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買い物データ活用で実現する「頑張らないヘルスケア」~シルタスに学ぶ事業モデル・技術・特許戦略

買い物データ活用で実現する「頑張らないヘルスケア」~シルタスに学ぶ事業モデル・技術・特許戦略

2026.1.23

「発明塾」塾長の楠浦です。
今回は、久々のエッジ情報紹介とします。

紹介したいのは、以下にAIメモを掲載した「シルタス」という企業の製品・サービスです。

「買い物データを自動で栄養素に変換する」次世代健康アプリ企業 シルタス(SIRU+)の事業戦略と知財戦略|楠浦崇央
https://note.com/kusuura/n/n625f5a06c7ae

ちょっと「ヤラレタ感」があったんですよね。
シルタスの事業詳細など、一次情報のまとめは、noteを見ていただくとして、ここでは、概要を簡単に紹介した上で、特許(全6件)を見ていきたいと思います。

「頑張らないヘルスケア」「食べたいものを食べて健康に」

顧客の「負・不・非」を、うまくキャッチフレーズにしてますね
現在、企画提案書作成中の「企業内発明塾」参加者の方は、参考にしていただければと思います。

何を食べて、何カロリーで、どういう栄養バランスか、なんて、なかなか管理できないですよね。
なので「レシート」で管理します、みたいなのがあればいいよね、と思ってたのですが、ありました(笑)。
これだったら、遠くに住んでいる家族の栄養管理もできそうです。

完全栄養とか、栄養バランスの取れた冷食とか、いろんなソリューションはありますが、やはり「食べたいものを食べたい」というニーズは根強いのでしょう。
僕は、あまり食べ物にこだわりがないので、たぶん3食が「完全栄養」とか「栄養バランスが取れた冷食」でも、あまり気にしない気がしますが(笑)、そのうち「飽きる」気はしますね…

ということで、食べたいものを食べつつ、栄養管理ができるツールとして、シルタスは「購買データ」で管理できますよ、と言っています。
4人家族だとどうするんだ、とか、外食もあるよね、とか、いろいろ気になるところですが、それは別途特許で解読していきましょう。
僕も、この突っ込みどころがとても気になったので、すぐに特許を読みました(笑)。

BtoC、BtoB、自治体向け、の3本柱で事業運営

僕がこういう事業を分析していつも思うのは、「データをどれだけ使いまわせるか」で、利益や市場規模が決まるんだな、ということです。

シルタスの場合、消費者向け(BtoC)には、「SIRU+」というアプリを提供し、購買データから栄養を可視化するサービスを行っています。
何を買ったかがわかれば、摂取した栄養がわかるよね、というロジックです。
「誰が食べたかわからんやろ!」「外食が増えたらどうすんねん!」などの突っ込みどころは、あとで説明します(笑)。

事業者向け(BtoB)では、マーケティングツールとしてこのデータを活用しましょう、という提案をしています。
「鉄分不足のユーザがよく購入する商品群」や「健康志向層の購買傾向」といった分析結果をもとに、新商品の開発や販促キャンペーン設計を支援するんですね。
また、この消費者は明らかにタンパク質が足りないな、みたいなこともわかるので、こういうデータも販促や商品開発に活かせますね。

小売り企業だけでなく、食品企業にも役立つデータが集まる仕組みだ、というのがポイントです。
これは、過去配信でいうと、医療ビッグデータ企業「メディカル・データ・ビジョン(MDV)」に近い仕組みだと、僕は考えています。
メディカル・データ・ビジョンについては、noteに最新のAIメモをアップしておきますね。

MDV(メディカル・データ・ビジョン)の最新動向、技術・事業戦略、および知財戦略(1)~SBIとの提携や今後の可能性を含め
https://note.com/kusuura/n/n641710116ed0

最後に自治体向けですが、購買データを活用すれば、地域住民の栄養状態を可視化できます。
これらデータを用いて、健康増進施策やスマートシティ施策を推進する、みたいな事業を手がけています。
「野菜摂取量」が少ないから、学校給食で野菜を増やす、みたいな打ち手が、自治体として取れるわけですね。
あるいは、タンパク質摂取量が少ない高齢者が多いなら、フレイル予防の施策を考える、みたいなイメージでしょうね。

一粒(データ)で、三度おいしい、儲かる条件は、満たしてますね
今後、健診データやPHR(パーソナルヘルスレコード)と連携する、としているのですが、食事データと医療データの連携は面白い領域です。
こうなると、食品メーカーやサプリメーカーを中心に、薬以前・未満のソリューションも、どんどん増えそうですね。

シルタスの製品・サービスと構想を「特許」で読む(1)~基本特許の2件

6件見ていくので、特許嫌いの方はスルーしてください(笑)。
noteに概要をアウトソースできたので、特許解説に力を入れられます(笑)。
今までも、調べていたのですが、長くなるのでメルマガには掲載してなかったんですよね…
時系列で行きます。

①買い物支援システム、買い物支援サーバ、プログラム及びユーザ端末
https://patents.google.com/patent/JP2019191625A/ja

