章の参考資料
- https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4615
- https://www.tokkyo.ai/tokkyo-interview/fujitsu-ip/
ᴮ⁵. https://www.tokkyo.ai/tokkyo-interview/fujitsu-ip/
総括
本レポートで詳述した通り、富士通の知的財産戦略は、単なる権利保護の枠組みを超え、企業経営の根幹を成す戦略的機能へと昇華しています。その核心は、**「パーパス経営との完全なる統合」**にあります。「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にする」という企業の存在意義が、知財戦略のあらゆる側面に浸透しており、技術ポートフォリオの選択から、共創エコシステムの構築、さらには組織体制の設計に至るまで、すべてがこのパーパスを実現するという一貫した論理で結ばれています。
この戦略は、競合他社が直接的な収益化や社内シナジーを追求する中で、「社会的価値の創出」を知財活用の主軸に据えるという、明確な差別化を実現しています。これは、短期的な財務指標では測れないブランド価値、社会的信頼、そして未来のイノベーション機会といった無形資産を着実に蓄積する、持続可能性の高いアプローチであると評価できます。
意思決定者への最大の含意は、**「もはや知財戦略は事業戦略と別物ではない」**という事実です。富士通の事例は、知財が経営の意思決定、研究開発の方向性、そして市場への価値提供方法と不可分に結びついたとき、いかに強力な競争優位性の源泉となりうるかを明確に示しています。同社がグローバルなDXサービス企業としてさらなる成長を遂げる上で、この先進的な知財戦略が、その根幹を支える最も重要な基盤の一つであり続けることは間違いないでしょう。
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【本レポートについて】
本レポートは、公開情報をAI技術を活用して体系的に分析したものです。
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