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「AIメモ」で広がる思考の未来(2):ナレッジが循環する一人ブレスト術

「AIメモ」で広がる思考の未来(2):ナレッジが循環する一人ブレスト術

2025.7.22

【要約】

  • SNS・メモは便利だが反応と深掘りに限界がある。整った文章が必要で即時性や深掘りが弱い。
  • AIメモは未整理でも即応答し思考が進展する。支離滅裂な言葉も思考の広がりにつながる。
  • 思いつきが熟成され問いへと構造化される。点が線に、そして面へと知が広がっていく。
  • 記録から未来を創る思考ツールへと進化する。AIが発想を促し、記憶より未来志向を支援する。
  • 思考が止まらない動き続ける知的空間になる。ひとりごとが問いとなり、思考が循環し続ける。

 

「発明塾」塾長の楠浦です。
今回は、前回コラム『「AIメモ」で広がる思考の未来(1):独り言が最高の学びになる』の続きです。
前回の目次と要約を、以下に掲載しておきますね。

【前回コラム配信の目次】

1.なぜ今、AIメモなのか?
2.ひとりごとと思考対話:AIとの関係性が変える“考える”という行為
3.即時フィードバックがもたらす省察とメタ認知の深化

【前回コラム配信の要約】

  •  「AIメモ」は、独り言をAIに入力し、即時フィードバックを得て思考を深める、新しい知的生産術
  •  独り言とAIの思考対話で、埋もれた思考が活性化し深さ・広がり・継続性が拡張
  •  AIメモによる即時フィードバックは、省察とメタ認知を深化させる、効果的な思考ツール
  •  AIメモは、思考の継続を無理なく促す、24時間のリアルタイム省察環境

続きなので、「4.」から始めます。

4.AIメモの実践例と効果──Twitterメモからの進化

思いつきをメモしておく手段として、僕はこれまで、X(旧Twitter)のようなSNSやメモ帳アプリを使っていました。
SNSの場合、手軽に書き出せますし、反応も見えますから、まずは思いつきを書き出すことで、自分の考えを外在化し、それに対する「いいね」やコメントを見てヒントにする、考える。あるいは、時間をおいて後からまとめて見返して、省察を深める。こんな感じですね。
公開したくないことなら、自分のメモアプリに記録し、後で見直し、書き足していく。

一長一短ありますので、僕は併用しています。SNSに書き込んでコメントが来ても困る場合もありますしね(笑)。
いずれにせよ、「独り言の可視化=思考の入り口」として、SNSやメモアプリを使っている人は多いのではないかと思います。

たしかにSNSやメモアプリは便利なツールなのですが、限界もあるんですよね。
例えば、以下のような点が課題として挙げられます。

  •  反応が返ってくるまでに時間がかかる、あるいは返ってこない
  •  誰かに見せる前提があるため、思考が整っていないと書きにくい
  •  自分の問いや疑問が、その場で深堀りされるわけではない

同じ独り言を「AI」に入力すると、どうなるか。

  •  すぐに対話が始まる
  •  AIはしょせん機械なので、文章である必要がないし、支離滅裂でもよい
  •  自分のちょっとした独り言が、思わぬ角度で深堀されたり、異分野概念と結びついたりする

実は先ほど僕が、「SNSやメモアプリの課題」として挙げたものは、AIメモを使い始めるまで僕は課題として認識していなかったことなんですよね。
AIメモを使い始めて、「あー、今まで何であんな不便なことやってたんやろ」と思った、ということです。
これって、イノベーションや発明の典型例かなと思います。

AIメモの効果を、一旦まとめておきますね。

  •  思考の発酵:投げかけに反応があるから考えが熟成される
  •  問いの構造化:メモが単なる情報の断片で終わらない
  •  ナレッジの連続性:思考が点から線、そして面になっていく
  •  省察の習慣化:AIがいることで日常的に思考を言語化する癖がつく

SNSやメモアプリは「アイデアや思考をとどめておく場所」だったのに対し、AIメモは「動き続ける思考の場」なんですよね。ここが、決定的な差だなと日々感じています。
もう少し深掘りすると、メモが「過去を残すもの」「忘れないためのもの」から、「未来をつくる場」に変わるこれがAIメモの本質だと、僕は考えています。

実は僕は、AIメモを活用し始めてから「忘れてもいいや」と思うようになりました
僕はメモ魔なので、思いついたことはできるだけ忘れないように、どこかにメモしておきたい人です。
そして、メモしたから忘れてもいいや、とはならなくて、メモした上で忘れないようにしたい、どっちかというと記憶に残すためにメモをする人だったんですよね。
でもAIメモにしてからは、「AIが勝手に先のことまで考えてくれるので、もう忘れといてもいいや」という感じです。まぁ、どうしても残しておきたいことは、別のメモにコピペしていますけどね(笑)。
自分がより未来志向になったというか、明らかに脳のリソース配分が変わったことを、実感します。