2018年4月出願です。
内容は「購入した食材から栄養の過不足を推定する」というものです。
購入した商品の商品コードと、対応するデータベースから、栄養の種類と量を算出し、偏りを評価する仕組みです。
明細書には、睡眠データなど、健康に関するデータと組み合わせられる、と書いていますね。

②買い物支援システム、買い物支援サーバ、プログラム及びユーザ端末
https://patents.google.com/patent/JP2019191626A/ja

こちらも2018年4月出願。
①と連番の同日出願ですね。
内容は、「ユーザの好みを考慮した買い物を支援する」というものです。
栄養(健康)だけでなく、「好きなものを食べて」の方にも、配慮した内容ですね。
この2つが同日出願なので、最初から「好きなものを食べて健康に」という顧客価値を目指していたのは間違いなさそうです。

ちなみに、AIに解説させると、以下のような違いがあるとのこと。

①JP2019191625A

・発明の目的:消費者が「栄養バランスに優れた食事ができるような買い物」を可能にする買物支援システム。

・解決手段:

 - 複数の店舗端末(販売店管理端末)と、ユーザ端末、そしてそれらと通信可能なサーバ装置を備える。
 - ユーザ端末からユーザ識別情報を送信。販売店管理端末からユーザが購入した食品に関する購入食品情報をサーバが受信。購入記録をサーバでユーザ別に記憶。
 - サーバ側で、ユーザが購入した食品それぞれが有する栄養素の種類別栄養価を解析し、ユーザの栄養素の偏りを示す「栄養偏向情報」を生成。これをユーザ端末に送信。
 - 更に、ユーザが健康の志向(健康志向情報)を登録していれば、その志向に応じた栄養偏向情報生成も可能。
 - 発展形として、偏りに応じて「摂取を推奨する食品」や「その食品を材料とする料理の料理方法(レシピ)」を抽出・提供する機能も記載。

・ポイント:主に “購入食品履歴” → “栄養素分析” → “栄養バランス偏りの可視化” に重点。

②JP2019191626A

・発明の目的:消費者の嗜好を考慮した買物を可能とする買物支援システムを提供すること。

・解決手段:

 - ユーザ端末・店舗端末・サーバ装置からなる構成(同趣旨)。
 - ユーザ端末からユーザ情報をサーバに送信、店舗端末から電子レシート情報(ポイントカードID等を含む)を受信、サーバでユーザ毎の購入履歴をユーザ別履歴データベースに蓄積。
 - サーバで「嗜好特定部」が、ユーザが比較的好んで摂取する食材を特定。

僕が特許を読んだ範囲では、合ってますね(笑)。

シルタスの製品・サービスと構想を「特許」で読む(2)~顧客課題の解像度を上げた2件

③買い物支援システム、買い物支援サーバ、プログラム及びユーザ端末
https://patents.google.com/patent/JP2020135720A/ja

こちらは2019年2月の出願です。
最初の出願から少し間が空いてますね。

こちらでは、ユーザ/その家族の購入食品情報を利用して、食品ごとの価格とグラム単価から「摂取量」を推測し、そこから栄養素別の栄養価を解析、ユーザ及びその家族の 1 日毎の栄養素の偏り(栄養偏向情報)を出す、とあります。
つまり、「どれくらい量を買った/摂ったか」を推定し、家族単位・1日毎という時間軸も含めて栄養バランスを可視化する内容ですね。

顧客課題、そして、ソリューションの解像度が、明らかにあがっています
栄養管理アプリ「SIRU+(シルタス)」のサービス開始は、2019年3月ですので、その前に出しておくべき内容だった、ということでしょう。

④買い物支援システム、買い物支援サーバ、プログラム及びユーザ端末
https://patents.google.com/patent/JP2020135721A/ja

こちらも2019年2月出願。
③と連番の同日出願ですね。
内容は、だいたい同じです。
ただ、請求項は③より広くしていますね。

明細書を見ると、どうやって「家族4名だと、どうなるのか」や、「1週間買いだめする場合どうなるのか」という課題に対応するのか、おおよそわかります。
該当部を引用しておきますね。
(③④共通の記載)

ステップS102−3において、栄養評価部1Aは、ステップS102−1で算出した各食材の各栄養素を、ユーザーの各家族構成員(ユーザ及びその家族の個人毎)の消費スピード(予め、第2外部サーバ8内の栄養調査データベース81に記憶された性年齢別の栄養素の消費量から各性年齢別1人/1日の消費スピードを設定している)に基づいて、家族構成員毎及び日付毎に振り分ける。この場合の振り分け方法は、各食材の各栄養素が無くなるまで、ユーザーの各家族構成員の1日の消費スピード分の各食材の各栄養素を、ステップS102−1で算出した各食材の栄養素から一日毎に引き続け、一日毎に引いた各食材の各栄養素を各家族構成員に対して一日毎に割り振りし、今回の処理を終了する。

データが蓄積されると、この辺の精度も上がっていくということでしょう。
突っ込みどころはいろいろありそうですが、「ざっくり」でも価値が出せるところがどこか、見極めつつ進めているんだろうと推測できます。
極端に食事(栄養素)が偏ってる人って、いますからね。

あと、「アウトプット」(例:体重など)だけで栄養の量や偏りを指摘されると腹が立ちますが(笑)、インプット(例:食事)とセットだと、ぐうの音も出ない気がしますね。
フレイル予防はもちろんですが、生活習慣病予防にも、当然役立つでしょう。

シルタスの製品・サービスと構想を「特許」で読む(3)~今後の構想に関わる2件

もうお分かりだと思いますが、⑤と⑥も同日連番です。
想定の範囲内ですよね(笑)。
いずれも、2019年の6月出願です。

⑤飲食支援システム
https://patents.google.com/patent/JP2020197888A/ja

こちらには、「外食店舗」での利用を想定した発明が記載されています。
突っ込みどころの最後として、「外食したらどうなるねん!」がありましたが、それはここで解消する、ということですね。
「撮像」という言葉が64回出てくるので、カメラで食事と人の画像を撮影し、認証や分析、自炊(内食)データとの統合を行うことがわかります(ざっくり 笑)。

注目したいのは「共同出願人」です。
「City Creation Holdings Inc」という企業が入っています。
これなんでやねん!なんかあるんとちゃうか?と思わない人は、特許をいくら読んでもダメかもしれません(笑)。

実はこちら、営業代行の企業です。なんで営業代行?⇒もしや?(この間1秒以下)と思って調べると、「出資者」でした(笑)。
資本業務提携、よくあるパターンですね。

以下に、経緯がわかる記載があります。

約5億円の資金調達を実施いたしました(シルタスのHP)
https://corp.sirutasu.com/posts-1/20210218

・株式会社シティクリエイションホールディングス 取締役 中野知和 様

弊社は、シルタス株式会社の理念である「LIFE HEALTH CARE」に共感し出資させていただきました。
飲食店をクライアントにもつ弊社子会社では、飲食店オーナー様とコミュニケーションをとる中で「メニュー開発に対する課題として食の安全性が大切になってきている」との声をいただいており、栄養データは社会に根付く新たなインフラとして発展していくのではないかと期待しております。
シルタス株式会社のビジョンに関わる当事者の1社として応援していきたいと思っております。

飲食店がクライアントで、「健康」を重視したメニュー提供が求められている、という感じでしょうね。
外食店舗で、カメラで食事を記録するようなので、「なんでいまさら、そんなありきたりなアイデアを?」と思ったのですが、出願人を見たら納得です。

自炊から外食まで、一気通貫で栄養管理できる仕組みを整えるようです。
既に一部始まっていますが、長くなるので割愛します。
今後、noteに追記していくかもしれませんので、気になる方は「いいね」か「フォロー」しておいてください。
(「いいね」はブックマーク代わりになります。「いいね」した記事を後で見返せるからです)

⑥飲食支援システム、飲食支援サーバ、プログラム及びユーザ端末
https://patents.google.com/patent/JP2020197889A/ja

こちらは、「自炊」(内食)と「外食」のデータを統合して、栄養の偏りを分析する、という内容です。
詳細は割愛します。
もちろん(笑)、「City Creation Holdings Inc」との共同出願です。

補足:AIメモのnote公開と蓄積について

AIのおかげで、ちょっと気になったニュースはすぐに調べてメモとして蓄積できるようになりました。
以前は、メルマガ用にメモとして調べておいて、ある程度進んだら配信、にしていたので速報性にも問題がありましたが、今は一瞬です。
携帯電話だけで、note記事の作成が完結できる状態で、気分転換に仕事がしたい僕には、非常にありがたいですね。

社内に膨大なメモが残っていますが、すべてが利用できているわけではないので、今後は、noteに僕のメモを、AI経由で更新&整理して、公開していきます。
ただ、一次情報が埋もれないように、僕の考察は最小限にして、まずは「おもろい一次情報」がリスト化されている状態を目指します。
僕の考察や深堀りは、引き続きメルマガでお楽しみくださいませ(笑)。

どういうやり取り(プロンプトエンジニアリング)をしているのか、その裏側や経緯は、引き続き「企業内発明塾」のデータベース限定で公開していきます。
月額顧問でも、AI活用について指導している例はありますので、ご希望の方は、お問い合わせくださいませ。
月額顧問は、1回からのご利用が可能です。
(継続契約、毎月契約は必須ではありません)

なお、月額顧問への新規のお問い合わせは、弊社の「畑田」が、まずご要望をお伺いします点、ご了承くださいませ。
これは、顧客ニーズの集約のためですが、僕がいきなり出てくるよりは、お問い合わせいただくハードルは下がるかもしれませんね。

僕がいきなり対応(返信)することはないので(笑)、お気軽にお問い合わせください。
もちろん「とにかく楠浦を出せ!(笑)」という方は、僕がお問い合わせ対応しますので、その旨ご連絡ください(笑)。

月額顧問サービス
https://www.techno-producer.com/advisory-service/

弊社サービスメニュー表
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楠浦 拝

 

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