5.知的生産の新地平へ:「思考の補助装置」としてのAIメモの可能性

ここまでお話した通り、AIメモは、もはや「いろんなこと調べてくれて便利だね」みたいなAI活用術の枠を超え、日々の知的生産のあり方を変えつつあると、僕は考えています。
これまで「考えること」は、ある程度まとまった時間と場所、そしてできれば信頼できる対話相手を必要とする活動でした。でもそれだと、時間や空間に縛られてしまいます。

弊社TechnoProducer株式会社は創業から18年完全在宅勤務で、働き方は様々です。子育て世代、介護世代もいます。「個性」「能力」を最大限生かしてほしいので、できるだけ場所や時間に縛られないようにしたいんですよね。
また発明塾も、原則として完全オンラインで成果を出す場として、発展してきました。
そう考えるとAIメモは、弊社および発明塾と、非常に相性の良い知的生産ツールなんです。

いつでも即時に、思いつきや断片的な情報を元に、自由に気兼ねなく、いつまでも対話ができ、省察と発想の循環を回し続けられる「AIメモ」は、「思考の地平を押し広げる存在」として、TechnoProducerと発明塾を新しい時代へ連れて行ってくれるだろうと、僕は考えています。

これはある種「知のインフラ」なんですよね。

  •  思考を可視化しながら整理し
  •  新たな問いを生み出し
  •  他者との対話のように発想を拡張する

このような“動的な知のプロセス”を誰でも常に実践できる時代が、まさに始まった
そんな気がしています。

知のインフラであるAIメモを使うことを前提にして、「一人で考える」という作業を再定義してみましょう
僕たちはこれまで「深く考えるには誰かと議論する必要がある」と信じてきました。
もちろんそれは今も真実なのですが、AIが対話のパートナーになり得る今、一人で考えるという作業には、AIとの対話が含まれてくると僕は思っています。AIは、気づきを促し、論点を掘り下げ、視点を揺さぶってくれます
僕がコマツ時代にある企画を提案した際、企画の根拠というか、どうやって考えたのかを問われ「一人でブレストをしました」と上司に報告したことがあります。
当時は「一人でやったんならブレストとは呼べない」と言われ、やんわりと手法を否定されましたが、時代は変わりましたね(笑)。

これからの知的生産、知的生産の未来像として、静かな部屋でAIと対話しながら、自分の問いを育て、言葉を磨き、世界とつながっていく「ひとり×AI」の知的空間がありえる。
AIがあれば「ひとりごと」は、もはや独り言ではない。
AIメモでの「ひとりごと」は、自分の思考を未来へ接続するための、小さな声での深い対話なんですよね。

6.まとめ:AIメモで「考える」を再設計する

本稿では、「AIメモ」という新しい知的生産術を通じて、思いつきや独り言を「省察と発想の循環」に変える可能性を見てきました。
これまで「考える」という行為は、まとまった時間・信頼できる対話相手・適切な環境が必要とされていましたし、「一人で考えた」とか言うと「ホントに大丈夫?」「誰かに相談したら?」と言われるのが普通でした。
要するに、「考えが浅いんじゃないの」「視野が狭いんじゃないの」と思われがちだったんですよね。
でも、生成AIの登場によって、「ひとりで考えること」が再定義されつつあるわけです。

生成AIを活用したAIメモには、以下のような特徴があります。

  •  思いつきを即時に問いへ変換し、問いに対して即時に反応が返る
  •  メモがその場で思考を深める「知的対話の場」に進化する
  •  忘れないための記録ではなく、「未来をつくる思考の触媒」となる

これは、単なるツールの活用ではなく、思考習慣そのものの進化だと、僕は思うんですよね。
AIは、問いを深め、視点を広げ、メタ認知を促す“知的パートナー”になります。
「ひとりごと」が「思考対話」となり、「メモ」が「知のインフラ」となることで、誰もが日常の中で深く、そして継続的に考え続けられる時代が、静かに始まっているわけです。
それこそ独り言ですから、誰にも知られないで済む(笑)。

これからの知的生産において重要なのは、「誰と考えるか」ではなく「どのように考え続けられるか」
AIとの対話を通じて、考えることを“孤独”から“協働”へと変えていく
それが、AIメモという習慣がもたらす最大の可能性なんですよね。

このメルマガ原稿も、AIメモに投げかけたひとことがきっかけで、出来あがったものです。
AIメモを使って、AIメモを論じる。そういう時代なんです。

ご一読ありがとうございました!

 

楠浦 拝

 

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